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よくある質問の1つに、「この出血は生理なのでしょうか」というものがあります。生理(月経)とは、「月のもの」などと言ったりする通り、約1カ月に1回周期的に来る出血のことを表現しますが、それ以上に厳密な定義があるわけではないので、「生理です」とか「生理ではなくて不正出血ですね」などと医師が言う時は、もちろんはっきり分かることもあるのですが、よく分からない時は多分インスピーレーションで返事してます。だって厳密な定義ないんだもん。最初からぶっこんでみましたが、とは言え、もちろんインスピレーシ
こんにちはきなこですご訪問いただきありがとうございますあっという間にお正月が過ぎ去ってしまいました皆さまにとって心豊かな一年になりますように今年もマイペースにぴよ太郎の成長を綴っていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します1y4m1dぴよ太郎はやっと手押し車を使って数歩、歩けるようになりましたソファによじ登ったり降りたり、自由に部屋の中を動き回り、かなりマイペースながらも運動面の発達が伸びてきたように思います家の中ではグラスを投げて割ったり、引き出しや扉を開けまくり、
本論文は、「新鮮初期胚2個移植(DETx1)」と「新鮮初期胚1個移植→凍結胚盤胞1個移植(SETx2)」の妊娠成績を比較したものです。HumReprod2024;39:2702(中国)doi:10.1093/humrep/deae245要約:2011〜2019年に北京大学第三病院でART治療(体外受精、顕微授精)を実施したデータベースから、「新鮮初期胚2個移植(DETx1)」群と「新鮮初期胚1個移植→凍結胚盤胞1個移植(SETx2)」群それぞれ976周期を対象に、妊娠成績につい
妊娠判定日のhCGが低めで、かつhCGの増加率が低い場合に諦めてしまう方(医師および患者さん)がおられると思います。そんな方へ「諦めるにはまだ早い」という論文をご紹介します。FertilSterilRep2021;2:129(米国)DOI:https://doi.org/10.1016/j.xfre.2020.11.006要約:妊娠判定日のhCGが低めで、かつhCGの上昇率が低い方で出産に至った3症例をご紹介します。130歳、1経妊0経産、PCOSあり。5AA胚盤胞を移植後
ああ言えばこう言う、ではありませんが、基礎体温ってとっても重要!という医師もいれば、基礎体温なんでどうでもいいという医師もいたりして、何を信じていいかわからんという方も多いはず。ちなみに当院の基本方針は、基礎体温はつけなくてOK(ストレスだし、そもそもいらないから)というものですが、まあ立場変われば意見も変わるというもので、そもそも基礎体温をつけることがストレスではない人もいるだろうし、いまどきアップルウォッチで基礎体温(厳密には基礎体温ではないが似たようなもの)を測定できるからよりストレ
胚盤胞でしか移植・凍結しないクリニックでは、良くも悪くもこういう悩みはないのですが、初期胚でも凍結できる、あるいは自分で選択可能となると、なかなか決められない命題が、「胚盤胞まで培養するか、初期胚で移植・凍結するか」です。胚盤胞でしか移植・凍結しないクリニックの言い分は、「胚盤胞のほうが妊娠率がいいから」ということなんですが、確率なんて誰にでも当てはまるものではありません。例えば、大学受験予備校でA塾とB塾があったとして、仮にA塾のほうが合格率が高い、みたいなデータがあったとしましょ
今日は、慢性子宮内膜炎についてお話してみようと思います。まず、慢性子宮内膜炎と、急性子宮内膜炎と、子宮内膜症の違いが分からない方は、こちらをご一読ください。『慢性子宮内膜炎と、その他紛らわしい病名(生殖医療解説シリーズ番外編2)』みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日は番外編です。敢えて最新すぎる内容は避け、でき…ameblo.jpなお、内膜炎がらみの言葉は、紛らわしいために、とても誤解が多いです。用語の理解
移植をするのによくある質問が、移植は自然周期がいいのか、ホルモン補充周期がいいのかということです。「ウチはホルモン補充周期がメインです」「自然周期のほうがメリットが大きい」等施設によっても医師によっても色々な意見がありますが、果たしてどうなんでしょうか。まず誤解があるようなので最初に言葉の定義ですが、ここで自然周期とは、卵胞が排卵して自力の黄体ホルモンが出る周期のこと、ホルモン補充周期というのは、エストロゲン製剤により排卵を抑え、自力の黄体ホルモンが出ないので全て外からのホルモン剤でコント
Q採卵前後の体調不良は普通なのでしょうか。皆さん、こんなにも辛い思いをして乗り越えてるのでしょうか。地方近郊に住んでおり、なんとかリプロには通院圏内ですが、そんなに易々と受診できず、体調不良で困ることが多々あります。地元の病院に受診しても急性期症状で救急外来にまわされ、不妊治療中と言うと困り顔されます。39歳、AMH1.4、チョコレート嚢腫、橋本病、シェーグレン症候群、セントロメア抗体陽性黄体フィードバック法+クロミッド+フェリング300単位+プレドニン15mg、顕微授精+polsc
