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アフリカに渡航する直前に親友が突然この世からいなくなってしまったこと。今はすごく意味を感じてる。「奇跡の養鶏場」は大成功となった。もちろんまだ問題は残っているけどここまできたらリチャードたちなら必ず俺との約束を守ってくれると信じてる。だけど...本当はまだ心のどこかで100%信じきれていない俺がいる。彼らの過去、そしてアフリカという土地の歴史からそんな簡単なものじゃないと理解してる。アフリカじゃなくたってお金は人を変えてしまうから。もしかしたらリチャードやアリューたち
アフリカでの日々。苦しいとき毎日、自分に問い続けてた。「もし宇宙が信じられないような素晴らしいアイデアをくれるとしたらお前はそれを受け取るに相応しいのか?」改めて思うのは、この「PEACEis養鶏プロジェクト」が起こした奇跡とは、この国に存在しなかった「養鶏」というものを持ち込んだことだと思う。それはすでにここにあったダイヤモンドを、今はまず横に置くところから始まった。「雇用を創りこの国を平和へ」そんなことはPEACEisには不可能だと周りからは言われた。途中で諦めて離れ
リチャードのことが気になる。その胸の中で何を思っているのか?全体ミーティングの後もたひたびリチャードとは個別で会った。リチャードの胸のなかを知りたかったから。いや、知る必要があった。意外だったけどリチャードからは何か問題や不満があるわけではなかった。ただリチャードからのリクエストは正式な形式での契約を交わしたいとのことだった。今回のタームの前に交わした契約書はとても簡易的なものだった。期間もタームが終わったら終了という短いものだったし、もし何か問題が起こった際の責任の所
とにかく今はみんなの胸の中を知りたかった。たとえどんな理不尽な文句だって構わない。ルールはたったひとつ。決して俺以外の誰かを悪者にしないこと。それだけ。上がってきた意見はさまざまだった。時にはヒートアップして言い争いになる場面もあったけど、なだめて続きを促す。俺だけは何があっても冷静でいる必要があった。性格上、すぐに熱くなってしまう俺だからこんな経験もほぼ初めて。次から次へと上がってくるみんなの意見を冷静に聞いていると、誰が嘘を言ってるのかが不思議とわかった。かと言ってそ
帰国がせまる6月下旬には鶏舎はすっかり空っぽになった。リチャードたちはとうとうやったんだ。改めてそのことを実感している。今日は現場にみんなで集まって全体ミーティングを開催する。参加者はリチャードたちファームチームとアリューたちのセールスチームの他に、今回関わってくれた全てのサポートの方々にも集まってもらった。もちろん首長のフランクも村を代表して参加してくれた。このミーティングの目的はたったひとつ。次の第2タームを良い形で継続するため。まずはリチャードやみんなへ今日まで
みんな「奇跡」って経験したことある?とうとうリチャードたちはやってくれた。そしてアリューやシルベスタたちもみんながそれぞれの力を合わせた結果だった。今日はとうとう鶏の初出荷の日。大きな子はすでに3kgもあり、お客様も大満足で購入してくださった。午後にはその噂を聞いてさらに注文が殺到した。今日までの死亡率は驚異の2.6%。あれだけ無理だと思われてたこの国初の本格的な養鶏場は大成功となった。彼らは本当にこの国で奇跡を起こしたんだ。ここまで本当に長かった。リチャード
よくみんなから青木は運が良いって言われる。確かに自分でも運は良い方だとは思ってる。そもそもみんなが言う「運が良い」って?俺はそもそも「運」って持ってるものでも備わったりしてるものではないと思ってる。なんていうか、誰かのものっていうより、そこら中に漂っていて、いざという時にヒョイって力を借りるイメージ。だからいざという時のために運に好かれるというか選んでもらう必要がある。そのためには、結局その人が日々どんなふうに生きてるかで決まるんだと思う。例えば「すぐに行動する」「あきらめ
