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しれっと再開、最終話をアップします。ひとつ前のお話→GUTS!29-1・29-2・29-3謝恩会の様子→このままもっと2016.3(番外編③)卒業式当日のお話2016.3.17Thurs.«鈴木»「おッス!」「おはよう。」「おはよ…。」最後の朝がいつも通りにやってきた。いや、黒木さんの元気がないかな?ニノが今日で最後、明日には引越してしまうんだから元気ないのも当然だ。卒業式と謝恩会の段取りを話しながら学校に着いた。生徒の自主性を重んじる校風、R学園の先生って案
2016.3.16Weds.«黒木»どうしよう、図書館に着いてしまった。エントランスの横にはN市のシンボル樹齢150年の楠がある。名残惜しくて、やっぱりまだ帰りたくない。二宮くんがふり向いて右手を差し出した。「じゃあ、ここで。黒木さん、本当に今までありがとう。」「二宮くん。前から思っていたんだけどね…。」「なに?」「もっと自分を認めて?あなたは凄い人だよ?」「僕?」「単純に成績が1番で、運動も音楽もできて…それだけでも凄いことなの。」「……。」「お母様の病
2016.3.16Weds.«黒木»「本当にわからないんだ。お母さんの夢も…聞けなかったし…。お祖母様も知らないって…。」飴色の瞳が不安に揺れた。二宮くん、もしかして…まだ“身代わり”を続けるつもり?そして、その事実に気づいてないの?「じゃあ、可能性は無限大ね!慌てることないわよ。」「黒木さんは1/2成人式で、もう医者になりたいって言ってたもんね。ちゃんと夢に向かってて凄いよ。すごく努力してるし、きっと叶うよ。」「そうかな。でも医学部ってお金かかるし、ウチは普
2016.3.16Weds.«黒木»明日は3学期の修了式、中等部の卒業式だ。今日は卒業式の予行演習があった。中高一貫校の中等部の卒業式なんて本当に形だけだ。各クラスの代表者が卒業証書を壇上でクラスメイトの分まで受け取って、教室に戻ってから各人に渡される。明日はクラスのホームルーム後、会場を学内の小ホールに移し、保護者も交えて謝恩会がある。軽食と3年間の思い出として、キャンプや体育祭などのDVDを見たり、有志がちょっとした出し物を行ったりする予定だ。みんなが帰った後、担任の先生方、学
2016.3.14Mon.«鈴木»保健室の鍵をかけ、廊下で向き合う。「あ、オレ、部活行かないと。また明日な。」「うん、ありがとう。また明日。ごめん黒木さん、書類をとりに職員室に寄るから先に帰ってて。時間かかるかもしれないから。あ、鍵は僕が返すね。」「あ、はい…。」「バイバイ。」ニノはクルリと身を翻して行ってしまった。黒木さんとふたり、保健室前に取り残された。「黒木さん、平気?」「へ?平気?何が?」「ニノ、いなくなるって。あ、知ってたの?」「知らない、知らない
2016.3.14Mon.«鈴木»今日はホワイトデー、テスト返却日だ。学年末テスト成績上位者(50位)全体順位/氏名/合計点(1000点満点)【順位/男女別】①二宮和也…950点【1/2731/140】②□□□□…878点【2/2731/133】②鈴木亮平…878点【2/2732/140】④□□□□…863点【4/2733/140】⑤黒木華…860点【5/2732/133】・・ニノ、やっぱり凄い。1000点満点で2位に70
2016.3.7Mon.«黒木»学年末テストが終わった。やるだけはやった。中学3年間、ずっと二宮くんと同じクラスだった。最初と中2は女子の7番っていう奇蹟、中3は担任の配慮で。もしかしたら二宮くんのおうちの方からの申し出かも知れないけどね。とにかく、3年連続Aクラスの正副委員長だった。さすがに高校からはそうもいかないだろう。二宮くんのおうちの事情も変わったし。今、公認カップルって思われているけど、別のクラスになったら実は何でもないっていうのがバレるんだろうな。──彼に相応しい存在
