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当ブログの基本方針は、司法試験&ロースクール入試のレベルを過度に高く見積もらないこと、そういう嘘を言って自己満足に浸ったり、他の受験生を煽ったりしないことです。この点を重視していきたいと思っています。そういうコンセプトから、今回は近年の新司法験受験生&ロースクール生の勉強の目的意識の拡散について、おせっかいな指摘をしてみます。********************法学の勉強、あるいは勉強一般の「目的」は、試験という観点から分類すると、①試験に役に立つ勉強②試験に(少なくとも
独学合格のための個別指導をしています。詳しくはこちらをどうぞ。ちなみに、受講生の中には学生さんもいます。社会人のためにブログを書き始めたんですが、学生さんも見てるみたいですね。僕は、45歳で司法試験の勉強を始め、理系出身の社会人でありながら、独学で48歳で合格しました。ご存じのとおり、司法試験は、日本の文系科目の中で最も難しい資格試験です。普通に考えて、独学での合格はまず無理です。ですから大半の受験生が、ロースクール(ロー)に通うんですね。私も合格して、司
今回は、論文の処理手順(方法論)がどのように進化してきたのかを辿ります。ちなみに、論文の方法論には、①思考過程をパターン化したものと、②答案構造をパターン化したものがあります。以下、いちいち指摘はしませんがご了承ください。【方法論前史】司法試験の歴史で、論文の処理手順の必要性が受験生の間に広く自覚されるようになったのは、せいぜいこの十数年くらいの話です。それまでは、いわゆる「論証パターン」が幅を利かせていました。実際の採点基準が論点中心だったかどうかはともかく
初期の頃のロースクールでは、既修者として入学する方のほとんどは、旧司経験者でした。更にいえば、旧司択一合格経験者でした。旧司択一合格レベルといえば、新司法試験の短答足切りクリアレベルのはるか上なわけで、こんな人たちが大挙してローに押し寄せていたのが、2000年代までの既修者の実態だったわけです。10年ちかく、あるいはそれ以上勉強しているのは当たり前、というレベルです。その傾向は、2010年代になって明らかに変化したと思われます。もはや旧司からローに鞍替えをはかる移行組は完全にいなくなり
現在の司法試験対策に一行問題は必要でしょうか?一行問題(説明問題)という問題類型は、旧司の商法・訴訟法においてよく見られたものです。一部民法などにもあったものの、一行問題の大半は商訴からの出題でした(大昔の司法試験はほとんど全部が一行問題だったのでその時期のことは除きます)。事案処理型&論点型の出題だと、どうしても出題範囲がピンポイント型になりやすいわけですが、その点、一行問題は幅広い知識を横断的に聞くには格好の問題類型です。それゆえ、旧司時代を通じて一行問題が出題され続けていたの
合格(ウカ)る技術/すばる舎¥1,575Amazon.co.jp昨日のエントリーで紹介した「スピードぐるぐる勉強法」(←適当にネーミング)ですが、その方法論を徹底的に突き詰めた本です。頑張って分かろうとしない、理解しようとしない、記憶しようとしない。そうやって、力を抜いて回数をかけていくうちに、理解・記憶が徐々にブラッシュアップされていく。最後には、テキスト全体が手中に収まる・・・。このメカニズムを、様々な角度から、これでもかというくらいしつこく説明しています。著者は、
判例百選のエントリーで、>たしかに、百選掲載の重要判例を知っていることは(特に短答では)必須かもしれません。>しかし、だからといって、百選を使用することまでが必須とは言えないと思います。と書きました。今回は特に論文試験について、もう少しこの点を突っ込みたいと思います。【論文で判例学習はどこまで必要か】論文試験において、判例学習は必須だという意見が受験界の多数説です。(論文こそ判例だ、という意見も根強いです)しかし、私は、ほとんどの方に呆れられるの
