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小説が映像化される際、どのような脚色がなされたのかを検証する連載「映像と小説のあいだ」の最新回が久しぶりに更新されました。今回は「洲崎パラダイス赤信号」原作と終盤の展開が違うにもかかわらず、ラストに同じシーンにたどり着く珍しい構成について分析しましたhttps://shosetsu-maru.com/yomimono/essay/eizotosyosetu/19連載第19回「映像と小説のあいだ」春日太一|小説丸小説を原作にした映画やテレビドラマが成功した場合、「原作/
今、群青の湖、芝木好子を読んでいる。表紙が素敵。本に出てくる琵琶湖の色を思い浮かべる。知人にもらった無地の青い紬をといている。台所の窓のところに暖簾のようにかけたくて。本と重ねつつ、眺めて。
映画洲崎パラダイス赤信号(1956)乙川優三郎『クニオ・バンプルーセン(2023)新潮社』で、芝木好子への言及があったのを縁に、芝木の『奈良の里(1988)文藝春秋』図書館本を読んだところ、芝木の文体が乙川優三郎のものと酷似していてびっくりした。乙川の根っこには彼女の作品がベースにあったのかと納得する。芝木『奈良の里』では、心に傷をもつ女性たちが再起するさまが描かれる。そのモチーフとして、聞香であったり、骨董、彫刻などの世界が描かれ、このあたりが乙川の「職人もの」作品に通じる。昭
乙川優三郎『クニオ・バンプルーセン(2023)新潮社』主人公クニオの父は、ヴェトナム戦争時代にニッケルと呼ばれた複座式戦闘機の黒人パイロットだった。ニッケルというのは北側(敵)の地対空ミサイルの囮になる飛行機で、5セント硬貨のニッケルのごと安い命を意味する。そのニッケル乗りの父はPTSDから自死。母は本好きの日本人。主人公のクニオ・バンプルーセンはそのふたりを両親に、やがて日本文学に惹かれ小さな出版社の編集者として歩み始める。日米バイリンガルとしての目線から日本語や文化の美しさを改めて
東京都立水元公園噴水広場前の入り口付近となります。東京都立水元公園噴水広場前の入り口付近2024.1.15(月)撮影青空の広がる快晴の一日…。されども、風が強くて寒いです。噴水広場前の都立水元公園入口です。立ち位置を変えて撮影。見上げて撮影。園内に見える水辺は、外溜です。水元大橋の一部が少しだけ見えています。東京都立水元公園噴水広場前の入り口付近日本の都市公園100選銘板東京都立水元公園平成元年7月緑の文明学会社団法人日本公園緑地協会2024.1.15
🌿🌜2023-04-14貞心尼『月人*とみづき*拾参月』🌕われもひともうそもまこともへだてなくてらしぬきけるつきのさやけさ貞心尼(『はちすの露』より)子供たちと手まりをつき自然をこよなく愛し説教もせずお酒をのみ粗末…ameblo.jp🍁🌝2023-01-02鶴見和子『月人*とにづき*拾弐月』🌕自分の持って生まれた可能性は私の財産鶴見和子(『鶴見和子・対話まんだら武者小路公秀の巻』より)私たちはひとりひとり違って生まれてきますということは可能性もひ…ameblo
💜2023-03-26『風人*とみかぜ*拾参風』たんぽぽの花には花の風生うまれ中村汀女(『花影』より)たんぽぽの花のまわりにはほのぼのとした風がただよっているような気がしますたとえ冷たい風が吹いていてもた…ameblo.jp🩵✨2022-12-27『風人*とにかぜ*拾弐風』人生はまわり持ち誰からか受けた好意を私はいま別のかたちでお返ししているのかもしれません。高田敏子(『女の喜びと悲しみ』より)恩送り🌿という言葉があります恩返し…ameblo.jp💚20