分かり合えないことうまくいかないことをいつまでもグダグダ言っていても仕方がない。そのまんまでいい。今はそのままで前に進んでいこう。ふと俺はなぜここにいるんだろうと思うことがある。ビジネスマンでもないし、養鶏のプロフェッショナルでもない。フランス語もサンゴ語もできない俺はなぜここにいるんだろう。毎日のように提示されるリチャードやシルベスタたちからの問題に頭をフル回転してジャッジしていく。その場で解決できることもあるし、もちろんすぐに解決できないこともある。それでもこうして、1人
アフリカは支配と裏切りと殺し合いの歴史。信じられないけどこの21世紀の今でも現実としてまだ存在している。今回いろいろわかったことがある。アフリカの彼らの扱い方をフランス、イギリス、ヨーロッパはよーく理解し熟知していたこと。だけどそのやり方で現在に至るまでこの国は発展しなかった。させてこなかったという方が正しいのかもしれない。このプロジェクトの目的のひとつはこの国を発展させること。国を変えるためにはまず人が変わることなんだと思う。1度にこの国の国民全員を変えることなんてできな
本気で帰国も考えなければならないのだろうか...さらに追い討ちのようにアフリカの洗礼マラリアにかかり1週間以上も寝込んだ。シルベスタたちが心配してわざわざ部屋まで医師を連れてきてくれたが、予算が底をついてしまっている以上こんなことに使うお金はなかった。「俺は大丈夫だから、頼むから今は目の前の仕事に集中してくれ」と医師とみんなに帰ってもらった。それでも問題は次から次へと起こるからそのたびに解決のためのお金が必要となる。いつどんな問題が起こるかわからないからわずかに残った予算をその
最近は心の底から笑えていない。心と身体が限界だと自分でもわかっていた。せめて隣にいるシルベスタやリチャードにそれを求めたいけど彼らも今は自分たちのことで精一杯なのがわかる。他人のことなんて考えられる余裕のあるやつなんて今はいない。まあだからシルベスタも平気で俺に滞在を延長してくださいと言えるんだろうけど。お世話になってるユニセフの方に相談したら、1度日本に帰国したほうがいいと言われた。少なくともこの国から出る必要がありますって。まだ大丈夫ですと言ってバーンアウトした同僚をこれ
まだスケジュールの途中なのに日本に帰りたいなんて初めてのことだった。これまでのように写真家として作品を自由に撮ってるだけなら全く問題はなかった。うまくいってもうまくいかなかったとしても全てが自分だけの責任であって誰にも迷惑をかけない。お金のことも自身の命でさえも全て天秤にかけて決断してきた。それだってもちろん全てが思い通りにいくはずもなくストレスだらけだったけどそれも含めて楽しめてた。だけど今はプロジェクトのために毎日誰かとビジネス(お金)の話ばかりでマウントを取られないように駆
シルベスタよ、みんなも..聞いてくれ...第2タームのために、今はそれぞれが自身の役割のなかでできることをトライ&エラーでやってみること。それでもうまくいかなかったらまた違う解決策をみんなで探してみようよ。今、俺がここにいる理由はそのためなんだ。みんなで初めてのことにトライしてるんだから問題が起こるのは当然。俺がここにいる間はいろいろチャレンジできるでしょう?今は次のタームに向けて、何が最善かを見つけてほしい。そのためにみんなには大変かもしれないけど、無駄だと思うことかもしれな
初めての今回はあくまでもお試し期間。とにかくやってみて何がうまくいって何が問題なのかを知るためのトライアル。だからこの第1タームが完了したら終わりではなくて次の第2ターム、第3タームへと継続させなければならない。しかも間を空けることなく。だけどリチャードはとにかく今はこの第1タームを成功させることが重要だと譲らない。それでもいい。それならなおさら俺がその先も見据えて動いていこうと決めていた。しかしなかなかそこがうまく噛み合わなくなってきた。その原因はやはり俺1人だけが次のこ
食パンにジャムを塗ることによってそれまで存在していなかった食パンに表と裏が生まれる...こっちに来てもうすでに2ヶ月が過ぎた。写真家として約20年間さまざまな戦地で写真を撮り続けてきたけど、これまで1度の取材での滞在は2ヶ月が限界だった。それは体力的な限界というより精神的な限界だったように思う。現場でただ生き延びるだけならきっと1年でもいられる。だけど写真家として作品を生み出すためには心身共に充実していないとならない。その限界が俺には2ヶ月だった。そして今回、ここで2ヶ月が
