黒蜥蜴を観た。映画としては"キワモノ"として有名な美輪明宏の代表作であり、松竹でも珍しい怪奇作品群の中の一本は、けして駄作ではない。まるでシェイクスピア劇のように、独白を繰り返す美輪明宏は、完全に自分の世界を作っている。決して格調高いとは言えないが、その世界観は面白い。撮影は深作欣二らしい、アップの多用と引き打ち照明の中、動きの激しい演技は、映画をあまり見ない一般の人向けだ。それにしてもこの"黒蜥蜴"が明智小五郎シリーズとは知らなかったし、これほど明智色が濃いとは思わなかった。劇中小五郎が隠れる