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「Boss,Wegottagetoutofthisplacenow!!」車から飛び出してきたハネスが、コテージのバルコニーにいた私たちに叫んだ。サバンナの地平線についに陽は沈み、周囲は闇が濃くなっている。恐怖と興奮、更には罪を犯したものだけが感じるであろう焦燥感。汗を浮かべた彼の顔には、そんな複雑な感情が入り混じっていた。「さあ、早く!」椅子から立ち上がったものの、呆然としていた私、ジム、そして佐和子の目を覚ますように、ハネスがもう一度叫ん
「奥さんと一緒に午後を楽しむだって?」橋口が好色に目を光らせて、身を乗り出した。「皆さん、動物だけ見ても退屈でしょう」「あ、ああ、そうなんだよ、中川君。それに少しばかり疲れたな、車ばかり乗って」今度は妻に乗りたいとでもいうのか・・・・調子のいい台詞を吐きながら、橋口は傍にいる宮野と北原に声をかけた。「どうだい。中川君の提案は。遠慮なく甘えようじゃないか」椅子に座ったまま、絶頂に達してうっとりとした表情を浮かべる妻の美脚を、宮野はまだ撫で続けている。
「ここまで来いよ、桔梗!」「ねえ、疾風、待ってったら!」戦国の黎明期、天文年間。尾張の国では、後の歴史を大きく塗り替えることになる武将、織田信長がまもなく誕生しようとしている。だが、ここははるか遠く離れた、海の孤島。南国特有の眩しい日差しの下、走り回る少年と少女は、迫り来る戦国の騒乱など無縁の世界にいる。「今日の海はいつも以上に綺麗だぜ、桔梗!」粗末な小袖を身に纏った少年、疾風。疾風(はやて)、と名付けてくれた両親はもうこの世にはいない。彼が
妻の服がはだけ、薄手の生地の下に隠された肉体が露わにされていく。「惚れ惚れする体じゃ」目の前に夫がいることに構う様子もなく、隆景は桔梗の服を広げ、上半身を剥き出しにした。「堪忍してっ・・・・」「したいんだろう、お前も」「・・・・」男の口が、妻の胸に吸い付いた。「あんっ・・・・」彼の頭を抱え込むような格好で、人妻は妖しく悶えた。広大な屋敷があるこの高台から、島を取り囲む海が見える。強い日差しが降り注ぐ昼間にもかかわらず、隆景は激しい興奮を
「大丈夫だったかい、佐和子?」その夜、私たちは歓迎会が開かれたホテルの部屋に泊まった。この国での自宅が決まるまで、この部屋にしばらく滞在する予定だ。部屋に戻るなり、妻はシャワーを浴びたいと言って浴室に飛び込んだ。久しぶりのアルコールのせいか、あるいは別の理由からか、その表情はほの赤く染まっている。「あなた、ごめんなさい。少し飲みすぎたみたい、私」濡れた髪をドライヤーで乾かしながら、妻は鏡に映る私に言った。「謝ることなんかないさ」いろいろと言いたいこ
想像せずにはいられなかった。目の前にいる美しい奥様が、上司たち3人に、しかも夫である林君の目の前で・・・。本当だろうか。そんな私の疑念をかき消すように、奥様は言った。「主人に聞いてください。嘘ではありませんから」「・・・・」「私も奥様みたいだったんですよ、最初、この国に来た時は」「私の妻、みたいだった?」「初めて海外で暮らすことに舞い上がってしまって。今日の奥様みたいに、あの3人とも楽しくお酒を飲んで」「・・・・」「ゴルフにも連れて行っ
「桔梗、いくぜ・・・・」よだれを垂らさんばかりの表情で、慶次は自身の腰を一気に桔梗の秘密に突き立てようとした。桔梗が唇を噛み、全てを覚悟した時。「ううっ・・・・・・」上にいる慶次が、突然後頭部を抑え、傍の地面に倒れ込んだ。こぶしくらいの大きさの固い石が、表面に血を滲ませて転がっている。「桔梗、大丈夫か!」すんでのところで慶次の毒牙から逃げることができた桔梗は、素早く立ち上がり、石が飛んできた方向を見た。「疾風!」腹ばいでうごめく慶次に唾を吐き
