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後ろから伸びてきた手が、ヒョイと図案を取り上げた。「え?」振り向くとウクが立っていた。「旦那様」ミョンが席を立つ。「なんなのだ?これは」ウクが笑顔で図案を広げた。「…えっと」言い淀んでいるとスに微笑んでみせるウク。スはそれでウクも何もなかった事にするつもりなのだと悟った。ウクはミョンの隣に座り図面を見せる。「これは?」ミョンが図面を覗き込む。「これを庭の隅に作りたいんです」「作る?」「えっと、“石窯”といって料理なんかに使う焼き窯なんですけど」「
次の日、スは一日中ぼんやりと過ごした。昨夜の事が頭から離れず、食欲も湧かない。-キス……しようとしたのよね……-強く掴まれた腕には、まだ少し痛みが残っている。昨日のウクは少し様子がおかしかった。“…失うかと思った二度とそなたに会えなくなるのではと…恐ろしくなった”あの時のウクの眼差しを思い出し、ぎゅっと目を瞑って頭を振る。「ウ、ウク皇子様は優しいから…」ちょっと心配しすぎただけ。「忘れるのよヘ・ス」***結局何もしないまま夜になった。「お嬢様、奥様がお呼
「皇子様-!」遠くで使用人の声がしてウクは唇が触れる寸前で動きを止めた。スは顔を背け、腕を掴む力が弛んだのでウクから距離を取る。「ウク皇子様-!」「いた!あそこよ!」「お嬢様!」チェリョンが駆け寄ってくる。ウクは無言で皆に背を向けた。「ジョン皇子様は?!」「無事よ」「スよ!」ミョンまでもが探してくれていた。スは申し訳なくて「心配をおかけしてすいません」と頭を下げた。ミョンは皆の方を見ようともせず、背を向けたままのウクを不審に思いながらも─「兵士に探させたが
「そう、ファイト!」笑い合う2人にソは”ふぁいと?“と首を傾げている。ウクは一人、固い表情で楽しげに笑うスを見つめた。「………」無言で馬の元に向かうウク。ソも馬を引き「お前はこちらに乗れ」とジョンを見る。「……はい」馬は2頭しかいないから仕方ない。スがそれを見てウクの馬の方に足を向けた。「あ、ヘ・ス姉上!」ジョンがスに駆け寄るとスが振り返る。「ちょっとやめて下さいジョン皇子様。それ定着させる気ですか?」「はい!姉上!」満面の笑顔にスはジョンの
──少し前村の中を馬に乗って歩いていたソは、慌てた様子で走って行くスを見かけた。「あ…おい!」声をかけようとしたが気付かずに行ってしまった。-何をあんなに慌ててたんだ?-気になった。気にはなったが、追いかけるのも癪な気がする。きっと大した事ではないだろうと、スが走って行った方とは逆に進んだ。-遠駆けでもしようか…-街道の方に向かおうとしたが、何故か、先程のスの様子が気になってしょうがない。「………………」馬を止め逡巡していたソは結局村に戻った。スが走って行
スは男達を追って走った。男達は抵抗するジョンを連れて林の方へ入っていく。それを見届けたスは林に続く道の露店の主人に近づいた。「おじさん。もしウク皇子様やお屋敷の人が誰かを探しに来たら“スは林へ向かった”と伝えて欲しいの」そう言ってお使いで貰った薬の代金のお釣りを店主に握らす。「おお!これはすいませんお嬢様。分かりました、必ずお伝えします」「きっとよ、お願いね!」スは念を押して店主の手を握るとジョンを追って林に入っていった。***ウクの屋敷では訪ねてきた黄
ユン・ソヌさんとキム・ガウンさんご結婚されたとか🥰おめでとうございます。10年愛だったとか、スゴイね‼️ユン・ソヌさんは『麗花萌ゆる8人の皇子たち』キム・ガウンさんは『朝鮮ガンマン』に御出演されていたのでイ・ジュンギさんも喜ばれているのでは??それとオク・テギョンさんも一般人の女性と御結婚されたとか🥰こちらはちょっとショックかな😭でもお幸せになってください😊イ・ジュンギさんの写真集が届いて、すぐ実家に帰省したのでまだ少ししか見ていません。帰ってきてから1人でこっそ
