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セリー(緋~ちゃん)が神妙な顔をして戻て来た「セリーどうだった?」「神の庭で間違いないそうですこの場所はどの空間とも繋がっていない閉ざされた空間です誰がどんな事をしても入れない」それを聞いていた王子がようやく得心したと言う顔をした「つまりは本物の神の庭になったって事だ」「大ちゃんですか?」「ええ・・・大ちゃんが閉ざしたそうです」「なんの為に?」「それは・・・」俺の問いにセリーは言葉を濁した「セリー、俺は何を聞いても大丈夫
僕が使っている部屋のベッドに4人で寝転がったコロニーに居た頃が遠い昔のような気がする「そう言えば・・・楽園の僕たちの家の広間これくらいの部屋だったよね」かず君が思いだしたように呟く始まりの5人が揃ってすぐに作った家は少し大き目の広間が一つそれと僕のお家(今の子どもコロニーにあった家)くらいの大きさの個人部屋が5部屋あった「広間を囲む様に5つの部屋のドアを作ったよね」ジュン君も思い出したのか懐かしそうな顔をする「そうそう、かずがサトシの隣の部屋がいいって
僕たちは未来に向かって歩き始めるお父さんから預かった緋色の花のクッキーとお茶をカバンに仕舞って人の世界に戻ってきたすっかりお日様は沈んだ後薄暗くなった中を4人で部屋に向かったドアを開けると既に翔先生は帰ってきてて笑顔で僕らを迎えてくれた「ただいま」「お帰り4人ともスッキリした顔をしてる大ちゃんも蒼ちゃんも戻ってるよ」「翔先生・・・蒼ちゃんに何か言ってくれたんでしょ?」「何もしていないよ俺は楽園での出来事については何も口にできないか
店に戻ると和さん達が迎えに出てくれていた「お帰りなさい疲れたでしょ」雅紀さんがセリーの背中に手を置いた「お風呂に入ってゆっくりして」エルフの国から来てるジュンさんが俺の背中に手を添える「夕飯の用意は出来てるから皆で食べようね」和さんがそう言って、ドアの鍵を掛けに行く迎えてくれた3人の後ろにディルやファーやジュンの影が見えた楽園の4人・・・いつも見ていた光景そこにフィーはいなかった事を思い出す「フィーの孤独を癒してたのがサトシ・・・」
大ちゃんの苦悩・・・それは俺たちの苦悩でもある蒼の森から戻り、そのまま翔に電話をした「もしもし、もう寝てた?」「ううん、まだ寝てないよそれよりどうかした?」俺の声が尋常じゃなかったのだろう心配そうな声で訊ねる「カズとマサキと一緒に離宮に来てくれない?」「離宮にって、今から?」「うん、急を要する事なんだ先に行ってジュンにも来てもらう」「分かった、すぐに向かう」「お兄ちゃんは寝てるよな?」「寝てるかどうかは分からないけど今日は
チビたちをエルフの国に送った足で店に向かう店の前プレートはcloseになってる所を見ると既に大ちゃんは来ているみたいだドアを開けて中に入ると緋~ちゃんが俺の帰るのを待っていてくれた「蒼ちゃんお帰り」「ただいま、大ちゃんは?」「うん、リビングに居る」「それで、4人で話し合った?」「3人は楽園の外の事は何も知らないそうだセリーが出た後のフィーの様子フィーが蒼い花の核を抱えて戻った後の事正直、セリーが知らない事を覚えてるただ、俺達と同じで妖精5
エルフの国での話し合いでは具体的な解決方法には辿り着けなかった当然と言えば当然のこと本人たちの意志を確認していない以上何が一番最善なのかの舵取りも難しいからだ蒼ちゃんは大ちゃんの家に俺達はジュンを伴って4人で紅玉に帰宅した「今は明日の事だけ考えてゆっくり休もう・・・」そう声を掛けるしかなかった3人も黙ったまま頷いてそれぞれの部屋に戻って行った緋の妖精を元に戻す事ばかり考えてその後の事を考えていなかった部屋のベッドに寝転がっても眠れそうにない翔やさと
