浩処(かゝるところ)に矢(や)叫(さけび)閧(とき)の声(こゑ)間(ま)ぢかく聞(きこ)えて、高間(たかまの)四郎は、鎧(よろひ)に立矢(たつや)を夥(あまた)折(をり)かけ、黒皮威(くろかわおどし)も流(なが)るゝ鮮血(ちしほ)に、紅威(ひおどし)と染(そめ)なさせ、大床(おおゆか)ちかく走(はし)り来て、「敵(てき)は既(すで)に二の木門(きど)まで攻入(せめい)りて、吉田兵衛(よしだひやうゑ)も討(うた)れさむらひき。それがし防矢(ふせぎや)つかふまつるその間(はし)に、とく生害(しようが