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「PERFECTDAYS」を観てきました。ストーリーは、東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山。淡々とした同じ毎日を繰り返しているようにみえるが、彼にとって日々は常に新鮮な小さな喜びに満ちている。そんなある日、思いがけない再会を果たしたことをきっかけに、彼の過去に少しずつ光が当たっていく。というお話です。東京渋谷の公衆トイレの清掃員、平山は押上の古いアパートで一人暮らしている。その日々はきわめて規則正しく、同じことの繰り返しのなかに身を置いているように見えた。ル
ひとつ前の当ブログで、『PERFECTDAYS』(2023ヴィム・ヴェンダース監督)の中で役所広司さん演じる「平山」が終盤近くで言う台詞に、僕が好きな作家・木山捷平さんの短篇『苦いお茶』を思い出したということを書きました。劇中の「平山」は読書好きで、部屋には文庫本が並んでいます。夜、布団に入ってウィリアム・フォークナーさんの『南部の棕櫚』を読んでいるし、古本屋さん(店主は犬山イヌ子さん)で幸田文さんの『木』を買ったりしていますから、けっこうな文学好きと見えます。もう一冊、劇中に出てくるの
ヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECTDAYS』初老を迎えた平山(役所広司)の繰り返される日々が描かれる。それは丁度、小津安二郎の映画のようだ。ヴィム・ヴェンダース自身、役所広司を笠智衆になぞらえていた。同じように繰り返されるけど、決して昨日と同じではない今日という日。平山は、毎朝、缶コーヒーのBOSSを飲み、車に乗って仕事へ行く。車の中でカセットテープで昔のロックを聴く。昼休みにサンドイッチを頬張りながら、木漏れ日の白黒写真を撮るのが趣味。銭湯で湯に浸かり、夜
映画『PERFECTDAYS』の中の特に印象に残ったシーンで、普段寡黙な平山さんが笑顔で姪に、珍しく断言するように言った「こんどはこんど、今は今」という言葉が、ロードムービーと評されるこの作品の真髄だと胸落ちしました。番組等映像作品の構成・演出業であり、若いころからヴィム・ヴェンダース監督の作品を観てきた映画評論家の荻野洋一氏のコラムを読んで、この言葉の意味するところをより明確に捉えることができたように思えます。氏の《“客人”の映画作家ヴィム・ヴェンダース“スランプ”を経て『PE