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ここはヨーロッパにある小さなリゾート島。ある高級ホテルで、俺はユノを待っていた。久しぶりに二人きりの時間を過ごすために。白い石造りの建物に続くバルコニーは、地中海の光を受けて淡く輝いている。手すり越しには、深いコバルトブルーの海がゆるやかに広がり、潮風が肌をひんやり撫でる。気温は25度前後、暑すぎず心地よい初夏の空気。高級ホテル特有の静けさが漂い、ふかふかのデイベッドに身を預けるだけで、時間がゆっくり溶けていくようだ。そろそろ着くころだと、広いロビーに降りる。ソファに座り
皆さま、最後まで読んでいただき本当にありがとうございました!腰痛がありましたので、何とか最後までたどり着けたことに感無量でございます。やっぱりオメガバースは良いですね~^^子供が産めるから、物語が広がります。推しの結婚はこの世の終わりって感じですが、この二人の結婚ならどんなに幸せかって思いますよね。ユノもジェジュンも、パパになっていても不思議ではない年齢になってきて。推しの結婚は嫌ですが、「パパ」になった姿は見たいという欲求、ありません?二人とも素敵なパパになりそうだなぁなんて
ワタクシはネコである。今日は猫に「ネコ」というふざけた名前を付けた私の家族を紹介するわ。まずはソファに腰かけて難しい顔してタブレットを覗き込んでる人。この人が私をこの家に連れてきた人だけど、この人は私の体が黒いだけで連れてきた、私に何の興味もない人。ときどき物騒なフェロモンを垂れ流すから嫌いよ。あそこで怪獣を戦わせてるちびっこギャング、コイツも嫌いよ。チビのくせに父親と同じような物騒なフェロモンを出すし、シッポは引っ張るし、隙あらば私の大事なヒゲをハサミで切ろうとすんのよ!邪
今日はサラン4歳の誕生日。ジェジュンの家で、みんなでお祝いをする予定だ。サランはおっとりとした女の子で、今はプリンセスごっこに夢中。誕生日の今日はきっとおめかしして、ドレスを着てくるだろう。ジェジュンとシンドンが腕によりをかけ大量の料理を作って迎える。やってきたジュンスも手伝って、新しいレシピに味見に大騒ぎ。リビングでは、ユチョンが作っているレゴの城にユンジェが怪獣を投げてぶち壊す。アー!(゚Д゚)ユンジェ!怪獣をユンジェから隠しながら、また一緒に作るというループ。プリン
ジェジュン達が子育てに奮闘している頃、ユンジェの3か月後にジュンスの出産の日がやって来た。チャンミンは朝から落ち着かず、ウロウロとジュンスの周りをクマのように歩き回っている。「ジュンス、やっぱり私も手術室に入りましょうか?」「いらない。チャンミンがいても何の役にも立たない。母さんや姉ちゃんの傍にいて」「しかし…。あぁ~心配だ」「何が心配なんだよ。順調すぎるぐらい子供は育ってるし、俺の体も問題なし!医者のくせにビビりすぎ!」「だって!出産は何があるか分からないんですよ!もしジュンス
保育器の中にいる、小さな小さな我が子。ジェジュンは保育器に張り付くように、ユンジェを見つめていた。針金のような細い指、頼りない細い手足、光遮断の為に目は覆われている。医者だから分かっているのに、我が子になると心配は尽きず、つい涙がにじんでしまう。だがユンジェは元気いっぱいで、一生懸命手足を動かしている。「小さいけど問題はないよ。心音もしっかりしてる。すぐに大きくなるさ」ヒチョルの言葉に安心し、それでもなかなか保育器から離れられない。そっと指で体を撫でると、返事をするようにユ
手術中のランプが消え、中からヒチョルやスタッフが出てきた。血にまみれた手術着のヒチョルは、ユノの目を見て言った。「偽子宮は摘出したが手術は成功した。出血がひどく危険だ。かろうじて生きている状態だ」ユノはこくりと頷くと、一人で手術室に入っていった。手術台の上横たわったジェジュンは酸素マスクをし、定期的な電子音がジェジュンの生存を告げている。台の下はジェジュンのおびただしい血液でぬめり、大変な手術だったことが分かる。いくつもの線に繋がれ、まるで死人のような真っ白な顔、その痛々しい
