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養成所虹の入学式から一月余り経った初夏を思わせるような春の終わりのある日チェ家の広大な庭園は多くの子供たちの歓声であふれていたその日は天界ではオリニナル(こどもの日)と呼ぶ日だそうで子供たちにいっぱい遊んでもらおうとウンスの提案で庭園を解放していたソダンでの開催も考えたが人数が多いと少々手狭それに庭園の一角にはチェ最高尚宮がチェ家の子供らの誕生日のたびに次々こしらえた遊具も各種揃っているので遊びには事欠かないというわけだ広い庭園のあ
子供達が寝静まった夫婦の時間チェヨンは髪を乾かす妻の後ろ姿を見つめていたその長く艶やかな髪は出会った頃と少しもたがわず美しいままに思えるが最近ウンスは髪を乾かす度にため息をついているドライヤーがあればなぁ現代では髪を乾かすのがこんなに大変だなんて考えたこともなかったわここじゃあ生乾きで寝ちゃうから傷みがすごい・・・艶もないしパサパサだしそれにたまに見つける白髪年を取ったんだなぁって実感しちゃうものチェヨン自身は妻の白髪を見つけたことは
ヘミからポムに陣痛が始まったと知らせを受けたトクマンは大急ぎで康安殿に向かったチュンソクは王様の警護についていたのだ話を聞いた王様は役目が・・・と渋るチュンソクの任を解くと暇を与える隊長が奥方の出産に立ち会えぬと余が上護軍に叱られるはよう行くのじゃここはプジャン(副隊長)に頼むとしようこれは王命じゃ王様は笑って言う代わりに任務に就いたトクマンもチュンソクを急き立てるはっしからばこれにて王様の手前冷静さを保ったつ
フンいいのに?ジョンどうして?ふくれっ面のサンがウンスに聞いているそれは・・・チェ尚宮の訪問を控えた新年三日目の朝ウンスは苦肉の策とばかりにジョンを再び奥の間の前の廊下の柱に繋いだタンの愛犬フンは分別もあり滅多に粗相をしないので鎖に繋がれるようなことはしないままに育ってきたがジョンはまだまだ分別とは程遠いやんちゃな性質このまま放し飼いをしたら何をしでかすかわからない新年早々子犬に振り回されるとはなんとも呑気な幕開けだと出
タンと三つ子の面倒を見ると申し出てくれた叔母チェ尚宮に甘え子供達のことを頼むと武閣氏の護衛でウンスはひとまず典医寺へ向かったチェ侍医が処方してくれた苦い生薬のおかげですっかり酔いも覚め頭がしゃっきりとしているその頭で考えたカン・ユハはどうしたのだろう?具合が悪いならばチェ侍医は何か知っているはずだが宴席ではウンスに何も話がなかった・・・王家のお子様たちに何かあっては大変なので健康管理は典医寺の役目なのにもしも重篤な病ならチェ先生が知らな
ウンスは奥の間の卓で典医寺のチェ侍医から届いた酔い覚ましの苦い生薬を一気に飲み干してようやく一息ついていた今日はもう診療所に間に合わないわねイサに迷惑かけちゃったなそばに控えるヘジャに対して話しているのか?それとも独り言か?ウンスはボサボサと呟いている子供達はウンスの周りで大叔母チェ尚宮から届いた菓子を食べたりこれまた大叔母から届いた鞠蹴りをして遊んだりしていた鞠の中に仕込まれた鈴の音が二日酔いの頭に響くだが身から出た錆子供達が楽しげな
診療所の健康相談に顔を出しわんさかいる患者の声にそれぞれ耳を傾け病の予防の大切さを説きそれから見学に来た助っ人ウネの息子アン・ユとも言葉を交わした治療ではなく予防のための診療にアン・ユはひどく感心したようでイサやウンスに質問ぜめ患者は患者でウンス達に質問ぜめこうして時間はあっと言う間に過ぎていく診療時間が終わると後片付けをよくよくイサに頼みチェヨンが寝ている閨に一度ウンスは戻った幸い薬が効いたのかチェヨンは柔らかな寝息を立てて穏やかな顔で寝ていた
