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今日は、“たくさん歩こう”よりも“まず5分”の話です。歩くことは、それ自体が立派な治療の一部です。ただ、実際の外来でよくあるのは、「時間がない」「まとまって運動できない」という声です。でも実は、生活習慣病の改善に効くのは“長時間のウォーキング”ではありません。ポイントは「ゼロを1にすること」。1日の中で“歩く機会をゼロにしない”という視点がその人の未来の数字(血糖・血圧・体重)をゆっくり変えていきます。たとえば…・昼休み
私は、日本内科学会の「総合内科専門医」という資格を取得しています資格取得のためには、規定を満たす修練期間やサマリー作成、試験など、それはそれは大変な難関がいくつもあるのですが、資格取得後も気を抜けません資格を保持していくためには、最低5年毎に内科学会の「セルフトレーニング問題」を忘れずに取り寄せ、全てに解答して学会へ提出し、正答率60%以上を得点する必要があります正答率60%未満の場合や、そもそ解答しなかった際には単位が更新できず、資格を喪失することになってしまいます
今日は、“ゼロ→1”が一番価値が大きい、という運動の話です。運動は「体を動かす行為」だと理解されがちです。でも私は、運動とは本質的には“自分の感覚を取り戻す時間”だと捉えています。血糖体重血圧睡眠こうした数字は「人生の外側に出た結果」でもあります。運動はその数字の前に“生活のリズムを一度フラットに戻す時間”です。10分歩くだけでもいい。汗なんて出なくていい。大切なのは自分の意思で1歩だけ動いた“その事実”です。たった
急に寒さが増してきましたね「子供は風の子」と言われますが、大人も寒さに負けず、積極的に体を動かしていきたいものです当院がある宗像市田久には、釣川に沿って遊歩道が整備されています城山やJRの電車を見ながらのウォーキングはとても気持ちがいいです川からわたってくる風が冷たい時もありますが、ウォーキングをしていると体がポカポカに温まりますウォーキングは代表的な有酸素運動です血流を促進したり、血圧や血糖値を抑える効果がありますまた、体内の脂肪を燃焼させる効果があり、継続することでダイ
中年以降から、「…健康診断で、血圧を測った結果、基準値が肥えてて、“高血圧”が判明した。そこで、医者から、薬(降圧剤)を処方された。」という症状の人は少なくない。ところが、降圧剤の薬を服用し続けてたら、・夜中のトイレが近くなった・起き上がると、めまいがするという現象が起きることもあるという。そんな副作用を起こした人が、セカンドオピニオンに相談した後、『(降圧剤の服用による)血圧の下がりすぎ』の疑いがみられて、薬を減
今日は、人生後半を“再設計の時間”として捉える視点について。人生の後半は、何かを失っていく時期ではなく、「回収するフェーズ」だと私は思っています。若い頃の選択やあの時の後悔思い出しては苦くなる瞬間。その全部を今の自分が取り戻す時間。それが人生の後半です。私は診療の場で何度も遭遇します。薬が減った人より“生き方が整ってきた人”の目の輝きの変化に。血糖値が下がることはゴールではない。血糖が落ち着いて「やりたいことに再び手を伸ばせる」その瞬間こ
外来でよくある「薬は減らしたい」という相談から。今日は「薬は敵か味方か」のお話です。「薬はできればやめたい」外来で、そう話される方はとても多いです。けれど私は、薬を飲むことを“敗北の証拠”として扱う必要は無い、と考えています。なぜなら薬は“人生を立て直すための時間を確保する道具”だからです。血糖値が安定しないまま生活改善に挑むのは、暴風の海でヨットを出すようなもの。まず凪をつくってから舵を切る。薬は“凪”をつくるために存在する。少しでも早く、血糖値を安
