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日本図書館協会による近刊です。『図書館活動と著作権Q&A』(2000年刊)を現状の制度に即して見直しを行ない,アップデートした新版です。図書館員が著作権と図書館サービスのせめぎ合いに直面したとき、著作者、出版者、利用者、図書館、設置母体など、さまざまな関係者にとってよい「落としどころ」を探るのに役立つ書籍とのことです。ユニークな著作権の書籍です。図書館員が知りたい著作権80問Amazon(アマゾン)『図書館活動と著作権Q&A』(2000年刊)を現状の制度に即して見直しを行
東京都の商業業務施設用地事業者募集で提出された企画書の著作者が問題となった事例▶令和4年3月30日東京地方裁判所[令和1(ワ)25550](1)争点2-2(原告が本件企画書等の著作者か否か)について原告は、本件企画書の作成に際して本件土地の開発計画を立案し、H等から提出された検討結果を総合的に取りまとめ、本件企画書に落とし込む作業を行ったこと、建築計画等の制作において設計図面等の著作権は発注者である取りまとめ会社に帰属する慣例があることから、原告は本件企画書の著作者であると主張する。
紛争地域で撮影した動画の著作者が問題となった事例▶令和4年3月28日知的財産高等裁判所[令和3(ネ)10085](3)本件動画の著作者について控訴人X1は、前記のとおり主張するところ、引用に係る原判決における説示のとおり、本件動画は、被控訴人が報道番組等において使用してもらうことを企図して撮影されたものであり、イエメンの難民キャンプや反政府勢力の支配都市等の状況が撮影され、また、被控訴人が現地の住民とのやり取りを取材している様子や、被控訴人がその状況についてカメラに向かって日本語で語
法16条の意義と解釈(原作漫画の存在しないアニメーション映画に使用される図柄は原著作物となりうるか)▶平成18年12月27日東京地方裁判所[平成16(ワ)13725]>なお,原告は,本件原図柄と本件映画の関係について,著作権法16条本文において「その映画の著作物において翻案され,又は複製された小説,脚本,音楽その他の著作者」を除いているのは,既存の著作物の著作者をクラシカルオーサーとして映画の著作物とは別個の著作物の著作者として保護しようとするものであり,映画のために制作された著作物につ
書籍に企画,取材先の選定,文献資料の提供,加筆修正点の指摘等をした者の著作者性が争われた事例▶平成16年02月18日東京地方裁判所[平成14(ワ)27550](2)判断ア以上認定した事実を基礎として,原告が,本件書籍を創作したか否かの点について判断する。著作者とは「著作物を創作する者」をいう(著作権法2条1項2号)。創作する者とは,当該作品の形成に当たって,その者の思想,感情を創作的に表現したと評価される程度の活動をすることをいう。当該作品の形成に当たって,必要な資料を収集,整
著作者は、請負人(法人)と注文主(法人)のどちらか▶平成15年07月10日東京高等裁判所[平成15(ネ)546]すなわち、請負契約に基づき外部の独立した請負人によって著作物が作成された場合、その著作者は、特別の事情がない限り、請負人であると解されるのであり、このことは請負人が法人である場合にも妥当するものであるところ、本件において請負人ではなく注文主を著作者とすべき特別の事情は証拠上見いだすことができない。特に、本件においては、本件基本シナリオの作成に関わったのは、もっぱら被控訴人Gが組
絵本の著作者の認定が問題となった事例▶平成11年11月17日東京高等裁判所[平成10(ネ)2127](四)本件絵本(一)の創作的表現の核心に関する主張について控訴人らは、本件絵本(一)の創作的表現の核心部分が、扱うテーマやストーリーを構想し、これを具体的に表現する絵柄やその配置、配色の決定及び文字記述部分にあり、これらを創作した者が著作者たり得るものであって、単に決められた色を塗ったり、輪郭線の仕上げをするに止まる場合は、単なる補助作業であって著作物の創作行為とは評価できないとの判断