[本](041)女(百年文庫)Amazon(アマゾン)627〜14,436円「百年文庫(41):女」(2010年ポプラ社139p)芝木好子「洲崎パラダイス」(1954)西条八十「黒縮緬の女」(1960)平林たい子「行く雲」(1966)の3編を収める。「洲崎パラダイス」仕事をなくした男と元娼婦の女が、行くあてもないまま洲崎へと流れ着き、女は飲み屋の女給、男は蕎麦屋の出前の仕事を得るが、羽振りのいい客のひとりに気に入られた女は男への気持ちが離れていくかと思われたが……
💫✨鳥人*ここのとり*玖鳥2022-06-22『鳥人*ここのとり*玖鳥』🕊「人間」に年などありません若くとも一所ひとつところにじっとしているならばそれは既に老いたのです白洲正子(「たしなみについて」より)骨董や能の目利きとして知…ameblo.jp✨💫風人*ここのかぜ*玖風2022-07-11『風人*ここのかぜ*玖風』働くということは結局人の輪芝木好子(『女の仕事』より)充実した仕事をしている人はみなさん人の傍若無人を大切にすることをモットーにしているよ
働くということは結局人の輪芝木好子(『女の仕事』より)充実した仕事をしている人はみなさん人の傍若無人を大切にすることをモットーにしているようです仕事ができるできないよりもその信頼関係や人間的魅力からもたらされるものの方がずっと大きな成果を発揮するような気がします最後の決め手は人と人というわけですね思えば仕事であるかぎりたったひとりで完結してしまうことはありえませんその輪の大小はあるにしても必ず誰かとかかわっていくものたくさんの人々が協力してする仕事なら
芝木好子原作川島雄三監督さっそく、お話。冒頭、車がびゅんびゅん、行き交う勝鬨橋の上で「ねえ、これからどうするの」「どうしよう、どこへ行こうか・・」不毛な会話を繰り返している蔦枝(新珠三千代)と義ふたりの所持金はさっき煙草を買ったおつりの60円だけ。とにかくそのお金で路面バスに乗り「洲崎パラダイス」の入り口で降りた。洲崎橋に架かった「洲崎パラダイス」のアーチアーチをくぐった向こうは赤線地帯・遊郭である。身を持ち崩した女は
🌕言葉を正しくいうことは難しいがこれを感じよくきれいにいうことはもっと難しい芝木好子(『会話の妙』より)正しく言うことは確かに難しいことだと思いますでも正しいか正しくないかはとってもわかりやすいことですね感じがいいきれいなどは人によって受け取り方が違いますその判定も基準もはっきりと決められませんそのせいでしょうかどうしても正しいということを重視しがちだと思いますただ正しく言えば正しく伝わるとは限りません正しくても嫌な感じを与えてしまうこともあ
青い空、みずみずしい若葉、川に透明な光が差し込み、せせらぎの水面がいっそう輝いていました。久しぶりの「櫛かんざし美術館」、やはり、いいです。「櫛かんざし美術館」、以前もブログに書きましたが。芝木さんの作品、「貝紫幻想」、「群青の湖」、「雪舞」「青磁砧」「光琳の櫛」・・・・「光琳の櫛」の主人公、モデルになったのが「岡崎コレクション」の岡崎智予さん。「澤乃井・櫛かんざし美術館」の基となっています。今回は芝木好子さんの「群青の湖」。手にしたのは
昔:深川洲崎十万坪🖼鷲の背中は(雲母の粉を用いる)雲母(きら)摺り、爪は(墨にニカワをまぜて光沢をだす)膠摺り、羽根には(空摺りの一緒)きめ出しという技術が使われている。実に、この大鷲の存在感には圧倒される。中ほどの山は江戸の北方の北方の名山•筑波山。躍動感のある鷲と絵の下半分の荒涼とした深川洲崎は雪景色になっていて、〈動と静〉の対照が〈生と死〉にも繋がっているように思えて印象的である。左手に木場らしきものがあり、深川洲崎の場所柄を示していておもしろい。江戸開府の頃、ここに摂津の国から
今日発売の図書新聞に、芝木好子さんの復刊小説『新しい日々』(書肆汽水域)の書評を寄稿しています。本筋ではないのですが、いちばん印象に残ったのが、短編「脚光」の中で、洗濯物が乾いたから楽しいというお手伝いを、奥様が不思議そうに見つめる場面。奥様は日常に生きていない。傍目にはどれほど恵まれた暮らしでも、奥様にとってはナッシング、ないのと同じ。スポットライトを浴びる非日常の「板の上」・・舞台だけが全人生なのです。日常に生きられないのは、わたしも同じ。人生を幸福にするためには、日常の瑣事を愛さなけ
