デヴィッド・グレーバー、デヴィッド・ウェングロウ共著「万物の黎明」光文社刊を読みました。この本は最近では一番時間をかけて読んだ本ではないかと思います。そもそも万物の黎明とはいささか大袈裟でしかも曖昧な題名です。書名を見ただけでは一体何についての本であるかが分かりません。新約聖書のヨハネによる福音書の冒頭の有名な「はじめにことばがいた」を想起させますが、言葉や神について書かれた本ではありません。著者のグレーバーは人類学者、ウェングロウは考古学者です。この二つの分野は素人目には近いようにも見えますが