著作者の死後における保護(法60条の認定事例)▶平成12年9月29日東京地方裁判所[平成10(ワ)21141]▶平成14年02月28日東京高等裁判所[平成12(ネ)5295][控訴審](4)被告らによる著作者人格権(同一性保護権)侵害行為についてア本件書籍について証拠及び弁論の全趣旨によると、本件書籍の160頁には、本文中に、デール・カーネギー自身が読者に直接話しかける形で、「このようなノウハウを皆さんにお伝えして本当にうれしいのは、全国のさまざまな人々から『成功ノウハウ』を家
著作者の死後における遺族による損害賠償請求は可能か▶平成12年9月29日東京地方裁判所[平成10(ワ)21141]▶平成14年02月28日東京高等裁判所[平成12(ネ)5295]右4のとおり、被告騎虎書房による本件書籍の発行行為及び被告エス・エス・アイによる本件カセットテープセットの発行行為は、本件第二著作物の著作者であるHが生存しているとしたならば、その著作者人格権(同一性保持権)の侵害となるべき行為であるということができるが、著作権法は、著作権法60条違反の効果として、差止めと名誉回
著作者の遺族に著作者人格権侵害による損害賠償請求権が認められるか▶平成12年05月12日東京地方裁判所[平成10(ワ)16632]二争点2について著作者の遺族には著作者人格権侵害による損害賠償請求権は認められないところ(著作権法116条1項)、Dの遺族である原告にはDの氏名表示権侵害による損害賠償請求権が認められる余地はないから、争点2について判断するまでもなく、原告の右請求は認められない。【より詳しい情報→】http://www.kls-law.org/
よく読まれています【映画の著作物の著作者】著作権法第16条の解説です著作権法第16条は、「映画の著作物の著作者」との見出しで、次のように規定しています:「映画の著作物の著作者は、その映画の著作物において翻案され、又は複製された小説、脚本、音楽その他の著作物の著作者を除き、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。ただし、前条の規定の適用がある場合は、この限りでない。」本条は、映画の製作にはさまざまな著作物についての多数
著作権法14条の趣旨/書籍のカバーデザインの共同著作者性を否定した(著作者の推定を覆した)事例▶令和3年5月27日東京地方裁判所[令和2(ワ)7469](前提事実注)原告とAとの間で締結した出版契約書には次の規定があった:原告は,Aの権利保全のために所定の位置に下記の著作権表示(「本件著作権表示」)をする(9条)。「Copyright©2015「A」/PIEInternational」原告は,奥付部分に本件著作権表示が記載された本件書籍を出版した。(2)本件カバー
てんかん発作の症例に関するアニメーション映像の著作者該当性▶令和6年3月28日知的財産高等裁判所[令和5(ネ)10093]3争点2(本件映像の著作者)について⑴映画の著作物の著作者は、その映画の著作物において翻案され、又は複製された小説、脚本、音楽その他の著作物を除き、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者である(著作権法16条)。⑵控訴人の関与について認定事実のとおり、控訴人は、本件映像の制作に当たり、絵コンテ、レイアウト、
浮世絵のデジタル画像をデジタル処理した者は「著作者」といえるか▶平成13年9月20日東京地方裁判所[平成11(ワ)24998]▶平成14年12月10日東京高等裁判所[平成13(ネ)5284][控訴審](2)本件出版物の編集レイアウトの著作者について控訴人らは,本件出版物の編集レイアウトは,被控訴人と原審被告Bとの共同著作物である,と主張する。原審被告Bのなすべきものとされていたデジタルワーク作業は,原判決の認定するとおり,浮世絵画像から年月の経過による損傷や汚れを除去することによ
【著作者】著作者とは?その法律上の定義の解説著作権法第2条(定義)第1項第2号に、著作権法上の「著作者」の定義が規定されています。それによると・・・「(1)この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。(ⅱ)著作者著作物を創作する者をいう。」ということです。なお、第2条は、著作権法において重要な概念となる用語や頻繁に使用される用語の意義をあらかじめ明確に定めることによって、解釈上の疑義を極力避けることを狙った規定です。著作者とは、