また、うれしい再会がありました。芝木好子さんの熱烈な読者だったと、「食と酒吉村昭の流儀」(小学館文庫)のあとがきやブログに書いたところ、それを読んだ編集者から芝木さんの復刊本「芝木好子小説集新しい日々」(書肆汽水域)の書評の依頼をいただきました。「芝木好子小説集新しい日々」は芝木さんの没後30年のご命日8月25日にあわせて出版されたもの。届いた本が素敵なのです。新進気鋭の造本家・新島龍彦さんによるもので、芝木さんの短編から花が登場する8編を選び、花や色を違えた4種類の美しい表紙に
30年前の一昨日8月25日、わたしは、津村節子さん、編集者、カメラマンと、福井の開花亭にいました。何の取材だったか忘れましたが、その夜、芝木好子さんの訃報が届き、津村さんが徹夜で追悼文を書かれたのは、「食と酒吉村昭の流儀」のあとがきにある通りです。20代の頃、わたしは芝木さんの小説に夢中になりました。「雪舞い」のモデルとなった武原はんの追っかけをし、とりわけ読み込んだのが「光琳の櫛」でした。モデルとなった料亭の女将を探して会いに行き、和食や着物、お茶にはまるきっかけになりました。料亭の
先日、地元の図書館で借りてきた芝木好子「洲崎パラダイス」(集英社文庫)を読み終えた。東京は隅田川を越えた東京湾に面した埋め立て地、あの溝口健二の映画「赤線地帯」の舞台となった街、洲崎に生きる娼婦たちを描いた6本の短編小説がおさめられている。(実はこの「洲崎パラダイス」の中の1編は、溝口の映画の原作にもなっている)芝木好子(しばきよしこ)。1914年~1991年。「青果の市」で芥川賞受賞。私は三十代前半に芝木好子の「群青の湖」を読んでいるが、この「群青
本「黄色い皇帝」芝木好子蝶の採集小説描写が細かくて、リアリティーがあって、本当におもしろかった。人の人生と蝶の採集、いろいろな人との絡みおもしろいので、じっくり、時間をかけて読んだ。ネパールカトマンズに行きたい。サラリーマンでありながら、幻の蝶にかける男の話1979年の本黄色い皇帝(集英社文庫)|芝木好子|本|通販|AmazonAmazonで芝木好子の黄色い皇帝(集英社文庫)。アマゾンならポイント還元本が多数。芝
小説『光琳の櫛』では、主人公である久住園が非常に強い執念を持って、挿し櫛を手に入れていく様が書かれています。それこそ、男性に取り入ってまで、欲しい櫛があれば、買い与えてもらうほど。この小説からはやっぱり、櫛簪と男女の恋愛との関係の深さがよく伝わるのですよね。男性は好いた女性に美しい挿し櫛や簪を贈るもの。主人公の園は愛人になってまで、作中では銘のある挿し櫛を手に入れようとします。私も夫から櫛や簪を贈られることがあるので、櫛簪はある意味で、男女の愛情
流れる日芝木好子初出1946年文庫1993年これも乙川優三郎の「ロゴスの市」に、文章が素晴らしい作家としてでてきた芝木好子の作品を読んでみたく思って、良さそうなものを選んで入手したもの。最近、乙川氏由来のものか、少女マンガ関連かに偏っている気がする。さて芝木好子作品は、意外とストーリーが面白かった。美文と言うと何となく、そんなに大きな展開はなく日常風景が淡々と描かれる、みたいなものを想像していたのだか、裏切られたかたち。ストーリーは戦前・戦中の東京を舞台に、7人兄弟姉妹の人生を
簪好きになり始めたのでしたら、ぜひ芝木好子氏の著作『光琳の櫛』を読んでみると良いですよ!主人公の久住園は、『澤乃井櫛かんざし美術館』に所蔵されている展示品の元の持ち主、岡崎智予女史がモデルとなっています。そんな久住園は赤坂で小さな料亭を営む女将であり、同時に簪や櫛の蒐集家でもあります。およそ数千点もの櫛や簪を所持していながらも、彼女の蒐集癖は留まらない。ある日、美術史の教授である高垣と共に、鎌倉に住む老人から光琳の櫛を見せられて、それを絶対に手に入れたいと思
