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天官賜福の新版(2023年5月発売)の、改編されている箇所その⑦(最後)です。小説第四巻以降の部分になり、重大なネタバレを含むので、ネタバレNGの方はご注意ください。・謝憐の師匠、梅念卿の会話に少し追加があります。「この八百年間、君吾はずっとお前を見ていたんだ。私が姿を現しても、話をする機会をくれない。だからずっと隠れていたんだ」という記載があります。・剣蘭と胎霊を殺めた犯人が旧版では言及されていなくて謎とされていましたが、新版では剣蘭の口から語られています。風信が胎霊が君吾に懐いている
少しばかりのネタバレを含みますので、最後まで読んでいない方はご注意ください。銅炉山が開いた時、花城は法力の暴走を防ぐために、本来の姿ではなく、子供の姿になりました。この時、郎蛍に化けて謝憐のそばにいるくだりが描かれています。謝憐の作る食事を顔色も変えずに食べたり、普段はほとんど何も喋らないのに自分から謝憐に話しかけたり、落ち葉の集め方が花城と同じだったり、姿勢もいつもと違うので、謝憐も気が付きます。(ヒントになる描写も複数あり、とてもわかりやすいです。)一つの可能性ですが、もしかした
天官賜福には何度か読んで初めて気がつく細かい伏線がたくさん隠れています。(ネタバレを含むのでまだ最後まで読んでいない方はご注意ください。)今回は、花城がどれだけ謝憐のことが好きか、について色々あるのですが、その一部を紹介したいと思います花城の刺青謝憐が初めて花城に会った際に、花城の左腕に刺青があることが描写されています。この時謝憐は、少数民族の何かの記号かな、ぐらいにしか思っていませんでした。終盤に謝憐はこれが自分の名前「謝憐」の文字だと知ります。知った瞬間の謝憐はきっと驚きと嬉
季節柄、色々所用で更新が空いてしまいました今日は霊文についてです。霊文と言えば、謝憐が三度目の飛昇をしてから、他の人は謝憐に冷たいのに、霊文だけが普通に接しているので、悪くない印象を持っている方も多いと思います。彼女にももちろん過去や背景があります。今日は彼女について見ていきたいと思います。霊文と錦衣仙に関して大いにネタバレを含むので、ご注意ください。飛昇前霊文は人間の頃の名前は’’南宮傑’’と言いました。飛昇前は靴売りで、時々お金を貰って恋文やお経を代筆することを仕事にしていました。才能
今回から新版(2023年5月発売)の過去編の変更点・追加部分の紹介です。前回紹介した現在軸の最後の一文は「そして、ただ、一つの小さな小さな白い花がゆっくり舞い降ります」で終わりました。過去編の冒頭は、「あの白い花は、満天の彩帯と歓声の中を飛び越えて、剣の上に落ちます」からスタートします。現在軸と過去軸が素敵に繋がれています。・「鐘の音が大きく鳴り響くと、国師が生えてもいない髭を撫でるようにして言ったp172」の部分が、「鐘の音が大きく鳴り響くと、払子を持った高冠華服の青年道者が粛然と言
今回は仙楽国の滅亡についてです。仙楽国はそもそもなぜ滅亡したのでしょうか?白無相が人面疫を仕掛けたから?祭天遊の時に、悦神武者に扮した謝憐が三周しか城を回らなかったから?今まで単純にそう思っていたのですが、考えれば考えるほど深くて、おそらく「天時・地利・人和」が全て尽きてしまったためではないかと思うのです。では見ていきます。「天時・地利・人和」とは、「天のもたらす運」「地勢上の有利さ」「人心の一致」この三つが揃えば上手くいく、という考え方なのですが、この時の仙楽国は三つとも
第三巻の最後まで紹介し終えたので、次は何を書こうかと悩んでいるうちに、時間が過ぎてしまいました。第四巻以降の詳細な改変箇所は第四巻が出てからでないと書けないし、四巻から最後までの主な改変箇所は、第一弾で大まかに紹介しているので、改変の紹介はたぶん一旦ひと段落です。考察やまとめ記事など、書きたいことはたくさんあるので、しばらくはそのあたりを書いてみたいと思います。改変を紹介するにあたって読み直した時に、もっと詳しく考察したいと思う箇所もたくさん出てきました。今回は、前々から書き
