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上田が帰ると部屋は静まり返りこの世界に俺だけが取り残されたような気がした以前の俺なら、そんな事これっぽっちも思わなかった淋しいと感じなかったのは心から愛しいと思う相手が居なかったからだ万が一、これから歩く道が彼の道と重ならなくても人を愛するということを教えてくれた彼にそして、人を愛せる自分に会えたことに感謝しようと思う何をセンチメンタルになってると思うかもしれないが俺に取って彼との出会いは奇蹟だった大きく伸びをして窓から外を眺める今日の空は何色だろう?彼に聞いてみた
目盛りより少しだけ上その言葉を何度も唱えながら水を入れた少しだけってどれくらいだ?頭の中に?が浮かびかけたがおちょこ一杯分を想像して水を足した炊飯のボタンを押してもランプがつかない何度も炊飯器と格闘して探し出したのが電気のプラグそりゃ、コンセント繋がなきゃご飯が炊けないのは当たり前慌てて挿しこみ、スイッチオン小さなランプが点いて炊飯中だと知らせてくれる思わず心の中で拍手した30半ばのおっさんが初めて炊飯器に触れたのだからこれは進歩と呼べる料理はしないが一応料理道具
蒼さんの紅茶は心を軽くしてくれる思ってる事を素直に言葉にするのは僕にとっては、かなりハードルが高いそんな僕に「肩の力を抜いて」って香りが伝えてくれてるような気がした口にすると、さとち君のフニャッとした笑顔が浮かぶ魔法の掛かった紅茶なのかも「お休みの日ですが」「決まったの?」「はい、1月の下旬24日から5日間です」「24日からですか?」「ええ、師匠がとびとびに休むより連休にしようって」「24日から5日間・・・」翔さんが何度も復唱す
画伯の言葉の後ろに隠れているのは長は里から離れられない離れられない理由は東本家と大野本家の当主しか知らないここまでは有ってるはず(画伯は嘘はついていなかった)俺の両親が裏に隠されている理由を知ってるとは思えない(長の末裔と言うことすら知らないのかも)ただ、力を持つ子が生まれる一族であることは理解していた「貴方が長の末裔だって聞いて時『ああ、やっぱりそうなんだ』って納得する俺がいた」「それは、長に似て頑固だって事?」俺はあそこまで頑固じゃない気がするけど此奴
『俺以外の担当はいないのか?』と思えるほど家に日参する編集君今日も判を押したように昼過ぎにドアホンが鳴る「どなた?」モニターに顔が映ってても訊ねる「増田です」「はいはい」玄関を開けっぱなしには出来ないからいちいち開けるのが面倒だが合鍵を渡すのも抵抗があるドアを開けると目を細めて満面の笑みを浮かべてお辞儀をする「先生、お久し振りです」「二日顏を見ないだけで久し振り?君は大袈裟!」「毎日、お顔を拝見しないと落ち着かないので」まるでスト
桜の木の下で待ってた緋~ちゃんお花見ツアーの人達と楽し気にお話をしてた「ひ~ちゃん、おまたせちまちた」「皆で桜の花を見てたんだよ」満開の桜を見上げてる人達はみんな笑顔になってる「うっとりするぐらいきれいだもん!」(かずくん)「うん、とってもきれい!」(ま~くん)「さくらしゃんたちうれちそうだよ」(じゅんくん)「よかっちぇね、みんなにたのちんでもらえて」桜の枝がさとちの言葉に応える様に揺れる「チビ、シデコブシ班の方だと思うぞ」シデコブシ班の
お昼ご飯を食べ終わったあと3人が「蒼い扉」の絵をじっと見詰めた「どうかした?」「素敵な絵だなって思って・・・背中を押すって言うよりそっと寄り添ってくれる絵だなぁって・・・」僕がずっと感じてた想いを言葉にしてくれるシゲちゃん「それは僕も思いました・・・背中を押される感じではなくてそっと肩に手を置かれ決めるのは自分だよここで見ていてあげるからって言われた感じ」侑李が優しい笑みを浮かべて納得したように頷く「見守られてるんだ
