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勝手に論愚選【読売俳壇2026.01.05】[高野ムツオ選]息止めて息もこぼさず浮寝鳥(うきねどり)(宮崎市長友聖次)着ぶくれて廃炉進むかどうなのか(郡山市寺田秀雄)原発の後ろに続く枯野かな(横浜市大井くるみ)海を引く月の力や牡蠣(かき)太る(北本市萩原行博)己が身におのが埋(うず)もれかじけ猫(東京都望月清彦)長火鉢祖父母の気配あるごとく(滝沢市小田佐枝子)茶の花や蕊(しべ)に夕日を溜めたまま(東京都奥村和子)[正木ゆう子選
勝手に論愚選【読売俳壇2025.12.22】[矢島渚男選]家々の柿の明かりにつつまれぬ(相模原市芝岡友衛)無住寺裏も表も竹の春(栃木県あらゐひとし)一つ立ち遂に総立ちなる落葉(朝倉市深町明)冬日和時速七キロ車椅子(東大阪市志賀克毅)[高野ムツオ選]五七五てふ用なきものを霜柱(川越市益子さとし)猪鍋に招(よ)ばれるほどに馴染みけり(平島県三宅千恵美)虎落笛(もがりぶえ)ビデオテープの絡まりぬ(小諸市藤雪陽)測る度縮むわたくし冬に
勝手に論愚選【読売俳壇2025.12.16】[矢島渚男選]水澄むやフビライハンの骸(むくろ)船(福岡市高山国光)〔評〕蒙古の襲来(文永・弘安の役)が、暴風雨で終わったことは、よく知られる。暴風雨で一夜にして消え去った。四千四百隻の大船団で、それが長崎県北部の湾内で発見されたのである。まさに世紀の奇跡だろう。ぎっしりと静かに戦いの虚しさを訴えているかのようであった。今後の学術調査が待たれる。藁の端一線に裁(た)ち〆飾(むつ市扇谷光伸)歴史とは積木崩しか文化の日(神戸市
勝手に論愚選【読売俳壇2025.12.08】[矢島渚男選]入れるたび袋の蝗(いなご)蜂起せり(埼玉県酒井忠正)灯火親しまた誤操作のパソコンも(東大和市板坂寿一)精米の袋の温み豊の秋(千葉市宇野嘉世子)道草のようなくらしに今日の月(神奈川県石原美枝子)国生みの仕切り直しや里神楽(八王子市徳永松雄)やつと来て惜しむ暇なく去りし秋(三郷市村山邦保)老医師の手書きカルテや冬あたたか(横浜市岡まゆみ)[高野ムツオ選]菊花展出でて芒の波
勝手に論愚選【読売俳壇2025.12.01】[矢島渚男選]団栗や理科も俳句も好きになり(姫路市難波佳代)日に輝き月に輝き湖の鴨(八幡市会田重太郎)ちぎりなきこひのゆくすゑ夕紅葉(向日市福嶋猛)北斎も食べただろうか小布施栗(おぶせぐり)(川崎市小沢寿美子)我はもう鶺鴒(せきれい)のごと走れざる(町田市枝沢聖文)[高野ムツオ選]捕まりて檻の錆噛む月の輪熊(川越市大野宥之介)寂しげな子熊の瞳雪催(幸手市大森邦雄)コスモスは恋人達の
勝手に論愚選【読売俳壇2025.11.24】[矢島渚男選]爽やかや笑顔は次の笑顔へと(土浦市今泉準一)穴を前に蛇動かずにゐたりけり(千葉市笹沼郁夫)秋寒し悲しきクマのぬいぐるみ(東京都山田真理子)風の道ここよと庭の落葉かな(福島市髙橋雄三)投網(とあみ)打つ舟にすげなき秋の雨(出雲市石原清司)[高野ムツオ選]稲木解くことも一人や赤とんぼ(松江市三方元)新米の今は二人やかみしめる(御殿場市内田秀子)被爆樹の落葉を流す被爆川(
読売俳壇へ初投句で小澤實先生に選んで頂きました。小澤先生有難う御座います。ベビーカーの魔女を押す魔女ハロウィーン滿
勝手に論愚選【読売俳壇2025.11.17】[矢島渚男選]霧晴れて浅葱斑(あさぎまだら)に終(つい)の蜜(尾張旭市小野薫)平和とは平凡な秋空の下のこと(朝倉市深町明)冬近しニュース画像に今日も熊(宇都宮市大門とよ子)少年の眉目ととのふ新松子(しんちぢり)(仙台市松岡三男)呟きを漏らす口元やや寒し(柏市川浪勉)気負はずに生きる白寿や栗の道(館林市坂口譲)塩ならず葉っぱを蒔くや草相撲(宝塚市広田祝世)木道をゆづりゆづられ草紅葉(西東