HbA1cは「あなたの過去1~2か月の血糖値の状態」と説明されます。しかし私は、それだけでは不十分だと感じています。数値は“結果”です。本質は「この2か月、どう生きてきたか」という“軌跡”です。2か月前の選択1か月前の食事昨日歩いた10分それらの積み重ねが1つの数字に凝縮される。医療現場では、HbA1c6.7→6.3に変わると“改善”と表現します。でも私は「改善=数字が下がった」ではなく「改善=未来が取り戻され始めた」と捉えたい。
以前お伝えした「糖尿病の薬編」が評判良く、「高血圧編もお願いします!」とリクエストをいただきましたリクエストありがとうございます😊●カルシウム拮抗剤タイプ:道を整備できるスキルをもつ「技術者タイプ」特徴:道(血管)を広げて、血流がスムーズになるよう改善します薬:アダラート®(ニフェジピン)、ノルバスク®(アムロジピンベシル酸塩)国土交通省メモ:全ての道(血管)はローマ(心臓)に通ず●ACE阻害薬、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)タイプ:マルチタス
ようやく涼しくなり、秋らしくなってきました果物のおいしい季節ですね昔から「柿が赤くなると、医者が青くなる」ということわざがあります柿が赤くなる秋は天候が良いので、体調を崩す人も少なく、医者は商売にならずに青ざめる、という意味だそうですまた、柿の健康効果も相まっているとも言われています柿には、免疫力アップや美肌の育成・維持などに重要なビタミンCが、レモンの約1.4倍も含まれていますまた、老化防止などに効果が期待できるクリプトキサンチンやリコピンなどのカロテノイドも含まれ
10月6日、大阪大学の坂口志文先生がノーベル生理学・医学賞を受賞されました先生が発見された「制御系T細胞」は、今後がんや自己免疫性疾患、1型糖尿病などの新たな治療法に応用される可能性があるそうです現在使用されている【糖尿病の薬】には、多くの種類があります【[働く細胞]風に分かりやすく説明してほしい】というご要望がありましたので、私なりに解説していきたいと思いますもし擬人化してみたらこの俳優さんや女優さんかなぁ、という個人的な考えも載せてみました(あくまでもいち個人として
10月1日より、インフルエンザワクチンの接種が開始しました宗像市では、早くもインフルエンザ感染による小学校の学級閉鎖も出ています感染予防のために、是非ワクチン接種を受けていただきたいと思いますインフルエンザにかかった際には、安静・休養と共に、水分補給が重要です医師からは「抗インフルエンザ薬」と「解熱剤」が処方されることが多いです今回は、その「抗インフルエンザ薬」についてお伝えしたいと思いますインフルエンザの治療薬として使用されている薬剤は、5つあります。タミフル(オ
「ドクターカンファ」とは、「ドクターカンファレンス室」の略称で、医師控室のことです大学棟にある「医局」とは異なり、病棟の近くにあります私が勤務していた産業医科大学病院9A病棟(消化器内科病棟)では、病棟に入って左手、ナースステーションのすぐ横にあります医師個人のデスクやカルテ用のパソコンがあり、病棟業務をする医師はほぼこの部屋で仕事を行います洗面所や鏡もあり、当直明けにはここで洗面や歯磨きを行う医師もいます時々半裸になって着替えている医師(男性)もいて、最初はびっくりしま
筋肉トレーニング=「筋トレ」と聞くと、体を鍛えることが好きな方向け、といったイメージがありませんか?ジムでたくさんの機械に囲まれて、ストイックに自分と向き合い、重たい器具を使って筋肉を大きくしていく、といったイメージですしかし、実は「筋トレ」こそ、健康寿命を延ばすのに必要なものなのですそして、健康になるための「筋トレ」では、筋肉を大きくするのではなく、”筋肉の伸び”や”敏捷性”、”筋肉の量”を意識したトレーニングが主になります今回は、「筋トレ」の重要性に関してお話します
