中学生の小谷を松野家の婿にする話があったときに、結婚とは家と家がするものだと勘右衛門が当然のごとくに言っていた。家の格を意識する人々のあいだでは、結婚とはそういうものであり続けるようだ。だから、リヨが両親の前でヘブンにプロポーズしたのには驚いた。明治時代とは価値観が様変わりした現代でもこのようなことはあり得ないのではないかと思ったのだが、私が知らないだけなのだろうか。まして県知事の家は松野家よりもはるかに格が上に思われるのでなおさらのことだった。リヨは東京に出て学問をしたことで、家と家がする結婚