『先に寝室に行ってます』って言ったけど・・・どこに居ればいいのか悩むベッドの上に寝ころがっても良いかなぁ・・・それとも・・・床に座ろうかなぁ・・・ラグが長いから座っても気持ちいいけど寝ちゃったら・・・迷惑が掛かるしちょっと恥ずかしいけどベッドの上で待ってる事に決めたデザイン帳を見てる時の翔さんの顔瞳がキラキラしててそれ見てるだけで嬉しくなった(ちょっと恥ずかしいけど)翔さんの小説を読んでる僕想像したら同じような顔で読むような気がする早
珈琲の味すらよく分からない貴方が知らない事実はあまりにも大きすぎて「大野家の者しか長になれないのならそれは秘密ではなく公然の事じゃないんですか?」長老家だって知ってるはず・・・「そう思う?」画伯は珈琲カップを机に置き菓子皿に乗っていた和菓子に手を延ばす「はい・・・力を持つのは皇子の血筋つまり大野の家から・・・」「次の長は長が先読みで見つけるその先読みを受けて大野の家がその家に伝えるんだよ・・・里に上る時は皆同じ名前櫻井家
若智屋で二人に会ったさとち案の定、翔旦那はさとちにメロメロどうやら、愛しい相手の小さい頃のそっくりらしいさとちは若主人に教えて貰いながら数個の特別なお菓子を拵えお重に詰めて持たせて貰った皆のお出迎えをする為に若智屋を後にする「翔旦那、案内するって聞かなかったね」「わかさとしゃんがひっちにとめちぇた」「一緒に来ちゃったらサプライズにならないからね」3人が翔旦那の顔を思い出してクスクス笑った「さて、駕籠を使いましょうか?」「かご?えっさほいさ
朝(と言っても昼)目を覚ましたら頭が少し痛い・・・覚醒しないまま起き上がってここが実家の自分の部屋だと理解するそんなに飲んだつもりはないのだけど身体は正直、紛れもなく二日酔いの症状のろのろとベッドから抜け出して窓のカーテンを開ける雲一つない青い空陽の光が眩しくて思わず目を閉じたおっさんが飲み過ぎるとこの体たらくだこの姿だけは貴方に見せられないと思うほどだらしない格好をしてる階段を下りてリビングに行く祖母がソファーに座ってテレビを見てた「おはよう・・・
師匠が気を利かせて休憩に出てくれた追い出したみたいで申し訳ないがご厚意は有難く受け取ることにする「珈琲淹れてきますね」「珈琲じゃなくて、これにしない?」「どれですか?」鞄の中に入ってた花のお茶いつ貰ったのか記憶にないのだが確かに妖精君から貰った記憶がある「蒼さんん花の紅茶だと思うんだけど」貴方が不思議そうな顔をして「いつ貰ったんですか?」聴くのは当然だと思う・・・二人の時にもらってたら記憶があるからきっと智君は知らない「それが
目の前に座る愛しい人が俺の一番欲しい言葉をくれるそれだけで胸が熱くなってくる自慢できる過去など持っていないむしろ軽蔑される可能性の方が高いそれでも知ってて欲しいと思ったもし同じ間違いをしたら思いっきり叱り付けて貰えるようにこれは俺のエゴなのなかも知れないそれなのに…この人は全てを抱きしめると言って柔らかい笑みを浮かべた俺はこの人に出逢ってからずっと魔法を掛けられてる空の青さを海の青さを凛とした光を放つ月を夜空に浮かぶ星の煌めきをゆっくりと曙色に染まる東
一度だけ翔さんを家の前まで送ったことが有るけどまさかここまで超が付くほどの高級マンションだとは…外観はとてもお洒落で低層マンションのメゾネットタイプ?あの時は暗かったから全然分からなかったけどやっぱり…かなりハイソな人なんだドキドキと言うよりちょっと気後れしてしまいそう実家も大きな家だったことを思い出した「どうぞお入りくださいちょっと散らかってるかも」少しはにかんだ顔でドアを開けてくれた「お…お邪魔します…」外観がお洒落なのだから部屋の中
自分でリクエストしておいて全く刺身に手を付けない俺を見て貴方がクスクス笑う「お刺身・・・バター焼きにしますか?」「そんな事できるの?」刺身は刺身で食べる物だと思ってるからその発想が浮かばない「ええ、貝と白身のお魚なので白ワインとお醤油を使えばきっと美味しいはずです」そういう料理に使うのは魚の切り身だとばかり・・・料理にもセンスがいるってのは強ち間違ってはいないらしい高級レストランのシェフは思いもよらない発想で食材を使う貴方、料理人にも
