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第28話;新たな物語のはじまりに…結と美優紀はリビングに降りてきた。『陽ちゃん、うち一回荷物取りに行ってくるな』と美優紀はバッグを持ち言った。『おう』俺は美優紀を見ながら右手をあげた。美優紀は『また後で!』と玄関に向かった。結は美優紀の背中を見ながら『行ってらっしゃい』と言った。美優紀は小さく頷き『行ってきます』と答えた。俺は穏やかな表情で二人を見つめていた。これが新たな物語の静かな始まりだった。美優紀がいなくなり、結との2人の空間になった。結は大きく深呼吸を
第27話;美優紀の想い俺は部屋を出た。美優紀は結に問い掛けた。『うち…一緒に住んだらあかんと思う…』結は言葉の意味が分からず黙ってしまった。無言の空間が続く。結はその沈黙を破る様に『どうして?』と聞いた。美優紀は静かに語り出した『また、二人を邪魔してまうから…』結は間髪入れずに『またって…美優紀ちゃんに邪魔された事なんかないよ‼️』と言った。美優紀は驚いた様な表情を見せて『えっ…』と言った。結は続けた。『確かにヤキモチ妬いた事もあるかもだけど、美優紀ちゃんは大
第26話;涙の数だけ…結と俺は美優紀を見た。美優紀はその頬に一筋の涙を流した。『嘘やなかったんや…また2人に会えたんや…星降る夜に…』結は美優紀を見つめて『美優紀ちゃん…おかえり』と笑った。美優紀は泣きながら『ただいま…結ちゃん…会いたかったんよ…ホンマに…』とつぶやいた。俺は美優紀を見つめて『美優紀、泣くなよ!嬉しい再会だろ?』と笑った。『これは嬉しい涙やもん…』と目をこすった。そんな3人を満天の星たちが包み込んだ。時間はあっという間に過ぎていく。我に返った様
第25話:夢のような…『ところで、親御さんに許可取らなくても本当に大丈夫なん?』俺は『大丈夫!!今は俺が家主だ!!』と笑った。美優紀は笑いながら『陽ちゃんが家主かぁ~』結もそんな会話を聞きながら微笑む。時間は8時を少し過ぎていた。『なぁ、結、美優紀…?』と俺は二人に声をかけた。二人はこちらを向いた。『今日は、久しぶりに3人で星、見ないか?』結も美優紀も大きく首を縦に振った。3人は階段を上がり、俺の部屋に向かった。3人で俺の部屋に入る。実に良い時間である。今日は10
第24話:あの頃みたいに…今日は特にご飯を用意していないため、出前を取る事にした。俺はざるそば、結と美優紀はきつねうどんを頼んだ。結もさっきよりは顔色も良くなり、明るい表情で美優紀と話をしていた。2ヶ月前と何も変わらない空気が流れている。そんな穏やかな時間を肌で感じ、心地の良い気持ちに包まれていた。ピンポーン。出前が届く。『今日は結の回復を願って、そして美優紀のお帰りなさい会だから、俺が奢ろう』とリビングに品物を運びながら言うと『おっ!陽ちゃん男前‼️』と笑う結『えぇの?
第23話:結の気持ち『私は…嫌じゃないよ…』それは小さな声だった。そこには厚着した結が立っている。『結…ちゃん…』美優紀は結の方を見つめる。結は続ける。『確かに初めはヤキモチ焼いてたし、よくわかんなかったけど、もし古川さんの事、本当に嫌だったら空港に行かせなかったよ…?困った時はお互い様でしょ?』と笑顔を見せた『結…ちゃん…ありがとう…ほんまにありがとう…』と美優紀の瞳にはまた溢れるものがあった。『という訳で、決定だな!!!』と俺も笑った。穏やかで暖かい空気に包み込まれ
第22話:この先…『美優紀…これからどうするんだ…?』『うーん、とりあえず1週間はホテルに泊まろうと思ってんねんけど、そのあとはまだ……』美優紀はまた俯き加減で答えた。『そっか………』俺はそんな言葉しか出て来なかった。美優紀は顔を上げて、『大丈夫や!大丈夫!陽ちゃんには迷惑かけへんから…』と無理矢理な笑顔を作り、そう言った。『迷惑なんて、思ってないよ!!俺はただ美優紀が心配なんだ!!』と俺は強めの口調で言った。『陽ちゃん…ありがとう…せやけど…』と美優紀が言いかけた時、俺
第21話:美優紀の想い…『ずっと辛かってん…寂しかってん…』美優紀は俯きながら話す。俺はその姿を静かに見つめる。美優紀はそのまま続ける。『せっかく、陽ちゃんや結ちゃん、この街に馴染んでこれたとこやのに、言葉も風も匂いも違うとこにいってもうて…寂しいし、悲しかったんや…』俺はゴクリと唾を飲み込んだ。『せやから、パパに言うたんや…そしたら、学校のテストでもし1番取れたら、日本に帰ってえぇって言われたから…必死やった…毎日毎日必死やった…そしたら、その姿を見たパパがな、「自分一人で暮らし
