ブログ記事13件
長崎源之助作「焼けあとの白鳥」(学校図書『読んでおきたい6年生の読みもの』所収)は、こんな話である。戦争が終わり復員したわたしは、ヤミ市で古本を売りながら童話を書いていた。隣で浜さんという薄汚い男が、修理した三輪車や蛙や蛍を子供に売っていた。タダ同然で仕入れた物を売る、利ざやの大きい商売を自慢しており、わたしは不快に思っていた。浜さんは、プールを作って開業した。入場料を安くし、腹が減った子供が買う飲食物代で儲ける仕組みであった。小学校前で交通整理をして、大人の信頼を得つつ子供に顔を
「お手玉いくつ」作:長崎源之助絵:山中冬児戦争をテーマにした絵本です。お手玉にまつわるお話が、登場人物である花代おばさんの思い出として語られます。公式ページでは、2、3歳〜となってはいるものの、テーマ性も含めてある程度理解するなら、小学校に入るくらいの年齢で読むのがいいのかなと思っています。おばさんが子どもの頃、戦争がありました。父母と離れて子どもたちが疎開をしたとき、お手玉にお母さんが炒った大豆を入れてくれたそうです。お腹がすいたとき、その大豆を食べたんだそうです。その秘密を知ったの
「ゆきごんのおくりもの」作:長崎源之助絵:岩崎ちひろみきおくんを主人公とした物語。「ちびなんかあっちへいけ」って仲間はずれにされたみきおくんが、ひとりでつくった雪のかいじゅう・ゆきごん。ゆきごんは正義のみかた、みきおくんのみかたです。(新日本出版社の絵本紹介より引用)みきおくんとゆきごんの心温まるストーリー。空想の世界の広がるストーリーです。しかし、みきおくんとゆきごん、案外直接の交流は少なく、すれ違いです。けっこう地味めなストーリーと色少なめの絵なんです。素朴なかんじ。読み聞かせ
【50年ぶりの児童文学】小学校時代に読んだ「ゲンのいた谷」(長崎源之助著、講談社文庫)をほぼ50年ぶりに読んでみた。以下は、添付Webサイトからの一部抜粋。http://www.cl.bb4u.ne.jp/~sobae/sobae/gen.htmある夏休み、小学5年生の幹男はお父さんにつれられて、ある山寺を訪れる。そこは幹男の父が戦争のとき疎開をしていた場所だった。いやな思い出のつまったここへ、お父さんが幹男をわざわざつれてきたのは、あのころの自分と同じ年になった息子に
つりばしゆらゆらもりやまみやこ作たちだよしはる絵つりばしわたれ長崎源之助作鈴木義治絵《つりばし》で思い出した絵本2冊今思えば吊り橋効果だったと思うこと▼本日限定!ブログスタンプあなたもスタンプをGETしよう
秋晴れの9月の朝。久しぶりの青空です。このところ佐藤さとるさんの本やご縁のある方の本を紹介してきましたが、今日も佐藤さとるさんのご友人で作家活動をするにあたって切磋琢磨したお仲間、同人誌「豆の木」を一緒に創刊した長崎源之助さんの絵本を紹介したいと思います。2010年神奈川近代文学館での「長崎源之助展」開催の際に私が朗読させて頂いた絵本です。この本をちゃんと朗読できるのだろうか?最後まで泣くことなく読めるだろうか?と悩み、でも絶対に朗読したい・・・と、真剣に取り組んだ一冊です。
今回ご紹介するのは、長崎源之助作『ふとったきみとやせたぼく』あなたは、さかあがりができますか?私は、「できたことがあります」基本的には「できません」……運動は苦手です。『ふとったきみとやせたぼく』は、さかあがりのできない二年生2人のお話です。ふとったほうのコロッケくんこと、タイチくんと、やせたほうのエンピツくんこと、マサキくんは、仲良しというわけではありませんが、共通点があります。体育が苦手ということ。去年の運動会のかけっこで、2人
8月は太平洋戦争関連の特集が様々なメディアで取り上げられる月。戦争について考えることは8月に限ったことではないけれど、夏休みの時期に戦争の特集番組があるのはいいことだと思います。戦争体験者は年々減り続けているわけですから・・・。今日ご紹介する本も、戦争の時代の横浜の物語。「人魚とトランペット」長崎源之助:著天笠義一:絵(偕成社1988年5月刊)物語は主人公の少年、正吉が山下埠頭のはずれでトランペットの練習をしている場面から始まります。近所迷
「ねずみのおなか」にっけん教育出版社作長崎源之助絵長野ヒデ子やせ細ったネズミが餌を分けてもらいにきたのは、サーカスのゾウの所。餌がない理由を話すとゾウは・・・。《感想》ほんわかしたいい話。賢いゾウさんと素直なネズミ一家。うーん絵本らしい構成。うっかり深読みすると突っ込みどころが満載になってしまうけど、まぁ、絵本ですからねー。突っ込んじゃダメ。これは、Sちゃんのジャケ借り絵本。表紙が気に入って、読むーと言って持ってきた。文章が長めなので、無理かなと思いつつも借りてみたら、絵が好き
今日から、早稲田大学オープンカレッジ、春期講座が始まりました。金曜クラスでは、長崎源之助さんの「焼けあとの白鳥」を題材に表現力を磨くレッスンを行ないます。長崎源之助さんは、自身の戦争体験を通じて、その悲惨さや平和の尊さを書き続けた人です。特に時代を表す言葉は、大切に粒立てて読むことがポイントです。空襲、配給、ヤミ市、りんご箱、ドブロク、かやなどなど。言葉のもつ意味や語感、また前後の文章から考えられる語感を発すること。朗読はホントに奥が深い。どんな仕上がりになるのか楽
今日の図書館職員私の1冊は、長崎源之助さんの「つりばしわたれ」です。ぜひ借りてみてくださいね。所蔵中央図書館他推薦かとう(ま)書名つりばしわたれ著者長崎源之助作鈴木義治絵出版岩崎書店初版1976年都会から田舎のおばあさんの家へあずけられたトッコ。ひとりぼっちで遊んでいると、見たことのない子が現れて―。小さい頃に読んだ絵本です。緑の美しい絵が山の自然を感じさせます。簡潔な文章で、トッコの抱えるさびしい気持ち、いきいきした村の子たちの様子