目抜き通りを抜けて裏路地に入るお袋にとっては初めての場所さぞ心細いかと思いきやどちらかと言うと楽しんでいる様子「路地裏って初めて?」「初めてじゃないわよかなり遠い昔だけれど一度だけ来た事がある」母が悪戯っぽい笑みを浮かべもう時効ねって顔をする「初めてじゃないの?」「ええ、学生の頃はお転婆だったから(笑)ダメと言われると行ってみたくなるの」初めて聞いた・・・俺の方が動揺してる「変わってない?」「どうなのかしら?お友達が
胸のドキドキも、体の変化もこれが何を意味しているのか知ってる経験は少ないけど一応男だから・・・ただ、男同士ってどうするのか知識としては分かってても具体的な事は理解していない(そもそも恋愛対象は女性だったから)触れられば直ぐにも熱を吐き出しそうなくらいドクドクと脈打ってるそれは翔さんも同じだと思う互いのを刺激し合えばすぐに熱を分かち合えるけど翔さんが望んでる事はもっと先僕は受け入れる側になるの?それとも・・・どっちなんだろう?どっちにし
マダムと健太君の厳しい審査に通ったブローチは二つリング・ペンダント・ブレスレットのデザインは一つずつ師匠の提案で可愛らしい花びらのイヤリングが加えられFreestyleの最初の企画ジュエリーは5種類(6点)となった花びらを繊細な細工にしてあるペンダントが一番大変な作業になりそう5種類(6点)のサンプルをトレーに並べて腕組しながらまじまじと見つめる師匠師匠からの合格点は未だ頂いていない「師匠?」まだまだのような気もする・・・これを店頭に並べて良いのか不安になっ
翔さんが鼻唄混じりで楽しそうにレタスをちぎってる歌は最近お気に入りの曲『ベイビーアイラビューだぜ!』って言われる度に顔が綻ぶのが分かる(ちょっと・・・かなり照れくさい・・・)少し大きいかなって感じだけれどそれが翔さんの愛情なのかも(笑)『大は小を兼ねる』って言いそう一口大よりちょっとだけ大きいレタスが笊の中いっぱいになっていく「これくらいでいいの?」翔さんが満面の笑みを浮かべて僕を見上げる「ええ、次はミニトマトですヘタを取ってから洗ってくだ
何年かぶりに入る自分の部屋なのに直ぐに生活が出来るくらい綺麗に掃除がされてた(俺がいた頃より綺麗)決して狭くない部屋なのに息苦しかったのを思い出すなにものにも縛られてはいなかったそれでも、自由と言う言葉に憧れてここを出れば羽ばたけると思ってた羽ばたく意味を履き違えて…窓際のカウチに腰をおろしてカーテンを開けた窓から見える庭の木が秋の装いを始めた『話しても良いか?』遠慮がちな翔様の声が聴こえた「翔様、大丈夫ですか?」心がざわついているの
お揃いの手袋をして店に向かう翔さんの手の温もりみたいでとっても温かい心の中まで温まった感じがする翔さんは健太君に捉まって午前中一緒に遊ぶことになった今年の仕事は全て終わってるらしく余裕の笑みを浮かべて僕を送り出してくれたお昼は一緒に食べる約束もした(丸ちゃんのお店だけど)年末年始の予定を考えることになってる毎年、大みそかには実家に帰ってるけど今年はどうすればいいのかな?それを相談するのか(笑)恋人って言葉が擽ったい気がする大人の翔さんにとって僕は相当なお子
午後5時を過ぎたあたりから客足がパタリと途絶え「そろそろ店を閉めても良いな」師匠が店のドアの前プレートをcloseに変えに行く「ほんとに大丈夫ですか?」いくらなんでも早すぎるんじゃないかなぁ?ライブは7時からここを6時に出ても間に合う「大丈夫だよ予約の商品は全て渡したからそれに、家が閉まっててもそうは困らない」くすくす笑いながらドアを開けたその時、タイミングを計ったように翔さんが店の前に立ったのが見えた「久し振りだね元気だった?」
