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以前のブログで、理論上ではこうであるというようなことは必ずしも実測統計と一致しない(理論が実態を忠実に示すとは限らない)、ということを説明しました。理論的にはこうなるはずなんだけど、実際にには、そうではない、ということは医療に限らず世の中いくらでもあります。もちろん、実測統計も、その統計の取り方によって簡単に結論がフラフラしますので、実測統計が常に真実というわけでもありません。例えば、吉野家と松屋はどっちが美味しいか、セブンイレブンとファミマはどっちが人気があるか、スーパードライと一
知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日では番外編です。「ホルモン補充周期と自然周期の凍結胚移植はどちらが妊娠率が高いか」という、永遠のテーマをお話ししようと思います。まず初めに、相当誤解が多いので、最初に用語の整理をしておきますが、ホルモン補充周期とは、エストロゲン製剤で排卵を抑え、排卵しない形にして、黄体ホルモンは全て薬で補う方法のこと、自然周期とは、ホルモン剤の有無にかかわらず、排卵を起こして排卵後〇日後という形で移植する周期
めーたん47歳と2カ月です最後の移植。貯卵は残り4個。全て初期胚「人工授精と4個移植にしましょう」ゴッドの判断でイケイケ移植周期とあいなりまして(笑)D3→D8→D10スクラッチ+人工授精→D13初期胚4個移植人工授精までは前回書いた通り。人工授精の3日後にドキドキの移植4個初期胚。平日でしたが主人も休みを取って一緒に来てくれました。これが最後の移植だもんね・・・リプロ12時半来院なので早目に
今日は体外受精・顕微授精における精子選別法についてお話します。不妊原因は女性・男性半分ずつが原因であるとか、卵子と精子がそれぞれ関連する、とよく言われます。実際には卵子側の要因が大きいと思われる局面は少なくありませんが、さりとて受精卵の染色体の半分は男性由来であり、精子の重要性が高いことには変わりありません。【体外受精(ふりかけ法)か顕微授精か】よく体外受精は自然に選ばれた精子だから、というような言い方をされますが、自然妊娠の場合は何千万・何億の腟内射精された精子が子宮・卵管の約1
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する生殖医療解説シリーズ、今夜はレギューラ編第22回、卵巣過剰刺激症候群(OvarianHyperStimulationSyndrome:OHSS)です。さて、前回の番外編で、副作用が許容範囲内である限り卵子は採れれば採れるほどよい、と解説しました。OHSSのリスクを100%完全に回避できるならば、刺激(HMG、uFSH、rFSH)の量が増えても結果的に採れた卵子の量が増えても卵子の質は下がることはなく
ジェネリック医薬品、飲んだことありますか。ジェネリックとは、後発医薬品のことで、いわゆる新薬(先発薬)の特許が切れる10年後から、特許切れの有効成分を使って発売される安価な薬のことです。以前は、10年たつと色々な薬がゾロゾロ出てくるので「ゾロ」「ゾロ薬」などと呼ばれたりもした。ジェネリックは先発薬と比べて同じ有効成分で効能・効果、用法・用量が原則として同一とされている。しかし、主成分が同じというだけで、副成分や剤型、製造方法が完全に同じとは限らないので外見も違うし、人によっては効き目が違う
今日は子宮内膜についてです。以前にも子宮内膜について書いておりますので、もしまだの方はぜひご一読ください。子宮内膜(生殖医療解説シリーズ番外編12)さて、今日は子宮内膜が薄い時についてです。一言で子宮内膜が薄いといっても色々な場合があります。では、どういう時にどういう対処をすればよいのでしょうか。①子宮内膜を薄くする状況がないか確認新鮮胚移植を予定しているのに長期多量のクロミッドを使っているような場合は見直します。②E2製剤の増量ホルモン補充周期で移植している場合、