年越しそばを頂いて年末のテレビ番組を見るいつもと変わらない大晦日だけど隣りに翔さんがいるこれが一番大きな違い除夜の鐘が聴こえて来てテレビの中でもカウントダウンが始まる3・・・2・・・1・・・僕も心の中でカウントを取る翔さんは声に出してる(笑)年が変わった瞬間二人同時に年始の挨拶「あけましておめでとう!」そのまま翔さんに抱きしめられた「今年もよろしくね」「こちらこそ、よろしくお願いします」ふふ・・・最高の年越し本当なら
師匠が手に色々な資料を持って部屋に入ってきた「お待たせいたしましたこの度はご注文を頂きありがとうございます」いつもの師匠ではなく『Ladybird』のオーナーとしてのキリリとした顔をしている(俺としては初めての顏)そのまま母たちの前に座る「智君は下ですか?」「ええ、店を閉められないので」「じゃあ、これを持って下に行ってもよろしいですか?」此処からは俺が居てもあまり意味はない気がする正直、二人が購入するjewelryをプレゼントできる
東の空から曙色が顔を除かせ空を染め始めて行く『明けない夜はない』まさにその通り何度見ても美しい光景に息をのむ「眠れなかった?」寝てるとばかり思ってた翔が心配そうな顔をして窓際の俺を見た「少し眠ったよ」「嘘ついてもわかりますよ目が腫れぼったい(笑)」どうやら見抜かれてる(笑)ゆっくりとベッドに戻って翔の肩を抱き寄せた「ふふ、そんなことはないよ蒼の歌が聴けたからそのあと、すぐに寝たよ」ベッドに横になったから寝よう試みたのは間違いない
大ちゃんの家に4人の妖精久し振りに賑やかな時間3人の妖精が食べる物を作ると張り切ってキッチンに立った「僕も手伝うよ」チビが声を掛けると3人が笑顔で頭を振った「僕たちがご馳走を作るのさとしくんは休んでて」3人からすれば、気を利かせているつもりなんだずっと眠ってたチビを思いやって少しのんびりして欲しいとの気遣い当のチビは淋し気な表情を浮かべるどっちかと言えば一緒に何かをしていたい「僕は4人が作った物が食べたいかな」翔先生が機転を利かせて3人に
花が咲く庭に大きなテーブルとイスが用意されてたさっきは無かったのに・・・テーブルの側まで行くと其々の始まりの5人の姿はなかった「大ちゃん・・・始まりの皆はどこ?」「実体化できるのは此処にいる間だけ邪魔しない方が良いと思って教会の方に移動して貰ったよ積もる話は沢山ある」「5人で帰るって言ってた・・・」きっと蒼の森の中にある楽園かもしれない「記憶だけあるべき場所に戻るここを出る時はちびちゃん達の中に」「昨日言ってたね・・・ゆっく
空色のリュックを背負ったさとち帽子を被せて貰って出掛ける準備完了お店の外から一緒に行く大ちゃんを呼ぶ「おおちゃん、しゅっぱつしゅるよ!」中々出てこない大ちゃんに痺れを切らせている様子「チビ水筒持ってないぞ」蒼ちゃんが水筒を手に店の外に出てくる「ああ・・・すいとう!わすれちぇた・・・」水筒を受け取って紐をたすき掛けにした「遠足に行くみたいだな(笑)」用意した本人がその姿を見て可笑しそうに笑う「えんそくいっちゃことあるよまざ
チビたちが部屋に戻りリビングのベランダから空を眺めていた欠けた月はのんびりと東の空に現れるようやく5人が揃う・・・ずっと払拭できなかった罪の意識それがすっかり消えてしまうことはないが許されたような気がした(許して貰っているのだけど)都会の空は・・・明るすぎて星が見えないマザーの森の夜空が懐かしく思えた「地上の星が空の星の光を邪魔してるな」不意に声を掛けられて振り向くと大ちゃんが窓際に立ってた「チビの出した答え間違ってなかったでしょ?」あの
緋の妖精の核が中に入り俺の中で何かが弾けた気がした見えなかったものが見える青と赤の花の回りを羽が付いた小さな妖精が跳びまわりヒソヒソと話す声が聴こえる小さな家の側には朧げな桜が見えるけどあれは実在していない気がした「お帰りなさい」その桜の声が聴こえたような気がした「お兄ちゃん?」緋~ちゃんが俺の目の前で手をヒラヒラさせた「緋~ちゃん・・・」どう説明すればいいんだろう始まりの妖精の姿が見えたのは大ちゃんがいるからさとし君達が見えたのもこの場所だから