先日、現代文とロー入試小論文が苦手という方からご質問をいただきました。最初、コメントに返信するつもりで書いていたのですが、無暗に長くなってきてしまったので(汗)、別途エントリーを立てることにしました。【現代文対策】まず、ロー入試小論文は、半分以上現代文の問題といえます。論述云々以前に、問題文を読む段階で勝負の大半がついてしまう、日本語の読解試験です。したがって、もし基礎的なレベルから対策をしようと思えば、大学受験の現代文の参考書や日本語の論理そのものを鍛えることを目的と
民事訴訟法(有斐閣アルマ)/有斐閣¥2,520Amazon.co.jp3年前に出版された比較的新しめの基本書です(共著もの)。B6版の小さいサイズですが、500ページを超えていてこの手の本としては情報量が多いです。複雑訴訟を解体して必要な場所で適宜取り上げているのが特徴です。民訴の基本書の中では比較的コンパクトなサイズなので、伊藤眞や新堂等とではなく、講義案との比較をする人が多いですが、私は断然講義案を推したいです。文章の分かりやすさや明快さは、講義案のほうが明ら
私は四大法律事務所に内定をいただきました。就活のために私が行った具体的な対策を紹介します。★TOEIC私は学部時代に留学していたので、915点のスコアを持っていました。ただし、4年前のスコアで古かったので、司法試験1ヶ月前に受験し直し、875点まで下がりましたが、最新のスコアを提出しました。私よりもっと早めのロースクール在学中に受験することをオススメします(笑)★HSK私は次の記事で書く通り、サマクラ失敗した勢です。そこで、少しでも就活に有利になるため、HSKすなわち中国語も習得
前回、ロースクールの既修者のレベルが低下している、と書きました。同じ調子で未修者の法学レベルまで低下している、と考えると痛い目を見ます。①未修で入学をお考えの方で、②ローの実態をあまりご存じない方は、どうかよくよくご注意ください。ロースクールの未修者といっても、そこにいる方の9割~10割(←大袈裟ではありません)は、何らかの形で既に法律の勉強をしている実質的既修者です。上位ローとか下位ローとかは関係ありません。これはほぼすべてのローに該当する現象です。予備校の入門講座を
<司法試験機械的合格法>論文基礎力養成講座憲法/日本実業出版社¥3,570Amazon.co.jpLECの柴田講師が執筆した論証集&問題集です。主要7科目が揃っています。【良い点】①問題数は1科目数十問程度と、潰すには理想的な分量です。②絶対に落とせない最重要レベルの論点は網羅されていると思います。③事例問題中心の編集方針はgoodです。④刑訴が実務説なのもgoodです。いまだに学者通説ばっかりの他校は見習って欲しいです。⑤論証⇒問題‐解答へとステップアップする編集
※このエントリーは2018年に書かれました。論点とは、解釈に争いがある点、すなわち争点のことです。解釈とは、条文・概念を言い換えることです。規範とは、論点部分の解釈(解釈に争いがある点についての解釈)のことです。*****************解釈が必要になるのは、ある条文の適用・不適用をめぐる争いが起こった際に、当該条文の意味が明確にならないと、条文の適用・不適用ができず、紛争が終結しないからです。通常、条文の文言は抽象的に書かれているため、それだけで
たのしい刑法I総論/弘文堂¥3,150Amazon.co.jpたのしい刑法〈2〉各論/弘文堂¥3,465Amazon.co.jp学者執筆のテキスト(学者本)ですが、ほとんど予備校本のような装いです。分かりやすさの点でも、予備校本に全く負けていません。タイトル通り、学者執筆のテキストとは思えないほど記述が分かりやすく読みやすいです。内容的にみても、学者の独自見解が打ち出されている部分はほぼなく、概ね受験界通説に近いです。どの基本書をみても独自説ばっかりの刑法テ
S式生講義入門憲法/自由国民社¥2,625Amazon.co.jpLECの柴田講師による主要7科目の入門書です。講義調の臨場感のある文章で、本当に講義を聴く代わりとして利用できる数少ないテキストです。知識ゼロのレベルから読めますし、説明も非常に分かりやすいです。ローの未修1年目の授業や、予備校の入門講座の予習・復習として読むと効果があると思います。もっとも、講義の類を一切受けないで、本書のみで知識のインプットを卒業できるわけではありません。本書は、いわゆる論点の部