第20話:変わらない二人二人は結の部屋を出て、リビングへ向かった。階段を下りる美優紀の後ろ姿…不思議な感覚、不思議な空気が流れていた。リビングに着く。『とりあえず、適当にくつろいで』と俺はソファーを指差した。『ありがとう』と言って、美優紀はソファーに腰掛け、周りを見渡した。『いやーそれにしても、驚いたよ』と俺は笑った。美優紀は少し俯き加減で、それはそれは小さな声で『手紙とか迷惑やった…?』と言った。『何言ってるだよ!!迷惑なんかじゃないよ!』と俺が返事をすると、美優
第19話:結にもサプライズコンコン。『うーん、入っていいよー』と力無い結の声が響く。ガチャ。『陽ちゃん…?』と結がむくりと体を起こす。『結ちゃん…大丈夫??』と美優紀が声をかける。結は美優紀を二度見した。『ふ、古川さん…‼️』『お久しぶりやね』と美優紀が笑った。『おひさ…えっ…』結は動揺を隠せない様子。『まぁあれだ、サプライズってやつだ』と俺は笑った。結は起き上がろうとした。『無理したらアカンで…すぐには帰らへんから、あとでな』と美優紀が結を止めた。結は小
第18話:サプライズ、『ドイツからのお届け物やで‼️』その瞬間、俺の時が止まった。この関西弁は…『美優紀…』そこには、紛れも無い古川美優紀の姿があった。『こんにちは、陽ちゃん…』と美優紀はニコリと笑った。『えっ、どうして…』俺は夢でも見ているかの様だった。『迷惑…やった…??』美優紀は少し寂しそうな表情を見せた。『迷惑なんかじゃないよ、ただ単純に驚いただけ…まあ、入りなよ』と美優紀を手招きした。『えぇの…??』と美優紀は首を横に傾げた。『いいよいいよ、入って』
第4話:美優紀の本音【なんか、本音を書きたくてもう一枚書きました。本当は寂しくて辛いです。あの日陽ちゃんが大丈夫って言ってくれたのを糧に頑張ってきたけど、陽ちゃんや結ちゃんに会いたいです。】そこには美優紀の切実な思いが綴れていた。きっと、知らない土地で、俺なんかには一生分からない辛い思いをしているのだろう。しかしどうにもならないのも現実である。あの日から、心に穴が空いた気がする。決して、美優紀が好きとかそうゆう訳では無いが、何か大きなものを失ってしまった気がするのだ。最後に美優紀
第3話:美優紀の手紙手紙を開く。【お久しぶりです。美優紀です。】と始まる手紙。美優紀らしい字が並ぶ手紙を読み進めると【出発の日、来てくれてありがとう。ちゃんとお礼出来てなかったね。私は相変わらずです。ただ分からない言葉だらけでちょっと辛いけど…陽ちゃん、結ちゃんはお元気ですか??仲良くやってますか??今も星は好きですか??私はこっちの学校の天文学部に入りました。ドイツも星が綺麗な街です。陽ちゃんに見せたいなって思ったので、写真送ります。】と書いてあるので封筒を見ると一枚の写真が入って
第2話:あの日から…学校に着く。雨のせいか、教室はジメジメとしている。『もう‼️今日もギリギリなんだから‼️‼️』と怒るのは結。周りは一緒に住んでいる事を知っているため、俺達の事を【柏木夫婦】と呼ぶ。結は嫌ではないみたいだが、俺としては面倒な事柄のひとつだ。始業チャイムが鳴る。今日もダラダラと授業を受ける。別に気になる訳では無いが、空いている隣の席を見ると、不意に美優紀は元気なのだろうかと考える。そういえば、あれから、あの最後の日から、連絡来てなかったなーなんて考えている自分が
星降る夜に…をお読み頂いた皆様、本当にありがとうございました。私自身、久しぶりに、また改めて陽平、結、美優紀に会えて、非常に楽しい時間を過ごさせて頂きました。今後、少しのお時間を頂戴いたしまして、続編【星降る夜に…AfterStory】を配信させて頂きたいと思います。前ブログより、長年付き合ってきた星降る夜に…あなたには、どう映ったでしょうか?あなたは結派?美優紀派?自分ながら、本当に大好きな作品で、だからこそ、こんなに長く書くことが出来たのかな?と思っています。陽平、結、美優紀、
最終話:星降る夜に…俺は、いつの間にか眠りについたようだ。『…ちゃん』夢だろうか…誰かに話かけられているような…『陽ちゃん‼️‼️‼️』うん…結か…『陽ちゃん早く起きなさい‼️‼️』そんな声で目が覚めた。『陽ちゃん、いつまで寝てるの‼️‼️』なぜか、怒り気味の結『まだ…学校遅刻しないだろう…』と寝ぼけ眼で答える俺。『バカ‼️大バカ‼️‼️』と大声で怒る結。『何なんだよ、朝から‼️‼️』と言うと結は『空港行くんでしょ?古川さ…美優紀ちゃん‼️‼️‼️‼️』そんな
