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ヨンが固まっている。こんなに固まるのも珍しい…ていうか、初めて見たかも………あ、動いた。私を見つめたまま、瞬きするだけだったヨンの目が、す、と焦点を合わせた途端、そのまま私のお腹辺りを見つめ、また私の顔へ戻り、再びお腹へ向き……何度かそれが繰り返された後、ヨンの両手が私の二の腕を掴み、私は左右から、がっちりホールドされた。「まことですか?」「うん。さっきユン先生に診てもらったわ」「赤子を授かっていると?」「うん——」「………」ヨンは、私をひた、と見つめてから——ウロウロとあち
ヨンはピダムから郡守邸での宴の件を詳しく聞いていた「私たちは賛成事からの書状を郡守に届け使用人として屋敷に潜り込んでいましたあの時はキム・ギュチョルが医仙殿を徳興君へお渡しするのを見届けるのが私たちの任務でした」「其方たちが薬を盛ったのか?」「いいえ飲み物に薬を入れたのが郡守なのか刺客の妓生なのか他にも間者が潜り込んでいたのか私たちにもわかりません」「刺客の雇い主は誰だ?」「それが刺客の妓生が
ウンスが迂達赤兵舎に向かっている頃ヨンはテマンを供に久々に市を通り抜けチェ尚宮に呼び出された店へと向かっていた市井の人々はチェ・ヨン将軍を見かけると気の毒そうな視線を向けたというのもマンボを筆頭に手裏房らによる情報操作でキム家との縁談など虚言だと徐々に民たちに浸透してきたからだ家人不在のチェ家の屋敷に度々賛成事の娘が無断で入り込み数年もの間チェ家に執拗に付き纏い今や奥方のように振る舞いだしてとうとう気が違ったようだチェヨン将軍が拒否したに
差し出した書状をヨンが受け取り紙面を開く前にピダムは言った「これは徳興君とキム・ビョンオクの娘との縁組を約束した書状です」「なんだと!」皆がその書状を食い入るように読みヨンが叫ぶ「間違いない!これは徳興君とキム・ミンソの婚約の約定だ署名と日付も入っておる」「つまりキム家は徳興君と婚約しておきながらその後ヨンにも縁組を申し込んだってことかい?」「そういうことになるな破談していなければの話だが」
王妃にセレブ化粧水を渡そうと坤成殿を訪れたウンスは王妃が康安殿にいる事を聞き出直そうかと迷っていたでもお二人揃っているところで高麗でできる不妊治療のことお話した方がいいかしらアンドチさんと叔母様にも一緒に聞いてもらった方がいいわね思い立ったらすぐに康安殿にやってきたウンスチョン宦官に取り次いでもらったのだった「王様王妃様ここまで押しかけちゃってごめんなさい…ってあらら?みなさんお揃いでなんの相談かしら?私お邪魔しち
ユリやジウォンとおしゃべりしながら迂達赤兵舎に向かうウンス途中黄色い小菊を見つけるといつかのように一輪手折って鼻歌まじりに歩いていた懐かしい迂達赤兵舎の門に着くと中で隊員達が訓練しているのが見えてウンスは一年前一時此処で過ごしたことを思い出し感傷に浸った気づいた歩哨から誰何されるとにっこり微笑み敬礼したウンス「忠誠!あのね乙組のマンソクさん呼んでいただけます?」あらかじめマンソクから母親の症状を聞いて予測を立てジン侍医の見解も聞き
部屋に戻るとチェ尚宮が火鉢を運び入れ炭を起こしていた「叔母…チェ尚宮様来られてたんですね」ウンスから聞き馴染みのない呼称で呼ばれ違和感を感じたチェ尚宮「寝てなくて大丈夫なのかい?まだ体調が万全でないのに其方はすぐにあちこち動き出す故王妃様も心配されておったぞ」「チェ尚宮様また迷惑かけてごめんなさい王妃様にもご心配おかけして…」「ウンスや王宮内だからと堅苦しい呼び名で呼ばなくても良いぞ」「え
典医寺に運んだウンスをヨンは自分で着替えさせようとした「馬鹿者!ここは屋敷ではないのだぞ少しは大護軍の体面を考えろ!」チェ尚宮は心配するヨンを追い立てユリと共にウンスを着替えさせようとしたが…あの阿呆め吸い付ついた痕がまだ残っておるわ首筋や胸元に薄っすら残った赤い情交の痕が目に入ると火鉢の手配を言い訳にユリを退室させたあの馬鹿者はまったくこんなところにまで吸い付きおってまるで盛りのついた獣ではないかこれほどあちこちに印を付けねば安心できぬのかいや