新司法試験短答過去問パーフェクト通年・体系本〈1〉公法系憲法〈平成22年版〉/辰已法律研究所¥2,625Amazon.co.jp新司法試験短答過去問詳解〈平成22年単年版〉/辰巳法律研究所¥3,780Amazon.co.jp2012年版新司法試験体系別短答式過去問集1公法系(憲法・行政法)(2012年版新司法試験.../早稲田経営出版¥3,360Amazon.co.jp新司法試験短答式問題と解説〈平成23年度〉/法学書院¥1,680Amazon.c
★「基本書か予備校本か」という愚問の続きです。基本書を読む(ならば)→司法試験に合格する。この命題は、受験界の有力説のひとつとして昔から根強く支持されています。ロースクール時代以降、この手の主張は以前より広く受験生の支持を集めるようになりました。しかしながら、基本書を読むことと司法試験に合格することの間に、まともな関係性はほとんどありません。全く関係がないとは言いませんが、少なくとも、基本書読み(≒インプット学習)をメインに据えるような勉強法が、試験合格の
このブログでは、・手を広げる=拡散型の勉強法を批判して、・手を広げない=集約型の勉強法をおすすめしてきました。その際、主な論拠として、教材を潰すこととの関連性を重視してきました。すなわち、①手を広げなければ↓②教材を完全に潰すことができるあるいは、①教材を完全に潰すためには↓②手を広げてはいけないという関係を強調してきました。しかし、手を広げないことの意義は、実はそれだけではないのです。手を広げないことの最大の意義は、失敗し
社会人がロースクールに進学することのリスクは、よく話題になるところです。一部のロースクールには、仕事を続けながら夜間で通えるところもあります。その場合であれば、ロースクール進学のリスクは、もっぱらお金と時間だけということになりますから、意欲のある社会人なら積極的にチャレンジしてもよいのではないかと(個人的には)思います。しかし、仕事を辞めてロースクールに進むのは、間違いなく巨大なリスクです。一度失ったものは基本的に取り戻せません。現在のように転職が難しいご時世では尚更です。この
海馬に必要だと認めてもらうには、できるだけ情熱を込めて、ひたすら誠実に何度も何度も繰り返し繰り返し、情報を送り続けるしかないのです。そうすると海馬は、「そんなにしつこくやって来るのだから必要な情報に違いない」と勘違いして、ついに大脳皮質にそれを送り込むのです。古来、「学習とは何か」に対して、「学習とは繰り返しである」と言われてきたのは、脳科学の立場からもまったくその通りだと言えます。池谷裕二『最新脳科学が教える高校生の勉強法』われわれは、日常言語を用いるとき、基礎
民法(1)総則第3版補訂(有斐閣Sシリーズ)/山田卓生¥1,680Amazon.co.jp有斐閣Sシリーズの民法(共著)です。Sシリーズは、どの科目もコンパクトにまとまっていて分かりやすくおすすめです。【有斐閣Sシリーズについて】刑法は(結果無価値なので)受験対策本としては使えません。民法・商法・民訴・刑訴の4科目は、どれも薄めの基本書として及第点以上のテキストです。順番としていうと、まず民法が一番、次に民訴・刑訴、最後が商法という感じかなと思います。なお、憲
みなさま、お久しぶりです。らみです。あけましておめでとうございます。受験生応援メッセージを書いてほしいというリクエストをいただいたにも関わらず、気づけばあれよあれよと2023年が終わってしまいました。本当にすみません🙇♀️久々に投稿します。弁護士になって今日でちょうど1年が経ちました。去年は本当に「変化」の多い1年でした。まず、わたし自身この歳になってやっと社会人になり、学生とは違った視点から社会を見ることができました。これまで親に頼りきっていましたが、やっと自立して自分でお金
