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今、俺の前には食堂で借りてきた炊飯器がある。3年は自由登校になった3学期の上に今日は授業のない土曜とあって、寮で昼食を食べる学生はいつもより少ない。そこで、おばさんと交渉した俺は、米5合と共にこの炊飯器を借りてきた。それを抱えて部室へ戻ったら、すでに駒澤がきていた。「おい、真行寺、本当にやるのか?」「あいつらと約束したからな。ひとりひとつ、当たりを引いた奴が、明日の部室の掃除当番だ」テーブルとも呼べそうにはない、部室の一角を占める板張りの古い机に荷物を置き、駒澤を振り返って言った
「瑛二は短冊に何願うの?」「オレっすか?」「うん、瑛二はどんなこと思ってるのかなぁと思ってね」「オレ…野沢さんに気持ちが伝わったから、もう願い事ってないっすね…」「欲がないね…」「そぉっすか?これが一番叶わないものだと思ってたんで…」「…瑛二、君は可愛いね」「こんなむさ苦しいオレを可愛って見えるのはアンタだけだよ」「可愛いよ、瑛二は…。ねぇ、ほんとにない?」「…そーっすね…強いて言えば、もう少しこの関係を維持したいっす」「ふーん、もう少しねぇ」「なら、野沢さんは何かあるんす
「あれ?野沢くん」託生が野沢を見つけた今度の全国大会、Sibeliusを弾くことになって、Sibeliusについてとかフィンランドについてとかいろいろと知りたいと託生が言うので、ふたりで図書館に行ってギリギリまで粘って本や資料を漁り、それなりに託生のイメージも固まっての帰り道、ちょいとショートカットのつもりで公園を横切ろうとしたら、野沢が誰かと話をしているそれも、けっこう深刻そうだ相手が野沢の説得みたいな話を訊いてうつむいてる。なんだ?「うあっ」思わず声が出た託生の口をふさ