古い映画を観ました。1956年の日本映画です🇯🇵原作は芝木好子の小説。監督は川島雄三。特飲街『洲崎パラダイス』に当てもなくやってきた女・蔦枝(新珠三千代)と男・義治(三橋達也)。流れ者だった二人はここから真っ当な人生を歩むことにし、蔦枝は『洲崎パラダイス』の入り口に建つ飲み屋で、義治は飲み屋の女将(轟夕起子)の世話で近所のそば屋で働くことになるのだが……。クズ男とビッチ女の恋愛模様を描いたお話です。『洲崎パラダイス』と呼ばれる赤線地帯の手前で繰り広げられる人生劇場が女性目線で進行
父は小説を読む。それもこれも全て字のためなのだけれど、その中で芝木好子が、小説の中で、登場人物にすごい事を言わせている、と言って話した話。形も、色も、線なのだ。覚えておくといいこれは清澄が真紀に言った言葉だ。芝木好子さんは小説を書くとき物凄く取材をされるそうだけれど、そういう凄さがたった一行にも満たない台詞に現れる。それを読みとれるか否かは、臨書にも他の事にも通じる。そこが分からなければ、例えば、字の本質、何故、古典蹟は国の宝として残っているのか?それすら分かる筈がない。そして、それな
芝木好子さんの短編集。前に読んだ『鹿のくる庭』がよかったので期待したが、これはなんか。なーんか。どの小説でも、控えめで自立した若い主人公の女性が、男と女とのすったもんだに巻き込まれてゆき、、、という展開なんだけど、人間関係ってそれしかないのか!?と、最近とみに性欲や独占欲の減退著しい私は入っていけなかった。芝木さんの晩年の作品ということもあり、私が勝手に、渋くてよくできた漆塗りの伝統工芸みたいな佳品を期待してしまっていたのが、あまり楽しめなかった原因か。長編、読んでみたいけどどうかなぁ。
今日は勤務校の三年生は中間テストの一日目。(今週末、滋賀県の中学校は1、2生の秋季大会なので1、2年生は大会終了後に中間テストは実施される)中学校三年生の二学期。高校へ入試資料として送られる成績は三年生分は二学期までが勝負となる。私は中学三年生だった頃、二学期はもう文字通り必死のパッチだった。二学期の期末テストの一日目、私は朝の4時半まで勉強して母親に5時ジャストに起こしてもらい、30分睡眠でもって登校してテストに臨んだ記憶がある。私はこれまで生
この本が出た1984年当時、小説の舞台は24年前1960年の浅草でした。小説の中で、小説の舞台から15年から20年前の戦前・戦中の回想が語られています。当時の読み手からすれば、40年ほど前の出来事を想像しながら読むことになります。浅草といえば、東京大空襲で甚大な損害を被った地です。小説の舞台は、登場人物の思い出に空襲や戦死で喪った人が自然と登場する時期です。24年前の舞台、40年前の回想となると、読み手の年齢によりその時代の記憶の有無・濃淡が異なり、懐かしさの度合いがちがってくるでしょ
北鎌倉の仏像専門店[仏光](ぶっこう)です。買い付けと売るのと、どちらが楽しいかと訊かれることがあります。云うまでもなく買い付けです。骨董市や稀にフリマなどで、気品のある仏像が信じがたいお値段で(お安く)売られたりしていますと、頬が蕩けそうになります。お買い取りお引き取りに関しては、ご紹介の方のみに限っており、原則お断りしていますが、こちらもごくごく稀にありがたいお顔の観音様が持ち込まれたりしますと、思わずようこそいらっしゃいましたと両手を合わせてしまいます。買っていただくことを前提に
『洲崎パラダイス赤信号』1956年日本映画81分監督:川島雄三製作:坂上静翁原作:芝木好子講談社版(洲崎パラダイス)より脚本:井手俊郎、寺田信義撮影:高村倉太郎照明:大西美津男録音:橋本文雄美術:中村公彦音楽:眞鍋理一郎編集:中村正助監督:今村昌平製作主任:林本博佳挿入歌:(A)「赤い灯よさよなら」唄:由利夏江(B)「洲崎悲歌」唄:平井照夫出演:新珠三千代(蔦枝)三橋達也(義治)轟夕起子(「千草」女将・お徳)河津清三郎(常連客・落