二人がまだ思いを通わせていない時の会話なのですが、甘すぎて夜中に一人で悶えたので、ご紹介したいと思いますネタバレになるのでご注意ください。昨日の記事のあらすじで言うと、原作小説(旧版)の第三巻の最後あたりの、任務のために二人で銅爐山(花城が絶になった山)に向かった時の場面です。道が山に塞がれて目的地に行けないと、鬼達が数百匹、立ち往生してる時に、鬼の誰かが「神官のにおいがする」と言い出します。ちなみに花城はこの時事情があり、子供の姿になっています。頭からすっぽりマントを着たままの謝憐が怪
天官賜福には何度か読んで初めて気がつく細かい伏線がたくさん隠れています。ネタバレを含むので、まだ最後まで視聴していない方はご注意ください。①花城の告白花城は謝憐に何度か告白めいたことをしています謝憐の反応を見たいのか、思い余って口に出してしまったのか、冗談を装って告白してる花城が愛おしすぎます1回目は、黄金の馬車の上の「兄さん、結婚しよう」2回目は、謝憐の菩荠観が倒壊しそうになった時に、「要不然搬我那里去算了」(うちに引越しておいでよ)3回目は、山の妖怪のお腹にいる時(わか
ネタバレを少し含むので、最後まで読み終えていない方はご注意ください。花城と謝憐の初めての出会いは、花城が城壁から落ちて謝憐に受け止められた時です。その後、風信によって傷の手当てのために連れて行かれますが、後の風信の言葉から、この時風信を蹴って逃げたことが分かります。二回目に会ったのは、花城が戚容に連れ去られて暴行を受け、馬車の後ろにくくり付けられて街中を引きずり回された時でした。この時謝憐は花城を助け、皇極観に連れて行きます。皇極観では花城に怨霊が集まり、謝憐の仙楽宮が燃えます。そしてそ
新版(2023年5月発売)の変更点・追加部分⑳です。前回は、謝憐が南風と扶搖を川に蹴り落としたところまで紹介しました。花城は歩いてきて、何かを差し出しました。謝憐は少し呆気に取られ「私にくれるの?」と尋ねます。「他の神なんて知らないから、兄さんにあげなきゃ誰にあげるのさ。でも、これは大したものじゃないから、もし好きじゃなかったら捨ててくれていいよ」金の枝は''金花''と呼ばれ、皆から争奪されますが、本当は造りの粗い、ただの飾り物なのです。動かすと金粉がポロポロと下に落ちます。
花城と言えば、きらきらと美しく光り輝く死霊蝶ですよね。謝憐にとっては可憐に舞う可愛らしい銀の蝶ですが、他の神官達からすると「残虐の限りを尽くす狂気じみた銀の蝶」(第一巻p141)なのです。花城が絶になる前に、長年棲み家にした万神窟(洞窟)でも、繭が登場します。なぜ蝶なのか、なぜ繭なのか。以前、なぜ蝶なのかについて、「蝶恋花」つまり、「蝶は花(殿下)が大好きだから」みたいな感じで薄〜く浅〜く解釈していたのですが、新しい説を発見したので、書いてみたいと思います。(正解はない
花城と謝憐の会話はとっても心が温まり、好きな人も多いと思います。謝憐には心のわだかまりが幾つかありましたが、それはどれも花城によって解かれています。ネタバレを含むので最後まで読んでいない方はご注意ください。①「万人を救おうとするなんて愚かだ」半月関の後、半月は謝憐が昔、万人を救うことが夢だったと話しました。この時、謝憐は恥ずかしくなっています。昔の謝憐は挫折を知らず、自信に溢れていて、何も怖くないし、何でもできると思っていた時期がありました。しかし度重なる挫折を経て、自分は万能ではないと思い
以前、記事20〜34の「風師と黒水沈舟のその後」でご紹介した二次創作の物語『双玄旅』ですが、この作品の作者様からコメントを頂きました。この作品をより理解する上でも、とても素敵なコメントだったので、抜粋してご紹介したいと思います。---黒水沈舟が師青玄を人間に貶めた時に、死亡へのカウントダウンが始まったのです。二人の愛、恨、情、仇が何であれ、人間にとって一番大きなことは、時間が限られているということ。人間の時間は短く、短いが故に貴重で、貴重である故に、大事にできるのです。それ
作者さんが作品を公開されているサイトで、千灯観のキスシーンに少し加筆されているとコメントで教えていただいて、早速昨日登録して読んでみました。もう読んでから寝るまでの間、ずっとニヤニヤしっぱなしで、たまりませんでした加筆箇所は、日本語小説の「はっきり言って不公平だ。謝憐は花城の体の少しでも危うい場所には一切触れる勇気などないのに、彼の体の上でなんの遠慮もなくほしいままに振る舞って謝憐を追い込み、言葉では表せない程の責苦を与えている」の後です。小説ではこの後、「この神壇は本来、神像を祀