第43話:星が紡いだ小さな物語飯を食い終えて、いつもの時間。窓を開けると、今日も先客がいた。『よう!相変わらず勉強熱心だな』その声に気づいた美優紀がこちらをみて『こんばんは陽ちゃん‼️』と笑顔を見せた。今日は一段と星が綺麗な気がした。星の話、何回したんだろう。いつも通りの会話をする二人。時間はあっという間に過ぎる。すると美優紀は『ふぁー』とあくびをした。『そろそろお開きか』と俺が言った。『そうやね…改めてやけど、毎日楽しかったで、ありがとうさん、ロマンチストさん…
第42話:いつもの通学路月曜日の朝、ちょっと寝不足気味のまま、起き上がる。携帯を見ると、結からLINEが入っていた。【今日は早く学校行くから、遅刻するなよ!】そんなメッセージを見て、背伸びを一回。ダラダラと用意をして、玄関を出ると、隣から美優紀が出てきた。『あっ‼️陽ちゃんおはよう‼️』いつものように笑顔の美優紀。『おはよ〜』と返す俺。『一緒に行かへん?』『おう』そういえば、一緒に学校行って、結に怒られた事があったっけ。普段通りの会話をする二人。学校に着いて、朝のホー
第41話:星空に願いを込めて…あっという間に日は沈んでゆく。もうすぐ8時になるところだ。『ただいまー遅くなったー』と結が帰ってきた。『今日は、忙し過ぎて、もうぐったりだからもう寝るね』と言って結は部屋に向かった。『おう』と言って俺も自分の部屋に向かう。いつもの時間だ。窓を開けようとすると、窓に何かが当たるの音がした。窓を開けると、紐の付いたぬいぐるみを持つ美優紀が向かいにいた。『こんばんは、また使ってみた』と笑う美優紀。『そういや、前にも』と自然と笑いが込み上げる。
第40話:過ぎ行く時間『陽ちゃん、ほなそろそろうち帰るわ』と美優紀が立ち上がる。俺も『おう‼️料理ありがとな』と言った。美優紀は頷き、玄関に向かった。俺も玄関まで見送る。美優紀は『お邪魔しましたー』と言って帰って行った。俺はリビングに戻り、ソファーに腰掛けた。ふと、さっきの美優紀の話を思い出す。きっと、俺には考えられない苦悩や悲しみがあるのだろう。でも、そんな事を表に出さないで周りを心配させないようにしている美優紀。あと2日、美優紀に何かしてあげられるのだろうか…
第39話:限りある時の中で…二人はリビングに戻った。すると美優紀が突然、『この街好きやなーうちは』と言った。俺が、急な美優紀の発言に戸惑っていると『なんか、わからへんけど、好きやなーって』と言った。俺は小さく頷いた。『雰囲気とか、街の匂いとか、風とか…好きやなぁ〜って』と美優紀は言い、少し俯いて、『…正直不安なんよ』と言った。俺は美優紀を見つめた。『言葉もわからへん、土地もわからへん国に行くなんて、不安しかないんよ…』俺は『美優紀なら大丈夫‼️』と言った。美優
第38話:二人だけの時間すると美優紀が『陽ちゃんの部屋見てみたいんやけどあかん…??』と言ってきた。俺は『別に構わないけど??』と言って立ち上がった。二人で階段を昇り、2階の部屋に向かう。部屋のドアを開けると、美優紀は部屋中を見渡した。部屋に入ると、美優紀は本棚に直行した。『うわー天体関係の本だらけやねーさすがやわ』と本棚を見渡す。俺は『これぐらいしか趣味ないからなー』と言った。すると美優紀は『これが…』と一冊の本を手に取った。『カラナンド流星群の童話だよ』と言
第37話:似た者同士そんな話で笑いあっていると、2階から着替えをした結が降りてきた。『陽ちゃんおはよー、あっ…古川さん…』と結はリビングの入口で立ち止まった。美優紀も『赤坂さん…おはよう、あっ…そろそろ帰るわ』と言った結は『いや、ゆっくり陽ちゃんとお話してて』と言った。美優紀は小さく頷いた。『あっ、それと、これからちょっとお家帰って、お母さんに頼まれた物を送る準備するから一日いないから!』と言った。俺は『わかった、気をつけてな』と言った。すると結はリビングに入り、
第36話:好きと言えたら楽なのに…俺は笑いながら『えー』と言った。すると美優紀は、『笑い事やないで…うちは…本気やで…』恐らく俺の顔面は硬直していただろう『い、いや、美優紀…』美優紀は『うちの…気持ち…もてあぞばんといてよ…』俺は返す言葉が無かった。『せっかく…もうええって…決めたのに…』美優紀は顔を伏せた。無言の時間が過ぎていく。すると美優紀は『うふふ』と笑った。俺は相変わらず顔面硬直状態だ。美優紀は、『冗談やって!!あかんでー新婚さんがそんな事言うたら!
