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社会人がロースクールに進学することのリスクは、よく話題になるところです。一部のロースクールには、仕事を続けながら夜間で通えるところもあります。その場合であれば、ロースクール進学のリスクは、もっぱらお金と時間だけということになりますから、意欲のある社会人なら積極的にチャレンジしてもよいのではないかと(個人的には)思います。しかし、仕事を辞めてロースクールに進むのは、間違いなく巨大なリスクです。一度失ったものは基本的に取り戻せません。現在のように転職が難しいご時世では尚更です。この
このブログの頻出概念である「潰す」という言葉の意味について、何人かの方からご質問を受けました。これについては、以前、コメントの返信という形で以下のように書いたことがあります。①単に頭で「覚えている」以上の、使えるレベル②頭で理解している以上の、体で体得しているレベル③100回解いても100回間違えないレベル④特定の問題の処理について質問されたとき、考えて答えるのではなく、脊髄反射的に口が勝手に答え始めるところまで内在化されているレベル要は、40度の熱で朦朧とした意識の中で寝込んでいる
追記は全て青字にしてあります。ロースクールの未修に入学することについて、私個人としては大きな危機感を持っています。未修に入学することを考えている人には、基本的に「既修の方が良い、わざわざ未修に入学するのはやめた方が良い」と伝える程にです。質問箱でも先出ししてしまいましたが、理由は「ロースクールでの生活に必要以上に適応してしまい、司法試験合格という目的意識が薄れてしまいやすいから」です。既修よりも一年長くロースクールに在籍し、しかもそれが制度として予定され正当化されている(この
司法試験講師のランキングをしてみました。インプット部門・アウトプット部門、それぞれ10点満点です。友人3名と私の計4名(受験生2名・新司合格者弁護士2名)で意見を出し合って評価を調整しました。どの講師を受講するか迷われている人がいたら参考にしてください。なお、個々の講師の評価自体は真面目にやっているつもりですが、所詮は忘年会の余興です。あまり真に受けて怒ったりするのはやめてください。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【インプット部門】呉(伊藤塾)
かつて辰已で人気講師だった人です。現在は独立して新たな予備校を起ち上げられたようです。辰已時代の途中の頃までは、各科目の基本原理を教えるのがとても上手な先生でした。特に、いわゆるベテラン受験生を合格まで導く“あと一歩”の指導に定評がありました。旧司時代の受験界には、受験年数や受験資格に制限がなかったこともあって、悪い意味で「実力者」と呼ばれる長期受験生が現在とは比較にならないほど大量に存在していました。彼らの知識過多やハイレベルな勉強態度に戒めを与え、そういう「実力者」ほ
※椎間板ヘルニアによる講義リリース遅れへの対応についてはこちらをご参照ください。→https://ameblo.jp/takayukiyasuda-shihou/entry-12579214915.html145.騙取金・誤送金と不当利得【☆☆】・騙取金については潮見・民法(全)489頁~490頁,誤振込と不当利得については同490頁~492頁。・三当事者間の不当利得の問題は,誰にどのような利得と損失が生じているのかを的確に整理することが重要です。(1)誤送金と不当利得【論述例
本日は完全な雑談です。・人にアドバイスする資格・人を指導する資格etc…こういった、人にものを言う資格を総称して「発言権」と呼んでおきます。こういった発言権が認められるのに本人の経験の存在を要するか否かについて、大きく分けて次の2つの考え方があると思います。1つ目は、発言内容の正当性ではなく、経験がその人の「発言権」を構成するという考え方です。つまり、経験と発言権を有因とみる考え方(有因説)です。要は、人にものを言う場合は、まず当人が
