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不妊治療のブログでは、PGT-A(着床前診断)の情報はあふれていますが、出生前診断の情報は意外と少ないのが現状です。そこで、今日は、NIPTをはじめとする出生前診断について、6回にわたりシリーズでお届けしようと思います。皆様にぜひ知っておいていただきたい倫理面の問題点についても解説していこうと思っていますが、なにぶんデリケートな分野ですので、私見はできる限り避け、産科あるいは遺伝科としての一般的あるいは標準的な見解に沿って客観的に(抑制的)に解説することを心掛けてお話していきます。様々な立
みなさんこんばんは。卵巣刺激法とその薬剤今日は後編です。③トリガーまず初めに、卵の核成熟についておさらいしましょう。このように、顕微鏡で形態学的に確認できる卵の成熟のことを、卵の核成熟といいます。結構勘違いしている人が多いのですが、採卵36時間前のLHサージ(トリガー)よりも前は、ほぼ全てがGV卵(超未熟卵)です。卵子の中に、核小体を持つGV(germinalvesicle、日本語訳では胚胞という)があり、顕微鏡で確認できます。卵胞が発育してくることを「卵胞が成熟」すると言っちゃっ
最近、お電話やメールでよくあるお問い合わせが、「第2子希望だが、どうしたらよいか」というものです。ここでまとめておきたいと思います。前回の妊娠方法あるいは次回の予定妊娠方法によって対応が異なりますので注意してください。なお、授乳等に関する内容が一部含まれますので、お読みになる場合はご注意ください。【次回妊娠までの期間】様々な意見がありますが、出産から次回妊娠までは半年程度は経っていたほうが様々な意味で望ましいとされています(松林ブログ:出産後次回妊娠までの理想的な期間は?)。いずれに
今日は、知っている人にとっては簡単だろうが意外と質問が多い、卵子、卵胞、空胞について解説します。卵胞は、原始卵胞(0.03mm)→一次卵胞(0.04mm)→二次卵胞(0.07mm)→前胞状卵胞(初期胞状卵胞)(0.2mm)→胞状卵胞(後期胞状卵胞)(2~5mm)→成熟卵胞(18~20mm)と変化していきます。月経中に医師がカウントしているのは後期胞状卵胞です。以前の記事(砂の中の小石)で書いた通りですが、エコーで描出可能なのはせいぜい2mm程度、卵巣のコンディ
こんばんは。今宵、第三弾をお送り致します。金田歩美です。多くの方々に読んでいただけて感謝ばかりです。コメントのみでなく、診察などでもお声がけいただきありがとうございます。この場をお借りしてお礼申し上げます。🐧先生もあたたかいコメント頂戴し大変喜んでおりました(最近少しスリムになられました!お気づきになられた方はいらっしゃいますか?)。本日は、ぼんちゃんこと大原康弘先生です。先日の夕食は松林先生と餃子の王将、餃子にビール🍺!くうううぅ・・・・といいたいところですが、烏龍茶。彼はお酒が一滴も飲
こんばんは。金田歩美です。今宵はついについについに!!大トリは「まつぶーーん」こと、スーパーバイザー松林秀彦先生です。前回のブログを受けて、金田先生運動してたんですね。と松林先生からお声がけをいただきました。そして衝撃の事実、「私実は弓道2段なんですよ」。松林先生は、某市の市民大会で第3位に入賞し、翌年の市民大会で開会式の演舞(矢渡)で介添え役を務めたこともあるそうです。リプロダクションクリニックの(隠れ)体育会系がここにも…!写真提供:松林秀彦「ほとんど練習していない中での入賞に、同僚た
各検査の特徴「上」では、母体血清マーカー検査、羊水検査、絨毛検査の特徴と、それぞれが一長一短であることをご説明してきました。そこで登場したのがNIPT(non-invasiveprenatalgenetictesting:無侵襲的出生前遺伝学的検査)、いわゆる「新型出生前"診断"」です。これは母体採血に微妙に混入する胎児の染色体を検出して検査をしていこうというものです。「新型出生前"診断"」と、あたかも確定的検査のように表現されることもありますが、この検査は、確定診断ではなく、あくま