慕情は謝憐を裏切った印象が強く、性格も屈折しているので、なかなか好かれない面もありますが、実は彼はとても魅力的なキャラクターなのです。今回は、慕情について紐解いていきます。ネタバレを含むので、最後まで読み終えていない方はご注意ください。慕情という人物彼は「杯水二人」の質問で、砂漠で死にかけている二者がいたら、より生きる価値がある方に水を与えると答えました。謝憐が天界から追放されて、みんなで食べるものに困る生活を送っている時に、自分が中天庭に戻ることで突破口になろうとしました。与君山で謝
「花城」の名前の由来や解釈謝憐が初めて飛昇した時に「花冠武神」と呼ばれ、神像も片手には花、もう片手には剣で、信徒も謝憐が花好きということを知って、神廟には常にたくさんの花が供えられていたことから、花城は「花」を名前に取り入れたと言われています。また作者は初期設定では、謝憐が初めて神官から落とされた時に「花」を司る神をする設定だったと明かしています。「城」というのは、花城が文中で"他幾百年來,欠謝憐的花足夠開滿一座城了。"(花城はこの数百年間を経て、謝憐には城一杯の花の借りがある)というこ
今回は「白話仙人喜宴哭喪」の章の紹介です。本筋は旧版からの改編は少なめだと思います。p142「町からわざわざ持ち帰った肉餅を抱えていた谷子は」が、「村長の家から連れ帰った谷子は」に変更されています。p144「もともと謝憐は、子供たちの預け先が決まったら花城のところへ行って丁重に礼を言うつもりでいたのだが、思いがけず彼の方がこちらへ来てくれた」が省略されています。「兄さんは忙しいだろうから、わざわざ来てもらうこともないと思ってこっちから来たんだ」が無くなって「兄さん、忘れ物」だけ
天官賜福の中で「四大害」と呼ばれる鬼のうち、3つの鬼は謝憐に関連しています。(そう考えると慕情の言うようにやっぱり謝憐は世界の中心ですね!)白無相は謝憐を後継者に仕立てるために近づき、花城は謝憐を守るため、戚容は謝憐への執着を捨てられないため。戚容は白無相と併せて悪役と思われがちですが、個人的には結構深掘りできるキャラクターだと思っています。ネタバレ含むのでご注意ください。戚容が絶になれなかったわけ花城が謝憐のために上げた三千灯で霞んでしまいますが、戚容もかつては謝憐の崇拝者であり
最近、ドラマで「潜入兄妹特殊詐欺特命捜査官」を観ていたのですが、観ていた方いらっしゃいますか?ドラマでは、詐欺グループの幹部に「青龍、白虎、朱雀、玄武」が登場していました。この四幻獣は、「四神」「四獣」「四象」とも呼ばれ、中国の古代の神話で天の四つの方角を司る霊獣とされています。(ちなみに「四霊」とは、方角に関わらず、吉兆を知らせる霊獣で、麒麟(きりん)、霊亀(れいき)、応龍(おうりゅう)、鳳凰(ほうおう)があります。先ほどのドラマの中では、幹部を束ねるリーダーが「鳳凰」でした)
前回の続きです。前回、前々回はこちらから↓『天官賜福157蝶夢①』今回は、四巻以降の部分にはなるものの、旧版にはなくて、新版で新たに付け加えられたエピソードの紹介をしたいと思います。多分、日本語版小説は旧版を元に最後まで翻…ameblo.jp『天官賜福158蝶夢②』前回の続きです。(テーマが決まっていると更新が早い)前回はこちらから↓『天官賜福157蝶夢』今回は、四巻以降の部分にはなるものの、旧版にはなくて、新版で新…ameblo.jp謝憐がまだ考え事をしていると、花城は彼
前回に引き続き「謝憐の心が動いた瞬間」パート②です。きっと悶えるの確定です!最後まで見ていくので少し長いです。後半、まだ日本語訳が出ていない範囲のネタバレを沢山含むので、小説で直接読みたい方はご注意ください!①水中キスでは花城と気付いた瞬間、もがくのをやめたし、この後濡れた花城を見て“かっこいい・・’’って見惚れるし、動揺しすぎて意味不明なことを色々言います。(もがくのをやめる時点で、受け入れたということでいいですよね)このキスシーンに関してこちらの記事でも詳しく書いています!『天官賜福11
