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ジュンスから電話が来ない。突然に親父さんが亡くなったんだ、きっとバタバタしているに違いない、煩わせてはいけない。ユチョンはそう思い、ジュンスに電話やメールをしなかった。だが1週間たっても2週間たっても、電話はおろかメールさえ来ない。もしかして…ジュンスはもう帰ってこないんじゃ……。そう考えると胸の奥がギュッと痛んだ。子供のころから別れには慣れていた。母親との別れでさえ、涙一つ零れなかった。人と人は別れるもの、それを知っているユチョンは今まで誰とも深く付き合った事がなか
「本当にありがとうございました!助かりました!」「いいって事よ。そんなに荷物もなかったし。んじゃトラック返してくるわ」シンドンさんがトラックを借りて引っ越しを手伝ってくれた。新居は雑居ビルの屋根部屋で、夏は暑く冬は寒い。だが部屋の前に縁台があり、日当たりもいい。何より高台にあるため街が一望でき、見晴らしが素晴らしかった。ヒチョル先生もシンドンさんも、本当に良くしてくれる。チャンミン先生が言った「ジェジュン、あなたは一人ではありませんよ」その言葉が身に染みる。ずっとソウルで
店をオープンして一年が過ぎた。順調過ぎるほど売り上げを伸ばしており、村の観光スポットにまでなった。今日は月曜日で山の仕事もお休みして、いつもはまったり過ごすのだが。ジェジュンとユノは、朝早くから山を登っていた。「ジェジュン、大丈夫か?」「…ハヒハヒ…大丈夫だけど…ま、まだかな…」「もうすぐだ」二人は山の頂上を目指していた。高山植物の小さな花に癒されながら、ユノに背中を押してもらいながら歩を進める。そうして二人はやっと山頂にたどり着いた。ジェジュンは疲れも忘れ、その光景
「なるほど…。そうだよなぁ、生きていかなきゃだよなぁ。田舎のおふくろさんには頼れないもんなぁ。だったら、分かるよな…」ミョンテはソファにジェジュンを押し倒し、無理やりキスしてきた。「や、やめてくださいっ!」ジェジュンがもがくと、ミョンテにガツンと殴られた。首元を押さえられたまま、下卑た笑いを浮かべながらミョンテが囁く。「いいじゃねぇか初めてじゃあるまいし。俺の言う事聞けば会社には置いてやるし、給料も払うぞ」無遠慮にミョンテの手が体を這い回ると、ぞっとして鳥肌が立っ
俺、パクユチョンはソウル郊外の花街(遊郭)で生まれた。花街で働く母が俺を身籠ったが、当然父は誰だか分からない。それでもそこで働くお姉さんたちは、みんな優しい人たちだった。「ユチョン、アンタいい男に育ったねぇ」「あんまり女の子泣かすんじゃないよ」ここは男と女の欲望が渦巻く街。見た目の派手やかさの裏に、色濃くこびりつく孤独の影。今日もこの街で働く一人の遊女が消えた。見受けか、逃げたのか、それとも…。18になった時、母が消えた。恐らく馴染の男と逃げたんだろう、置手紙に少
―――柔らかな朝の陽ざしが、まだ眠る彼のまつげに触れた。彼の滑らかな肌に朝日が反射して、まるで透き通るように白かった。ベッドに横たわる彼が、まるで眠り姫のようだと思った―――鳥のさえずりが聞こえる。目を開けると、木で組まれた天井が見えた。ほのかなウッディの香、白いコットンのシーツ。ジェジュンは、窓から差し込む光に目を覚ました。知らない場所。知らない匂い。胸の奥がざわつくのに、なぜか怖くはなかった。ぼんやりとした頭は、まだ夢の中のようで。ゆ
「父さん、一体何の話だろ。どうせまた経営の話なんだろ?」「さぁ。私は知りません。ほら、もっと食べて」ビビンパをスプーンでつつきながらブツクサ言っているジェジュンに、もっと食べろと促すチャンミン。「ウソ付け。絶対知ってるクセに。何度言われても俺は現場に立つからね」「ジェジュンの気持ちはよく分かっています。今となってはジェジュンが手術で名をあげてくれたから、この病院が大きくなったと、会長もご存じですよ。肉も食べて」「父さんがそんな簡単に諦めるとは思えない。あぁ~また面倒な事言わ
満月の月明かりが、滑らかにジェジュンの白い肌を照らしている。零れそうな大きな目には涙が浮かび、キラキラと夜空の星の様に輝いている。「ジェジュン、綺麗だ…」ユノはジェジュンの頬に手を当てると、親指で優しく頬を撫でた。マメだらけの武骨な手だが、その手からユノの優しさが伝わる。見つめ合いやっと気持ちを伝えあった時、それは性別を超え、本当に大切なものを見つけた気がした。心の中に燃え上がるこの感情は「恋」であると、二人とも実感した。ユノの顔が近づいてくる。いつも盗み見る様に見つ
晴れ渡る天気の中、ユノは今日も畑仕事をしている。店を開くことを決定したが、山の仕事を疎かにはしない。ジェジュンは週の半分ぐらいは村に下り、開店に向けて忙しく、今日も村で打ち合わせをしていた。「チャンミンさーん」ジェジュンが最近買った白い軽トラから手を振っている。「これはこれは。高級車でのお出迎え、ありがとうございます」「ふふ。JJ号だよ~。さぁ出発!」今日は村に来たジェジュンがチャンミンを迎え、途中まで車で行ってジュンス達の家で打ち合わせを兼ねたパーティーをする予定