相原徹と橋口純子は付き合ってもう10年以上になるだろうか。出会った頃は二人とも中学生で、将来の話なんてまだぼんやりとした夢のまた夢だった。それがいつの間にか「結婚」という言葉が普通に会話に出るようになり、同僚や友人の結婚式に出席する機会が増えてきた頃、お互いの将来について考えるようになった。徹は優しかった。口数は少ないけれど、純子の話をちゃんと聞いてくれる。純子が疲れて帰ってきた夜には、料理を作って待っていてくれたり。そういう小さな積み重ねが、純子にとっては「この人となら、ずっと一緒にいられる」