このブログをお読みの方でAMHを知らない方は恐らくほぼおられないと思いますが、このAMH(抗ミューラー管ホルモン)が、実は性分化と密接な関連があることをご存じの方は多くないかもしれません。ヒトの性別は性染色体により決定されます。染色体は全部で46本あり、1~22番が2本ずつ(合計44本)の「常染色体」に加えて、性染色体2本が「XX」だと女性、「XY」だと男性です。いきなり脱線しますが、染色体の表現は46,XX、46,XYと書きますが、これは、46本に加えてXXで合計48本という意味ではなく
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日は番外編です。敢えて最新すぎる内容は避け、できるだけ多くの皆さんに興味を持っていただけそうな内容を連載しています。特に、1~7は、全ての皆さんに知っておいていただきたい内容ですので、ぜひご一読ください。さて、今日は、誤解が多い、慢性子宮内膜炎と、それに似た言葉の違いについて解説します。当院に通院歴がある程度ある患者さんには毎度おなじみ、慢性子宮内膜炎検査のことを、「子宮内膜症の
以下のようなご質問をいただいておりました。ご質問初めまして。いてもわかりやすく、ためになる投稿ありがとうございます。私は海外で治療中で、まさしく名前は違いますがこの薬を朝に一度50μg飲んでいます。こちらの先生に聞いたところ、あまり長く飲みすぎてもいけない薬だからと言われて、2ヶ月に一度数値の検査をしていただいているのですが、数値はいつも平常の2.5μIU/mL未満に戻っています。しかし、投薬をいつまで続ければいいのか、どれだけ続けたらいけないのか、全くわからず、もしよろしけ
みなさん、こんばんは。第①回は出血の種類について、第②回は、採卵周期中の出血についてお話ししてきました。今回は、採卵周期開始についてお話しします。通常は、採卵周期開始は月経3日目くらいから開始することが多いのですが、これはどうしてでしょうか。月経3日目ごろのホルモン値のことを「基礎値」と言うなど、婦人科分野では月経3日目が1つのベースになっています。月経中のLH、FSH、E2、P4の値がいわゆるホルモンバランスのベースとなっているのは、月経1日目だと、その出血が不正出血か月経の始まりな
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズも、今日で第11回となりました。さて、昨日のお知らせで、ゴナピュールが、uFSH注用「あすか」に名称変更したとご説明しましたが、この「u」とは何か。今日は、HMG製剤についての解説です。まずは、基本的な解説ですが、卵巣の卵胞発育は、脳からのホルモンによって起こります。卵胞を育てるホルモンがFSH(卵胞刺激ホルモン)で、LH(黄体化ホルモン)と二人三脚で卵胞発育に関連します。悪者にさ
今日は体外受精・顕微授精における精子選別法についてお話します。不妊原因は女性・男性半分ずつが原因であるとか、卵子と精子がそれぞれ関連する、とよく言われます。実際には卵子側の要因が大きいと思われる局面は少なくありませんが、さりとて受精卵の染色体の半分は男性由来であり、精子の重要性が高いことには変わりありません。【体外受精(ふりかけ法)か顕微授精か】よく体外受精は自然に選ばれた精子だから、というような言い方をされますが、自然妊娠の場合は何千万・何億の腟内射精された精子が子宮・卵管の約1
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日で第18回となります。今夜も「生殖医療解説シリーズ」をよろしくお願いします。さて、今日は、妊活中にしていいこと、よくないことです。諸説あるものもありますが、できるだけ当院における標準的な説明に揃えて記載しています。また、根拠のリンクをちらほら貼ってありますので、合わせてごらんください。【妊活中】OK:地中海式食生活、糖質オフウォーキング等の軽い運動ノン
卵巣内PRP注入について外来でお問い合わせが多いので、(リプロダクションクリニックで実施する場合の)概要について説明します。なお、適応や詳細については、外来で医師とご相談となります。①準備について血小板から成長因子を取り出して製剤化するために採血を約50mL行います。なお、この時に担当会社の方針により必ず感染症検査を行いますが、この費用の大半は採血費用に含まれます。血液は製剤化され、3週間後にバイアル2本になって返ってきます。この時点で使用可能になります。つまり使用する3週間前
