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下関防備隊の編制下で唯一北部九州に置かれた波津崎防備衛所をレポートする。=====================【参考記事リンク】◎下関海軍防備隊の概略→→→=====================下関防備隊の配置図波津崎防備衛所は現在の福岡県遠賀郡岡垣町波津にあった。建設されたのは大東亜戦時中だが竣工年月は不明である。『下関防備隊戦時日誌』は昭和17年12月~19年4月まで欠落しているが、昭和19年5月の戦時日誌において「波津崎防備衛所発電機未装備の外完備」と
賢女鼻防備衛所には増改築したと思われる箇所が存在するので本項で考察する。『引渡目録』の配備図には、衛所の左斜め前方と右横に2つの区画が描かれている。(色付けした部分)平面図でも示す。衛所左斜め前方の(A)には石積みを施した掩体が残っている。対して衛所右横の(B)は平坦地で谷側に石垣が積まれているが、建物基礎などの遺構は確認できない。ただ、衛所の窓を出入口に改築して(B)に繋げた痕跡が見られる。***********************************まずは(
「その2」では衛所内部を見ていく。平面図を掲載する。衛所内には7つの部屋があるが、部屋の用途は『一五定防備衛所工事基準(草案)昭和15年』(『工事基準』)を参考に推測した。「白瀬防備衛所」のように複雑な増改築の痕が見られないので、衛所本来の基本構造を把握しやすい。ただ、鉱滓煉瓦の瓦礫が衛所内に落し込まれているので足元注意。『工事基準』に記載の設置すべき部屋と条件を表に纏めた。*************************7つの部屋のうち「蓄電池室」と「便所」の内
蓋井島には2つの防備衛所が置かれていた。前回は西側の白瀬防備衛所をレポートしたが、今回は東側の賢女鼻防備衛所を詳しく取り上げる。「賢女鼻」は九七式水中聴音機5基と九ニ式管制機雷3個群連を配備した防備衛所(甲)として、海上見張および対潜哨戒と撃退を任務とした。詳細は以前のレポートで述べたので省略する。===================【以前のレポート】『下関海軍防備隊探訪㉑~蓋井島の防備衛所』蓋井島に置かれた下関海軍防備隊所属の2つの防備衛所を紹介する。==========
本項では増設箇所を探索する。正面図と背面図。平面図。赤色で記載した部分が増設箇所だが、衛所の基礎構造が赤煉瓦積みであるのに対し、増設箇所は鉱滓煉瓦で建てられているのが特徴となっている。なお、大東亜戦時下に竣工した下関防備隊波津崎防備衛所の建築物が鉱滓煉瓦造りであるため、「白瀬」の増設も同じく戦時下に施されたと推測される。*****************************まずは衛所右前方に築かれた(H)の増設部屋から見て行く。(H)は(A)に隣接して造られ
引き続き衛所内部を探索する。平面図『一五定防備衛所工事基準(草案)昭和15年』(以下『工事基準』)に記載の衛所に設置すべき部屋と面積および条件***********************背面の出入口から中へ。入ってすぐ左手の壁に凹みがある。方形の凹みの上にケーブル溝のような物がある。その内の1本は天井を走っている。おそらくこの凹みには分電盤があったのではないか。ちなみに賢女鼻防備衛所にも同じ位置に凹みがある。(凹みと言うか崩されて開口しているが)*
「その2」では衛所内部を見ていく。平面図を掲載する。部屋にはアルファベットを付与した。増設部屋(H)を含めて8つの部屋が確認できるが、増設以外にも改築されたと思われる箇所がいくつか見受けられる。なお屋上建屋は増設分となる。『一五定防備衛所工事基準(草案)昭和15年』(以下『工事基準』)には、衛所に設置すべき部屋と面積および条件が記載されている。表に纏めると以下の通り。『工事基準』はあくまで(草案)なので現実に即していない部分も多いように感じるが、この表に基づき部屋の用