『智惠子抄』の編集著作者が誰であるかが争点となった事例▶昭和63年12月23日東京地方裁判所[昭和41(ワ)12563]▶平成4年01月21日東京高等裁判所[昭和63(ネ)4174][控訴審]編集物で著作物として保護されるのは、「その素材の選択又は配列によって創作性を有する」ことが必要であるから(著作権法12条1項)、Aが「智惠子抄」の編集著作権者であるというためには、その素材となったCに関するBの作品を自ら選択し配列したと認められることが必要である。すなわち、Aの編集著作というために
よく読まれていますQ著作者が死んだら、著作者人格権はどうなるのですか?A著作者人格権は消滅しますが、著作者の人格的利益は、一定要件の下で、守られます。著作者人格権は、著作者の死亡とともに消滅する(59条)のですが、著作者の死後においても、一定要件の下で、その人格的利益の保護が図られています。具体的には、次の規定が用意されています:〇著作者が存しなくなった後における人格的利益の保護(60条)「著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなった後にお
スマホで撮影した動画を映画著作物と認定した事例(その撮影者を著作者とした事例)▶令和4年5月26日東京地方裁判所[令和3(ワ)34094](1)証拠及び弁論の全趣旨によれば、原告は、自身の事業である「B」事業及びそのフランチャイジーである甲店の宣伝広告目的で同店舗を訪れた際に同店舗のスタッフが店舗前で原告を出迎えている様子を、自己のスマートフォンを用いて撮影し、本件動画を制作したことが認められる。このような本件動画の撮影内容及び経緯等を踏まえると、本件動画の撮影にあたっては、原告が被写
著作者の名誉又は声望を害する利用行為(法113条11項)に当たらないとされた事例▶平成14年07月16日東京高等裁判所[平成14(ネ)1254]4著作者の名誉又は声望を害する利用行為の有無について被控訴人は,甲1部分において平成4年当時の最新情報として記載したことが,控訴人らによって,平成11年4月に出版された甲2書籍の甲2部分においても,そのまま掲載されており,このことは,被控訴人の社会的評価を低下させるものであり,甲1部分の一部の著作者である被控訴人の名誉又は声望を害する方法によ
名誉声望権侵害(法113条11項)を認めなかった事例▶平成28年8月19日東京地方裁判所[平成28(ワ)3218]▶平成29年1月24日知的財産高等裁判所[平成28(ネ)10091]3争点(1)ウ(名誉・声望権侵害の成否)についてこの点に関し,原告は,被告記事の中に「それにもかかわらず,未だ東京国際映画祭は批判の格好の的になっており,映画祭に対する厳しい批判は毎年の恒例行事のようなものになっている。そして,今回それを行ったのが映画プロデューサーの甲であった」として原告記事を紹介してい
よく読まれています著作者の名誉声望毀損行為(法113条11項)の認定事例▶平成25年7月16日東京地方裁判所[平成24(ワ)24571]▶平成25年12月11日知的財産高等裁判所[平成25(ネ)10064]1争点(1)(本件行為1についての違法性及び責任)について(1)本件似顔絵は,原告が昭和天皇及び今上天皇の似顔絵を創作的に描いたものであって,美術の範囲に属するものであるから,原告は,これにつき著作権及び著作者人格権を有するものと認められる。(2)前記前提事実(6)のと
法113条11項の意義と解釈(非認定事例/他人の著作物の「引用」の正確性が問題となった事例)▶平成14年3月26日東京地方裁判所[平成13(ワ)16152]▶平成14年11月27日東京高等裁判所[平成14(ネ)2205](1)著作権法113条5項[注:現11項。以下同じ]の規定が,著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為を著作者人格権の侵害とみなすと定めているのは,著作者の民法上の名誉権の保護とは別に,その著作物の利用行為という側面から,著作者の名誉又は声望を保つ
よく読まれていますQ著作権法60条について、もう少し教えてください。A承知しました。著作権法60条は、「著作者が存しなくなった後における人格的利益の保護」について、次のように規定しています:「著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなった後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は