司法試験の世界には、古くから「基本書か予備校本か」という争点があります。勉強のメインに据える教材をどちらにするのか、この点を巡って延々と議論が続いています。ロースクール時代になっても、この議論はたびたび耳にします。実際には、純粋にどちらか一方だけでよいとする「純粋基本書主義」や「純粋予備校本主義」のような立場もあれば、どちらか一方をメインにしてもう一方を辞書的に使用することを容認する折衷的な立場までいろいろありますが、この際細かいことはどうでもいいです。ようするに、(特に基本書主
【初学者向け/遅すぎた構成要件の実現】・遅すぎた構成要件の実現と早すぎた構成要件の実現とで混乱してしまう……・とりあえず論証を覚えたけれども、なぜそのように書くのかわからないで書いているから、どっちが一連一体の行為と書けばいいのかわからなくなることがある……など、うまく整理できていない方は、こちらの投稿をリポスト・いいね・ブックマークをしてください。いいね等があれば、解説動画を別途収録する予定です。この論点を検討する際に大切なのは、・行為の個数をどのように捉えるのか
本日は,「設問5」の答案例を掲載します。解説講義に関しては,こちらから。→【BEXA】事例問題憲法講義【答案例】第1原告から想定される主張政府の反論を考える前提として,電気事業者側が行う主張を想定し,その上で反論について検討する。1財産権の侵害原告からは,原子炉等規制法改正(以下「改正法」という。)により原子炉の運転期間が設置後40年であると定められ,この期間満了後は原則として廃炉とされる規制(以下「本件規制」という。)が,電気事業者の財産権を侵害し違憲であるという主張が
※この雑感③は、2023年末に書かれたものです。すでに起こった未来●P.ドラッカーに『すでに起こった未来』という本があります。現在の中に、すでに現れている未来がある、という話です。ようするに、多くの人が気づいていないだけで、すでに現在になってしまっている「未来」がある、ということです。現在をよく観察すると、多くの人に見えていない「未来」が、すでにその姿を現しているということが確かにあります。●しかしその一方で、すでに現在になってしまっている「未来」を正しく捉えることがで
講師紹介は今日で最後なので、最後に友人の講師を紹介させていただきます。以前、学校の勉強と試験勉強で、根源的に試験に強いタイプとして紹介した人です。総論的な勉強法、具体的な個々の方法論、いずれもこのブログの方針と99%同じです。このブログの内容に共感していただいていた方には、間違いなくどの講師よりもおすすめできます。まず、今まで何度となく同じことを書いてきましたが、もう一度だけ最後に書いておきます。試験に限らず、およそ何か物事を成し遂げるのに必要なことは、次の2つしかありません。
民法(1)総則第3版補訂(有斐閣Sシリーズ)/山田卓生¥1,680Amazon.co.jp有斐閣Sシリーズの民法(共著)です。Sシリーズは、どの科目もコンパクトにまとまっていて分かりやすくおすすめです。【有斐閣Sシリーズについて】刑法は(結果無価値なので)受験対策本としては使えません。民法・商法・民訴・刑訴の4科目は、どれも薄めの基本書として及第点以上のテキストです。順番としていうと、まず民法が一番、次に民訴・刑訴、最後が商法という感じかなと思います。なお、憲
新司法試験論文えんしゅう本〈1〉公法系憲法/辰已法律研究所¥2,205Amazon.co.jp受験界では比較的人気のある問題集です。主要7科目に加え、一部選択科目も出版されているので、8法全部を本書で統一することも可能です。内容は、短めの事例問題が中心です。一部過去問も収録されています。【良い点】①解答例が比較的短くて実践的。②一問一問の事例が短いので、初学者レベルから気軽に使用可能。③問題数が1科目数十問レベル(民法でも100問ちょっと)と、潰すにはちょうどいい分
途中答案を1通書くと、それだけでその年の論文を「終わった」と考える人がいます。しかし実際は、論文試験で途中答案は意外なほど許容されています。少なくとも、途中答案がそれほどの致命傷にはならないことは間違いありません。もっとも、以下に書くことは、あくまで「それでも受かる」ということに過ぎません。さすがに減点にはなると思うので、避けられるなら避けたほうがいいのは言うまでもないです。私の友人の中にも、途中答案を書いたその年に合格した方が複数います。いちばん酷かった人は、8問中4通