「ここで、ですか?」予想外の要求に、妻は戸惑いを隠せない様子で宮野を見つめた。「エッチなリクエストですけど。まずはじっくり見て楽しみたいんです、奥さんを」「そんな・・・・」「奥さんの裸を毎晩想像してるんですよ、一人寂しく」「もう、エッチなんですから、皆さん・・・・」駄々っ子たちの望みに呆れるような視線で、妻が3人を見つめる。その表情には、男たちの求めに応じる自分を想像し、興奮を深めている色が浮かんでいた。「たまには楽しみたいんです、俺たちも」
「あなた、私、どうすればいいのかしら」レストランに残されたのは私、妻、そして運転手のジム、その3人だった。大胆なドレスに着替えると言われた妻。どこか恥ずかしげに、また不安げな様子で、私にそう聞いてきた。「慌てることはないさ、佐和子。ゆっくりここで待つとしようか」「待つって、あなた、何を?」「ハネスさ。そのうちハネスはここに舞い戻ってくるはずさ」「皆さんを残して?」「ああ」「どれくらい待つの?」「そうだな。かなり遅くなるかもしれない」
「佐和子・・・・」椅子に座ったまま、妻は橋口に唇を吸われていた。ワンピースが僅かに乱れ、剥き出しになった妻の肩にブラの紐が覗き見える。「奥さん、いい躰してますね」宮野の手が、ワンピースの上から妻の胸の膨らみを確かめるように動いている。「いやんっ・・・・」巧みにいじめてくる彼の指先に、妻が瞳を閉じたままうっとりとした声を漏らした。北原とも手を握り合いながら、橋口との口づけを次第に激しいものにしていく妻。「奥様、随分大胆ですね」私の後ろに立った林
「もう良いだろう」「いや、まだもうちょっとかかる」「この馬鹿!いい加減にしろ!!」あの世とこの世を遮る門には今日も大勢の者達が詰めかけている。この場では肌の色も思想の違いも関係ない。あるのは等しくこの世での生を終えて再び輪廻の道へと戻って旅立つことだけだ。「は~い!そこの人達!もうちょっとかかりますからね、割り込みはしないで下さい!!そこ、お茶を飲みながら麻雀を始めないで下さい!」絶えず怒声(発狂?)が途絶えずにいる光景は見慣れた者にとっては最早気にすることもない光景だ。
もう三年になろうか。夫である俺と一人息子を残したまま、妻はある男に突然連れ去られた。俺とは身分の違う、高貴な階層にいる武士、その棟梁の男に。そんな風に、疾風はゆっくりと話し始めた。幼馴染だった妻、桔梗をいかに愛していたのか。息子、佐助と暮らす貧しくも平穏な日々が、何の予告もなく、どんな風に壊されてしまったのか。封印していた苦々しい過去を紐解くその作業は、疾風にとって簡単なものではなかった。「連れ去られてから一度も妻と再会していないのか、と聞いておるぞ」
2台の車がゲートの向こう側に停車している。分厚く巨大な窓、野獣の襲来にも耐えられるようなしっかりとした車体。オフロード車らしく、極太なタイヤを備え、遠方を見渡せるほどの車高だ。「皆さんはこちらの車で先に走ってください」ハネスの指示に従い、私は上司たち3人に前方に停まった車に乗るよう勧めた。「大きな車だな。我々3人がこっちかい、中川君?」「ええ。ただ男性だけでは味気ないと思いますから、妻も同乗させますよ」3人の目が瞬時に輝いた。好色な連中だぜ。
「ハネスのやつ、やりやがる・・・・」寝室にまでカメラを設置したドライバーの働きに、私はある種の感動さえ覚えた。だが、そこに記録された現実は、私には残酷なものであった。「佐和子・・・・」4人の時間は、寝室の外の窓が明るくなる頃まで続いた。「奥さん、口でお願いしますよ」ベッドルームに連れ込んだ妻に、3人がそんなリクエストを投げかける。「ゴルフ場では手でしてもらいましたけど。今日はもっと大胆にお願いします」「でも、主人にもそんなこと、私・・・・」「
再びこの地にやってきた。だが、今回は深夜という、周囲が深い闇に包まれた時間だ。佐助の世話を弥太郎に任せ、疾風は今夜、慶次の言葉を信じて島の北端にまでやってきた。彼方に見覚えがある屋敷がひっそりと建っている。妻を奪った男、隆景との会談を行った屋敷である。桔梗はあそこで毎日暮らしているのだろうか・・・・。あの男に体を弄ばれるだけのために。約束の場所である小高い丘の上に身を伏せ、疾風はじっとそのときを待った。やがて、男は現れた。「疾風、来たな」