あのねアッパしゅご〜くかわいいのミョンのアギ(赤ん坊)クァンっていうのタンは昨日も会ってきたミョンの弟を思い出し興奮冷めやらぬ面持ちで朝餉を食しながらチェヨンに言ったああさっきも聞いたぞ手も足も小さくてまん丸だとそお?タンはなした?ああそれよりはよう飯を食えああぁ〜いタンはいつも以上に元気に答え大口を開け飯を口に運んだタンはよほど赤ん坊のことが気になるのかこのところ話題はそればかり
もう少し先まで行って探したけど見つからなかったしばらくして戻って来たイサは申し訳なさそうな声でチェヨンとウンスに告げたサンは?大丈夫?ええまだ眠ってるわよほど疲れたんでしょうイサご飯は?うちはこれからなのよよかったら一緒にどお?ウンスは巻き込んだ形になったイサを労うように言ったありがとうユ先生でも父上が待ってるだろうから今夜は帰るよそお?ヘジャはいお任せをウンスがヘジャに呼び
おかえりタンおかえりユニョン楽しかった?市場ウンスはチェヨンと唇を離し子供達を出迎えたユニョンはなんだか寝ぼけた顔だったがぱあっと明るい声を出したあぁ〜いたのしかったぁ〜あのねにぃにしゅごい!のあのねにぃにやっつけたんだよあのねあのねオンマユニョンは興奮したように息急き切って話を始めようとしたがタンがそれをやんわり制したユニョンおしゃべりあとね〜さきにやらなきゃね〜ああっそっかユ
チェヨンとウンスは新年といっても変わりのない日々を過ごしている年明けすぐの日は少々ゆっくりめに起きたぐらいでその日もチェヨンは王宮へウンスは診療所の診察があった屋敷の女中たちはそれぞれの仕事を忙しくこなしていてユウとルリは厨房で食器の整理リアンとオクリョンとクリムは子供達のお世話で奥の間にいたタンはソダン(書堂)がお休みで三つ子たちとミョンとそれから新しい家族の子犬ジョンと愛犬フンとともに奥の間にいて積み木や駒で遊んでいた子犬のジョンはと言う
タンほら起きてもう朝よサン起きなさいほらほらオンマの声でぼんやり目が覚めた隣で寝ている弟のサンはまだ寝床の中で転がったままだう〜〜〜んまだねむいよオンマぁだって昨日ぱーちいだったもんあらあら困った子ねでもそろそろ起きなくちゃソダンに遅刻するわよああソダンかぁ行かなくちゃ〜〜〜ねぼくがぱちっと目を開けたらオンマが笑って言ったんだあっそうそうこの前ね私がタンへのソンムルに悩んでいたら
明け方戦から戻って屋敷に着いたチェヨンと久しぶりに閨で枕を並べて眠りにつきとろとろまどろんでいるうちに昼を過ぎていたタンは時々起きてウンスがチェヨンの腕の中でスヤスヤ眠っているのを確認していたずっと寝てばかりで退屈するとへジャのところへ行っておやつをねだり手にしたマンウォンギョンを覗き込み時々愛犬のフンと遊んでまた閨に戻るそれから二人の間に割り込むとうれしそうに両親を見比べまた昼寝チェヨンは息子の気配に気を配りながら腕の中のウンスを愛おしそう
翌日の朝チェ尚宮が王宮へ上がるタンを迎えにチェ家を訪れるとちょうど小間物屋のコヤンと行き交ったチェ尚宮様おはようございますどうしたのだ?朝早くから昨日へジャさんからご注文いただい品物の手頃なものが見つかりましたんで早速お届けに来たんですよさすがに仕事の早いコヤンが小脇に抱えた螺鈿細工の小箱をチェ尚宮はちらりと見てチェヨンの小さな頃をふと思い出したタンのか?さあ若様がお使いに?へジャさんからは何も聞い
子供達の笑い声が聞こえてはっと目が覚めた頭が重くどんよりと痛いイムジャ粥が出来ておるぞ食うか?どことなく機嫌の良い夫チェヨンがまだ寝台に横たわる妻のウンスに声をかけたえっと?そうだ見慣れない景色だと思ったらここは王宮のかつての邸昨夜はハロウィンで・・・・ウリオンマケンチャナ?部屋に飛び込んできたのは四人の子供たちあのねオンマアッパがだっこしてここにはこんだんだってぇタンの説明に記憶