最近、・ペットボトルの蓋が開けにくい・歩くスピードが遅くなった・横断歩道を渡るのに時間がかかるようになったという事はありますか?もしそうなら、筋肉量が減っている可能性があります筋肉は、年齢と共に量が減ります足の太さなど、見た目は変わらない場合でも、MR検査などで体内組成を確認すると、”脂肪”に置き換わっている事があります実際、80歳の方の筋肉量は、20歳の方の半分程度と言われています筋肉量が減ることを【フレイル(身体的)】といいますフレイルとは、「健康な状態」と「
医学界には数多くの学会が存在します・どの学会に所属するか?・いつ入会するか?・どの専門医を取得するか?その判断は医師によって異なります私の場合、今所属している学会には教授からの指示で入会しました医師国家試験に合格し、医師控え室で仕事をしていると、教授の秘書さんが突然いらっしゃいましたその手にはある紙が握られており、研修医に一枚ずつ渡されました「教授から、以下全ての学会に入会するように、とのご指示です」との伝言つきですその紙には「学会名一覧」が記されていました・日本内科学会・
研修医としての2年間が終わると、いよいよ専門領域での診療が始まります今まで、オーベン(指導医)の指示を仰ぎ、”頭”よりも”体”を動かすほうが多かった仕事内容も一変します主治医としての重圧、当直を一人でこなさなければならない緊張感、専門分野を極めるためのトレーニングなど、心身ともに鍛えられる日々が始まります自分が憧れていた専門分野に携われる誇らしさもあり、充実した日々です実は、自分の専門分野の診療を続けていくにあたって、「専門医」という資格は必ずしも必要ではありません(医師免
当院では、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を受ける事ができます細いカメラを使用していますので、経口でも径鼻でも"のど"への負担が少なく、皆様に好評ですさて、今回は内視鏡検査で医師が何をしているのか、お伝えしたいと思います胃カメラ検査の際、医師が持っているのが内視鏡スコープです右手でスコープの挿入を操作し、左手で本体を操作して消化管の中を撮影しますこれが内視鏡スコープの本体です※実際に当院で使用しているスコープです赤いボタンが「吸引」ボタンです空気や胃液を吸い上げます人差し
毎月、日本内科学会から学会誌が送付されます学会誌には、毎号トピックとなる病気が掲載されており、最新の知見が得られますその他、診療ガイドラインの解説や国家試験のような症例問題、診断に難渋した症例や、教育的な症例などクリニックの中だけでは経験しえないような症例も載っています内科領域の知識のブラッシュアップには最適な雑誌です特に6月は、大切な記事が載っていますそれは、「セルフトレーニング問題」請求に関する記事です私は「総合内科専門医」という資格を取得していますが、その更新
学校健診のニュースが話題になっています聴診する際に、聴診器を服の上からあてた、素肌に直接あてた、手があたった、そもそも聴診自体必要なのか、等々健診の現場において、女子学生さんからの「女性医師に担当してほしい」という要望は以前から多くありますまた、通常の診察の場面でも、外国の女性の方で、宗教上の問題から女性医師ではないと診察を受けられない方もいらっしゃいます皆様が安心して健診や医療を受けられるよう、私もできる限り尽力していきたいと思っていますさて、今回は「聴診器」について
どうも!お腹のスペシャリスト梅ちゃん先生です。先日、TOKYOMXさんの「5時に夢中」に出演させていただきました。もう何度もお声かけいただいている番組なので、撮影もスムーズに進みました。それではまた!〜大腸がんで亡くなる方をゼロに〜苦痛のない大腸カメラなら、年間検査実績10,000件のファミリークリニックひきふねにお任せください!
