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作家シリーズ最後となった『椿説男の死』は三島由紀夫的世界の中で三島が死んでいるというもので、モチーフの宝庫は『仮面の告白』。幼い三島は絵本の中で王子がドラゴンに噛み殺される場面が好きだったが、気に入らないのはその度に王子が生き返ることで、そこを手で隠して読んだ。となれば三島をその王子に。装束も記述の通りにした。逞しい糞尿配達人の青年に幼い三島は〝私が彼でありたい‘’と思う。ならば、と肥桶と共に鉢巻に腹掛け姿になってもらった。何しろ本人がそう書いているのだから三島は喜ぶに決まっている。一休宗純を
今年は三島由紀夫生誕100年だそうだ。ということで三島由紀夫行きました。彼の文章は登場人物の心の動きを美しい日本語で的確に表現している。だからいつ読んでも共感し、思い到ってなかったことまで自覚させられる。だから読むたびに惹かれ、心動かされる。三島の代表作の言われる処女長編「仮面の告白」。同級生に興味を持ち戸惑う「私」。戦時下にあって女性にも関心を持ち級友の妹に愛され、愛らしきものを感じて唇を重ねたが、そこで全てを理解した。「お前は人間ではないのだ…お前は人間ならぬ何か奇妙に悲しい生き物だ」