연말련시ヨンマルリョンシ(年末年始)高麗のチェ家は相変わらず賑やかな時を過ごしていた数日前は天界の暦で「くりすますいぶ」だったが毎年恒例のウンス主導のぱーちいが行われた夜はウンスと二人でまったりと過ごしたいチェヨンにとって大勢が押しかけるぱーちいは迷惑なことこの上ないのだが妻の性格をよく知っている夫としては止めても無駄だとそれを許可したそして何より妻の喜ぶ顔を見ているのがチェヨンにとっての一番だったぱーちい当日は大叔母チェ尚宮をはじめ近所に住むチュ
ウンスの誕生日がいよいよ近づいたある日いつものように母親が診療所で働いている隙を狙ってへジャが見守る中四人の子供達はタンの部屋で裁縫に勤しんでいた色使いが抜群にうまいユニョンが決めた配色で布を配置し手先の器用なタンとスニョンがせっせと縫い進めた帯はそろそろ完成が近いたまにはユニョンもひと針運針に参加する末の弟のサンはサンもやる!サンもやる!と大騒ぎしてユニョンから針を奪ったが針は布を通り越してサンの人差し指に刺さりそれ以来
ウンスとウネが屋敷でお茶をしている頃チェヨンはウダルチ兵舎で鍛錬に精を出していた上護軍に稽古をつけてもらえるとはなんという有難きこと隊員たちはこぞってチェヨンに挑みことごとく返り討ち若い隊員たちよりも一回りもふた回りも歳を取っていても相変わらずしなやかな身のこなし足さばきそして鮮やかな剣の振り方鬼と言われた孤高の高麗武士は今も健在だったその勇姿をじっと眺めているのは隊長を長く務めている腹心の部下チュンソクだ俺はあの
輿から動かさない方がほんとはいいんだけどでも狭い中にずっといるのもそれはそれでいいとも思えないし・・・イサは話しながら輿から山小屋にソンゲの身柄を移動した戸板に乗せて慎重に大人四人で担いで動かす久しぶりの輿の外ソンゲの体には布がかけられてはいたが付きでた矢が生々しく布を突き破る痛くはないのか?チェヨンは心配そうな顔を気取られぬように平静を装ってソンゲに尋ねたおかげさまで合流するまでは激痛に苦しんでおりましたが痛み止めの
薄いかけ布団から覗くウンスの白い肩そのなだらかな曲線にチェヨンはそっとくちづけたウンスは一戦交えたあと暑い暑いと言いながらすでに寝息を立てている流星を家族で見た後の夫婦の時間は激しく甘いだが夏の暑さもあって体力を消耗させているチェヨンはふぅと小さく息を吐きウンスの乱れた髪の毛を撫で整えた少々無理をさせたか?いやいつものことか・・・チェヨンはいつまでたっても減ることのないウンスに対する己の欲深さに苦笑したそれに
チュンソクとの手合わせを途中で投げ出し叔母についてきたチェヨンをつくづく腑抜けた甥だとチェ尚宮は呆れた顔で見て聞いてみたヨンそなたには体面はないのか?あ?体面?なんの話だ?そんなことよりウンスの伝言があるのであろう?何用だ?早く帰れとの催促か?やれやれ・・・チェ尚宮は何があろうと妻第一な甥と今現在もイサのことを案じているであろうウンスを思って小さくため息をついたそのような話でわざわざお前を呼びに行くほど私も暇
タンが王宮で迷子になっている頃チェヨンたち義勇軍は国境にほど近い村に逗留しチェヨンはアン・ジェやインギュトクマンテマンと飯屋に来ていた山道続きの進軍でいささか疲労が溜まり始めていた軍には久しぶりの人里はありがたかった軍の総数は膨大でもちろん全員が寝泊まりできる宿など田舎の村にあるわけはないがそれでも風呂を借りたり暖かな食事を提供してもらえたりと一行は決戦を前にしばしの骨休めができる村は人蔘の産地でもあり国境に近いこともあり商いも盛んで活気があ