二人の後方から、勝ち誇ったような声が届く。「もう逃げられないぞ!あきらめるのじゃ!」長躯の武士が叫んでいる。その周囲には、弓を構えた何人もの武士たちが、矢の先端を疾風、そして桔梗に向けていた。「観念しろ!命だけは助けてやってもいい!」武士の言葉に、疾風は笑みを浮かべた。「俺はおまえたちの主人の命を奪った男だ!そんな戯言は信じないぜ!」草原の入口に並ぶように立つ武士たち。数十人、いや数百人いるのかもしれない。崖の端にいる二人とは、なおも距
「じゃあ、あらためて乾杯!」テーブルに座った4人が楽しげにグラスを鳴らす。ワインボトルが3本並び、4人の表情には酔いを伴った昂揚感が漂っている。「奥さん、昔からこんなにお酒好きなんですか?」妻の正面に座った宮野が、人妻としての理性を試すように質問を投げた。「いえ、今まであまり飲んだ経験がなくて、私」「へえ、そうなんですか」「この国に来て、皆さんとお会いしてからです、こんな風に変わったのは」白ワインで色っぽい唇を濡らしながら、妻が3人の男たちを交互に
「疾風、噂を聞いたかい?」午後、太陽の下でのんびりと漁網のほつれを治していた疾風のもとに、弥太郎がやってきた。疾風と桔梗の5歳年下の弥太郎は、今年十五歳になったばかりだ。少し離れた先の農家に生まれた彼は、二人の弟のような存在で、昔から一緒に遊んだ仲だった。年下ではあるが、なかなかに頭がよく、信頼できる男だ。そんな彼が、今日はどういうわけか、少し浮かない顔をしている。「おお、弥太郎か」顔をあげた疾風は、まあ座れと言わんばかりに穏やかな表情で彼を見つめた。
「なんと・・・・」星がいつも以上に綺麗な夜だった。だが、そこにいる男たちには、夜空に輝く無数の星の美しさに浸っている余裕はないようだ。島の南端。疾風、そして佐助が住む粗末な家。そこにいるべき妻の姿はない。既に寝息を立てている佐助のそばで、男たちが囲炉裏を囲んでいる。疾風、吉蔵、弥太郎。そして、今夜、はるばる島の北からやってきた一人の武士。秘密の会談は彼が持ちかけたものだった。「殿は島を出るつもりだ」「・・・・」「桔梗を連れて
林の中に消えたカートは、姿を現そうとしない。「中川さん、次のホールに行きましょう」漆黒の肌を持った現地職員たちが、ドライバーを握りしめて私に英語で声をかける。彼らの言葉を聞き流し、私は双眼鏡をただ覗き込んだ。おかしい。ボールが見つからないとしても、あまりに時間がかかりすぎだ。「行きましょうよ、早く」「先に行っててくれ。ちょっとカートを借りるぜ」困惑する現地スタッフたちをその場に残し、私はカートの運転席に乗り込んだ。妻が3人に連れ込まれた林に向
「奥さん、さあ、こちらのテーブルへ」サバンナの真ん中、コテージ形式の小さなレストランに私たちは腰を落ち着けた。草原の彼方には、象の家族がゆっくり歩いているのが見える。だが、連中は依然として動物にはまるで興味がないようだ。「私、また皆さんと一緒なんですか?」「当たり前じゃないですか、奥さん。さあ、冷えたビールが並んでますよ」妻の細い腰にいやらしく手を回し、橋口が強引に引き寄せる。「もう、橋口さん、エッチなんだから」美尻を撫でる男の手を軽く叩き、妻は3
「サファリツアーか。それはいい。是非企画してくれ」私の誘いに、橋口は大いに乗り気なようだ。この日、毎朝の定例ミーティングの後、私は橋口の部屋でとある提案をした。橋口、宮野、北原、そして私たち夫婦の5人。このメンバーで週末にサファリツアーに行きましょう。私はこんな提案を投げてみたのだ。「奥さんも来るのかい?」「ええ。皆さんと行けると聞いて妻もとても喜んでます」「そうか、そうか。奥さんも私たちと一緒に行きたいってか」「はい」満面の笑みを浮か