勾玉を手にした大ちゃんが向かった先は長(智)も烏帽子(翔)も見たことがない場所木漏れ日が地上を照らし庭先には青と赤の花が咲いている建物も見たことのない物「翔、ここは何処なんだ」小さい声で話しかけると翔も同じように怪訝な声で返事をする「私もよく分からない」花火を一緒に観たいとは言ったそれはあの二人と一緒にという意味我々の浴衣も拵えたと嬉しそうに話してくれたが現実的にそれを着ることなど出来ない気持だけで十分嬉しいと思っていた「大ちゃんという人は・・
机に向かって調べものをしている翔先生邪魔しないようにベッドの上で寝転がって窓の外を眺めながら月を見ていた少しだけ欠けている月・・・あと少しで満月かな「欠けた月の美しさか・・・」独り言ちしながら扉のノックを待ったコンコン・・・コンコン・・・「大ちゃん・・・お話があるんだけど・・・」ちびちゃんの緊張した声どうやら答えに辿り着いたようだ「はい、ちょっと待って」大きく返事をして「廊下で話すから、調べものしてて」小さい声で翔先生に断りをい
夕食の片づけは健太君と二人でするマダムは肇おじさんの時計を取りに行った「おにいちゃん、もってきたよ」食器を運ぶのが健太君で洗うのが僕「ありがとう」小さい手で運び終わった健太君ふ~って息を吐いて額の汗を拭う仕草を見せる(汗は掻いていないけど(笑))「てーぶるふいてくる!」濡れ布巾を手にダイニングテーブルに向かって走って行くかなり上機嫌なのかアニメの歌を口遊んでテーブルを拭いていく「隅っこの方も拭いてね」歌いながら何度も頷いて丁寧に拭い
貴方のjewelryに添える一文を考えるのに頭がいっぱいで話について行ってなかった肇おじさんの絡繰り時計?それが家にある?どこでどう繋がってる?祖母が先頭に階段を上がっていく二階に上がった所で本来であれば俺を待つはずなのに躊躇いなく扉の絵がある部屋のドアノブを握り締めた母が驚いた顔で俺の方を向く驚いてるのは俺の方「祖母ちゃん、二階にも上がった事があるの?」祖母がドアノブをに触れながら「あら、そうね・・・でも・・・多分・・・この部屋が一番
お兄ちゃんの決意、覚悟は俺たちに取っては歓迎する決断ではある花の核を持ったまま人の世界で暮らすチビの行動範囲は制限されるかもしれないが人として生活は出来る最初のチビの望み通り紅玉の手伝いをしながらいずれは紅玉で二人で暮らしてくれたらと思うお兄ちゃんの体に起こる変化が想像できないがそこは大ちゃんが何とかしてくれるはず翔が言ったようにあの二人は楽園で生まれた子ども人ではないのだから、干渉しても問題ないはずそこは、都合よく考えさせて貰う「まだ起きてたの?」
お兄ちゃんが僕のほっぺに手を添えて涙を浮かべながら笑った「初めてキミを部屋で見た時・・・不思議に思わなかったんだそれは・・・きっと・・・」「どこかで繋がってたからだよ」「その通りだ・・・俺達は細い細い糸で繋がってた」お兄ちゃんの中に砂の粒よりも小さい妖精の欠片が僕を呼んだんだって思ってる「今は蒼の妖精で良かったって思ってる」ずっと、蒼の妖精になんかなりたくないって思ってたでも、蒼の妖精だから緋の妖精を探し出せた「蒼の妖精になりた
戻ってきたさとちの笑顔を見てホッとしたお兄ちゃん繋いだ手をギュッと握り締めてニッコリ笑う「お歌謳った?」そう聞かれて驚いた顔をする「おうたきこえちゃの?」「さとち君の声と・・・大ちゃんの声かな?・・・」針の風に揺れる樹々のざわめきのような気もしたが二人の声が微かに聴こえたそれを聞いたさとちが凄く嬉しそうな顔をした「おにいちゃんにはきこえちゃんだ」「俺だけじゃないかも・・・ま~君達も耳を澄ませてたから」「たぶん・・・みんなには
頂いた珈琲(アイス)を飲んですぐ後部座席に座った画伯の寝息が聞こえてきた「ふふ・・・寝ちゃったな」ハンドルを握る翔兄がミラー越しに画伯を確認して愛おし気な眼差しを向けた人はここまで変われるのかな?と思いながら自分の事を顧みた考えたら、俺も相当冷徹な人間だったそれを変えたのが智君だ・・・「寝顔も愛しいって事でしょ?」「当然、どんな顔も愛おしい寝顔って無防備だろ俺の隣でスヤスヤ寝てる顔見てると愛しくて愛しくて」「翔兄・・・蜂蜜よりも甘い