「頭痛にバファリン♪」のCMを聞いたことがある方は多いと思いますが、解熱鎮痛薬の代表格、バファリン。市販のバファリンはライオンが、処方薬のバファリン配合錠Aはエーザイが、当院で処方するバイアスピリンはバイエルが発売しています(バイエルが発売するアスピリンだからバイアスピリン)。市販のバファリンは奥が深いです。大人用の錠剤だけで5種類ありますが、ほとんど全部成分が違います。「バファリン・プレミアム」はイブプロフェン+アセトアミノフェン、「バファリンA」と「バファリンライト」はアセチルサリチル
生殖医療は結果が全てんー・・・まあ全てではないか。。でもウェイトは大きいよね妊娠すれば感謝される結果が出なければ感謝されない以前に「逃げない」みたいなブログ書いたらまあそれはそれは反響も大きくて外来でも口々に感想を言われた感謝されるとすれば最終的に結果が出なかった時に納得行く終わり方ができた時だけありがたいことだけどしつこいようだけどなんだかんだ結局結果は大切まあそうなんだけどでも、「結果」って突然出るわけじゃなくて、勇気を振り絞
よくあるご希望に、「(胚移植において)2個移植はできますか」というものがあります。特に日本においては、単一胚移植を是とする流れが強い傾向にあります。体外受精が始まったばかりの黎明期において、凍結技術がまだなかったり、あっても未熟だった頃は、技術的に未熟で妊娠率も高くなかった時代的背景と移植も凍結もできない胚は廃棄するしかなかったこともあり、2個はもちろん、3個、4個移植などは当たり前のように行われていました。筆者が産科で研修をしていたころは、ふたご、三つ子、四つ子、五つ子の妊婦さんが
どんな薬でも、たくさん飲めば強く効き、少しだけ飲めば弱く効く、と思われていることと思います。99.9%以上の薬はそうなのですが、アスピリンだけは違います。低用量で内服(81~100mg/日)血小板抑制作用、妊娠率上昇痛み止めとしてはほぼ効かない(薬は体重によって量が変わります。子供に対して小児用バファリンが81~100mgのアスピリンを使用していたことがあることから、低用量アスピリンのことを「小児用バファリン」という名前で呼んでいたことがありました。しかし、これは20年前の話で今は小
AMHが大切な検査であることには全く異論はないにしても、じゃあ、「どのくらい大切なのか」について今日は考えてみたいと思います。まず、AMHについての誤解がいくつか。AMHはいつ測定しても変わらない、あるいはAMHは上昇しないと思っている方が多いと思いますが、AMHは測定するたびに異なるし、外注業者によっても異なるようです。他院で2年前に検査した値よりも当院でやり直した値の方が高かったなんてことは、普通にあります。少数ですが治療周期ごとにAMHを測定するクリニックもたまにありますが、こうした
診察の現場で、よくあるご質問なのですが、どこかに書いていそうで書いていない、知りたいけど調べても分からない、そんな内容をまとめてみました。(なお、個人個人の体質で治療方針は変わりますので、ご自身の方針は必ず医師にご相談いただくようご注意ください)Q1)自然妊娠をしたことがあるので、着床の窓はずれていないと思いますが?A1)自然妊娠をした時の胚の発育スピードが分からないので、自然妊娠歴が着床の窓のズレがない証明にはなりません。もしかしたら、D4あるいはD6で胚盤胞になって着床していれば
皆さんこんばんはシッカリラジ活は怠ってはおりませんよだってボールデフのカップジョイントが中で割れましたもんいくら調整しても緩んだりするのは当たり前ッスわ笑もちろん組み上げた新品を入れ替えしましたけどね🎶だからまた予備買わないと……今日更にセットアップしたら周りからも高評価が出たので、今までの苦労が報われたッス自分の話はこれくらいに今日で青い森からでっかい道に転勤されるミウラさん初めて現れたのは1月の後半だったかな?持ち寄ったラジコンはまさかの蚊車‼️あのスケールであの走
★37~38歳不妊治療経過を記録していきます★〈これまでの治療〉●2018年4月はらMで夫婦ともに検査→結果悪かった為初診半年待ちだったのを優先初診枠getし、その時AMH0.60●2018年6月優先初診で検査→ポリープ見つかる●2018年7月子宮内膜ポリープ掻爬手術●2018年8月初人工授精→結果×●2018年9月初採卵4個→3個受精→結果胚盤胞グレード悪く凍結0●2018年10月採卵2回目、7個採卵→6個受精→3個凍結(全部4AA)●2018