◆蓋井島リンク:[概略][第一砲台下段][第一砲台上段砲座][第一砲台上段観測所][第一砲台補助観測所][第一砲台関連施設][第二砲台][第二砲台/関連施設][P247施設群][電燈所][第二電燈所][繋船場][洞窟砲台][偽砲][白瀬防備衛所][賢女鼻防備衛所]===================蓋井島に残る4門の偽砲を紹介する。偽砲とは敵の目を欺くため本物に見せかけた大砲で、英語ではdummygun、fakegunなどと呼ばれている。戦時下には火砲だけではなく戦車や飛
◆蓋井島リンク:[概略][第一砲台下段][第一砲台上段砲座][第一砲台上段観測所][第一砲台補助観測所][第一砲台関連施設][第二砲台][第二砲台/関連施設][P247施設群][電燈所][第二電燈所][繋船場][洞窟砲台][偽装砲台][白瀬防備衛所][賢女鼻防備衛所]====================下関要塞の島嶼部に配備された要塞砲の任務は、担当海域である響灘に出現した敵艦船・潜水艦を撃退し海上航路の安全を確保することにあったが、大東亜戦争末期の昭和20年(1945)になると米軍
◆蓋井島リンク:[概略][第一砲台下段][第一砲台上段砲座][第一砲台上段観測所][第一砲台補助観測所][第一砲台関連施設][第二砲台][第二砲台/関連施設][P247施設群][電燈所][第二電燈所][繋船場][洞窟砲台][偽装砲台][白瀬防備衛所][賢女鼻防備衛所]====================蓋井島第二電燈所は、島の最北西端、泉水ノ鼻に設けられた。地図で場所を確認する。『現代本邦築城史』に掲載の履歴は以下の通り。◆着工:昭和13年(1938年)7月21日
◆蓋井島リンク:[概略][第一砲台下段][第一砲台上段砲座][第一砲台上段観測所][第一砲台補助観測所][第一砲台関連施設][第二砲台][第二砲台/関連施設][P247施設群][電燈所][第二電燈所][繋船場][洞窟砲台][偽装砲台][白瀬防備衛所][賢女鼻防備衛所]=========================================その2では、247mピークに置かれた司令所以外の遺構を紹介する。==========「発電所B」が置かれた平坦地の北東側に
◆蓋井島リンク:[概略][第一砲台下段][第一砲台上段砲座][第一砲台上段観測所][第一砲台補助観測所][第一砲台関連施設][第二砲台][第二砲台/関連施設][P247施設群][電燈所][第二電燈所][繋船場][洞窟砲台][偽装砲台][白瀬防備衛所][賢女鼻防備衛所]=========================================本項では、鞍部に置かれた関連施設群から北に上がって247mピークに置かれた施設群を紹介する。P247には北から順に、「第一砲台の
◆蓋井島リンク:[概略][第一砲台下段][第一砲台上段砲座][第一砲台上段観測所][第一砲台補助観測所][第一砲台関連施設][第二砲台][第二砲台/関連施設][P247施設群][電燈所][第二電燈所][繋船場][洞窟砲台][偽装砲台][白瀬防備衛所][賢女鼻防備衛所]=========================================蓋井島北西部に最初の要塞関連施設が作られたのは第一砲台の補助観測所(八八式海岸射撃具観測所)だと思われるが、昭和13年(1938)に第二砲
◆蓋井島リンク:[概略][第一砲台下段][第一砲台上段砲座][第一砲台上段観測所][第一砲台補助観測所][第一砲台関連施設][第二砲台][第二砲台/大隊関連施設][247mピーク施設/大隊本部][電燈所][第二電燈所][繋船場][洞窟砲台][偽装砲台][白瀬防備衛所][賢女鼻防備衛所]================================蓋井島電燈所は、島の中央南端、鐘ヶ崎の標高120m付近に設置された。地図で場所を示す。電燈所の履歴。◆起工:昭和9年(193
