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気を付けてと言った二宮をホテルに残して向かったファストフード。車で乗り付けるわけにもいかず、スーツも身に付けなかった。スーツ以外の服に袖を通すなんて久しぶりだし、どこにいても僕の肩には櫻井グループが乗っていたからそれを下ろして道を歩くことも久しぶりだ。とは言っても、これから会うのは仕事の関係の人だけど。ブラックコーヒーを買い、窓辺に座る僕。『社長の顔はご存じだそうです』用意周到だな、どんな人が来るんだろう。店内を見てもそれらしき人はいない。って言っても、顔がわからない僕にはそれら
5年ほど前に設立したアメリカのベンチャー企業。どんなやり方をして来たのか全く公表していないし、情報もない。独自の通信システムを開発し今ではインターネット検索システム、データー放送まで行っている。ああ、無料通話とチャットの出来るアプリも開発中なんだ。すごいな。うん、提携できたら新しい電話回線を引くことも不可能じゃない。欲しい、この会社。できれば買収したい。「二宮、ここの社長と直接会うことは出来ますか?」「それが、直接連絡を取ることはできません。今、担当者が苦労してます。それに
僕の全ては君でできている。こんな言い方をすると、まるで僕が君にとっても大切な存在であるかのように思える。そうならいいのになと切に願う。毎日。本気で。「緩んでんぞ。」僕を現実に引き戻したのは、なぜか高校までずっと一緒の幼馴染だ。「おはよ。いたの?」僕は頬に手を当てながら言う。「ずっといた。翔のそれさ、・・・。」「なに?」「いや。まあいいよ。」「なによ。」潤は早足でどんどん僕との距離を広げていく。
今日、さっきをもって僕の進路が決まった。潤がクラスメイトと喋っているのを偶然聞いたのだ。「あ、松本〜、お前芸術行くの?」「ん?うん。なんで?」「いや、俺もちょっと考えててさ。大野もお前もいるならいいかなーって。」「いいじゃん。安田もデザイン?」あとの会話はもう耳に入らなかった。智が芸術学部のデザイン学科。つまり付属の大学にそのまま進学と言うことだ。なので僕も付属の大学。当初考えていた通り、経済学部に進むことにした。