タワマンの上階、そこのフロアにはチャンミンの家しかなく、ドアを開けると長い廊下があった。リビングのドアを開けると、ジュンスの姉が思わず声を上げた。「ひろーい!あかるーい!」天井まである大きな窓からさんさんと光が降り注ぎ、眼下にはソウルの街が一望できた。白と木目を基調としたナチュラルなインテリアの部屋にはたくさんの緑があって、フカフカの大きなソファがあり、天井からはシャンデリアがキラキラ光っていた。空調は一年を通し調節されており、キッチンもバスルームも明るくて使いやすそうだった。
「プロポーズもしてないなんて最低だな。紳士の風上にも置けないぜ」「ぐぬぬ」しばらくユノをからかって遊んでいると、キムジェジュンがやってきた。キムジェジュンの事は知っていたが会うのは初めて。ゆったりとした白いニットを着て笑顔で挨拶をする彼を見て、俺は珍しく言葉に詰まった。俺の知り合いは世界中のセレブ、彼らはみな洗練された美しさを保つ事に躍起になり、そのために使う金を惜しまない。だが俺の目の前にいるキムジェジュンは、何の飾り気もないのにその輝きはレベルが違った。透き通るような白い肌
あれから一か月、毎日チャンミンはジュンスの元を訪れ、S級の癒しフェロモンでジュンスに力を与えていた。ジュンスの痩せた体は元に戻り、肌艶も良く血色のいい顔色になっていた。体が元気になると精神的にも元気が出て、いつもの明るいジュンスに戻り、姉も安心していた。ジュンスを後ろからハグして癒しフェロモンを出すチャンミンだが、疲れた顔をしていた。「チャンミン忙しいんだろ?毎日来なくてもいいのに…」「会長は私に全部任せて隠居状態、ジェジュンの穴埋め、医療センターのあれこれ、ジュンスの代わりの教授
チャンミンは小一時間ほどフェロモンでジュンスを包み、ジュンスの顔色が良くなった事を確認し、部屋を出た。ジュンス姉が仁王立ちで腕を組んで立っており、リビングへ来いと顎でしゃくられた。チャンミンは素直にそれに従った。「アンタ、どうするつもりなの?」「お腹の子は確かに私の子です。私にはジュンスと子供を守る責任と権利があります。すぐにジュンスを迎え入れる家に整え、ご両親にも挨拶に伺います。もちろんジュンスの許しを得たうえで」チャンミンの真摯な言葉に少しだけ安心した姉だったが、ジュンスが
相変わらずジュンスと連絡が取れないままのチャンミンは、毎日を仕事に追われ過ごしていた。ジェジュンもいない今、誰かと軽口を叩くこともなく、チャンミンはとても疲れていた。私はジェジュンやジュンス以外友達もおらず、寂しい人間だったんだな…。やっととれた休日に、チャンミンは実家を訪れていた。久しぶりに会った母はとても喜び、二人で庭の縁台に座ってお茶を飲んだ。たわいもない話をしていると、ふと母が言った。「元気がないわね。何かあった?」「別に。何もありませんよ」「そうよね。あなた
ユチョンは叩かれて赤くなった頬に手を当てて、慌てたジュンスがユチョンに謝り、その前でジュンスの姉が土下座していた。それは5分前の出来事。ジュンス姉宅のチャイムが鳴り、姉が玄関を開けると、見知らぬチャラい男が立っていた。身なりが良くイケメンで、見るからに高位アルファであると分かる男。姉はすぐさま思った。きっとこの男がジュンスにマーキングもしないで孕ませたチャラ男ねっ!そのチャラ男はヘラヘラ笑いながら言った。「どうも~。初めましてパクユチョンと申します。ジュンス先生とは友人でし
今日は医療センターについて大きな発表があるという事で、大会議室にたくさんの人が集まっていた。病院からは学長や理事達、出資者や財団理事、行政関係者も揃っていた。当然チャンミンも病院側に座り、キムソッキ会長の登場を待っていた。扉が開き、キムホールディングス会長が入って来て、皆椅子から立ち上がってソッキに挨拶した。マイクの前に立ったソッキは、軽い挨拶をしながら集まった人々の顔を見て微笑んだ。「さて、本日お集まりいただいたのは、重大な発表をする為です」そこにいる全員は思った。キ
チャンミンは、ユチョンに指定されたホテルのラウンジに向かっていた。ジュンスがいなくなったことで頭に血が上ったチャンミンは、ユチョンの顔を見て掴みかかる様に言った。「ジュンスはどこです?!」「…おい、落ち着け」そう言われ、やっとここがホテルのラウンジで、静かなクラッシックを聞きながら優雅にお茶を飲む場所だと思い出した。チャンミンは小さく咳ばらいをし、失礼、と席に座った。「それで?キムジュンスがいなくなったのか?」「えぇ。病院もやめて引っ越ししていました」「それで?なんで