昨日に続いてこんばんは。前編はこちらホルモン補充周期と自然周期の凍結胚移植はどちらが妊娠率が高いかさて、昨日は、実は結論を出さないまま、その方に合った治療方針を選択するべきだ、とだけ書いて、結論を書いておりません。やや題名を変えて、結局どうしたらよいのか、ということについて、それぞれのメリット・デメリットをもとに考えてみましょう。①ホルモン補充周期・利点、得意ポイント卵胞発育や排卵日を一切気にしなくてよい(何しろ排卵しない!)黄体機能不全を気にしなくてよい日程
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズも、今日で第8回となりました。バックナンバーもぜひご覧ください。今日は、新鮮胚移植と、それにまつわるホルモン動向についてお話しいたします。一般的に、新鮮胚移植よりも凍結融解胚移植のほうが妊娠率が高いと言われていますが、これにはいくつか理由があります。凍結すると胚のグレードがよくなるわけではなく、凍結融解胚移植のほうが、着床環境がよいことに起因します。①クロミッドの影響
来年の4月から不妊治療の保険診療化が予定されているようですが、現時点では体外受精・人工授精・精巣内精子回収等の治療費は自費となっています。その補助として、「不妊治療助成金」と「医療費控除」などが挙げられます。医療費控除とは、所得から、かかった医療費を控除するということです。例えば、医療費が10万円かかったとしましょう。この10万円の原資は給料です。普通に払えば、この10万円は税引き後の金額であり、例えば、もともとは12万円くらいあったものが、税金が2万円引かれて10万円だけが残り、それを支
みなさん、こんばんは。今日は妊活と食事についてお話しします。巷には、〇〇が妊娠にいい、〇〇がダイエットにいい、という情報が溢れていますが、食べ物に限らず、情報の取捨選択は本当に難しい。まず第一に、その情報の信憑性自体が疑われる場合があります。例えば、ある栄養素を絶賛し、様々な角度から根拠を示したかのように見えるサイトがあったとしても、一番下に、「でも食べ物から取るのは大変、そんなあなたに、〇〇社の△△サプリ!今なら1ヶ月分無料進呈!」とか書いてあったら、まあ一応ウソではないんでしょ
前回の採卵では無事に凍結胚ができましたが今周期は調子がイマイチなので移植は見送り。お休み周期です万全な体調で移植に臨みたいですもんね移植に際して、近頃、リプロ患者さんのブログでよく目にするラクトフェリンなにそれ?私にも関係あるの?ないのラクトフェリンは糖タンパク。鉄を含んで赤っぽく見えることから赤いたんぱく質などと呼ばれる。母乳などにも含まれる成分で、私たちはサプリで効率よく取ることができます。では、何のために取るのか?子宮内フ
PRPの子宮内注入を始めてしばらくたちます。また、始めたばかりの卵巣内PRPについても最近続々と実施例が出ております。現在東京と大阪合わせて300人以上の方に採血を行ってきました。これはPFC-FD療法としては隋一の症例数です。もちろん数をやればいいというわけではありませんが、特に今後、卵巣内PRPのデータが集積し、さらに良い適応や方法を見出せることを期待しております。PRP採血目的で初診される方も増えて参りました。PRP採血は当院で体外受精を行う方のみを対象としておりますが、卵巣機
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズも、今日で第11回となりました。さて、昨日のお知らせで、ゴナピュールが、uFSH注用「あすか」に名称変更したとご説明しましたが、この「u」とは何か。今日は、HMG製剤についての解説です。まずは、基本的な解説ですが、卵巣の卵胞発育は、脳からのホルモンによって起こります。卵胞を育てるホルモンがFSH(卵胞刺激ホルモン)で、LH(黄体化ホルモン)と二人三脚で卵胞発育に関連します。悪者にさ
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する生殖医療解説シリーズ、今夜も番外編です。卵巣刺激(排卵誘発方法)は、様々な施設が、色々な考え方に基づいて行っております。自然周期、低刺激、刺激周期、もちろん合う合わないが大きく正解があるわけではありませんが、国際的には刺激周期が体外受精の柱です。前回の記事では、採取できた卵子の数が多ければ多いほど、累積出産率は上昇すること、刺激周期と自然周期でも正常胚率は変わらないこと、排卵誘発剤(HMG)使用量で