今日は雑談です。少し自分のことについて書きます。先日、弁護士の友人に、私が正直に未修入学者であることなどの事実を書いているにもかかわらず、未だに私の属性を知りたがる人が後を絶たないことをボヤいたところ、その友人曰く、「その気持ちも分かる気がする」「きっとみんな、そんなわけないだろ、って思ってるんですよ」ということでした。つまり、私の方法論は、未修ロー生の常識的レベルを遥かに超えており、経歴自体に嘘があると考えなければ、普通の受験生は納得できないものだということで
今後,憲法の演習書として定番になることが見込まれる『事例問題から考える憲法』の答案例を掲載しています。これをたたき台にして,より説得的な答案を書くことができるようにご利用ください。なお,この答案例は,私が時間制限のある中で書き上げたものがベースになっています。そのため「完全解」とは異なるものであることをご理解の上,ご利用ください。今後,いくつか答案例をアップしていきますので,フォローをよろしくお願いいたします。設問12答案例第1Xが行うべき主張1Xは,宿舎内の各住居のドアポストに
ブログを始めてから1年半、途中中断した時期を除けば、実働期間は1年くらいでしたが、実質的な更新は今日で最後です。なお、このブログ自体は、今後も(Amebaが置いてくれる間は)消さずに残しておきます。これから先も、新しい教材が次々と出版されていくと思います。長い目で見れば、試験傾向はもちろん、制度自体も変わっていくことになるでしょう。ブログで書いた内容の多くは、十年も経てばそれなりに古くなっているだろうと思います。そこで、十年後にこのブログを読む受験生に対して、いくつかメッセージを残
文科省が「令和3年度法科大学院関係状況調査」の各種データを公開しているが、留年率が相当に高くて驚いた。進学予定者は腹をくくって進学すべきである。標準修業年限修了率(標準修業年限修了者数を既R元・未H30入学者合計数で除したもの)をみてみる。人数が少ないとブレが大きくなるので(例えば2人入学で1名留年だと留年率50%になってしまう)、標準修業年限修了者数及び既R元・未H30入学者合計数がそれぞれ20名以上の大学を抽出して低い順に並べた。(標準修業年限修了率)明治大学44.00
※2019年5月(令和元年)の投稿です。司法試験情報局の更新を(いちおう)停止してから数年が経ちました。停止後も、本文の表現を訂正したり、【補足】を書き加えたりはしましたが、個々のエントリーの主旨は変わっていません。ブログに書いたいくつかの予想の中で、当たったものもあれば、外れたものもあります。たとえば、ロースクール制度の正当性についての異見(2011年7月15日)で、ロー組が予備試験組に合格率で圧倒される(ロー組が予備組に「食い殺されることになる」だろう)と書きましたが、こ
司法試験・予備試験論文合格答案集スタンダード100〈1〉公法系憲法・行政法〈2012年版〉/早稲田経営出版¥3,570Amazon.co.jp通称「スタン」。主要7法が揃ったシリーズです。新旧両方の論文過去問に加え、過去問の隙間を埋める新作予想問題も多数収録されています。つまり、新司過去問+旧司過去問+新作問題というボリューム満点の問題集です。(なお、タイトルに「100」とありますが、実際の収録問題数は軽く100を超えています)予備校の過去問集・問題集の中では、答
高校時代の話です。桜蔭に通っていた知り合いの女の子がいました。彼女とは、3年生のとき友人を通してある図書館の自習室で知り合いました。今日は、その桜蔭の彼女がやっていた「スピードぐるぐる勉強法」(←苦し紛れにネーミング)について書いてみたいと思います。彼女は優秀な桜蔭生の中でも極めて学力が高く、毎回の模試で志望校欄に「東大文Ⅰ」と書き、そして毎回のようにA判定を獲得していました(A判定以外取ったことがないと言っていたような・・・)。私は、いまと違い当時は人間の地頭(=先天