毎日、小さな命と向き合う。どれだけケアしてもどうしても弱い子は死んでいく。リチャードたちのいる現場の空気が嫌な空気で張り詰めているのがわかる。さらに彼らはひよこたちが出荷されるまでここに泊まり込みで家族と離れての生活。身体的な疲れと精神的なストレスがピークに達しているのは理解してるつもりなんだけど...また今日も現場で大声で怒鳴ってしまった。スタッフたちからのできないできないばかりの苦情に激しく反応してしまう。最近はこんな日が多い。「そんなことでどうする?できないできないばか
ある日、いつものようにシルベスタと日常品の買い物に行った日のこと。バンギ市内にある大手スーパーは全てレバノン人が経営するもの。ローカルのスーパーより高いけどここにしかないものがあるから仕方ない。今日はシルベスタがたまたま家から持って来てたポットやコップが入った袋を持ってそのまま入店したのが問題だった。俺が会計を済ませてお店を出ようとしたら、レジにいたレバノン人がシルベスタを指して「どこから持ってきた?店のものを勝手に持ち出すな!」と泥棒呼ばわりされた。この国では特に珍しいことで
ひよこたちがやってきてからあっという間に1ヶ月が経った。予定通りならあと2週間で初出荷となる。リチャードたちの懸命な仕事のおかげでひよこたち(ひよこでも鶏でもない今この状態は何て呼ぶのかしら?)はしっかりと育ってくれている。もちろん1羽も犠牲になっていないわけじゃない。ここまで1ヶ月でマイナス94羽。どれだけ丁寧にケアしてももともと弱い子はいて、その子たちは最後まで生きられない。今回、初めての養鶏場を始めるにあたって、スポンサーのお1人でもある養鶏専門家でいらっしゃる社長から
現場ではリチャードたちが命をかけてひよこたちを育ててくれてる。その間にウチらセールスチームがやらなくてはならないこと。大きく育った鶏の売り先をアリューたちと開拓しておくことだ。アリューたちは任せておけと言ってくれるけど、俺にもやれることはある。外国人の俺だからやれることもあるはずだ。首都バンギにある大きなホテルやレストランは政府直轄か外資ばかり。そこにアリューたち中央アフリカ人が売り込みに行っても相手にされない。あくまでもアリューたちの販売先ターゲットはローカルコミュニティだ。
毎日ひよこたちに首ったけ!5月末の出荷に向けて予算と時間が限られてるからスケジュール的にはやらなきゃならないことが山積みなんだけど、どうしても足が(心が)ひよこたちに向いてしまう。今はこうして1人で鶏舎にこもってひよこたちの写真を撮ってる時間が1番幸せ!「生きろー!」って想いを込めながらシャッターを切ってる。この鶏舎いっぱいに広がる黄色いじゅうたんの中にいると幸せな気持ちになる。この「黄色」って幸せの色、平和の色だと気づく。そうそうねえ知ってる?生まれたてのひよこの匂
とうとう会えたね!ずーっと待ち続けてた愛しの彼女たちは絶世の美女というより目に入れても痛くないくらいの可愛い子ちゃんでした!俺だけじゃない。リチャードたちみんなも待ち望んでいた瞬間だった。ひよこのためにみんな忙しなく動く。邪魔にならないようにその間を縫ってシャッターを切る。写真を撮ってるとピヨピヨとひよこたちが近づいてくるんだよ!これはたまらん!しばらく鶏舎から離れられませんでした。日本からもたくさんのお祝いメッセージが届く。中には青木のことだからきっと涙でフ
写真だけに限ったことではないけど、人生も含めてテクニックだけでやっている人というのはすぐにわかるよね。残念だけどどこか人工的でウソくさい。もし大事な場面で相手を説得するにあたって、いろいろな策を練り、いろいろな心理テクニックを使おうとしがちだけど、そこで本当に大切なものは最後はテクニックではなくなる。たとえ話すテクニックに長けていてもそれだけで人は動かない。最後に人を動かすのはテクニックを超えた何かだと思う。それは相手に向けられた言葉と言葉の間から滲み出してくるような情熱や人間力み