「チョン・ユンホ!」友人たちはよくもまあ俺を見つけ、どっと押し寄せてきた。講堂の外の一角にある柱もたれかかっていた俺は、見慣れた顔が一つ一つ目に入るにつれて、ようやく現実に戻された。学校悪くないな。おい、お前、ウノヒョンって何かあったのか?そうだよ、見えなかったけど。電話でもかけろよ。やつらの口から出た言葉に、俺はようやく慌てて携帯電話を探した。ヒョンのことをすっかり忘れていた。透き通る光に引き寄せられ、確かに別の世界に足を踏み入れた。夢見てるようにぼんやりとしていた。「君がウ
ヒョンは何でも始まりが肝心だと言っていた。長男や次男と比べて、年の差が離れているわけではなかったが、いつも優しい声でする助言や忠告を小言にも、全身を捧げてうなずくのは、その誰よりも大人らしい余裕で俺を包み込んでくれるからだ。ただ1人だけ憧れの対象がいるとしたら、それはいつも"ウノヒョン"だった。たとえヒョンと俺はまったく違う道を歩んでいても、その本質だけは一緒でありたかった。その始まりの第一歩を踏み出す日。しかしヒョンの言う重要な始まりはひどく慌しかった。明け方まで雨にびっしょ
チャンミンは広い会議室にて、続々と集まって来る教授たちと挨拶を交わしていた。今日は医療センター設立に向け、そこに設置される研究施設の会合があった。今の所ワングループから「出資取りやめ」の発表はないため、予定変更はなく着々と計画は進んでいる。各地から権威ある教授や有識者たちを交え、どのような研究施設を設置するかなど熱い議論が交わされた。この医療センターには国からも期待が寄せられており、センター設立によってたくさんの患者が救われる事になるだろう。会合の中心で熱弁をふるうパクユチョンの姿
時間は止まらない。俺を置き去りにして流れていこうとも、止まることなく、休むことなく前へ進んでいく。俺はいったいどこに立ち尽くしているのか。孤独の奈落に落ちたのか、慕情の海に沈んだのか。暗闇の真ん中で、寂しく漂っている。目を閉じると、その生々しい地獄でもがく。彷徨い、また彷徨っている。その迷路のような思考の断層は、俺の判断を曇らせる。正確に判断ができない。どれひとつとして簡単に決めることができない。この戦争のような最面の中で、温かい体温が俺の手を握り、身体を抱き寄せる。敗残兵のような俺は羊水の
「親友…?もしかして君の相手は、シムチャンミン?」ギクッ!(゚Д゚;)何も言えなくなったジュンスに、ユチョンは優しい声で言った。「自分の気持ちに正直になりなよ。その時の君はきっと正直だったはずだよ。そしてそれは恥ずかしい事じゃない」「…それが出来れば苦労はしませんよ」自分に正直になる…それはオメガの本能の事。でもチャンミンはそんなオメガを心から嫌っているんだ。きっと今頃冷静になって、あの時の俺を…軽蔑しているに違いない…。チャンミンが自分を軽蔑していると考えるだけ
今日は二人で買い物に出かけていた。ニースに来てからふた月が過ぎ、冬物を買うために、ハイブランドの店を訪れていた。「ジェジュン、気に入ったものがあれば言って」「う~ん…俺、ファッションはよく分からない…」そういえばジェジュンの私服は、全部チャンミンが見立てていると言っていたっけ。ムカムカと嫉妬の炎が燃え上がり、ユノはジェジュンに似合いそうな服を片っ端から買った。「コレとコレ…あぁこれも。あそこのジャケットも。…あぁめんどくさい。店ごと買うか?」「ばか、やめろよ。そんなにた
はぁっ…はぁっ…はぁっ…。ようやく落ち着いたチャンミンが目にしたのは、傍に横たわるジュンス。彼の白い体には、いくつもいくつも赤い跡が散りばめられていた。思ったより華奢だったジュンスは枕を握り締め、荒い息を零しながら汗にまみれた体を投げ出していた。本能のままに、親友を抱いてしまった気まずさ。チャンミンは頭を掻きながら、そっとジュンスの腰に触れた。ジュンスは体を起こそうとして、重い腰の痛みに顔を歪めた。「いっつ…」「痛みますか?起きられますか?」ジュンスはチャンミン