涙が滲んでくる。「この国は…身分が低いと…大事にされない所なんですか?」ウクに当たるのは筋違いだと分かっていても、ウクにはこの気持ちを理解して欲しかった。涙が頰を伝い落ちる。「同じ人間なのに…獣みたいに吊して叩いて…」悔しくて唇を噛む。「高麗は…そういう所ですか?」なんと答えていいか分からず、ウクは口を噤んだ。正直、何故スがそこまで傷付くのか理解に苦しむ。躊躇いがちにスの肩に手を置いた。「すまなかった」手を置かれた肩が熱い「そなたに約束する」スが涙で濡
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バシン!!背中に灼けるような痛みが走る。スは声を上げる事なく痛みに耐え、詰めていた息を吐きだした。額には脂汗が浮き出ている。「お嬢様!」縄を解かれ座り込んでいたチェリョンが泣きながらスを見上げた。スは奥歯を噛み締める。-鞭で打たれていたチェリョンは、誰も助けようとはしないのね-ウンがウクに止めるようにお願いしたのは、叩かれようとしていたのがスだからだ。きっとチェリョンなら見て見ぬ振りをしたのだろう。スにはそれが許せなかった。低い身分に生まれたというだけ
こんにちは♪ここのところ、お仕事に没頭しすぎで、時間が取れず😢今日、やっと、楽しみにしていた録画番組を視聴しました。それは、『TRAVELIST韓ドラロケ地巡りin韓国・忠清南道』!イジュンギさん主演『麗~花萌ゆる8人の皇子たち』のロケ地が登場!🎥「百済文化団地(『麗』のロケ地)」百済の王宮を再現した壮大なテーマパーク。『麗』の王宮シーンが撮影された場所だそうです。ジュンギさんがワンソとして存在した王宮🧡ファンとして一度は訪ねてみたい場所です。こちらが施設のサイトは
昨夜の出来事をあれこれ考えすぎて寝不足だったスが屋敷の隅でぼんやりしているとツンツンと頰をつつかれた。「?」突かれた方を見ると誰もいない。すると反対側の頰を突かれる。「??」見るとウンが笑って背後に立っていた。「もう!止めて下さい!」ウンのイタズラにイラッとしてそっぽを向いたがウンは気にせずスの隣にぴったりくっついて座る。「何を悩んでいる?」-今日も可愛いなぁ♡-しかし、スは向こうを向いたまま何も答えない。「どんな悩みでも遊んでいるうちに全て忘れられる
籠を持ち上げスカートの裾を持ち、ソの横をヨタヨタと通り過ぎる。下女の時は食べ終わったら食器はそのまま放置していた。次の日には勝手に回収されていたので特に何も思わなかったが、小柄なスには食器の入った籠が殊更大きく見えた。ソは籠を持ってやろうと手を伸ばした。もう少しで手が届く──というところで、それに気付かないスは籠を持ち直し、ソは我に返って手を引っ込める。-何をしようとしてるんだ、私は…-自分の行動に戸惑っていると、よいしょ、よいしょとスが石段を登る。石段を登り切り
抱きしめられた胸の中で感じる自分の鼓動!相手の鼓動…!背中に回された手の感触!ぬくもり…!全てが気持ちの高鳴りへと結びついていく!「元いた世界へ戻らないといけない」と言うジヨン対して、「また余の元へ戻ってきて欲しい」と、願いを口にする殿下!「戻りたくても戻れない時は、余が必ずお前を捜してみせる」最後の殿下の言葉…!「月の恋人」LOVERの私には懐かしくて、記憶が
「ほら、皇子様も!食べさせてあげますから」「はぁ?!」「はい、あ~ん♪」ニコニコと笑いながら胡桃を口元に寄せてくる。しかしその箸はたった今、スの唇に……「──っ」戸惑いを隠せず、スと胡桃を見比べる。「ほら、ね?一口!」子供を諭すような口調にムッとし、自分が躊躇っている理由が胡桃ではない事を悟られないように勢いよく胡桃を口に入れた。「よく出来ました♪」小首を傾げ「おいしいでしょ?」ニッコリ笑うスに「不味い」と言い放ち、そっぽを向く。「うーん……あ!胡桃だけだ