Q40歳、男性不妊で顕微受精10年前に二段階胚移植で双子の女児出産(帝王切開)、5年前に男児(帝王切開)を出産しており、第4子の希望です。7週での流産が1回ありますが、その時は胎嚢も小さく心拍も最初からゆっくりで自然排出されました。染色体の検査は行っていません。妊娠できたら3回目の帝王切開となるため、中期流産を避けたくPGT-Aを行いました。正常胚が1つでき(6日目胚盤胞5BA)、ホルモン補充周期で先月移植し陽性判定でしたが、6週6日で胎芽も心拍もなく、2箇所のクリニックで枯死卵と言われてしま
Q2023.11.4「Q&A383544歳で4AA2個移植は?」でご回答いただきありがとうございました。その後、アドバイス頂いた組み合わせのうち4AA+6BBを、自然排卵周期(HCG注射有)、SEETありで移植し、移植日からウトロゲスタン1日2回使用し、先日BT10でHCG474の陽性判定を頂きました。主治医を信じていないわけではないのですが、色々な治療方針の病院がある中で、松林先生のアドバイスと方向性が同じだと安心します。ありがとうございます。今回は、過去の陽性判定時よりHCGも高いの
PGT-Aについては、自身の施設で実施していないと生殖医療に携わる医師や培養士の方々もよく分かっていない部分があると思います。そこで、今日は、PGT-Aはどのような方に対して効果があるのか、ということを解説したいと思います。大前提として、単にふんわりと、PGT-Aは妊娠率を上げるとか上げないとか、生産率が上昇するとかしないとか、流産率を下げるとか下げないとか、色々言ったたりするわけですが、こうした場合は母集団や検査の目的を定めない議論に何の意味もないです。大切なのはどういう方のどういう場合
今日は、生殖医療解説シリーズを。いくつか温めている大きなテーマがあって、精子提供、卵子提供、代理母、養子縁組、ただ、テーマが大きい上にセンシティブな内容なので、なかなかパーっと書いてはいアップとはいきません。同じように大きなテーマとして、今日はPGT-Aの基本的な内容について解説していきたいと思います。日本産科婦人科学会での発表にもあったように、PGT-Aは今春から始まった保険適応から除外されたばかりか、先進医療Aでの申請も却下となり、先進医療Bでの認定を目指すことになりました。しかも
2022年4月に体外受精・人工授精に保険適応がなされるようになってから、1年半が経ちます。当院でも、当初からすでに凍結済の胚を保険で移植することは行ってきましたが、今年7月から一部条件つきで、11月からは厚生労働省が定める範囲で保険適応による採卵を始めました。おさらいですが、現在、凍結受精卵(胚)は3つに分類されています。1)2022年3月31日までに自費で採卵周期に入り、自費で凍結した胚(当時保険制度がなかったため、これに該当する胚は全て自費で採卵している。助成金制度はあったが、保
Q2019年、37歳、自然妊娠で第1子出産(逆子で帝王切開)、妊娠経過は特に問題ありませんでした。妊娠はタイミング1回目の妊娠でした。夫46歳、妻42歳、今年3月にタイミング1回目で妊娠しましたが、胞状奇胎で5月に掻爬術施行、その後経過観察。妊活解禁の11月にタイミング1回目で妊娠しましたが胎嚢の確認もできず流産となりました。生理周期は長めで、11月は排卵検査薬を使ってタイミングをとりましたが、妊活アプリの予想から1週間遅れた排卵でした。第二子妊活早く始めるべきだったのですが生活環境等
シリーズ第5弾は、母体の不育症検査についてです。先に書いた通り、流産の原因は受精卵・胎児の染色体異常によるものと、それ以外のもの(母体要因や環境要因)があります。いわゆる不育症検査(ここで不育症検査とは、母体の不育要因を調べるための、凝固系や抗リン脂質抗体等の採血検査を示すことにします)はいつ行うべきなのでしょうか。まず第一に、母体に何一つ問題らしきものがなかったとしても、あったとしても、受精卵・胎児に染色体異常(染色体異常があっても妊娠継続できるものもあるが、ここでは妊娠継続できな
本論文は、過去の妊娠でのお子さんの性別と、今回の妊娠のお子さんの性別に関連があるかどうかについて検討したものです。PlosOneJune23,2023(日本)https://doi.org/10.1371/journal.pone.0287752要約:日本の出生コホート研究「日本環境子ども調査(エコチル調査)」のデータから単胎出生児98,412名を対象に過去の妊娠でのお子さんの性別と、今回の妊娠のお子さんの性別を前方視的に検討しました。なお、不妊治療による妊娠と流産、人工中絶
リプロダクションクリニックでは、初診や治療の年齢やAMHの数値に一律の制限は設けておりません。世の生殖医療(不妊治療)のクリニックの多くは、ある一定の年齢に達する場合に初診を断ったり、その後の治療を断ったりしています。当院では高年齢の方も毎月妊娠例はありますが、それでも年齢が上昇すれば(特に40代後半になれば)、可能性はかなり低くなります。体外受精の保険診療における年齢制限には様々な考え方があり、ここではその賛否にはあえて触れませんが、少なくとも保険診療における年齢制限の根拠はここにありま
