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「ありがとうー!またねー!!」たくさんのお客さんに手を振り、ステージを降りた。今日も有難いことにsoldoutだった。良いライブになった。「お疲れ様でしたー!来週またよろしくお願いします」二日目の今日、東京に戻るスタッフさんに別れを告げ先に出る。福岡二日目の夜。すべき事は一つ。夜の街に出た俺はスマホを手にした。「今どこ??」待ち合わせはいつも友人の経営するお店。「お疲れ様ー、奥にいるよ」「ありがとー」いつもの部屋を確保してくれてる。襖を開けると君はすでに座ってメニュ
あれから数年経ち、俺は20歳になった。高校最後の一年間、俺は変わらず勉強に取り組んだ。先生がしてくれたことを無駄にしたくなかったから。実彩子や西島や後藤先生に助けてもらってなんとか無事に卒業出来た。そして今こうして大学まで通っているのは、あの荒れてた時期からは考えられないことだ。俺が今ここにいるのは、伊藤先生のおかげや。卒業してすぐに、俺は嫌いだった家を出て一人暮らしを始めた。俺が出ていったあと、母親は仕事を変えて昔より落ち着いて丸くなった。あの時の男達はみんな切ったらしい。結
ジュースを買いに出てから戻ってきた先生は明らかにおかしかった。どうしたんやろう?でも無理していつもと変わらない態度を演じてたのがわかって何も聞けなかった。次の日も次の日も、変わらず勉強を教えてくれた先生。そしてとうとうあの日のことを聞けぬまま春休みに入ってしまった。先生とは個人的な連絡先を教えて貰っていなかった(教えてくれんやった)ので全く会わないまま日々がすぎ、あっという間に四月になった。進級が決まった俺は、久々に学校に向かう。桜の舞い散る校門をくぐり抜け、玄関に張り出されたクラ
真「なぁ、先生。お礼したいんやけど…このあとちょっと付き合わん?」なんであんなことを言ったのかあの時は自分でも分からんかった。そんなキャラやないのに。金なんか無いのに、なんかきっかけ作ってもっと側にいたかった。勉強だけやなくて…もっと勉強以外の他の話とか色々したかった。考えたら伊藤先生のこと、何も知らん。一生懸命なとこ、誠実なとこはこの数ヶ月でよく分かった。やけど…それ意外は何も。先生のこと何も知らんわ、俺。気がつけばもう放課後、いつもの理科準備室の鍵を今日は俺が受け取りに行く
まだまだやなー。テストの結果は散々。でも以前より点数が上がっているのは確実だった。これも伊藤先生のお陰や。その時、家のドアがガチャっと開く。しばらくすると俺の部屋のドアが開いた。見ると見知らぬ男が立っている。「お前、あいつの息子か?」真「あんた誰?」「生意気な口聞きやがって!!」俺の胸ぐらを掴んだ。「母親、どこ行った?」真「知らんわ。何日も見てないし」「チッ!」舌打ちして出ていった。男関係がだらしないからトラブったか?真「はー…」勉強する気分やなくなった。外
すっかり人気がなくなった教室に、何故か俺と伊藤先生だけがいる。千「はい、よそ見しない。ここ、解いてみて」正直面倒臭い。でも、マンツーマンだからかわかりやすい。千「国語はまぁまだ見込みあるかな。問題は他の教科だよねぇ。…私から先生達にお願いしとくよ」他の教科の先生と毎日放課後に授業?!冗談やないわ!真「嫌や。俺は伊藤先生からしか受けん」千「何言ってんの!私の担当は国語だよ?他の教科は教えられないよ…」真「やったらもうええ」そう言って立ち上がる。千「待って!待ってったら!わかっ
真「わかったわかった。顔出すわ」ついに口にしてしまった。伊藤先生のあまりのしつこさにとうとう根負けしてしまった。千「ほんと?約束だよ!明日から来てね!待ってるからね!」モニター越しですごく嬉しそうに笑う先生の顔を見て、荒んだ心に暖かな火が灯った気がした。なんでやろ。先生の笑顔に、俺の顔が久々に綻んだ。実「あれ?真司郎?!どうしたの?!やっと行く気になった?!」実彩子が登校中の俺の姿を見かけて近寄ってきた。真「まぁな」実「あのさ、ここ何日か真司郎の家の前で伊藤先生を見たんだけど