皇宮を見下ろせる高台の四阿の傍の大きな岩の上でソは黄昏れていた。吹き抜ける冷たい風が肌を刺す。“穢らわしい!”耳に残る母の声何をどうしても、自分は愛されはしないのだ。母の為に人を殺めてさえも。人質となった先で、どれだけ非道い扱いを受けていようと、母にとっては“それがどうした”程度の存在なのだ。分かっていたはずだ…。-我ながら呆れるな…-“今、あなたがどれ程辛いか、それは分かるから”今度はあの娘の声が胸裏に響く。“生きたいと思うのは罪じゃないもの
今思えば彼女と過ごしていて違和感を感じることはよくあった。大体彼女は始めて会った時から他の女性と比べるとどこか異質だった。茶美園で女官として働きだし、尚宮となってから彼女からはもう以前のように異質さを感じることはなかったけど一緒に過ごしていると時折その異質さがでてきた。それは彼女が話していた聞いたこともない遠い国の昔話だったり、一体どこで教わったのかも分からない知識だったり、彼女の口から出てくる聞いたことのない言葉だったりした。不思議に思うことは多かったけどスのそういった所をソは好んでいた
スは間近に迫るソの瞳のその奥を探るように覗き込んだ。「どうして殺したのか教えて」-な…に?-戸惑いに揺れた瞳は「退屈だから殺したの?」「!!」見開かれ…そして涙が溢れた。スは息を呑む。男の人がこんな風に泣くところを初めて見た。「……消えろっ」噛み締めるように呟いて突き放すように手を離す。スは心が締めつけられた。-どうして…そんな風に泣くの?あなたに何があったの?-「行け!」ソは俯いて背を向けた。「……前に言いましたよね、生きたいと思うことは罪なのか
「褒めるとでも思ったのか?」ソの顔から笑みが薄れる。「怪我はないかと心配して欲しいのか?」皇后は顔を歪めた。「このケダモノめ…出て行け!部屋中が血生臭くてたまらぬわ!」皇后の言葉にソは顔を強張らせた。「私は母上の為に…っ」言い募るソに「母上と呼ぶな!穢らわしい!」と吐き捨てた。-穢らわしい…?そこまで…?-「お前に母と呼ばれるとおぞましくて虫唾が走る!顔も見たくない!さっさと出て行け!!」茫然とその言葉を聞いていた。脳裏に浮かぶのは幼少期から変わらない母の
部屋の外に出たスは先ほどのウクの行為にかなり動揺していた。-なんで…あんな…-「あんなの…まるで……」その先を考えてはイケない気がして頭を振っておかしな考えを追い出す。少し心を落ち着けようと石塔の広場へ足を向けた。自分の石塔に石を積んで手を合わせる。「お母さん、今頃…私のせいで泣いてるよね」最期に話したのはいつだっけ。「元気にしてるから心配しないで」目を閉じて母を想う。「…実はね…気持ちが揺らいでる…。いけないと分かってても…心が……ときめくの」-妻のいる人を
おはようございますもう8月も終わりですね〜〜新学期も始まりましたね!ほんとに、毎日暑いですねクーラーが一日必要ですほんとに、前みたいにクーラー付けずに寝ることなくなりましたこの暑さに体調崩されてる方もいるかもですが、無理せずに過ごしましょうねそして〜〜今日は麗〜9周年、おめでとうございます!!ドラマが始まったのが、2016年8月29日もう9年になるんですね!!やっぱり、一番大切な大好きなドラマ〜ジュンギペンじゃなくても、好きな方がたくさんいるドラマですファンミでも麗の曲
ーいや、そこじゃなくて…ーまだ痛むのか、傷に触らないようにしているせいで、かなりズレた場所に薬を塗っている。ーもっと下…いや、だから…ーもどかしさにちょっと笑うと近付いてスの手の中にある薬を取り、隣に座ると手前に流れている髪を手で後ろに梳いた。ウクの行動にかなり驚いたのか、スは固まってジッとウクを見ている。その驚きようにウクの方もちょっと戸惑う。「あっ…と、傷が酷くなりそうだから心配なのだ…私が触るのが嫌なら医者を呼ぶか?」そう聞くとスは少し迷いながらも前を向いてじっとし