お客様がいない時はアンティークジュエリーの本を見る昔のジュエリーは全てが手作業一人の職人が創り上げる世界相当な時間と労力で出来上がる繊細で美しい細工は現代では出来ない気がする全ては一握りの人のために作られたジュエリー美しいけど、少し冷たい感じがするのはそのせいかな?「熱心だな(笑)」師匠が湯気を立てたマグカップを机の上に置いた「アンティークジュエリーを見てると僕はまだ入り口にも立ってないって思います」機械を使ってもここまでの輝きは出せないし繊細な細工は手
母は我が子を手放すことが絶えられないと思ったのだろうだから、俺以外の子を成さなかった父も母の気持ちを考えてその意向を受け入れたそもそも、耀の一族の役割とは何だろう?「サクちゃん、ご飯を食べる時は考え事はしない」画伯がキーマカレーを口に運びながらチラッとこっちを見た「そうだぞ、眉間に皺寄せて食ってたら味も何もわかりゃしない作ってくれた人にも失礼だ」翔兄がチクリと針を刺す「すみません・・・」「まあ、誰にでもそう言う日はあるそこは気にし
明日プレゼンしますって言ったけど仕事は大丈夫なのかな?段々心配になってきた翔さんの仕事の妨げになったら大変「翔さん、お仕事に差し障りはないですか?」「何が?」「明日プレゼンに来るって言ってたから毎日だと・・・」「ああ、それは大丈夫順調すぎるくらい進んでて今はかなり余裕がある」心配は無用だよって顔をしてにっこり笑う「本当ですか?」右手を胸元近くであげて「嘘はついてないよ」ってにっこり笑う「それなら良いですが・・・」
師匠が珈琲を僕が春のジュエリーを乗せたトレーを手に部屋の中に入って行くと翔さんが師匠から珈琲を受け取ったお祖母さんとお母さんは蒼の扉の絵の前に立ってずっと眺めてる「もしかしてあの絵、気に入ったの?」師匠がちょっと嬉しそうな顔をする「それが・・・思い出の絵みたいです」「思い出の絵?」師匠がどういう意味だろうって怪訝な顔をして僕を見た「もしかして肇おじさんの時計を買いに来た時この部屋に入った事があるとか?」翔さんが正解って顔で大きく頷いた
Ladybirdの彼から連絡をもらいおちびちゃんの手紙を受け取りに行く「大ちゃんこれがさとち君から預かった手紙です」「ありがとう、世話を掛けたね」「世話なんて掛かってないですよむしろ嬉しいです」彼の笑顔はその言葉が本心だと伝えてくれたおちびちゃんが気を許したこの世界で初めての大人の人(翔先生は身内お兄ちゃんは元妖精)「それで何か言ってた?」「サンタさんがここの商店街に来たら紅玉にも来て欲しいってお願いしてくださいって頼まれました」蒼が言ってた事は本気だったら
ランチに付き合ったらそのまま家に帰る予定だったが肇おじさんの絡繰り時計がどうしてもみたくなった「祖母ちゃん、今日帰るの?」「ええ、帰ろうと思ってるけど」「じゃあ、俺が送っていくよ」「そんな暇があるの?智ちゃんのパンフレット用のキャッチコピーは?」「うん、色々浮かんではいるけど肇おじさんの絡繰り時計を見たら閃くかなって思って」「ああ、それが見たかったのねな~んだ・・・ちょっとがっかりねぇ」祖母ちゃんが大袈裟に肩を落とした「私
ここに来ての大失態!(何たる不覚)ベッドの上で頭を抱えて途方に暮れてる俺愛しい人が初めて泊まりに来てくれたのに鼾を掻いて寝こけてしまうなんて最低最悪の恋人・・・どんな顔で起きて行こうかと考えているところに既に着替えを済ませた智君が入ってきたもう着替えてる・・・お揃いの部屋着だったのに・・・写真撮るの忘れてた智君に手を引かれてベッドから抜け出して気が付く拙い・・・酒が残ってる💦そりゃkissを拒まれるはず相当酒臭い気がして慌てて浴室に飛び込んだ恋
師匠が珈琲を淹れに行ってる間に翔さんに電話した恋愛初心者の僕たち時々衝突しても良いのかなって思うけどちょっと気まずい「智君、無事着いた?」いつもと同じ明るい声が聴こえてちょっとホッとした(怒らせちゃったから・・・)「はい、無事に着きました翔さんも無事に帰れましたか?」「ああ、まっすぐ家に帰って智君からの電話を待ってたよ」「ふふ・・・じっと待ってたんですか?」「そうだよって言いたいけど貴方からの電話を待ちながら仕事の準備をしてた