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水滴の一滴さえも残さず拭かれ、髪もしっかりと乾かされ、ギイ特性ホットミルクも忘れる事なく手渡される。「美味しい」「今夜はブランデーの種類を変えてみた」「あー、だから。何となくいつもと香りが違うかなぁ~って思った」「託生も分かってきたな。飲んだら寝転んで」「うん、」お正月に買った畳の上に寝転べば尽かさずギイが上に乗ってくる。「背中もなかなかだな」大きな手が凝ってる箇所を絶妙な力加減で解してくれる。「あーーー、」思わず上がる年相応の声に、ギイが笑う。「気持ちいい?」「うん、ス
自覚はある、ぼくはギイに弱いって。それから甘いって事も分かってはいる。だから、今のこのどうしようもなく恥ずかしい状況と言うか・・格好を少し仕方なくではあるけれど受け入れている。「ギイっ、」「んー、どうした?」「どう、したって・・・・指は、」「もういい?」「んっ、」「なら、」ゆーっくりとぼくのヒダに触れながら引き抜かれて行くギイの長い指。それだけでぼくは感じてしまう。「っっ、」「立てるか?」笑う様な声に今更だけど翻弄されっ放しの自分が嫌になってくる。「無理」嫌にはなるけ
「は?」「ですから、私は今から託生さんの所へバレンタインのお返しを渡しに行って来ますので、残りの書類を片付けておいて下さいね」「だからなんでお前がわざわざ持っていくんだよ!渡すだけならオレ経由で問題ないだろう?」「ええ、渡すだけならそうですね」「渡す以外に何があるって言うんだっ!」いそいそと笑顔で身支度を整える島岡はオレの問いに答えない。「約束の時間に遅れてしまいますので、では」「おい待て、島岡っ!!」引き止めても止まらないその足を追いかけても良いが他のスタッフが何事かと騒ぎ出し
「託生、」「・・・・」「ほら起きろよ託生。もう着いたぞ」余程疲れているのか、移動の車中もオレに身体を預けてウトウト。軽く揺り動かしても起きる気配がない。「不可抗力だからな」念の為そう口にして、オレは託生に濃い目のキスをする。「・・・・んっ、・・・・!?」見開かれた大きな瞳に映るオレは笑顔だ。「おはよう、着いたぞ」「もぅっ!いきなり何するんだよ!!」「何って、託生が起きないからだろ?」「それはギイが、」「はいはい、オレがヤリ過ぎました」アレコレ言ったところで託生の機嫌を
終始託生ペースだったデートはとても充実した時間だった。コレと言うサプライズもハプニングも無かったが、でもそんなものよりも心満たされる一日だった。夕飯は託生の予定通り炬燵で鍋をつつきながらお義父さんからの日本酒を差しつ差されつつ。僅かにかいた汗を拭いながら満たされた食欲。そしてこれからはオレの時間。「託生、朝の約束は勿論覚えてるよな?」「勿論。忘れたら大変な目に遭いそうだもの」肩を竦める託生。昔はなんだかんだと言い逃れようとする事もあったが、その後のオレがしつこいと学習したんだろう
嘘でも誇張でもなくオレはすでに爆発寸前。今すぐにでも託生と一つになって想いのままに激しく細い体躯を揺さぶりたい。「だから、良いだろう?」甘く・・どこまでも甘く耳元で囁いて、我慢の出来ない手指を巧みに肌へ這わせていく。掌に指先に吸い付く滑らかな肌は、温まり薄っすらと色付いていて、それが更にオレを煽ってくる。「良い・・・よな?」頸に落とした唇で何度か啄ばみ、今度は軽く吸い上げる。「もぅ、そんな所に痕付けないでよ」やけに楽しげな苦情の声。どうやら今夜は託生の方が余裕らしい。「大丈夫
ソファに座るギイの上に乗り上げて、子供の様に対面で身体を預ける。肩口に頭を乗せて、そのまま脱力。これが凄く落ち着いて、重いんだろうなぁ~とかそんな事はお構い無しだ。頭とか背中とかをよしよし、と撫でられればぼくの疲労もストレスも一気に無くなって行く。そして何よりギイの匂い。コロンの匂いも好きだけど、お風呂上がりのギイの匂いもぼくは好きだ。だからわざと大きな深呼吸をする。「嗅ぎすぎ」「良いじゃないか、ギイだってするんだし」笑うギイはそうは言っても全く嫌そうじゃない。「仕方ないだろ
何を思ったのか、託生が不意に呟いた。「あの夏の日、絵利子ちゃんが迷子にならなければ僕らは出会う事はなかったんだよね」オレの相槌も返事も待つ事なくその呟きは続いていく。「もしも出会ってなかったら、僕はどんな風に生きていたんだろう」その言葉に読んでいた本を閉じ託生を見る。「嫌悪症も治らないまま、ずっと周りに壁を作って一人でいたのかなぁ」「どうしたんだよ、急に」折角二人でのんびりと休日の昼下がりを過ごしていたと言うのに。「何となく」「何となく、な」絵利子が迷子にならなければ、オレが