食堂にきたウンスを見てチュンソクは安堵したがヨンからの殺気にトクマンは戸惑っていたウンスの体調を考慮してトクマンが少なめに飯を盛るとたちまちウンスが殺気だち慌てて盛り直した「お体は如何ですか?」異様な空気に耐えきれずチュンソクが訊ねた「ええただの頭痛と睡眠不足だから一晩寝たら治ったわ」けろっとウンスが答えるとチュンソクからも睨まれトクマンは身の置き所がなくなった「ねえ将軍隊長明日街に行ってきます
閉め切った窓の隙間から微かに日の光が差す。それが、しん、と冷え切った部屋に僅かな熱を伝えている。手裏房の隠れ屋の奥の奥——。俺はひっそりと調息を続けていた。目を閉じ深い呼吸を繰り返す。丹田に集めた気を、全身に回してゆく。じんわりと汗ばむ身体から、冬の冷気と相まった湯気が白く立ち上っていた。ここに篭って3日目になる。戦の後はここで調息し、気を整えるのが常だった。しかし、いつもなら1日もあれば戻せたものを……。集中し切れず、俺は何度も目を開けて中断していた。「……はぁ……はぁ…
手裏房宿から急ぎ王宮に戻ったヨンはアン・ジェを迂達赤兵舎に呼び迂達赤幹部らも集めると賛成事と徳興君義州郡守との黒い繋がり悪事の証拠となる書簡と証人を確保したことを知らせたまた監門衛でウンスに関する中傷が広まっており王宮に入るのを阻まれたこと凱旋で襲撃した賊を手引きした女を間もなくチェ尚宮が連行し秘密裏に牢へ入れることその際死んだことにしている賊の男に面通しさせることを告げた「どこに手下が潜んでおるかわからぬ故決して隊員にも口外するな
(sideウンス)思い出の丘へと続く道を上っていく。逸る気持ちを抑えきれず、その歩みは無意識のうちに早まっていく。途中、足がもつれ転びそうになりながらもウンスは懸命に足を動かした。少し遠くにあの大きな木が見えてきた。テマンさんの言葉によるとあの木のところにあの人がいる。本当に?あの人がいるの?もしいなかったら…?不安と、そこにいて欲しいという切実な気持ちが交錯する。徐々に大きな木に近づいていく。もしかして…そう思って木の下を見る。けれどそこに
宣仁殿(ソニンデン)から出ると、コモが、いつもの無愛想に、やや不安を貼り付けた顔で待っていた。「どうであった?無事遣りおおせたか?」俺とイムジャ、そして、先に出て行った左政丞(チャジョンスン)達を、目で追いながらコモが言う。「ああ。無事済んだ」そして、俺が言うのと、イムジャの親指を立てる謎の仕草を見て、はあぁーーー……と、大きく息を吐いた。「良かった。此処に居ても中の様子はわからぬ故……途中、何やらどよめいていたが、何があった?」「あっ…大した事じゃありません。大丈夫です!」「……
「恥ずかしい……?」王妃様から思いがけない言葉を聞いて、私はそのまま問い返していた。ゆっくり顔を上げた王妃様は、少し赤くなった目を潤ませて……小さく頷いた。「王様ははじめから、離宮行きと称して鴨緑江(アムノッカン)へ行かれるつもりだったそうです。わたくしにも内緒で行かれた事に、最初は寂しさを覚えましたが……それよりも、己れの事が恥ずかしくなって。王様の高いお志を汲む事もせず、側室をお迎えになるのでは、と疑い、離宮で王様と過ごせたなら、もしや……お子を授かれるのではないか、と。そんな
懐かしのドラマの再放送見れないと思っていたBS松竹東急さん放送の『シンイ-信義-』1、2話の放送時は、気象状況が悪かったせいかなんとか見れるけど、画像は乱れまくり。『見れないと思っていたら』以前、BS東急松竹とBSが映らないと話していたんですが、『我が家のBS環境』新作情報を探していて、コメント欄にてBSJapanextやBS松竹東急の情報を教…ameblo.jp諦めずに3、4話見てみたら、天候が良かったせいか、ちゃんと映りましたーーー!キム・ヒソンさんもお美しい✨これから