◆蓋井島リンク:[概略][第一砲台下段][第一砲台上段砲座][第一砲台上段観測所][第一砲台補助観測所][第一砲台関連施設][第二砲台][第二砲台/大隊関連施設][247mピーク施設/大隊本部][電燈所][第二電燈所][繋船場][洞窟砲台][偽装砲台][白瀬防備衛所][賢女鼻防備衛所]================================現在のフェリー桟橋から乞月山方面への道路を進むと、軍用に供された西繋船場が当時の姿を留めている。東側海岸には東繋船場が置かれていたが、こ
◆蓋井島リンク:[概略][第一砲台下段][第一砲台上段砲座][第一砲台上段観測所][第一砲台補助観測所][第一砲台関連施設][第二砲台][第二砲台/大隊関連施設][247mピーク施設/大隊本部][電燈所][第二電燈所][洞窟砲台][偽装砲台][白瀬防備衛所][賢女鼻防備衛所]================================第一砲台の関連施設は乞月山(こいづきやま)の北の麓に置かれた。関連施設周辺を拡大する。この地域では洞窟式火薬庫、横穴壕、貯水槽、弾丸
◆蓋井島リンク:[概略][第一砲台下段][第一砲台上段砲座][第一砲台上段観測所][第一砲台補助観測所][第一砲台関連施設][第二砲台][第二砲台/大隊関連施設][247mピーク施設/大隊本部][電燈所][第二電燈所][洞窟砲台][偽装砲台][白瀬防備衛所][賢女鼻防備衛所]==========================================本項では、第一砲台の射撃の首線と、前方に配置された補助観測所について考察する。まずは下段砲台の第2砲座前方の景色を掲載する
◆蓋井島リンク:[概略][第一砲台下段][第一砲台上段砲座][第一砲台上段観測所][第一砲台補助観測所][第一砲台関連施設][第二砲台][第二砲台/大隊関連施設][247mピーク施設/大隊本部][電燈所][第二電燈所][洞窟砲台][偽装砲台][白瀬防備衛所][賢女鼻防備衛所]=====================前回砲座の紹介を終えたので、今回は主観測所を見る。石垣沿いの軍道を歩く。大きな掘削地がある。下段砲台の出入口付近にもあるが何用途なのか?地下壕が崩落
◆蓋井島リンク:[概略][第一砲台下段][第一砲台上段][第一砲台の考察][第一砲台関連施設][第二砲台][第二砲台/大隊関連施設][247mピーク施設/大隊本部][電燈所][第二電燈所][洞窟砲台][偽装砲台][白瀬防備衛所][賢女鼻防備衛所]上段砲台は乞月山の山頂一帯に築かれているが、下段砲台に向かう軍道が分岐して山頂に向かっている。道すがら下段砲台の物と思われる射界標石が抜かれて放置されている。軍道沿いの石垣が見えてくるまで下段砲台から10分足らず。見取図を掲載する
◆蓋井島リンク:[概略][第一砲台下段][第一砲台上段砲座][第一砲台上段観測所][第一砲台補助観測所][第一砲台関連施設][第二砲台][第二砲台/大隊関連施設][247mピーク施設/大隊本部][電燈所][第二電燈所][洞窟砲台][偽装砲台][白瀬防備衛所][賢女鼻防備衛所]=======================後編では砲側庫から第2砲座そして指揮所に向かう。第1砲座と第2砲座を繋ぐ通路間に2つの砲側庫が並んでいるが、『日本築城史』には掩蓋式穹窖と同じく100㎏爆弾
◆蓋井島リンク:[概略][第一砲台下段][第一砲台上段砲座][第一砲台上段観測所][第一砲台補助観測所][第一砲台関連施設][第二砲台][第二砲台/大隊関連施設][247mピーク施設/大隊本部][電燈所][第二電燈所][洞窟砲台][偽装砲台][白瀬防備衛所][賢女鼻防備衛所]==============================長らく非公開にしていた蓋井島の軍事遺構の記事だが、大幅に加筆修正した上で公開する。まず最初に蓋井島砲台(第一)を取り上げる。以下に履歴と経緯を記す