勝手に論愚選【読売俳壇2025.11.11】[矢島渚男選]河馬(かば)の耳体に埋もれ水澄めり(京田辺市加藤草児)濁世と腐(く)たす世の隅新酒酌む(高槻市村松譲)ななかまど渓谷深き片紅葉(座間市戸田順章)湾内に小島を浮かべ鯊(はぜ)の秋(仙台市スダセツコ)目に見えぬ残り時間や冬の虫(佐野市髙橋すみ子)[高野ムツオ選]金風や居るはずの無き妻の声(泉佐野市布野寿)ほまち田も捨田となりて秋桜(北上市菅原のり子)新走り舌にころがす古女房
勝手に論愚選【読売俳壇2025.11.03】[矢島渚男選]鶴折るは祈りか悔いか夜半の秋(吹田市堀田恵美子)声援も一周するや運動会(富山県米山カローリング)箍(たが)ゆるむ味噌桶晒(さら)す秋日かな(小諸市大池信子)素粒子となり漂ふや天の川(名古屋市山内三雑)清貧に生く心安吾亦紅(われもこう)(越谷市小林幸男)[高野ムツオ選]虫の音や見えない星が見える空(吹田市堀田恵美子)むしゃむしゃと音まで聞こゆいぼむしり(南房総市山根徳一)
勝手に論愚選【読売俳壇2025.10.27】[矢島渚男選]担任も雁瘡(がんがさ)物理学を説く(京都市根来美知代)草相撲里の山川みな四股名(四街道市須崎照男)あと五分まぶたの中で秋の朝(豊中市谷口ゆう子)さらさらと朝風夜風やっと秋(横浜市宮川ゆず)大皿に盛る満月の祭かな(仙台市松岡三男)[高野ムツオ選]球面のどこも真ん中天高し(神奈川県中島やさか)競ふかに跳ねて銀鱗天高し(西宮市平田あい)お互ひに歳褒めあひて登髙す(千葉市
勝手に論愚選【読売俳壇2025.10.13】[矢島渚男選]緑陰に見えしヤマネの指細し(高崎市萩原啓子)爽やかや眼のゴミとりし母の舌(川崎市堅山道助)人囲む田んぼアートの案山子かな(湘南市瀧井正之)おおよそで生きる余生や秋うらら(川口市渡辺しゅういち)[高野ムツオ選]青空は青を重ねて秋たしか(丸亀市服部芳郎)赤子てふ声のかたまり天高し(北本市萩原行博)新米といふ殊更によき響き(新座市田中美登)おさな子のこぶしのやうな新生姜(
勝手に論愚選【読売俳壇2025.10.06】[矢島渚男選]慨嘆(がいたん)す自然薯掘りの穴に落ち(神奈川県中島やさか)草の中ネリネすっくと秋立ちぬ(川崎市松浦惠子)(評)ネリネは南アフリカんに自生するヒガンバナ科で三十ほどの種類がある。この国でも愛されるだろう美しい花々。中七「ネリネすっくと」が生態を捉えて妙。借りたままの恐竜図鑑小鳥来る(日立市菊池二三夫)長き夜や眠ることにもぶきっちょで(久慈市深沢ふさ江)おほらかな湯桶の音や山は秋(浜松市久野
勝手に論愚選【読売俳壇2025.10.21】[矢島渚男選]稲妻の注ぐ庄内平野かな(寒河江市大谷正行)富士山の赤石堰(ぜき)に夏終る(神戸市吉野勝子)昼八つの佃煮稲子黒光り(郡山市寺田秀雄)行く秋や寄せ書き残る無人駅(合図若松市星静子)奥琵琶をめぐりて去りぬ雁の棹(さお)(東京都腰山正久)盛装の嬰児(みどりご)軽し秋うらら(京都市根来美知代)黄ばみ始めて豊作と知る檸檬(れもん)(佐野市村野則高)[高野ムツオ選]向日葵の国は瓦礫
勝手に論愚選【読売俳壇2025.09.29】[矢島渚男選]亡き友の句の景に佇(た)つ秋の浜(平塚市原道雄)花野まで前行く人を追ひ越さず(鎌ケ谷市海野公生)改札を出て蜩(ひぐらし)に包まれし(横浜市塚本文武)神官の十畳一間の大昼寝桐生市杉戸乃ぼる)短夜や闇より生まれ武甲山(春日部市会沢明子)[高野ムツオ選]ずつと耐へ八月も耐へこの先も(行橋市野田文子)乾坤(けんこん)を閉ぢ込む露のつぶらかな(大和市おおもりじゅん子)きちきちの発条