★このブログは、2011年7月から2012年12月まで本体部分が書かれ、その後、約11年にわたり断続的に加筆・修正を行ってきましたが、2023年12月をもって完全に終了しました。(2024年1月1日)********************ブログのおすすめエントリーを、50個選んで貼り付けておきます。・勉強法関係・司法試験・ロースクール関係・予備校関係・その他以上の4つのカテゴリーに分類しました。タイトルの文字を大きくしているエントリーは、おすすめのものです
旧司法試験平成22年度の問題を改題したものを掲載しています。原告の主張を考えるようにしてみてください。なお,ポイント解説に関しては,何回かに分けて行っていく予定です。まずは,ご自身で問題を読んで検討の上,答案例を確認してみてください。〔問題〕下記事案を読み,設問に答えよ。(事案)理容師法は,「理容師の資格を定めるとともに,理容の業務が適正に行われるように規律し,もつて公衆衛生の向上に資することを目的」(同法第1条)として制定された法律である。同法第12条第4号は,理容所(理髪店
我が子キティがつい最近読んだ本。数年前からの大大大人気本です。何故か我が子、これまで手をつけていなかったのですが読んでみたらとても良かったようでinspiring!と絶賛でした。私、彼女のことを尊敬していて。彼女のquoteである、“Insteadofbeingdiscouragedbyhardships,reachhigher.”初めて聞いた時に心震えたのよね。てか、もう涙出た。こんな短いフレーズの
伊藤塾の新司法試験部門の講師です。特に論文対策講義について、最もおすすめな講師のひとりです。伊藤塾でも一定の人気があるようで、たくさんの講座を担当されています。中でも、本試験分析講座が際立って良いです。論文の処理過程の部分、すなわち、・問題文から一定の生の主張が立てられるプロセス・一定の生の主張から条文が立てられるプロセスこういった、文字情報としての解答例には表れてこない思考過程の部分の説明が上手です。問題文の事情を使うスキルも高いです。「問題文にこう書いてあ
まず一番最初に言いたいことを書いておきます。司法試験・予備試験における「論パ」の位置づけについては、中村充先生のブログ「司法試験:勝利のアルゴリズム」のうち「不安を解消する唯一の方法」というエントリーで既に結論が出ています。じゃあなぜこのブログ記事を書いているのかといえば、上記エントリーを読んでもなお、ピンとこなかった司法試験・予備試験・ロースクール受験生の方がいた場合の保険です。上記エントリーや、上記エントリー内で引用されている「司法試験系の論文対策とは?」の中で言及されている「
たのしい刑法I総論/弘文堂¥3,150Amazon.co.jpたのしい刑法〈2〉各論/弘文堂¥3,465Amazon.co.jp学者執筆のテキスト(学者本)ですが、ほとんど予備校本のような装いです。分かりやすさの点でも、予備校本に全く負けていません。タイトル通り、学者執筆のテキストとは思えないほど記述が分かりやすく読みやすいです。内容的にみても、学者の独自見解が打ち出されている部分はほぼなく、概ね受験界通説に近いです。どの基本書をみても独自説ばっかりの刑法テ
ネタバレ有りなのでご注意下さい黒幕はイ・マノに息子に会わせる約束をしながらイ・マノは刺されて、ヤン教授の輸血を受けながらも、亡くなってしまいました。生前、ソ・ピョンジュ教授がイ・マノに言ったことは「検事長になりたかったのは、お前のような恥知らずに法を汚させないためだ。なのに...自分の罪を隠すため、刑務所にいるべき男を目の前に置いてしまった」イ・マノが刑務所で死亡した中、チン検事はヤン・ジョンフンのもとを訪れ「キ・ドゥソンが先にあのナイフで刺されそうだったと
民事訴訟法の基礎/法学書院¥4,830Amazon.co.jp実務家(弁護士)執筆のテキストです。昔、伊藤塾の講師をされていた方で、現在は慶応ローで教員をされているようです。元予備校講師の著作ですし、法学書院という予備校っぽい出版社からでているテキストなので、基本書というよりも予備校本というべきかもしれません。いずれにしても、本書は隠れた名著だと思います。一言でいうと、シケタイをより本格的にした感じのテキストです。上位ロー出身の弁護士の友人は、本書を「No.1の民