”ノルウェイの森” を廻る二人の悪党 その1 永沢さんの場合――社会事象としての村上春樹・第5夜
小説”ノルウェイの森”を廻る二人の大悪党と云えば、一人は永沢さんと呼ばれる学生寮の先輩で何かと懇切丁寧に地方出のワタナベ君の面倒を見てくれる東大法学部の学生であると作者によって紹介される人物であるし、もう一人は京都北部にその存在が仮構された阿美寮の住人、レイコさんなのです。永沢にはハツミさんというセットで考えられる恋人がいて、彼女への仕打ちを通して人でなしの構図が読者にも無理なく理解させる仕組みになっています。いっぽう、レイコについては、これは賛否両論でしょう。彼女の巫女的な存在感について
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