リプロダクションクリニックには毎日たくさんの患者さんが来られて陽性が出て喜びを爆発される方。妊娠して卒業で涙される方もたくさんおられて・・・それはとっても喜ばしいことでも、そういう人はどこのクリニックにもいるんだ結果が出ればそりゃ医師みょうりに尽きる嬉しいに決まってる卒業の時に涙されればもらい泣きすることもあるでも、それはそれだけどそんな人ばっかりじゃないよね移植したけど妊娠できなかった方いや今月の卵胞すら育たなかった方
よくあるご希望に、「(胚移植において)2個移植はできますか」というものがあります。特に日本においては、単一胚移植を是とする流れが強い傾向にあります。体外受精が始まったばかりの黎明期において、凍結技術がまだなかったり、あっても未熟だった頃は、技術的に未熟で妊娠率も高くなかった時代的背景と移植も凍結もできない胚は廃棄するしかなかったこともあり、2個はもちろん、3個、4個移植などは当たり前のように行われていました。筆者が産科で研修をしていたころは、ふたご、三つ子、四つ子、五つ子の妊婦さんが
リプロダクションクリニック東京公式ブログをご覧いただきましてありがとうございます。当院へまだ通院されていない方もおられると思いますので、メール等でよくご質問いただく内容についてQ&A形式で回答します。①当院は土日祝日も含めて、毎日診療しております当院は、年末年始の数日以外、原則として土、日、祝日も含めて毎日診療しております。曜日による診療制限もありません。お仕事をされている方が通院しやすいように、また、その方にとってのベストの日に診察を行うためです。祝日を除く火~金は、最終予約時刻1
今日は、知っている人にとっては簡単だろうが意外と質問が多い、卵子、卵胞、空胞について解説します。卵胞は、原始卵胞(0.03mm)→一次卵胞(0.04mm)→二次卵胞(0.07mm)→前胞状卵胞(初期胞状卵胞)(0.2mm)→胞状卵胞(後期胞状卵胞)(2~5mm)→成熟卵胞(18~20mm)と変化していきます。月経中に医師がカウントしているのは後期胞状卵胞です。以前の記事(砂の中の小石)で書いた通りですが、エコーで描出可能なのはせいぜい2mm程度、卵巣のコンディ
こんにちは。遅ればせながらあけましておめでとうございます㊗️変わらず鍋ライフが続いている金田歩美です。今年もよろしくお願い致します。アクアパッツァ、ヒュッツポット…いよいよ飽きてきました。今年は丑年…そろそろブログ…。では、毎回恒例?まつぶーん先生との相談の時間です。しばしお付き合いを。👩⚕️「先生、そろそろブログの時期です。次は和食で妊活に良いレシピ、何かありませんか?」👓「この前アクアパッツァ作っていた時に、地中海料理は和食に似てるなと思ったんですよ(金田は前から思って
ネタ切れというか倦怠期というか、いいねが多いことに気をよくしておサボリしておりましたが、いやあ、、2月のブログ記事3件は酷すぎだな。その割に、いつもランキング上位を維持させていただいてしまい、ほんと申し訳ない。もうちょっと頑張ります。ということで、今日は、こんな題名でお送りしております。医師は、もちろん病気(生殖医療においては妊娠できない、継続できない)ことに対して検査をして治療計画を立てて、問題を解決していくのが仕事です。心のケア自体は専門ではないですが、もちろん、身体的のみな
みなさん、こんばんは。少しお久しぶりになりますが、今日は、月経中に見えた卵胞を採卵することの是非についてお話してみようと思います。卵巣機能が正常で月経不順がなければ、通常は月経中には育っている卵胞はありません(10mm未満が正常)。月経周期が短い場合(おおむね26日未満の場合)、月経3日目ごろにはすでに11~12mmくらいの卵胞が見えることもありますが、この程度であればあまり大きな問題にはなりません。しかし、月経3日目ごろに、18mm~20数mmの「卵胞のようなもの」が見えることがあります
今日は空胞のお話です。採卵は、またの名を「卵胞吸引術」と言い、卵胞(卵子が入っていると思われる液体の袋)に針を刺して卵子と液体を一体的に吸い、その液体の中に卵子があるかどうかを顕微鏡で確認する(検卵)する一連の流れのことを言います。以前も書いたことがありますが、卵胞1個は20mm(2cm)、卵子は0.1mmですが、例えのために5倍に拡大してみると、直径10cmの水風船に0.5mmの透明タピオカを入れて、風船にストローを刺して、中の水ごと0.5mmの透明タピオカを吸引する、みたいなミッ