久しぶりの人物考察です。今回は郎蛍について。郎蛍もまた、天官賜福中の一つの悲劇と言わざるを得ません。彼自身は何も悪いことをしていないのに、運命に翻弄され、最後悲劇を迎えたうちの一人なのです。物語に関する大事な部分のネタバレを含むのでご注意ください。天官賜福の中で、郎蛍の一生は本当に筆舌し難いものです。仙楽国の終盤、彼の叔父である郎英が筆頭になって戦が始まり、仙楽国が滅んだ後にできたのが永安国でした。郎英は永安国の初代の王につきます。郎英は自分の息子を早くに亡くしているので、甥である郎蛍を太子に
天界の中秋宴で、三千灯が上がる前に、神官達の間でお酒が回されていき、雷の音が止まったタイミングで、お酒を持っている神官を題材にした劇が上映される余興がありました。そして、謝憐のところで雷の音が止まり、謝憐と三郎が親密にしている劇が上映されました。今日はこれについて書いてみます。(多少のネタバレを含むので、最後まで読了されていない方はご注意ください。)劇が上映された時、師青玄は謝憐に、半月関の人達が帰ってから誰かに書かせたものではないか、と言いますが、謝憐は肯定も否定もしません。し
二人が雪山の上で叫んだことは「謎」とされていて、いろんな考察がされています。ネタバレを含むのでご注意ください。経緯慕情に''胎霊を作った犯人''という嫌疑がかけられて、慕情はその嫌疑を晴らすために雪山まで胎霊を探しに来たら、胎霊を追ってきた風信とばったり会って喧嘩が始まります。雪山で慕情が「あの子(胎霊)は俺が殺したんじゃないって言ってるじゃないか、俺も探してるんだよ!」と風信に叫び、少し離れた場所でそれを聞いた謝憐と花城が、雪山で大声を出すと雪崩が起きるからやめるように伝えようと
過去記事の伏線の中に埋もれていた内容です。伏線にしては少しボリュームのあるので、タイトルを付けて一つの記事にしました。過去記事を読んだ方や、小説を読んで知っている方も多い内容かもしれません。過去編があまりに辛くて、詳しく読めていない方も沢山いらっしゃると伺い、もし気付いていない方がいれば、参考になれば嬉しいです過去編の温柔郷で、花妖が様々な女性の姿に化けて、洞窟の外にいる少年の花城を誘惑する描写がありました。花妖が最後に化けた姿については明記されていませんが、前後の文章から察するに
今回は、四巻以降の部分にはなるものの、旧版にはなくて、新版で新たに付け加えられたエピソードの紹介をしたいと思います。多分、日本語版小説は旧版を元に最後まで翻訳されそうな気がするので、このエピソードは四巻以降の翻訳には出てこない可能性が高そうなので、番外編みたいな位置付けで楽しめるのではないかと思います。一文一文の翻訳ではなく、あらすじのみの簡単な意訳です。ちなみにエピソードの登場箇所は、三巻の千灯観キスの後、殿下と花城が二人で銅炉山に向かう中での話です。なので、千灯観キスの少し後ぐ
前回の温柔郷の記事は、過去記事の再掲でもあり、少し物足りなかったですよね。今回は、天官賜福の新版(2023年5月発売)の変更点・追加部分⑪です。多分少し甘めです①賭坊で花城が謝憐の手を包み込みながら、壺皿を振る最後の一回の時に、花城が「さあ、最後の一回だ。緊張しないで」謝憐「緊張してはいませんp399」の会話がありました。新版ではその直後に、花城が''真剣な眼差し''で、軽いけれど''揺るぎない声で''、「孤注一掷、死亦無悔(一か八か、死んでも悔いはない)」と言い、謝憐も同じように、低い
以前、天官賜福の新版(2023年5月発売)の変更点・追加部分を⑦まで書いたのですが、今新版を読み返していて、新たに見つけた変更点や、前回重要視していなくて書かなかった部分などを追加したいと思います。・茶屋にいる謝憐の前に初めて銀蝶が現れた時、小説では蝶は謝憐の指先に止まり「それはしばらくすると飛んでいってしまった」との描写があります。新版では「指先にしばらく絡み合い、名残惜しそうに飛んでいった」と改編されています。よりロマンチックな描写になっています。・与君山の小蛍が新版では土地神という
前回の続きです。(テーマが決まっていると更新が早い)前回はこちらから↓『天官賜福157蝶夢』今回は、四巻以降の部分にはなるものの、旧版にはなくて、新版で新たに付け加えられたエピソードの紹介をしたいと思います。多分、日本語版小説は旧版を元に最後まで翻…ameblo.jp花城は彼のことを覚えていないのです。そして自分自身のことも!-----謝憐は目の前の状況に、どう対処したら良いかわからなくなり、少し慌てましたが、花城が持っている笠を見て、「笠を返して!」と言いました。