4歳年下の妻は今年31歳。細身で背が高い妻は、飛び抜けて美人というわけではない。だが、どこか男好きのする雰囲気を漂わせた女性だった。私の不安を見透かすように、部長が言葉を続けた。「君には確か奥さんがいるだろう」「まだ去年結婚したばかりなんですが」「それなんだがな。今度の赴任は君には大きなチャンスだと思うんだよ」残酷な決断を促すかのような部長の言い回し。だが、その後に続いた言葉は意外なものだった。「条件と言っては何だが、赴任の辞令を出す前に
自宅で酒を飲むことは、私には随分と珍しいことだった。しかも酒の席でもあまり口にはしないウイスキーのボトルが、目の前のテーブルに置いてある。深夜のリビングルーム。何も知らない妻は、既に寝室で熟睡している。「・・・・」確かな緊張を抱えながら、私は氷が入ったグラスに黄金色のアルコールをゆっくりと注いだ。「どうだった、変わったことはなかったかい?」「あっという間の1週間だったわ、あなた」昨日、隣国への出張から戻った私に、妻は以前と変わらぬ様子で笑顔を見せた
「奥さん、今日はいつも以上に色っぽいですね」アフリカの大地を朝から灼熱の太陽が照りつけている。目が痛くなるほどの青空の下、地平線の向こうまで広がるサバンナの草原。私たちは、その入口と言えるチェックゲートに集合した。橋口、宮野、北原の3人は、ゴルフに行くようなラフな格好で、既に頬を紅潮させている。どうせ朝からビールをあおってきたに違いない。服を脱がされた妻が裸で悶える姿を想像しながら。「サファリツアーって聞きましたから、暑いんだろうなって想像して・・・」
「もうこんなになってるじゃないか」「言わないで、あなた・・・・」濡れた指先で妻の頬を撫でながら、私は深い困惑をどうにか隠そうとした。上司たち3人にたっぷりといじめられた妻。これまで知らなかった刺激を教えられ、妻の肉体は本能に目覚めたかのように牝の悦びを告白していたのだ。夫に内緒で、そんな風に妻が感じていたなんて・・・・背徳とも言えそうな妻の敏感な躰が、私をひどく興奮させる。「佐和子、感じていたのかい、あのレストランで」「違うわ、あなた。誤解しないで
「ちっ・・・・」薄い壁の向こうから聞こえる疾風と桔梗、そして吉蔵の楽しげな会話。粗末な木製の壁は隙間だらけ、その奥から届く囲炉裏の火の灯りが、こちら側にいる少年の頬を照らす。悔しげに舌を鳴らし、慶次は静かにそこから歩き始めた。疾風と桔梗、2人から3歳年上の慶次は、13歳になったばかり。小さな山を一つ越えた隣村で生まれ育った彼は、2人と同じように農家の子供であった。だが彼の家は富農であった。小作人を何家族か同居させるほどの大きな家で、一人息子の慶次には将来
「じい!」じっと身を伏せていた疾風は思わず上体を起こし、声をあげた。だが、現実は冷酷だった。隆景まであと数歩という距離に近づいた吉蔵に、一人の武士が声をあげて刀を振り下ろした。「ひ、ひい・・・・」周囲にいた島の住民たちが、恐れをなして一斉に後退りする。「ううっ・・・・」振り下ろされた刀は、老人の肩から全身を鋭く切りつけた。うめき声をもらし、彼は浜にばたりと倒れ込んだ。鮮血が白い浜を無惨に染めていく。「皆のもの、見たか。無礼は最後まで許さ
「吉報じゃな、我らにとっては」隆景の一行が遂に離島するという情報を慶次がもたらした夜から、一月あまり。運命の日は、いよいよ明日に迫っていた。「でも隆景はどうしてそんな選択をしたんだろうね」漁で使う網だろうか、何やら巨大な網状の太い紐を手元で編みながら、弥太郎は吉蔵、そして疾風に声をかけた。夕食を終えた佐助は、既に大人たちの会話の意味がわかる年齢だが、それに気付かぬ様子で一人、土間の片隅に木片を積み上げて遊んでいる。「俺に見せつけるためだろう」手に抱えた冷
「疾風、竿を離すな!強く引くんじゃ!」ぎらぎらと輝く太陽が頭上にある。快晴ではあったが、沖に出れば出るほど風は強くなり、高まる波が小さな漁船を翻弄した。「じい、駄目だよ!全然引っ張れない!」「泣き言うんじゃない!そんなことじゃ一人前の漁師になれんぞ!」「ちっくしょう・・・、こんなでけえ獲物、無理だぜ・・・」15歳になった疾風。上背も随分高くなり、いまや精悍な若者になりつつあった。粗末な服装は相変わらずだが、剥き出しの両腕は筋肉質で、男のたくま