ひよこが来るまでもうしばらく。その間にボーっと写真のことを考えていた。写真家として常に考えていること1枚の作品の中で①写真家の能力(実力)はその中の何%を占めているか?②被写体の魅力は何%なのか?③それを取り巻く環境(ロケーション)の影響は何%あるのか?④使用したカメラやレンズ、プリントの影響は何%?⑤その他、作品に影響を及ぼす何かがあるのかないのか?もし存在するならそれは何%を占めているか?写真家は素晴らしい作品を前にして、たいてい自身の力で撮影したと思いがち
今日とってもとっても嬉しいことがあったんだ。リチャードとアリューの初顔合わせ。シルベスタにはまだ早いですとは言われ続けてたけど、やっぱり今回の第1タームが始まる前には必ずどこかでこの2人を合わせておく必要があると感じてた。ただそのための最適なシチュエーションが思い浮かばない。そんな時、その瞬間は偶然訪れた。その瞬間、かなり周囲はピリついた。そんな張り詰めた空気を壊してくれたのはリチャードだった。「今はこの国の平和と発展のためにキリスト教徒とイスラム教徒が手を組むことが必
永遠に続く樹平線の前で1人、まるで恋人を待つかのようにまだ見ぬひよこを待ってる写真家です。時が過ぎていくじゃなくて1日1日少しずつ近づいてきてる感じ。今、俺はワクワク中です!まさに絶世の美女を待つ気分。今ならたとえ目の前にどんな美女が現れても、どれだけ大金を積まれても今はひよこにしか目がいかない。もし神様が目の前に現れて「どんな願いでもひとつだけ叶えてやろう」と言われたら迷いなくかぶせ気味に「ひよこ!」って答える。ひよこにしか興味のないこの瞬間。人生でこんな気持ち
珍しく朝早くにシルベスタから連絡が入る。たいていこんな時は悪い知らせ...「ヒロさん、どうやらまたクーデターが起こりそうです。KagabanboroとSodoの2箇所で戦闘があったようです」当たった...またかよ..そう、いつもだった。何かうまく動き出しそうになると決まって邪魔が入る。少し詳しく調べてもらう。どうやらフランス軍が仕掛けた軍事用ドローンが中央アフリカ軍によって強制着陸させられたことが発端のようだった。現在、滞在している首都バンギからも、鶏舎のある
ひよこが来る前にやっておかなきゃならないことは山積みだ。そのなかでも特に重要なのがリチャードとの初めてのパートナー契約の締結。もうずいぶん前から契約の話は出てたけどなかなか現実的に進められず形にはなっていなかった。実際、今回もパートナーとして一緒にビジネスをやるんだけどまだテストだし、規模も大きくないからわざわざ契約を結ぶ必要はないのでは?との日本側の思いだったが、リチャード側のたっての希望で正式な契約を結ぶことになった。なぜリチャードがそこまで契約にこだわるのか?これまで何度
ThisisAfricaいつものことだけど予定通りに進まない。そもそもここでは「予定を立てる」必要すらないのではとさえ思ってしまう。20日に入荷予定だったひよこの入手がさらに遅れるとの連絡が入った。やっぱりヨーロッパの連中はここアフリカにどうしてもひよこを渡したくないのだろうかとさえ疑ってしまう。今回滞在の予定ではひよこを入手し、しっかり育てて、しっかり売り切る。その売り上げを配分してようやく第1タームが完了となる。そこまでは俺がここでチェックと決断をしていかなければな
25年以上も心が通じ合っていた唯一無二の親友の訃報が届いたのはアフリカへ出発する直前だった。ずっーと体調が悪くていつどうなってもと覚悟はしていた。だけどやっぱり早すぎるよ...最後にあいつと会ったのは去年の11月だった。その時はまさか今生の別れになるなんて微塵も思わなかった。今もまだ心が追いつかない。頭では理解してるつもりなんだけどきちんとサヨナラができないでいる。最近なんだか大切な人との別れが多い。みんな早すぎるよ...全ての予定をキャンセルして帰郷し、お通夜に出席した
眼下に見慣れた真っ赤な大地が広がる。先週の今頃は父の一回忌だった。地元鳥取は前日からの突然の大雪で車がストップし、銀世界の中を必死で歩いてたのが信じられない。タラップを降りると前回のように「HiroshiAoki」のネームを掲げる空港職員に声を掛ける。ん?!よく見てみると「Hiroci」になってる。きっと俺で間違いないと思いながらも恐る恐るパスポートを手渡す。ほっ。間違いないようだ。入国の手続きをしてもらってる間に待合室でシルベスタと再会する。外にはいつものように