「オイッ、ウンス!医仙っ、大丈夫か??」目の前の大きな人が、奥様を抱き止めて、大きな声をかけている。「ん……大丈夫、大丈夫……」「何が大丈夫だよ、全っ然大丈夫くねぇだろがっ!」奥様が道に倒れなかった事と、か細くもお声が聞こえた事に安堵して、私は情けなくも、その場にへたり込んでしまった。「おい、テマナ。どうしたってんだよ、これぁ」「そ、それが、買い物に来てて、急にふらふらっ、と……」え?この人、テマンの知り合い??ああ、今はそんなことよりも——「あっ、あのっ、奥様は、」私が
ユリが典医寺に来た時ウンスは一度目を覚ました「ウンスやわかるか?大丈夫か?」「叔母様…」返事はするもののまだ虚な様子のウンス「ここは典医寺じゃ其方は旅の疲れが出たのじゃ侍医の見立てではちぃと血虚にもなっておるそうじゃ最近食が細かったと聞いたぞ王妃様との夕餉は御辞退申し上げ今夜はチェ家でゆっくりするか?」ウンスは驚いて首を振った「叔母様心配かけてごめんなさい王妃様との夕餉
「……しかし、あの大護軍がな。あのように我が子の世話を焼く姿を見られるとは……感慨深い事だ」「はい、まことに……」わたくし達夫婦の閨。王様は少しの酒肴と、昼間の……タムが泣き出したのを、当たり前にあやし、収めた大護軍を思い出し、笑みを浮かべて寛いでいらっしゃる。医仙と大護軍、それからチェ尚宮。王様に抱かれたタムが、ぐずり出してしまい(それなのに、赤子とは何故あのように愛らしいのか)、収まりがつかず、場が騒然となったのだが——王様の御前だ。タムァ、泣くのはお止め。あらあら、タムァ、凄
軍議で大護軍は王様の客人が数日兵営に滞在すると言ったということは先刻大護軍の部屋に居たのはその客人であろうかサンユンは軍議中も先ほど会った女人のことを考えていたあんなに溌剌として笑顔の愛らしい女人は初めて見たそれによき香りが漂っていたきらきらした瞳で凛と俺を見つめ返し微笑んだどちらの御息女であろうか心ここにあらずのサンユンの様子はヨンやチュンソクには直ぐに気づかれた「滞在中は主にテマンが付く無
一瞬の間茫っとしたもののウンスはすぐ我に返った脳内は激しいアドレナリンラッシュで僅の間に物凄い情報と感情で溢れ烈しく消耗していたが表面上ウンスは取り繕えていた伊達に江南でクレイマー相手に渡り合ってきたわけじゃないわよポーカーフェイス偉いぞユ・ウンスつい数秒前ひとしきり脳内で自分を罵ったあとだったのですっきりしたのか今度は自分を鼓舞した目紛しく脳細胞を働かせながらウンスにとっての最後の砦自分
朝からテマンがやってきた迂達赤の衣を持ってきたのだしぶしぶ迂達赤の衣に着替え髪もまとめたウンスヨンはすでに着替えて少ない荷物をまとめていたが迂達赤二等兵ユ・ウンスの姿を見てにこっと笑い頭をぽんぽんとした何処となく朝から不機嫌そうなヨンだったのでその笑顔に安心しきゅんとしながらももしかして昨日寝ちゃったから拗ねてるのまさかね〜でも今日から兵舎でしばらくできないし…ってやだこんなこと考えちゃうなんて私の方が欲
「話せば長くなるの……でも、聞いてくれる?」「聞きたいです」私は100年前の、あのお寺での日々を思い出しながら話した。ミナ。セラさん。住職様。ご近所の皆んな。それからネル。(ああ、ジテも居たわね)——懐かしい。嫌な事もあったけど、良い事もたくさんあった。いつヨンの所へ戻れるのか、わからなかった事を除けば、本当に恵まれてたと思う。私がこの人と離れてた時間は1年ほど……その内100年前で過ごしたのは、トータル半年くらいかしら。短い間だったけど、濃かったわ。菩薩の関係者だとか、駆