勝手に論愚選【読売俳壇2025.09.22】[矢島渚男選]ほんのりと眠れる繭(まゆ)を紡ぎけり(朝霞市田口純)(評)繭は蛹(さなぎ)の入った状態で煮て糸を紡ぐのだが、長野県岡谷市の小学生が一定の低温で煮ることで、蚕の蛹を生かしたまま糸を取ることに成功したというニュースがあった。虫の命に寄り添った素晴らしい研究だ。それを詠んだ句だろうか。菊日和蜂に大輪野に小菊(南足柄市柏木茂)終えること難き戦や法師蝉(宇都宮市大門とよ子)賑やかに牡丹(ぼた)餅握る秋彼岸(熊谷
勝手に論愚選【読売俳壇2025.09.15】[矢島渚男選]畠の草取るや根の土落としつつ(寒河江市大谷正行)虫の音ではじまるけふの夕餉かな(日立市菊地二三夫)墓洗ふあなたの齢を越えました(相模原市水野しづ子)いなびかり瞬きのなき埴輪の眼(12字縦)川口市渡辺しゅういち)[高野ムツオ選]きたかさっさ秋田ババヘラアイスかな(横須賀市大塚遊球子)八月のぴたりと閉じる自動ドア(調布市浅野文男)ゼリー食(は)ぶ遠い記憶の星くずと(館林市坂口
勝手に論愚選【読売俳壇2025.08.18】[矢島渚男選]語り部は戦後の生まれ敗戦日(郡山市寺田秀雄)鉄ガラス時計の溶けし暑さかな(川崎市多田敬)掛け水を浴びて御輿のまた荒るる(狭山市清水政美)人体の部位にこめかみかき氷(栃木県あらゐひとし)考えて考えて蝉生まれけり(大阪市小山叔子)小休止五分のお花畑かな(大阪市今井文雄)[高野ムツオ選]老鶯(おう)はこゑのほか無きかと思ふ(大月市米山明博)演説よりクマゼミのこゑ傾聴す(小
勝手に論愚選【読売俳壇2025.09.08】[矢島渚男選]終戦日わたしにもいた乳兄弟(那珂市綿引多美子)ベビーカーの児の足拍子盆踊り(広島市吉田きみ子)産土(うぶずな)は人住まぬ里天の川(日南市宮田隆雄)黒傘の列しづしづと長崎忌(福岡市無草)新型の何か分からず原爆忌(神奈川県中島さやか)洗脳の解けし八月十五日(八王子市徳永松雄)[高野ムツオ選]君の声雲の峰よりきこえしか(横浜市小池貴久枝)(評)君とは誰か。青春時代の恋人の声と
勝手に論愚選【読売俳壇2025.09.01】[矢島渚男選]流れ星今も戦禍に死に逝く子(神戸市西和代)終戦日テニアンになほ五千体(上尾市松本光弘)門火焚き若き遺影の父を待つ(霧島市内村としお)原爆忌怖れおののく千羽鶴(大津市千川修一)わが庭の育てし蝉の穴二つ(三原市天崎千寿)[高野ムツオ選]被爆樹の被爆の記憶原爆忌(対馬市神宮斉之)かたちなきものにも影や原爆忌(横浜市鈴木基之)ひつそりとされどしつかり柿青し(宮崎市長友聖
勝手に論愚選【読売俳壇2025.07.21】[矢島渚男選]二回目の助走の視野に虹の立つ(倉敷市谷吉修一)出迎へは会津訛りと夏の雲(横浜市塚本文武)初恋は紫の恋桑いちご(横浜市大井みるく)川の音聞こえて来たる夏銀河(松江市三方元)戦争に与(くみ)せぬ日本姫恕苑(ヒメジョオン)(青森市天童光宏)万緑や己を叱る捜しもの(奈良市奥良彦)夜振り灯や岩へ背をよせ眠る魚(下関市粟屋邦夫)[高野ムツオ選]じしばりの採れるものなら取れと這ふ
勝手に論愚選【読売俳壇2025.07.15】[矢島渚男選]少女いま筆をかまへて山車動く(西東京市永井康信)(評)山車祭の指揮を執ったのは少女の細く白い指先だった。俳句は単純がよい。印象鮮明で想像力が働く。見事な句である。椅子足して島の居酒屋梅雨の雨(大垣市大井公夫)星流る誰も知らない恋をして(姶良市井之川健児)臨月の子宮の形枇杷熟れる(羽村市竹田元子)水馬(あめんぼ)よりその影を見て飽かず(宝塚市広田祝世)[高野ムツオ選]空爆のたびに揺れ