ポリクリ学生や研修医として様々な科をローテーションしていると、先生方から"入局の勧誘"を受けることが数多くあります先生方が、あの手この手で魅力的なお誘いをかけます学生・研修医も将来がかかっているので、真剣に話を聞きます今回は、25年ほど前に私が実際にお誘いを受けた"口説き文句(?)"をご紹介します※注:あくまでも私個人的な経験談です。他大学・他病院では異なる場合があります。➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖●循環器内科職場が清潔(カテーテル治療)急変時は数分での対応が求められる自
実は、医学部では、学年が"1つ上"の先輩よりも、"2つ上"の先輩との関わりが深いです大学の文化祭(産医大では「医生祭」といいます)を取り仕切るリーダー、副リーダーがそれぞれ4年生、2年生です(今の医生祭では違うようです)4年時の最後に、臨床医学のまとめとして大きなテストがあるのですが、同時期に6年生は卒業試験中で同じようなテストを受けています6年生から試験対策としての勉強法を教えてもらう事もしばしばあります5年生時のポリクリ(病棟実習)で病棟を回る時、直接指導するのは研修医1年目の先生
月曜日午後1時それは研修医にとって、世にも恐ろしい「新患紹介」の時間です会議室に医局員全員が集合し(軟禁され?)患者さんの病状についてカンファレンスを行います研修医は、あらかじめ自分の受け持ち患者さんの「新患紹介用サマリー」を準備しておきます1週間の間に新しく入院した患者さんが対象で、約5名分を作成することになります患者さん一人ずつ・主訴:病院を受診した際の主な症状・現病歴:病院を受診するまでの症状の経過・内服薬:内服中の薬・既往歴:今までにかかった病気・身体
以前は、卒後1.2年の医師が「研修医」と呼ばれました研修先は1年目卒業した大学の附属病院2年目医局の関連病院(外病院と呼ばれます)というコースがほとんどです研修は、入局先の診療科のみで行っていましたしかし、そうなると自分の専門科以外の患者さんの対応ができず、「病気を診て人を診ず」という由々しき事態が問題視されましたそこで、"どの診療科であっても、医師としてある程度の病気は診れるようになる"という研修体制に変更されましたこれが「スーパーローテーション方式」です
当院がある福岡県宗像市では、小・中学校の運動会シーズンを迎えています子供たちの、元気に頑張る声が聞こえてきますこれからの季節、熱中症予防のためにも十分な水分補給は欠かせませんしかし、炭酸飲料やジュース、スポーツドリンクなどを、日常的にたくさん飲んでいませんか?「ペットボトル症候群」を引き起こす可能性があります今回は、この「ペットボトル症候群」について解説します【概要】ペットボトル症候群は、正確には「ソフトドリンク・ケトアシドーシス」と呼ばれます糖分が含まれている飲み物を大
病気のために、皮膚に変化が起こることがあります上まぶたがむくんだようになり、薄紫色に見えますかゆみはありませんこの皮膚の変化は、「ヘリオトロープ疹」といいます「ヘリオトロープ」という花の名前からきていますヘリオトロープは、紫色の花を付ける可憐な植物の名前です主に「皮膚筋炎」という病気の方に見られることが多いです皮膚筋炎は、筋肉の炎症により、筋肉に力が入りにくくなったり、疲れやすくなったり、痛んだりする病気ですヘリオトロープの花先日園芸店で、初めてヘリオ
内視鏡検査は「痛い」「苦しい」のではないかと、不安に思う患者さんも多くいらっしゃいますしかし、実際は痛みを感じることはほとんどありませんなぜなら、痛みを感じやすい「のど」や「鼻」にあらかじめ麻酔をかけて行うからです【経口の場合】①水薬を飲む:胃の中の泡を消し、胃の中を観察しやすくする②シリンジ(注射器の筒の部分)を用いて、のどの奥に麻酔薬をいれ、数分ためる③肩に胃の動きをとめるための注射をする*心臓病の方、緑内障の方
研修医なりたての時期は、「医学生」に「医師免許」の資格が加わっただけで、何の技術もありませんそこで、研修医一人一人にベテランの指導医の先生がついてくれます指導医の先生は「オーベン」と呼ばれますドイツ語の「oben」からきているようです対して、研修医の先生は「コベン」と呼ばれますこれはドイツ語ではなく、オーベン(大ベン)からの「小ベン」のようです場合によっては、中堅どころの先生もグループの一員となっている事もあり、その場合は「チューベン」と呼ばれますこちらは大ベン、小ベンか
卒業式を終えると、産医大では「産業医基本講座」という、産業医学を朝から夕方までみっちり学ぶ講座が2か月間行われます。講座の授業が終わり次第、大学病院の病棟へ直行します病棟は、入局する科によって違います私は第3内科だったので、9A病棟でしたそして、先輩研修医の先生方に"金魚のフン"状態でくっつきカルテの書き方、検査のオーダーの仕方、採血の仕方、採血スピッツの種類・順番など実務に必要な細かな事を教えてもらいますもちろん、国試に合格するまで医師免許がないので、まだ医療行為