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日で第16回です。なお、スーパードライのネタは番外編に変更しました。私たち医師は、どのように卵巣刺激を選んでいるのか。もちろん、最終的には個人の体質や治療歴によって大きく変わりますが、今日は雰囲気だけでも分かっていただければ。そもそも、卵巣刺激には、①卵胞を育てる(卵巣刺激・排卵誘発)+②育った卵胞を排卵しないように抑える(排卵抑制)+③卵子を成熟させる(トリガー)、の3段階
今日は、採卵あれこれについてお話しようと思います。一般論と、リプロダクションクリニック固有の準備を混ぜてお話しますが、どの施設も似たようなことはしていると思いますので、上手にお読みください。さて、患者さんにとって採卵は排卵誘発剤の使用(卵巣刺激)に始まり、採卵2日前の夜のトリガー(点鼻薬やhCG、オビドレル)、そして採卵日を迎えます。採卵日が決定すると、システムに採卵決定者が続々と登録されてきます。稀に採卵が前日決定することもありますが、基本的には採卵は2日前の夕方に人数等が出そろいます
今日は11月29日、いい肉の日です。11月11日はポッキーの日、11月22日はいい夫婦の日ですが、外来でコメントして一番皆様の反応がいいのが、この日です。たいして面白いわけではないのでウケ狙いでドヤ顔で言うよりも、ニコリともせず真顔で急にと言うと、不意を突かれて笑っていただけることが多いと気づき、この言葉にはだいぶお世話になりました。ちなみに、「ポッキーの日」は、皆様、ほぼ無反応で、患者さんとクラークの冷ややかな視線がステレオで突き刺さり、寂しい思いをしました。さて、いきなり脱線してし
生殖医療解説シリーズのまとめサイトです。定期的に追加あるいは細分類しています。論文紹介というよりも、皆様の診療の指針や解説になるような内容を心がけておりますので、最新記事を常にという方には物足りないかも知れませんが、基本的にはリプロダクションクリニックの標準方針に則ったことを書いておりますので、リプロのやり方を知りたい方にとっても参考になると思います。最近更新が滞りがちですが、迷う局面で重要な内容はほぼ網羅されていますので、ぜひご一読ください。☆が多いものがおすすめの記事となります。
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズも、今日で第7回となりました。バックナンバーもぜひご覧ください。月経中にみられる、ある程度大きな卵胞のようなものを、「遺残卵胞」という言い方をすることがあります。今日は、この「遺残卵胞」について解説いたします。日本産科婦人科学会刊行の産科婦人科用語集には、「遺残卵胞」という言葉はありません。というのも、「月経中にみられる、ある程度大きな卵胞のようなもの」は、実際には、色々な内容の
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズレギュラー編としては第22回となります(トータルでは38編目)。過去ログもぜひご覧ください。さて、今日は受精について解説いたします。受精というと、本当は、減数分裂の起こり方など何回読んでもいまいちよく分からない部分を避けて通れないのですが、生殖医療解説シリーズは実践重視なので、敢えてそこは避けて通り、結局、よく見るあの記号は何を意味するのか、どういう受精結果だと結局どうなのかという
みなさん、こんばんは。今日は新しいシリーズ「よくある質問」シリーズです。当院では、ホルモン補充周期の場合、初回来院は月経2-5日目、その次は、11-16日目に来ていただいております。初回来院の時に、「次は11-16日目のいつ来ていただいても結構です」と説明すると、それなりに高頻度で、「それはどういうことですか」「本当にいつでもいいんですか?」「いつが一番とか本当はあるんでしょう」という質問とともに、「着床の窓とか聞くんですが、それでもいつでもいいんですか」という質問があります。着