隣の部屋から物音と、人の声がする。またや…。母親の喘ぎ声で目覚めるなんて最悪なことがあるやろうか。またどこかの男連れ込んどるんか。ベッドの横に置いていたスマホを手に取り時間を見るとまだ夜中。真「もう…勘弁してや…」再び布団をかぶり、無理矢理目を閉じる。俺が学校に行かなくなったことに対して、最初こそ口煩く言っていたがもう諦めたらしい。「学校行かんのやったらさっさと辞めて働いて家に金入れて!」なんて言い出す始末。学校辞めて働く…か。そうやな。それもありかもしれん。住み込みで
俺が17の頃、親が離婚した。母親に引き取られ、一軒家から小さなアパートに引っ越した。それから俺の生活は一変した。生きる為に慣れない夜の仕事を始めた母親は、いつしかその世界に染まってガラリと人が変わってしまった。そんな生活に嫌気がさして自暴自棄になった。俺を助けてくれたのは……くだらないと思っていた毎日を変えてくれたあの人。実「真司郎!また喧嘩したんだって?卒業できなくてもいいの?!」朝から小煩いこの女は、近所に住む実彩子。何かと俺に構ってくる変なやつ。真「売られた喧嘩は買うし
…俺は不機嫌だった。なんも聞いてなかったし。こんなシーンがあることなんて。見てしまってからこの映像が頭を支配する。心の中はずっとモヤモヤモヤモヤ…。思い出してデレちゃってさ…。その時、ドアを開け入ってきたのは俺のモヤモヤを気もしてない当事者。今日は幸か不幸か、宇野ちゃんと二人の仕事だった。実「あら、にっしー来てたんだ。早いね」隆「そう?別に…」つい無愛想な態度を取ってしまう。実「何ー?また不機嫌?」俺は朝早い時こんなテンションだから、特に不思議には思われなかったらしい。
真「あれ?ちあちゃんやん」その声に振り返ると、そこに居たのは真ちゃんだった。千「真ちゃん、どうしたの?」真「俺もこっちで仕事やったんよ。びっくりしたわー。すごい偶然やなー」東京から離れた地方で久々に見る真ちゃんの笑顔。私の知ってる頃よりもちょっぴり少し大人に見えた。私がAAAを卒業してから、ぐっと会う時間も減って、その成長ぶりに時間の流れを感じた。真「元気してるん?」千「うん。まあね。真ちゃん今日は仕事なの?」真「おん。仕事。あ、ちあちゃんちょっと今から時間ある?せっかくやしお
私のソロシングル発売をお祝いしてくれるって珍しくにっしーがご飯に誘ってくれた。にっしーとのさしめしは久々かも。どこに連れてってくれるのかな。ちょっとワクワクしながら今日の仕事に向かう。実「お疲れさまでしたー」雑誌の取材をいくつか終えて時計を見ると、もう約束の時間に近づいていた。実「やばっ、もうこんな時間?!」早く出なきゃ。支度を済ませて呼んでおいたタクシーに乗り込んだ。隆「宇野ちゃん遅いー」実「ごめんごめん」今日はオフだったはずのにっしーは、いつもながらオシャレにキメてた。
ねぇ、覚えてる?私のことを好きだと伝えてくれたのは、一年前のちょうど今頃。お花屋さんにルピナスが出回る時期だった。どんなに仕事で辛いことがあっても、秀太が近くにいてくれたから乗り越えられた。時には厳しいことを言う。でもその深くには優しさがあるの、分かってたよ。そんなあなたがいつも幸せをくれた。あなたは私の安らぎだった。なのに…何故?幸せと安らぎをくれたあなたは、あっさりと私から去っていった。でもね…ある日ふと気づいたの。私は秀太に何をあげられてたのかな。いつしか求めること
「ちょっとだっちゃん、ポン酢ついてるから」「え?どこどこ?」「口のとこ、あ、違う。反対」「取ってよ」「やだよ。自分で取れるでしょ?」「もー!あんな所でキスなんか…/////」「いいじゃん」「お店の人、絶対見てたよー」「見せつけてやればいいんだよ」「もぉー!バカだなぁ」「あははっ」「…。んふふ」「ちぃちゃん。お誕生日おめでとう」「ありがとう」ちゅ…。懐かしい夢を見た。ベッドに横たわったまま部屋のカレンダーに目をやる。1月10日。千晃の誕生日だ。夢の余韻が
~あれから数日後~実「真司郎、ありがとうね!」真「なん?奢ってくれるん?」実「可愛くないなー。まぁ、そうなんだけど」真「ヤッター!!」という訳で、実彩子ちゃんにこの前のお礼だって奢って貰えることになった。最近お気に入りだというオシャレなイタリアン料理の店に連れてきてもらった。頼んでた料理がテーブルな並ぶ。実「でもさ。いつから気づいてたの?」真「えー、そんなんもう忘れたわ。でも二人おかしかったで。特に実彩子ちゃん。日高は話しかけたそうにしてたけど、実彩子ちゃんが避けてたやん?」