先日、新橋で研究会(プチ学会)があって、表記の件についての演題がありました。もちろん、治療に詳しいプロ患者さんも、勉強や経験が足りない藪医者もいるでしょうが、基本的には医師のほうが圧倒的に多くの知識と経験を積んでいます。その演者の先生は、見えている世界が違うんだ、とおっしゃっていました。布石のつもりで書いたわけでもないのですが、先日の記事(大人の間違い探し|リプロ東京公式ブログ)で、間違い探しの記事をアップしましたが、予備知識なしでこの間違い探しをやると、半分分かれば上出来、
QBT10でhCG50台という低hCG値により、1週間後に再判定となりました。以前に稽留流産を経験していることもあり、どうしても心配で、同じ状況だった方々のブログをついつい検索してしまいます。私がいくつか見たブログでは、判定日に低hCG値でもその後妊娠継続できている方は、年齢が若い人達で、40代では見つけられませんでした。毎日たくさんの患者さんに接しておられる松林先生の感覚で、40代で判定日に低hCG値でもその後妊娠継続して出産されている方の割合はどれくらいですか。せっかくの陽性判定とはいえ
Q35歳で結婚、38歳で体外受精を始め、流産3回、化学流産数回、現在43歳になりました。40代での妊娠、出産はリスクしかしないのでしょうか。また、40代で子どもを望むのは私(親)のエゴなのでしょうか。一般的に高齢出産だと言われている35才以上で妊娠、出産をした場合のリスクを具体的に教えていただきたいです。また「高齢(40代)で出産した場合、健康な子どもが生まれないかもしれない、そうなったらどうするの。絶対に子育てと仕事の両立は不可能でしょう」と以前勤めていた会社の上司から言われたことがあり、
今日は、以前も一度書いたlowdosehCG療法について書いてみたいと思います。だいぶ以前の記事(「u」の正体(HMG製剤とFSH製剤))で、排卵誘発剤の注射には大きく分けて2種類あり、HMG製剤とFSH製剤に分類されることを書きました。HMGとは、HumanMenopausalGonadotrophinの略で、直訳すると「ヒト閉経期ゴナドトロピンです」(閉経後ヒト尿を精製して製造)。つまり、HMGという言葉は尿由来の製造方法からのネーミングということになります。HMG製剤
皆さん、胚盤胞にならないと「異常胚」だと思っておられる方が少なくないと思います。本論文は、胚盤胞にならないのは染色体異常のせいではないことを示しています。ReprodBiolEndocrinol2022;20:52(イスラエル)doi:10.1186/s12958-022-00925-2要約:2021年に採卵し、3日目初期胚のPGT-M実施により単一遺伝子異常と診断された胚(27〜39歳の10名から30個の胚)を提供していただき、3日目初期胚のPGT-Aを実施し、さらに胚盤胞
Q現在移植に向け次のサプリを毎日飲んでおります(ビタミンD、亜鉛等の検査において問題ないこと確認済みです)。葉酸600μgラクトフェリン300mgビタミンD2000IUビタミンE400IUアルギニン2000mgメラトニン3mg亜鉛14mg①サプリの種類・量において過不足はありますでしょうか。②それぞれのサプリはいつまで続けるのが良いでしょうか(妊娠判定まで?出産まで?)。③先生がおっしゃっている「ニュートラル」な気持ちをもつにはどのように過ごすのが良いでし
「妊活に良いサプリは?」という質問がよくあります。リプロダクションクリニックでは、松林の監修の元に、妊活に最適なバランスのサプリ「ベーシック」を2017年から販売しています。当院イチオシのサプリですので、ぜひお試しください。詳細は下記をご覧ください。2017.12.20「告知:リプロサポート社ベーシックVer.2のお知らせ」現在の名称は「ベーシック」になっております。
Q地方在住、41歳一人目も体外受精で妊娠出産し、現在二人目希望で通院中です。一人目のときから胚盤胞は得られやすいのですが、グレードのいい胚を移植してもなかなか妊娠しないという現状があります。子宮鏡検査や、血栓関連、自己抗体などは調べ、原因不明と言われています。一人目は何度か移植して、原因は特定できてないもののプレドニンとアスピリンを処方され、妊娠しました。二人目の治療はこれまで、2つの病院で5日目胚盤胞を計5回移植しました。そのうち3回は市販の妊娠検査薬(感度50mlU)でBT5〜10くら
本論文は、間質部妊娠へのアプローチに関するビデオ論文です。FertilSteril2023;119:699(米国)doi:10.1016/j.fertnstert.2023.02.003要約:間質部妊娠の部位を特定し切除する系統的な方法を提示します。間質部妊娠は、子宮腔に胎嚢を認めず、子宮腔から1cmを超える位置に胎嚢を認め、5mm未満の薄い子宮筋層を有し、間質線サインを認めるものです。症例は28歳、妊娠6週の超音波では子宮腔内の端に胎嚢と卵黄嚢が位置すると考えられていましたが