チェ・ヨンとの行為に少しは慣れてきたのか、筋肉痛は酷かったけれど、次の日に起き上がれないなんて事は無くなった。でも今回は股関節が上手く働かず、まるで砂浜を歩いている時みたいに足が重くて、気を抜くとすぐにもつれてしまいそうになる。そんな姿を見かねたのか、チェ・ヨンはいつにも増して甲斐甲斐しく私の世話を焼き続けた。それはもう、朝食の匙まで奪われそうな勢いで。「そろそろ出立せねばなりません」麒麟鎧をきっちりと着込んだチェ・ヨンが、閨室まで声を掛けに来た。どうやらチュホンに荷を積み終わったら
迂達赤兵舎に戻ったヨン予想通り若い迂達赤らはヨンを見るや何か言いたそうなニヤついた顔を見せた「なんだ」「はい先ほど奥方様がお越しでした」「ああ」「噂ではなく実際にとてもお美しい方だと事実確認できました」ヨンはふっと薄く笑った「そうか」「とても明るいお方でした」「ああ」「とてもよい香りをされていました」「なに?!なぜそんなことがわかるのだ」「奥方様が通られた後の残り
「テマナすっごくお腹空いちゃった」桃色のポジャギを持ったウンスはヨンがいつも迎えに来るよりわざと早めにテマンと食堂へ行ったテマンと向かい合わせで急いで食事をしているとヨンやチュンソク達がやって来た「ごめんなさい我慢できなくてお先にいただきました」そしてポジャギから包んだ石鹸を出しヨンとチュンソクテマンに渡した「石鹸ができたからよかったら使ってねこんなことしかお礼できないけど」トクマンには
「隊長?どうしたのです?」テマンは先程から何処となく様子の違うヨンに声をかけたマンボ兄妹のところを後にしてから、ヨンの様子が少し変わったような気がしたからだヨンはテマンを見ずに、空を見上げた蒼白く光る大きな月がふたりを見下ろしているその月に寄り添うかのように、一等星が一際輝いていた「あぁ、大丈夫だほんの少しだけ、彼の方から勇気を貰っていただけだ」そう言って、ウンスがいた頃のような笑みを浮かべた「隊長・・・」思わず、色々なものが込み上げてきてテマンはそれ
翌日。鉄原の皆さんにお礼とお別れを言って、私達は開京への帰路に着いた。来た時と同じように、辺りを警戒しながら、馬車のメンバーも入れ替わりながら……それでも、行きとは違って、誰もが柔らかい安堵の表情を覗かせながら、都までの道中を過ごしていた。「お帰りなさいませ!旦那様、奥様!」「ご無事でよろしゅうございました」「お疲れでございましょう。風呂が沸いております。どうぞ!」チェ家の…我が家の門前に着いた時から、ギチョン達が飛び出すように出迎えてくれて……自分でも驚いたんだけど、私は思わず泣い
起きた時にはすでにヨンの姿がないためヨンが連日自分に添い寝しているとは夢にも思っていないウンスヨンに抱きしめられて眠る夢を見るなんて無意識でもヨンのことが気になっているのねでもお陰でぐっすり眠れたかもだけど現実は奥方がヨンの腕の中で眠ってるのかしらヨンが屋敷で奥方とどう過ごしたのだろうかと内心では気になりもやもやしていた朝から妙に張り切ってジウォンらと石鹸を乾かしマンボ姐と相談して選んだ瓶に化粧水を詰めていたウンス皆はウンスの空元気に気づいており少
夜も更けて、俺達は寝台を共にしていた。隣り合わせで触れる身体の熱に、我慢の効かなかった昨夜とは違い、手を結び合っているだけで互いの心は満たされ、また、凪いでいた。——ねぇ、ヨンァ。イムジャが俺の方へ顔を向けるのへ、俺も引き合うように目を合わせる。「以前、叔母様にね……ほら、貴方がキ・チョルと差し違えようとしてた時よ。貴方を止めてくれと、私を探しにいらした事があったの」「ああ……はい、コモから後でいろいろ言われました」「そうなの?」「はい」あのしかめっ面で、ぶっきらぼうな……思い
マンボ姐とペクを連れて賛成事キム家の裏口に着いたイルファ「そんなに緊張しなくても大丈夫だよイルファさん騙すんじゃない本当のことを教えてやるだけさイルファさんは合図だけ送ってくれたらいいよ」「そうだよイルファさんうちらが勝手に喋るからイルファさんは頷いてるだけであとは自分の荷物をまとめてくれてたらいいんだよ」***昨夜急遽チェ家の離れへと移り住むことになったイルファこれまでの使用人部屋とは雲泥