ブランチをいただいて少し休んでからセリー(緋~ちゃん)と光の道に向かう車の運転は侯爵助手席には王子が座っている「緋~さん、離宮にはいつ来てくれても構わない自分の家だと思って使ってください侯爵の城も同じだな」王子がにこやかな顔で俺たちを見た後、侯爵に確認をとる「ええ、家には煩い執事と賑やかな弟がいますが却ってその方が良いのかも知れないいつでもお待ちしております」侯爵はバックミラー越しに優しい笑みを浮かべた「王子、侯爵、お二人のご
眠れぬ夜を過ごし明け方店の外に出た陽が昇る前の空は沢山の表情を見せる瑠璃色に染まった空に黄金色が帯のように広がりお日様のお出ましを伝える顔を出したお日様は辺りを照らしながら空の色を青く染めていく息をのむほど美しい光景早起きをした者への褒美のような気がしたその光を背に受けて愛しい人が笑みを浮かべ立ってた「おはよう、もう起きてたの?」「おはよう・・・うつらうつらしたけど眠れなくて・・・それなら起きた方が良いと思って蒼ちゃんも?」「俺も似たよう
ブルースターの妖精さん青いリコリスの妖精君2人の願い事を聞いてチラシと大ちゃんの飴を渡した「おにいちゃん、みんながえがおになれるといいね」「その為にチーフが頑張ったんでしょ?」「ほんとうはね、おいらがじょしゅなのチーフはあおちゃんとおおちゃんふたりともやさちいからおいらにまかせちぇくれたのいつかふたりみちゃいになりたいなっておもう」人に寄り添うことができる蒼の妖精2人が居てくれるから皆の力になれるんだって学ぶことが出来ただから・・・
ずっとお兄ちゃんの傍に居たいその気持ちは今も変わらない子ども妖精になりたての頃僕を見つけてくれたお兄ちゃん何も考えずに通った部屋あの頃に戻れるなら戻りたいって思う時がある大好きだけで傍に入られた頃に・・・緋の妖精の核がお兄ちゃんの中に戻ったら何が起きるんだろう?お兄ちゃんは妖精になる?それともどっちらかを選択するの?僕は・・・どうすればいいんだろう?人として生きるって言ったら蒼の花の核は蒼の森に帰るそんな気がするんだ・・・そしたら・・・僕は
ビルが立ち並ぶ街の中にそこだけゆっくりとした時を刻む店がある古き時代を思わせる佇まいの建物は時代に取り残された感は否めないがそれはそれはお洒落な洋館扱う商品も曰く付きの物が多いアンティークショップ紅玉でである骨董屋さんだけあった日に訪れる客も数えるほどそれでも最近は売り上げが伸びているらしい店の扉の横の窓に小さなプレートが掲げられている(有)智翔旅行社分室どうやら旅行も取り扱うようになったようだそのまま中に入るとこの店のシンボル的な存在の
翔さんとのラインの後ブローチのデザインを描き上げた気が付いたら夜明け前で慌ててベッドに入りこんだ少しでも寝ておかないと仕事中に居眠りしてしまうギュッと目を閉じたら瞼の裏に翔さんの笑顔が浮かぶ「おやすみなさい」って呟いてそのまま夢の世界に・・・不思議な夢を見た翔さんが僕の作った桜のジュエリーを全部身に着けてお化粧してる(笑)それにドレス姿だ・・・それも西洋のお姫様みたいな髪も長くてカールしてる「綺麗でしょ?」って、品を作りながら聞いて来る色が白
流石に陽が昇る前に出掛けるのは失礼だと思いシャワーを浴びて身だしなみを整え珈琲を飲んでラインを入れたいつもよりは早い時間だったから起きていないかもしれないそれは想定済み師匠の家に着く頃には起きている計算で車に乗り込んだ想定外だったのは道が空いていた事冬の朝は日の出が遅いためなのかはたまた寒いためなのか街が眠りから覚めるのが遅い着いたのがいつもと大差ない時間工房の側の駐車場に車を止めて携帯をチェックしたらラインに既読が着いたばかりだったもしかして・・・まだ寝てた