第35話:秘めたる美優紀のポテンシャル美優紀はこちらを見た『これ…食べていい?美味そうで我慢出来ない!!!』と言うと、美優紀は笑って『はい‼️どうぞ!』と言った。俺は美優紀の料理を一口食べた。美優紀は不安そうな顔をして『どう…?』と聞いた。俺は終始無言を貫く。美優紀は、不安そうな顔のまま『どうなん??口に合わへんかった?』俺は重く閉ざしていた口を開いた。『美優紀…これは…本当に…美優紀が作ったんだよな…』美優紀は頷き、『せやで、やっぱあかんかった…??』俺は『
第34話:流れゆく時の中で…美優紀とリビングに向かった。美優紀はソファーに腰掛け、こう言った。『でもえぇの??新婚さんのお家お邪魔してもうて…??』俺は、美優紀にデコピンした『あーまたやった』と美優紀は笑った。俺は『こら、新婚さんじゃないし、昨日は言わなかったけど、結とは付き合わない事にした』と言った。美優紀はビックリした様な表情で『えっ…なんで…陽ちゃん…フラれたん…??』と言った。俺は美優紀に昨日の結との会話の顛末を話した。美優紀はうんうんと頷きながら聞いていた。
第33話:美優紀流サプライズ『どうしたの急に…?』俺は美優紀に問いかける。『いや、大したものやないんやけど…』美優紀の手には紙袋があり、中を見ると大きめの保存容器が入っていた。俺はそれを見つめて『それは…?』と問い掛けた。美優紀はニッコリと笑い、その容器の蓋を開けた。『なんか、お礼せなあかんと思っててん、だから、お料理作ってみた‼️食べてくれる?』そこには、肉じゃが、卵焼き、きんぴらごぼうなどおいしそうな料理があったそれはあまりにうまそうで、ただ無言で見つめていると美優紀が
第32話:こんな日曜日も…日曜日の朝。今日は休みなのに珍しく早く目が覚めた。ここ最近はいい天気が続いている。眩しい陽射しが部屋に突き刺さる。あと、美優紀がこっちにいるのも2日か…暑さが伝わってくるくらいの陽射しに完全に目が覚める。柄にも無く、美優紀との短かった日々の思い出に浸ってみたりする…。単純に星を眺める仲間が増えた事を喜んでいた。しかもあの時の迷子が美優紀だったとは…今思えば、美優紀には全てお見通しだったなーなんて。何とも言えない寂しさと虚しさが、胸を締め付ける。そ
第31話:そんなところが好きだから…『あのさ…火曜日なんだけど…』と言いかける俺に結は『わかってる!!空港まで行くんでしょ?』と言った。『うん…ダメか…?』と聞くと『ダメな訳無いじゃん!!陽ちゃんの優しいそういうところを1番良く知ってるんだから!!』とグッドサイン。『ありがとな…結』と言った。すると結はこう続けた『陽ちゃんの気持ちも聞けたし、今日から邪魔しないから、窓際で古川さんとベタベタしていいよ』俺は『ベタベタって、おい!!』と笑った。結は笑いながら『星見る
30話:陽平の想いと結の想い『俺の…正直な気持ちを言うから、ちゃんと聞いてくれ…』結は小さく頷いた。『結とはずっと一緒だったし、なんか、いるのが当たり前な存在なんだ…、だから正直、好きという感情かどうか、わからないんだ…けど、これからもずっと一緒にいてほしいって…今はそれだけじゃ、ダメか…?』結はニコッと笑い『ありがとう…』と言った。そして、結は続けた『あのね、私も付き合いたいとかじゃなくて、あの頃みたいに陽ちゃんと馬鹿やって、これからも一緒にいれたらそれで十分だよ…』俺は『