昨日の合格祝賀会でも少し話が出てきたのですが、合格ラインを越える方法は本当にそれぞれです。・大枠は分かっているが論理の緻密さを欠いていたのでその部分を補強したから合格した・緻密に示そうとするあまり細かいところに気を遣いすぎていたので、論理の筋だけを示そうとしたら合格した……など、さまざまなパターンがあります。・「結局これだけやればよかった」という体験談を書かれている方は元々多くの知識があって混乱していたのが検討パターンの整理で点数が取れるようになった。・「……では足
今回は、数日前にいただいたご相談にお答えをする形で記事を書いてみたいと思います。数日前、下記のようなご質問(ご相談)をいただきました。こういったお悩みは、決して特定の一個人のものではなく、多くのロースクール生にとって切実な問題だと思ったので、独立したエントリーとして残しておくべきだと考えました。質問:ローの勉強と試験対策とのバランスをどう取ればいいですか?私は国立ロー既修1年目です。講義は学者が最先端・応用分野を扱うものが中心で、学術的です。もちろん、試験対策になる講義もありますが
『ロースクール』(로스쿨)2021年4月14日~2021年6月9日JTBC水木21時~16部作로스쿨|프로그램|JTBCロースクール|Netflix(ネットフリックス)公式サイト「ロースクール」の最新ニュース・写真・動画|韓国芸能ニュースKstyleWeare이승윤(イ・スンユン)Weare(AcousticVer.)다린(タリン)XSafira.K(사피라K)歌詞
本日は、司法試験の受験予備校で用いられている入門テキストの話をします。現在、4大予備校が用いている入門講座用のテキストは以下の通りです。①伊藤塾⇒入門講義テキスト②LEC⇒セブンサミット③Wセミナー(TAC)⇒デバイスネオ④辰已⇒入門テキスト(名称よく知りません・・・)名称はどうでもいいのですが、全てのテキストに共通の特徴は、とにかく無駄に分厚いことです。民法などの大部な科目では、1000ページ前後になると思います。こういった、テキストというより辞書といったほうがいい
S式1問1答法律用語問題集/自由国民社¥2,625Amazon.co.jpLECの柴田講師作成の教材です。主要7法の定義・概念・考え方といった、一言でいえば科目の基本を修得するための問題集です。タイトルの通り、一問一答形式で知識チェックができます。大学入試の問題集みたいで使いやすいです。入門講座の受講生や未修1年目のロー生が、授業と並行して本書を潰していくというのがおすすめな使い方です。論点的な知識は全く掲載されていませんが、論点以前の基本の理解・記憶をこれほ
高校時代の話です。桜蔭に通っていた知り合いの女の子がいました。彼女とは、3年生のとき友人を通してある図書館の自習室で知り合いました。今日は、その桜蔭の彼女がやっていた「スピードぐるぐる勉強法」(←苦し紛れにネーミング)について書いてみたいと思います。彼女は優秀な桜蔭生の中でも極めて学力が高く、毎回の模試で志望校欄に「東大文Ⅰ」と書き、そして毎回のようにA判定を獲得していました(A判定以外取ったことがないと言っていたような・・・)。私は、いまと違い当時は人間の地頭(=先天
※この雑感③は、2023年末に書かれたものです。すでに起こった未来●P.ドラッカーに『すでに起こった未来』という本があります。現在の中に、すでに現れている未来がある、という話です。ようするに、多くの人が気づいていないだけで、すでに現在になってしまっている「未来」がある、ということです。現在をよく観察すると、多くの人に見えていない「未来」が、すでにその姿を現しているということが確かにあります。●しかしその一方で、すでに現在になってしまっている「未来」を正しく捉えることがで
典型事例の習得について「論証集を読んでも何の論証でどう使うのか分かりません」https://ask.fm/Ernie2326/answer/143205242858?utm_source=copy_link&utm_medium=iOS「予備論文でFをとった科目は入門講座からやり直すべき?」https://ask.fm/Ernie2326/answer/143041922538?utm_source=copy_link&utm_medium=iOS教材を「潰す」ことにつ