あの日…。仕事のあとに呼び出され、何なのかと思ったら突然日高くんから告白された。びっくりしたけどすごく嬉しかった。なのに何故すぐに返事を出来なかったのだろう。同じグループだから?周りを気にしてしまったから?他のメンバーに迷惑をかけてしまうんじゃないか心配になったから?いつも人のことをからかってた彼が勇気を出して想いを伝えてくれたのに、それから何だか気まずくなって私は距離をとってしまうようになった。だけど…私も彼のことを気にしている。真司郎の言う通り。私は話さなければならない。
実「なんで…え??」光「何でって。俺もツアー中で来てるんだけど…。え?知らなかった?いやーそれショックだなー」実「いやいや、そういうことを聞いてるんじゃなくてさ」そうだった。日高くん、SKY-HIの海外ツアー中だったんだ。光「とりあえず座っていい?」実「いいけど…もうすぐ真司郎が来るよ?」光「だから、真司郎は来ないんだって」実「??」光「真司郎に呼び出されて俺もここに来たんだけど、ドタキャンされちゃったんだよ」そう言って真司郎が座るはずだった席に腰掛ける日高くんを見て、色々と
真「実彩子ちゃん!こっちこっちー!」真司郎が私に向かって手を振る。私は昨日から雑誌の撮影でロサンゼルス入りしていた。明後日の帰国を前に、時間を合わせてご飯の約束をしていたのだ。真「じゃ、行きますか」実「案内宜しくね」真司郎の連れてきてくれたレストランは私好みのいい感じなところだった。真「撮影、どうなん?」実「うん。いい感じだよ。お天気もずっと良かったからさ」真「そっか」真司郎の海外生活の話や私の今日の撮影の話を色々してた。日本だとなかなか出来ないから、周りを気にせずオープ
真司郎の場合それは新曲のMV撮影のこと…。パジャマを着ての撮影シーン。準備された衣装だとは分かっていても、パジャマ姿になんだかドキドキする。スタジオに流れる曲に合わせてみんなで踊ったり、それぞれ自由にしてる所をカメラで撮られる。俺は秀太に頭をくしゃくしゃにされたり日高の後ろに乗っかったりした。久々にみんなでワイワイやったのがすごくすごく楽しかったんや。あ、これはいらんやつやったわ。そんな中…直也くんが実彩子ちゃんに手をかけるから思わず見てしまった…。いつものコミュニケーシ
最近、眠る時に動悸がして息が苦しくなる。胃がムカムカする。気になって病院に行けば、ストレスと診断され、漢方薬を貰った。ストレスは今に始まったことではない。そして。私は原因がわかってるんだ。好きな人に彼女がいることなんて良くある話。だけど…その相談に乗れるほど私は強くない。そんな事を思いもしてない彼は相変わらず私に相談を持ちかける。「なぁー、どう思うー?」実「知らないわ!自分で考えなよ」「わかんねーから聞いてんだろー!」もう。やだな。何が楽しくて好きな奴の相談に乗ら
秀太とケンタッキーのCMに出ることが決まった。そして今日は撮影の日。ダンスの練習を二時間ほどしてスグに撮影に入る。秀「なんか最近宇野ちゃんとの仕事多いね」スタジオに向かうマネージャーの車の中で隣に座った秀太が言った。実「ホントだよねぇ」ちょっと嬉しかったりする。ダンスレッスンは和やかな雰囲気。ダンスをする時の秀太は本当に楽しそう。見ているこっちも楽しくなる。カーネルサンダース役の外国の方ともカタコトの英語でコミュニケーション取ってるし。「ではそろそろ撮影に入ります」スタ
マ「西島さんっ!!決まりましたよ!」息を切らしたマネージャーが、楽屋でスマホをいじってた俺の元にやって来た。隆「何何?どうしたの、そんなに焦って」マ「決まりましたよ!Mステ!」隆「へ?」という訳で…緊張したままテレビ局のスタジオにいる。隣には宇野ちゃん。表情が少し硬いところを見ると、宇野ちゃんも緊張しているらしい。リハを終え、二人一緒の控え室に戻った。実「はぁ…。やっぱ生放送って考えただけで緊張しちゃうね」隆「だよね…。あ、そうだ。いいこと教えてあげる」実「何?」隆「ちょ