よく読まれています銅像の著作者は誰か(著作者の推定を覆した事例)▶平成17年6月23日東京地方裁判所[平成15(ワ)13385]▶平成18年02月27日知的財産高等裁判所[平成17(ネ)10100等]著作物とは,思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいい,著作者とは,著作物を創作する者をいうのであるから(著作権法2条1項1号,2号),本件各銅像についても,本件各銅像を創作した者をその著作者と認めるべきである。ジョン万次郎像は,ブロ
編集著作物の著作者は誰か▶昭和55年09月17日東京地方裁判所[昭和44(ワ)6455]しかして、編集著作物[注:旧制静岡高等学校戦没者遺稿集「地のさざめごと」]は、編集物に収録された素材たる著作物(旧著作権法第14条参照。以下、便宜「素材」という。)の選択、配列に創作性が認められるが故に著作物として保護されるものであることに鑑みれば、素材について創作性のある選択、配列を行つた者が編集者であると解すべきであることはいうまでもないところであるが、それにとどまらず、素材の選択、配列は一定の編
写真集の著作者(編集著作者)が誰かが争点となった事例▶平成19年1月31日横浜地方裁判所[平成16(ワ)3460]▶平成19年07月25日知的財産高等裁判所[平成19(ネ)10022]原告が本件写真集の著作者であるかどうかについてア著作者とは,著作物を創作する者,すなわち,当該著作物について,その者の思想又は感情を創作的に表現する活動をした者である(著作権法2条1項1号,2号)。イ原告は,本件写真集の著作者は原告である旨主張している。(ア)しかし,本件写真集に掲載されている
よく読まれています芸能人に対するインタビュー記事を著作したのは誰か▶平成10年10月29日東京地方裁判所[平成7(ワ)19455]二争点2(著作者・著作権者)について1著作者とは「著作物を創作する者」をいい(著作権法2条1項2号)、現実に当該著作物の創作活動に携わった者が著作者となるのであって、作成に当たり単にアイデアや素材を提供した者、補助的な役割を果たしたにすぎない者など、その関与の程度、態様からして当該著作物につき自己の思想又は感情を創作的に表現したと評価できない者は著
著作権の原始的な帰属主体は誰か▶平成15年11月28日東京地方裁判所[平成14(ワ)23214]▶平成16年03月31日東京高等裁判所[平成16(ネ)39]著作権の原始的な帰属主体は著作者であり(著作権法17条),著作者とは,思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属する著作物を創作した者をいう(同法2条1項1号,2号)。原告らは,いずれも本件各書籍の創作には関与していないことを自認している。したがって,原告らが,本件各書籍の著作者であるということはで
よく読まれています「映画の著作物において翻案され,又は複製された小説,脚本,音楽その他の著作物」の著作者の権利行使▶平成17年08月30日知的財産高等裁判所[平成17(ネ)10009等]著作権法16条本文は,「映画の著作物の著作者は,その映画の著作物において翻案され,又は複製された小説,脚本,音楽その他の著作物の著作者を除き,制作,監督,演出,撮影,美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする」と規定しているところ,同規定の趣旨は,映画の著作物において翻案
よく読まれています一連の「宇宙戦艦ヤマト」(映画の著作物)の著作者が誰かが争われた事例▶平成14年03月25日東京地方裁判所[平成11(ワ)20820](注)原告は,著名な漫画作家であり,「銀河鉄道999」などの漫画,アニメーションほか数多くの漫画,アニメ作品を著作,発表している。被告は,音楽,舞台・ショー製作,アニメ作品のプロデューサーであり,アニメ作品「ワンサくん」などをプロデュースした。本件著作物1は、「宇宙戦艦ヤマト」の活躍をテーマとした一連のアニメ作品の1つであって、