勝手に論愚選【毎日俳壇2025.07.07】[西村和子選]羅(うすもの)のたたみて色の顕(た)ちにけり(尾張旭市古賀勇里央)いづくより来たりしものぞ水馬(あめんぼう)六月の風の重たき浪速の夜(東大阪市三村まさる)葛餅のつるんと喉を喜ばす(大阪井口千賀子)瑠璃色の空を編み込むレースかな(葛城市山中由子)[井上康明選]投擲(とうてき)の一気に涼を放ちけり(富士市後藤秋邑)打水の家より昏(く)れてゆきにけり(津峡福島照子)敦忌のハロー
勝手に論愚選【読売俳壇2025.07.07】[矢島渚男選]しぶきつつ飛魚沖の風となる(宇都宮市津布久勇)父の日やたよりもらいし日のはるか(東京都青木公正)信号がさばく人並夏が来る(出雲市原紀和子)草笛を吹くその形こそ祈り(宗像市泉勝明)ほつとひとつ咲きし泰山木の花(日立市菊池風峰)[高野ムツオ選]雲上に峰その上に雲の峰(北本市萩原行博)ねじばなのらせん階段蟻さん用(千葉市福岡初代)風青しこの学食に長嶋も(東村山市副島健
勝手に論愚選【読売俳壇2025.06.30】[矢島渚男選]赴任地の祭の役を貰ひけり(町田市谷川治)海亀を帰すひとたび網上げて(大阪市今井文雄)曝書(ばくしょ)する無名兵士の処女句集(さいたま市與語幸之助)(評)この句集は御家族もしくは作者自身のものかも知れぬ。戦地での手書きか。大切な一冊。単線の列車交換青田風(銚子市日光正春)舳先(へさき)立て競い合うごと昆布船(札幌市武内政敏)揚げ雲雀高音のチチチ毛馬提(大阪市髙橋良治)薬の日過ぎて洪
勝手に論愚選【読売俳壇2025.06.23】[矢島渚男選]何がある雉(きじ)が二山越えて消ゆ(香芝市中村鈴)棘(とげ)こそが生きてる証薔薇の花(行橋市野田文子)葉一枚ついててうれしいさくらんぼ(神奈川県石原美枝子)でで虫を剥(は)がさず帰る父の墓(鹿児島市鶴屋洋子)母なるは寂しかりけり桐の花(吹田市堀田恵美子)[高野ムツオ選]猿が来る子熊が来るわ山毛欅(ぶな)若葉(津市中山道治)母の日や母の寝顔の記憶なく(土浦市今泉準一)結
勝手に論愚選【読売俳壇2025.06.16】[矢島凪男選]明日もまた過ぎてゆくもの鳥の恋(加須市萩原康吉)(評)季節の変わり目は落ち着かず、時間ばかりが空しく去ってゆく感じがする。この句、鳥の恋のように結実することもある季語を合わせることで無力感を出している。メーデーの叫びに生まれ九十四(成田市神郡一成)輝いてツツンと顎(あご)を出す細魚(さより)(京都市足立紀子)妻が行く花の同窓会日和(神戸市倉本勉)笑み返す病室の母白椿(姶良市井之川健児)世
勝手に論愚選【読売俳壇2025.06.10】[矢島渚男選]逢ひに行く君のふる里道をしへ(尾鷲市中村東太)立ち止まり老いてゆく日々芒種(ぼうしゅ)なり(横浜市鈴木基之)(評)芒種は陰暦の四月末から五月上旬と幅がある。ノギを持つ麦や米の種を蒔く季節で、その中に来し方を思い出しては時々立ち止まりつつ散歩する老人があった。この老人は自分を客観視出来る作者。ながれ行く時をゆたかに麦の秋(旭市工藤豊)(評)単純に素直に季節を湛えている。こうありたいもの。傘雨忌(さんうき
[勝手に論愚選【読売俳壇2025.05.26】[矢島渚男選]愛の字をつけし兜を飾りけり(霧島市内村としお)子供の日嬰(えい)をあやして姉らしく(東佐野市布野寿)とりあえず駆け出す初夏の浜辺かな(山梨県一瀬利彦)一雨の薄日に光猫柳(宮崎市長友聖次)鷭(ばん)の子や水面かけ寄る母のもと(福岡市中山洋次朗)波の音の気怠(けだる)き問答春の磯(南房総市山根徳一)[高野ムツオ選]青嵐空飛ぶ車現れさう(神戸市山口誠)行列の列また伸びる薄