みなさん、こんばんは。ふと、生殖医療解説シリーズを半月も書いていないことに気づきました。最初からこのブログをお読みではない方もおられると思いますが、このブログは一定の更新頻度を守るのではなく、筆者が心から書きたいと思った題材ができた時に書き始め、納得のいく記事ができた時だけアップする、というスタイルで行きたいのです。が。半月はちょっと長いです。これでは読者離れしてしまう。どうしよう。ということで、今日はニーズな高そうな題材に挑戦してみました。過去記事でも類似記事は書きましたが、今日の題材は
今日は、採卵あれこれについてお話しようと思います。一般論と、リプロダクションクリニック固有の準備を混ぜてお話しますが、どの施設も似たようなことはしていると思いますので、上手にお読みください。さて、患者さんにとって採卵は排卵誘発剤の使用(卵巣刺激)に始まり、採卵2日前の夜のトリガー(点鼻薬やhCG、オビドレル)、そして採卵日を迎えます。採卵日が決定すると、システムに採卵決定者が続々と登録されてきます。稀に採卵が前日決定することもありますが、基本的には採卵は2日前の夕方に人数等が出そろいます
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズも、今日で第12回となりました。こんなご時世は勉強がはかどる、今夜も「生殖医療解説シリーズ」をよろしくお願いします。まずは、おさらいですが、日本産科婦人科学会は、次のように定めています。「生殖補助医療の胚移植において、移植する胚は原則として単一とする。ただし、35歳以上の女性、または2回以上続けて妊娠不成立であった女性などについては、2胚移植を許容する。治療を受ける夫婦に対して
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する生殖医療解説シリーズ、今夜はレギューラ編第22回、卵巣過剰刺激症候群(OvarianHyperStimulationSyndrome:OHSS)です。さて、前回の番外編で、副作用が許容範囲内である限り卵子は採れれば採れるほどよい、と解説しました。OHSSのリスクを100%完全に回避できるならば、刺激(HMG、uFSH、rFSH)の量が増えても結果的に採れた卵子の量が増えても卵子の質は下がることはなく
診療をしていると、患者さんから感謝の言葉をもらうことがよくあります。その多くは、妊娠して卒業した時や、たくさんのいい受精卵が凍結できた時です。「初診したけど、色々心配でウジウジしていた時に、力強い言葉で引っ張ってくれたから、頑張ろうって思えて、そしたらちゃんと妊娠してここまで来れました」「他院で治療していたが、全く結果が出なくて、セカンドオピニオンで初診した時に、『ぜひリプロで治療した方がいい、一緒に頑張りましょう』と言われて採卵・移植もリプロでしようと転院したら、今までにないくらいいっぱい
みなさん、こんばんは。今日は妊活と食事についてお話しします。巷には、〇〇が妊娠にいい、〇〇がダイエットにいい、という情報が溢れていますが、食べ物に限らず、情報の取捨選択は本当に難しい。まず第一に、その情報の信憑性自体が疑われる場合があります。例えば、ある栄養素を絶賛し、様々な角度から根拠を示したかのように見えるサイトがあったとしても、一番下に、「でも食べ物から取るのは大変、そんなあなたに、〇〇社の△△サプリ!今なら1ヶ月分無料進呈!」とか書いてあったら、まあ一応ウソではないんでしょ
ネタ切れというか倦怠期というか、いいねが多いことに気をよくしておサボリしておりましたが、いやあ、、2月のブログ記事3件は酷すぎだな。その割に、いつもランキング上位を維持させていただいてしまい、ほんと申し訳ない。もうちょっと頑張ります。ということで、今日は、こんな題名でお送りしております。医師は、もちろん病気(生殖医療においては妊娠できない、継続できない)ことに対して検査をして治療計画を立てて、問題を解決していくのが仕事です。心のケア自体は専門ではないですが、もちろん、身体的のみな