実彩子side時が止まる。というのはまさに今のこの状態のことを言うのであろう…。自分の耳を疑った。にっしーが…私のことを好き??!実「えーっ?!!」隆「いや、そんなに驚かんでも…」実「驚くよ!なんでよ…なんで今?っていうか、どういう意味?!」頭が混乱する。隆「どういうって、そのまんまの意味だけど」目の前にいるのは、あのにっしーだよね??ずっと一緒にやってきたメンバーのにっしーだよね?!チャラかったあのにっしーだよね?!隆「混乱させてごめん…でも今の気持ちに嘘はないから。
実彩子side実「お疲れ様ですー」隆「おう」約束の時間にスタジオに入ると、スタッフさんとにっしーの姿。実「あら。もう来てたんだ」隆「うん。なんか早く着いちゃって」実「張り切りすぎだから(笑)」「じゃあ早速始めましょうか」荷物を置き、支度をする。今日は「歌ってみた」のラフな感じだからそれに合わせてメイクもナチュラルにして来た。服は打ち合わせて美女と野獣に合わせたカラーを選んだ。私は黄色。にっしーは青だ。「じゃあ宇野さんから先に入りましょうか」実「はい」レコーディングブ
実彩子sideその日からにっしーと時間が合えば二人で。会えない日は一人で家で遅くまで練習した。どうやら会社にもマネージャーを通してこういう企画考えたって話をしてくれたらしい。そして完成後「歌ってみた」としてYouTubeにあげてもらえることになった。千「宇野ちゃん、聞いたよー。にっしーとデュエットするんだってね!」久々にかかってきた電話で千晃と話した。千「二人の歌、楽しみにしてるね」実「ありがと」千「それから…」実「ん?」千「頑張って♡いろんな意味で」実「なっ…何が??」
実彩子side隆「宇野ちゃん、ちょっと今日暇?付き合って欲しいんだけど」ある日にっしーに呼び止められた。実「何?いいけど」オシャレなバーに連れてきてくれたにっしー。どこでこんなお店知ったんだろ。頼んだカクテルがテーブルに届くと軽く乾杯して口につける。久々のふたりきり。しかもいいムード。私は少し緊張していた。まさか…まさか?!いやまさかね。そんな淡い期待とは違ってにっしーの口から出たのは隆「また二人で歌う気ない?」だった。実「え?」にっしーが言うには先日映画試写
四月を迎える前からやることが沢山あった。AAAから異動する準備とか…今後の仕事の打ち合わせやこれからの私のスケジュールとか…。既に入っていたたくさんのスケジュールをこなしながら、四月直前にそれらは大体済ませた。最後に残ったのは…AAAメンバーとのグループLINE。私の最後の仕事はここから退会すること。開いてみるとそこにはみんなと共有した写真や話題が沢山詰まってた。でも、もうここに私はいられない…。震える指で「退会する」を押した。『chiakiが退会しました』直「え…」スマホ
あれ?さっきまでみんなといたはずなのに。気がつけば私は1人で楽屋にいた。不安になってドアを開けると広い廊下に出た。「あ…」ちょうど角を曲がるところにみんなと歩いていく宇野ちゃんの姿が見えた。「宇野ちゃん!みんな!待って!」ドアを出て追いかけようとしたら、何かに掴まれた。見ると小さな子供が私の服の裾を掴んでいる。なんでこんな所に子供が??私は角の向こうを気にしつつしゃがみこんでその子に目線を合わせた。「どうしたの?お母さんは?迷子になっちゃった?」どこかの子役の子かな…。
リーダーの運転する車で行った先はAAAの思い出の地だった。ストリートライブをやった所、昔会社のあった所、MVの撮影現場、色んなところを巡り、当時を思い出しながら語った。振り返れば本当に、楽しいことも苦しいことも沢山あった。だけど、このメンバーでいれたから乗り越えられたんだよね。男女混合のグループで、一時は解散とかいう話も出てたけど、続けて良かった。まさかこんなに強い絆で結ばれるなんてあの時は思いもしなかった。その後も思い出の地でみんなで写真や動画をたくさん撮った。そんな楽しい時間を
「今までありがとうございましたー。AAAの伊藤千晃でした!みんな、またね!」LINEライブの放送が終わった。これで公の場での私のAAAとしての活動は最後になった。長い間過ごしてきたAAAの生活が終わったんだ…。十二年の思い出が頭の中を駆け巡る。「お疲れ様」優しく迎えてくれたマネージャーの言葉に思わず涙がこぼれた。千「ありがとう。お世話になりました」「車で待ってるからゆっくりね」千「うん…」マネージャーの気遣いをありがたく思った。涙を拭いお手洗いに行くと、思った通り目が赤くな