あの日から、チャンミンは仕事に忙殺されていた。深夜、自分のデスクでやっと仕事を終えたチャンミンは、大きく伸びをした。会長はドンジュが逮捕されたことにより、かなり落ち込んでいるようだ。ドンジュへの心配より、今までドンジュを甘やかしてきたツケを感じ、子育ての反省をしている。私はずーっと思ってましたがね、あんな奴しっかり更生させるべきだって!ふと電話を見ると、久しぶりに父からメールが入っていた。久しぶりに顔を見せなさいと書かれてあった。チャンミンは深いため息をついた。私の父
若くしてユノを授かった両親、同時不景気のどん底だった韓国に仕事は無く、知り合いに仕事を求めていた。無学だった父は勧められるがままに、香港での事業で人生の逆転を図った。そしてユノが生まれてすぐ両親は仕事を求めて香港へ移住した。だがそれは当時流行った詐欺であり、事業は上手くいかず借金だけが増えていった。借金で首が回らなくたった時、アルファのユノを養子に欲しいという話が舞い込んだ。ユノの為にもその方がいいだろうと考えた両親だったが、結果的にユノを手放して大金を得た。5歳で跡継ぎ
地中海の輝きに包まれたフランス屈指のリゾート地ニース。コート・ダジュールの青が空と海を溶かし、石畳の街並みに歴史と芸術が息づく。海岸沿いのプロムナード・デ・ザングレでは、潮風が心をほどき、夕暮れには街全体が金色に染まる。優雅で穏やかな時間が流れる場所…ユノはここニースを旅先に選んだ。ユノは海岸線を見渡せる高級別荘を借り、しばらく二人きりで過ごすことにした。二人が来る前に、部屋の清掃やベッドメイキング、買い出しなどを業者に頼んでいたので問題はなかった。大きな窓を開けると、爽やか
ジェジュンが目を覚ますと、そこは自分の寝室だった。「目覚めましたか?気分は?」見知らぬ男に声をかけられ、思わずつぶやいた。「……死…ねなかったんだ…」「えぇ。傷も塞がっていますし、命にも問題ありませんよ」女性のようにきれいな顔をした男は、薄く笑うと点滴のチェックをした。「あれ…あなたは…」「あぁ申し遅れました。私はキムヒチョルといいます」「やっぱり…キムヒチョル博士ですか?何故こんな所に?」医者を志すものなら、キムヒチョルを知らぬ者はいない程の有名人。
ユノは部屋から出たが、ジェジュンの事が心配でドアの前から動けなかった。しばらくしてドアが開き、ジェジュンがよろよろと出てきた。「ジェジュン、大丈夫か?」「…シャワー浴びる…」「うん!行こう!支えるよ」ユノに支えてもらいながらバスルームにたどり着く。グッと体を押され、ユノはバスルームから出された。ユノはその間に、着替えを用意した。シャワーを終えたジェジュンは、ソファに座ってユノが用意した水を飲んだ。少しほっとしたユノに、ジェジュンが呟くように言った。「家に、帰り
目の前に立ったユノの手を握り、お腹にポスンと頭を付けた。「ジェジュン先生…?」ユノが反対の手で、ジェジュンの髪を優しく撫でる。何も言わないジェジュンの髪を、ユノは撫で続けた。俺は…いつまで兄に搾取され続けるのだろう…。どうせお金は帰ってこない、だが大金を巻き上げられた事はどうでもよかった。23年も前の子供時代の事なのに、ジェジュンの体から恐怖が抜けない。笑いながら自分を闇の中に閉じ込めた兄の狂気が、今でも恐ろしく何もできなくなってしまう。ユノはジェジュンの横に座り
ユノに出て行ってもらおうと決めたジェジュンだが、朝早くからジェジュンの為に朝食を用意するユノに、なかなか言い出せないでいた。「ジェジュン先生、今日はトマトサンドにしました。トマトにはリコピンが含まれていて抗酸化作用があります」ニコニコと笑うユノに、それでも言わなければと、ジェジュンは口を開いた。「ユノさん、あなたエニグマだと仰いましたね。確かエニグマは、アルファもマーキングできると…。本当ですか」「本当です。でも心配しないで下さい。俺は了承もなしに、マーキングするほど下劣な人
家に帰ると、ユノがパタパタとスリッパを鳴らして駆け寄って来た。キッチンからいい匂いがして、夕食を用意していたんだと分かる。「ジェジュン先生、お帰りなさい。ごはんは食べました?」「いえ、結構です。話が聞きたかっただけなので」「そう、ですか…」シュン…と俯いたユノだったが、用意してあったコーヒーを入れた。「ジェジュン先生、ウソをついて本当にごめんなさい。なんでも聞いてください。ちゃんと答えます」「…では単刀直入に。何故あんな噓をついたんですか?俺が騙されて面白かったですか?