「2人に騙されて…お金も家も奪われました…。でも馬鹿みたいに2人を責められなかったんです」「悪い夢ね」ミョンはきっぱり言った。「そんな夢は早く忘れなさい」「…悪い夢?」スは小さく笑った。その大人びた表情にミョンは目を見張る。“私はコ・ハジンです”スが記憶を失った日、この子はそう名乗った。ーこれは本当に夢の話?ー「そうですね。ひょっとすると向こうの世界が悪い夢だったのかも」薬指でミョンの唇に調合した紅をのせていく。「完成!こっちの化粧品に慣れてなくてち
死体の安置所でムとソとジモンは儺礼の場でムやソの手によって殺された刺客の死体を調べていた。戦場を経験してきたムや密かに武芸を習い実践を積んできたソと違って、ジモンは生の死体には慣れておらず、漂う死臭や血の臭いに手ぬぐいで鼻を押さえ顔を顰めていた。-なぜ正胤様やソ皇子様は平気なんだ?!-とても常人が耐えられる臭いではない。細かに死体を調べていたムが何かに気付いた。死体の口の中を見て目を見開きソに目を向ける。それを受け、ソもムの見ていた死体の口の中を覗き込んだ。「!」顔
下書きに入れてから1ヶ月以上たってました💦私の思い出の記録なのでどんなにスローペースであっても最後まで書くつもりでいます…良かったらお付き合いくださいね🍀⟡.·*.前回のブログ『2025FESTA渡韓~ソウル・水原の旅2日目その①』FESTA渡韓1日目のブログ『2025FESTA渡韓~ソウル・水原の旅1日目その①』6月11日~14日の日程で韓国に行ってきました。1年前ジンくんの転役後…ameblo.jp6月12日(木)渡韓2日目その②龍山駅から地下鉄1号線で水原駅までの小旅
「我が皇室の威厳も堕ちたものだ!」怒気も顕わに息子達に視線を向ける。そして再びウンに目を向けた。「相手は誰だ、早く答えよ!」ウンは目を見開いて陛下を見る。「そ、それは…その…っ」馬鹿正直にケンカをしたなどと答えた自分を殴りたくなった。***──翌日ウクの屋敷の門前では、スがウロウロと落ち着かず歩き回っていた。先程、ケンカの件で沙汰が下された、内容はウン皇子が直々に伝えに来ると連絡があったのだ。「第10皇子が処罰を伝えに来るのよね」「……はい」チェリョンも落
こんにちは♪イ・ジュンギさん主演『悪の花』5周年記念日おめでとうございます。ついに私もこの特別な『悪の花』記念日を覚えました♡実は、最近イジュンギファンのTさんとお会いする機会がありました。『悪の花』で沼落ちという共通点。横浜の景色の良いカフェでランチしながら、JG談義を楽しみました。Tさんは、私と同じで、Netflixに勧められて『悪の花』の見始めたそうです。IUさんの演技もお好きで、BSで『麗』を同時視聴もされたそう。そして、驚きの一言「ワンソをジュンギさんと気が付かず見
太祖25年新年(942年)皇宮朝議の場ではムとソが陛下の御前に呼ばれていた。陛下の横にはジモンが控えている。「この皇宮で、しかも余の前で正胤の命を狙うとは此度の件の黒幕はただ者ではないといえよう」黒幕は最早正胤の命を狙うことを隠す気もないようだ。「ジモン、刺客の追跡はどうなった」「皇子様方が後を追いましたが生け捕りにはできませんでした。刺客の死体を調べて必ず手がかりを探します」「陛下、刺客は役者を装っていました。雇った者を調べます」ムの発言に陛下は「そうせよ」と告
ハジンは割れるような頭の痛みに呻きながら目を覚ました。額を手で抑えながら起き上がり、辺りを見回すとハジンは自分がソの部屋のベッドで寝かされていたことに気づいた。ソの部屋は昨日着替える時に入った時と同じように整理整頓されていて、ソファーや机などが黒色で統一されていた部屋は窓から差し混んできた光に照らされていた。ふとハジンはベッド脇のナイトテーブルに自分の荷物が置いてあるのに気づいた。ソさんが置いていってくれたのかな?それとも自分で置いたの?っていうか私なんでソさんのベッドで寝ているんだろ