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小説お嬢様春泉の秘密第三話猫は愛の歌を奏でる☆夫秀龍とやっと名実ともに夫婦になれた春泉。現在は遅ればせながら、夫と水入らずの蜜月を過ごし、幸せいっぱいの日々。そんな若奥様の生活に飽きたらず、春泉は夫の「恋人」と噂される遊女香月に興味を持ち男装して会いに行く。―兄貴には悪いが、俺はどうやら、あんたに本気で惚れちまったみたいだ。女装をすれば天下一の美姫、本来の男の姿に戻れば、どんな女をも夢中にさせる超美男―その香月が何と春泉に恋をした!秀龍は激怒し、春泉は二人の男の間で恋のさ
小説お嬢様春泉の秘密第二話笑う猫~二つの恋、揺れる想い~☆これは許されない想いなの?~どうしても、以前、別れたあの男のことを忘れられない。なのに、私の心は旦那様、夫であるあなたをも求めているのです。あの人とあなた―二人の男の心を求める私は欲深で淫らな女なのでしょうか?~その時、春泉はある事実に今更ながら気づいた。秀龍が光王に似ていると思えてならなかったのは、光王が持つ特異性を秀龍も持っていたからだ。秀龍と光王はその身の内に焔の情熱と氷の冷静さを同時に持っている。しかし、それ
小説お嬢様春泉の秘密第二話笑う猫~二つの恋、揺れる想い~☆これは許されない想いなの?~どうしても、以前、別れたあの男のことを忘れられない。なのに、私の心は旦那様、夫であるあなたをも求めているのです。あの人とあなた―二人の男の心を求める私は欲深で淫らな女なのでしょうか?~そこで春泉が聞いた香月の身の上話はあまりにも想像を絶するものであった。憐れともいえ、また、香月という人の破天荒な人柄を何より物語る内容だったのである―。二人から数歩離れた手前に、鮮やかな黄色の牡丹が二本、寄り
小説お嬢様春泉の秘密第二話笑う猫~二つの恋、揺れる想い~☆これは許されない想いなの?~どうしても、以前、別れたあの男のことを忘れられない。なのに、私の心は旦那様、夫であるあなたをも求めているのです。あの人とあなた―二人の男の心を求める私は欲深で淫らな女なのでしょうか?~それでも、秀龍は顔を上げようとしない。やはり、気を悪くしたのかと春泉が思ったその時、〝そうか?〟と殆ど聞き取れないような声が聞こえた。いかにも気のない返事に心が折れそうになるが、自分を鼓舞して口を開く。「旦
小説お嬢様春泉の秘密第二話笑う猫~二つの恋、揺れる想い~☆これは許されない想いなの?~どうしても、以前、別れたあの男のことを忘れられない。なのに、私の心は旦那様、夫であるあなたをも求めているのです。あの人とあなた―二人の男の心を求める私は欲深で淫らな女なのでしょうか?~「おい、春泉」秀龍が一歩近づいた。無骨な手が花束を差し出そうとする。この時、秀龍は何を考えていたのだろう。やはり、最後まで、春泉が花束を受け取ると信じていたのだろう。けれど、春泉は振り向きもせず、手を差
小説お嬢様春泉の秘密第二話笑う猫~二つの恋、揺れる想い~☆これは許されない想いなの?~どうしても、以前、別れたあの男のことを忘れられない。なのに、私の心は旦那様、夫であるあなたをも求めているのです。あの人とあなた―二人の男の心を求める私は欲深で淫らな女なのでしょうか?~「だってさ、手を握れば別荘一つが建つのなら、三回握らせりゃア、別荘はしめて三つだぞ?こんな馬鹿げた美味しすぎる話、あるか?」香月はまだ笑いが止まらないらしく、涙眼になって笑い転げている。「お前、他人の心を
小説お嬢様春泉の秘密第二話笑う猫~二つの恋、揺れる想い~☆これは許されない想いなの?~どうしても、以前、別れたあの男のことを忘れられない。なのに、私の心は旦那様、夫であるあなたをも求めているのです。あの人とあなた―二人の男の心を求める私は欲深で淫らな女なのでしょうか?~秀龍は重い息を吐き、首を振る。判らない。春泉は確かに清らかな身体だった。あの身体は間違いなく、男を知らない。堅物だと思われている秀龍だが、女性経験が全くないというわけではないのだ。その程度の区別はつくし、女体
小説お嬢様春泉の秘密第二話笑う猫~二つの恋、揺れる想い~☆これは許されない想いなの?~どうしても、以前、別れたあの男のことを忘れられない。なのに、私の心は旦那様、夫であるあなたをも求めているのです。あの人とあなた―二人の男の心を求める私は欲深で淫らな女なのでしょうか?~「本当に何も知らぬのか?そなたを見ていると、私の方が罪なき少女を苛める悪人に思えてくるが。その殊勝な態度もすべて見せかけだというのなら、実に末怖ろしい売女(ばいた)だ。舞台役者も顔向けの迫真の演技だな」「何
小説お嬢様春泉の秘密第二話笑う猫~二つの恋、揺れる想い~☆これは許されない想いなの?~どうしても、以前、別れたあの男のことを忘れられない。なのに、私の心は旦那様、夫であるあなたをも求めているのです。あの人とあなた―二人の男の心を求める私は欲深で淫らな女なのでしょうか?~妻となる娘があの悪名高き柳千福の娘だというのも、さして気にしなかった。父才偉から、千福亡き後、残された母と娘が助け合いながら慎ましく暮らしていると聞かされていたし、生活の糧を得るために自ら刺繍をして、それ
小説お嬢様春泉の秘密第二話笑う猫~二つの恋、揺れる想い~☆これは許されない想いなの?~どうしても、以前、別れたあの男のことを忘れられない。なのに、私の心は旦那様、夫であるあなたをも求めているのです。あの人とあなた―二人の男の心を求める私は欲深で淫らな女なのでしょうか?~つられるように、春泉もまた、そちらに顔を向けていた。「小虎(ソホ)」消え入るような呟きが洩れる。既にその時、秀龍の手は春泉の口から放れていた。「小虎、小虎」ふいに現れた猫は春泉の顔の傍まで歩いてくると、ミ
小説お嬢様春泉の秘密第二話笑う猫~二つの恋、揺れる想い~☆これは許されない想いなの?~どうしても、以前、別れたあの男のことを忘れられない。なのに、私の心は旦那様、夫であるあなたをも求めているのです。あの人とあなた―二人の男の心を求める私は欲深で淫らな女なのでしょうかむろん、これまで仕えていた執事は変わらず勤めるが、女の一人住まいに男の使用人一人という外聞をはばかってか、母は新たに若い女中を一人雇い入れることに決めたらしい。もとより、三十代後半の執事には既に女房や子どももいて、