イサ君もう典医寺に戻ったら?夕方になるわよナレは医務室で雑用に勤しむイサに声をかけたあ?ああもうそんな時刻?イサは辺りを見回す育児園ヘバラギが赤く染まっていた父上にまた怒られるなイサは独り言書堂(ソダン)で学ぶことの楽しさも最近では少しわかってきたし真の友と言えるほどの相手かどうかわからないが切磋琢磨する仲間もできただから「友を作り勉学に励め」と言うチェ侍医の考えは間違いではないのだと思う父上はナレさん目当
勤めを終え屋敷に帰ったチェ侍医のもとへ養成所にいるはずのイサが顔を出したどうしたイサ?今宵は外泊の予定日ではないであろう?あ?うんちょっと父上の顔が見たくてねそれに相談事もあるしそうか・・・外出の許可はとっているのか?ああ大丈夫だよ就寝時間までに戻ればいいからならば飯を食べて行きなさいチェ侍医は気立てのいい女中の老婆に飯の支度を頼んだはい旦那様ちょうどいい具合に先ほど医仙様からだと言ってチェ家
今年の大晦日にチェ家で催される三つ子の一歳の誕生会トルチャンチと年末の買い出しのためにへジャは一人で市場に来ていた奥の留守番は姪のオクリョンと子守のクリムそれから通いの女中ユウに任せた女主人のウンスは今末の息子のサンを連れて王宮へ行っているから診療所はお休みで門はしっかり締めて来たが年の瀬は何かと不用心でお嬢様二人に何かあってはと普段ならば一緒についてくる荷物持ちのソクテには今日は屋敷の警護を頼んである人混みに紛れながら目的のものを探しへジャ
夕方ウンスは菊花診療所での美容相談を終えると三つ子たちとヘジャとともに輿に乗って王宮への道を急いでいたタンは昼間いつものようにミョンとともに先に王宮へ上がっていて本来ならば帰宅の時刻だが今宵は特別な催し物があるため帰りが遅いそしてその催しにウンスと三つ子たちもお呼ばれしたので仕事が終わるのを待って急ぎ皆で向かっているところだった主人と同じ空間に腰を下ろしているヘジャは相変わらず遠慮がちに座席の端の端にちんまりと座っている御者はヘジャ
へええ天界の夢?それをヒョンに言い当てられたの?すごいなヒョンはユ先生のことはなんでもお見通しってわけかチェヨンが王宮へ出仕した後診察の準備をしながら他愛ない話をしている流れでなんとなく昨夜の話になってウンスはイサに夢の話をして聞かせていた天界かぁ話を聞いても想像もつかないけどヒョンは実際そこに行ったんだもんなぁ〜なんだか羨ましいああそう言えばそうよね私以外に天界を知っている人がいるってことすっかり忘れるとこだったわ
無事に生まれて本当ホッとしたわウンスは安堵した口調でチェヨンに言った早めに帰って来た父親にいっぱい遊んでもらった子供達は遊び疲れてすでに夢の中タンも出産という特殊な環境にミョンとともに立ち会って興奮冷めやらぬまま眠りに落ちていた夫婦はやっと一息つき閨の寝台に転がってウンスは夫にポムの出産の様子を話している疲れたであろう?夫の労いの言葉が何よりの癒しウンスは微笑んだうんそうねでもみんなが協力してくれたから・・・大
子供達の目の前に現れたのは愛犬のフンそしてジョンそれから頼もしい姿の父チェヨンだったアッパ!フ〜ン!ジョン!タンは瞳を輝かせ大声で父親を呼んだどおして?いるの?この時刻父親はまだ王宮にいるはずだタンの質問にチェヨンは微笑んだ大丈夫か?寒くはないか?今日は大雪で帰りが早まったのだそれにしても肝を冷やしたぞ屋敷に戻ると女中たちが青ざめていたゆえ何事かとヘジャから事情を聞けば・・・屋敷の庭でまさか迷子とは・
子供達が昼寝している隙にウンスは昨日のお礼を兼ねてチェヨンとともに大妃様の居所を訪れた可愛がっている公主様も遊びに来ていてウンスを見つけると嬉しそうに駆け寄って来たいしぇんタンはおらぬのか?はい公主様タンは昼寝の最中で置いて来ましたなんだぁがっかりした顔を見せる公主様にウンスとチェヨンは顔を見合わせ微笑んだ気位が高くいささかやんちゃでお付きの女官や武閣氏も手を焼いていると王妃様が気を揉んでいたが目の前にい