2016.3.1Tues.«鈴木»今日から学年末テスト、中学生活最後の試験だ。成績1位のニノはもう別格で…入学以来、女子の1位とずっと2位争いをしてる。最近、部活のない日は図書館に行くようになった。火・木とたった週に2日だけど、ニノと勉強する時間は充実していた。いつも優しく微笑んで、のんびり優雅な雰囲気を醸し出しているのに、成績は超絶でそのギャップに驚かされる。一緒に勉強してみて解ったのは集中力が凄いこと。もちろん、必死さや悲愴感は全然ない。優雅にサクサクと問題を解いていく。英語も国語
2016.2.12Fri.«黒木»今日は金曜日。私も鈴木くんも部活で、二宮くんが一人で帰る日だ。それでも彼は私達の心配をちゃんと理解して、毎週帰り際に必ず笑顔で声をかけてくれる。私達も彼に気を遣わせないように部活に行く。でも。今日は朝から違った。いつものように優等生スマイル、なのに何かが違う。「おはよう。」「おはようございます。」「寒いよね。」「うん、毎年この辺りで雪降るものね。」「そっか、もうそんな時季なんだね。」「これ。一応バレンタイン。今年は日曜だから、多分
2016.1.25Mon.«鈴木»高等部模試で今日も部活は無し、なんだか今月はまともに練習出来る日が少ない。先週は中学校の統一入試、試験と発表があって係の生徒以外は家庭学習、登校禁止だった。家庭学習日っていっても毎年ここは4連休になるから、私立中あるあるで家族でスキー旅行、海外旅行など結構楽しんでいるヤツも多い。高等部になったらそうも行かないだろうけどな。今年、ウチは弟が受験でオレは文字通り家庭学習日だった。学校が休みの間、ニノの様子が気になって仕方なかった。お祖母様と何かあったの
2016.1.12Tues.«黒木»年明け1日目。明日は実力テストで今日は部活無し。帰り支度をしていたら鈴木くんがやって来た。「ニノ、帰ろうぜ。」「あれ、部活は?」「明日は実力テストだからね。黒木さんも無しだろ?」「うん、もう帰る。」3人で駅に向かい電車に乗った。「もし…だけど…。僕が部活するなら何が良いかな…。」「ニノ?そうだな…文化部?運動部?」「何でもできそうよね。」「…フフッ…何にもできないかも…。」「え、本気で始めるの?」「だったら高校まで続けら
同じ日の二宮さん→秘密40-1秘密40-22016.1.8Fri.«鈴木»中3の3学期が始まった。始業式のあと、部活に顔を出した。次の部長と副部長に簡単に引継ぎを済ませ、今日は帰る。公立校なら2学期には引退して、この時期は受験一色で部活どころではないはず…。中高一貫校の利点、来週からは高等部の練習に参加できる。また一番下からだけど気持ちを引き締め、頑張るしかない。A駅に着いた。テスト期間以外、こんな時間に帰ることは滅多にない。小さな子どもやベビーカーを押すお母さん
ひとつ前のお話→GUTS!⑳-1GUTS!⑳-22015.12.18Fri.«黒木»中3の2学期が終わった。月曜日に発表されたテスト結果──。2学期期末テスト成績上位者(50位)全体順位/氏名/合計点(1000点満点)【順位/男女別】①二宮和也…955点【1/2731/140】②鈴木亮平…880点【2/2732/140】③□□□□…874点【3/2731/133】④□□□□…870点【4/2732/133】⑤□□□□…86
2015.11.4Weds.«黒木»2週間前──。「今日は本当に楽しかった。ぜひまたいらしてね。」その日の夜に二宮くんのお母さんが亡くなった。信じられなかった。でも昨日、社葬─告別式─があって本当だと認めざるを得なかった。二宮くん、大丈夫かな?昨日の社葬、終始落ち着いてた。穏やかな表情で参列者に丁寧な挨拶を返してた。こんな時まで“PerfectFairy”じゃなくていいのに…。いつから学校に来るつもりだろうか?この2週間、一度も学校に来ていない。まさか、もう来ないってこ
ステキな前日のお話→秘密312015.10.22Thur.«鈴木»──こんなコトってあるのか…?中間テスト最終日──。黒木さんとふたり、ニノの家に招かれた。ステキな庭、美味しいお茶とお菓子、楽しい会話、はじける笑顔…。ニノがピアノを弾いて歌って…。画に描いたような幸せな空間。映画やドラマでも見ているようだった。昨日のお礼を言おうといつもの電車に乗った。ニノはいなくて黒木さんが一人、どこか不安そうに乗っていた。「おはよう、ニノは?」「おはよう。たぶんお休み、
2015.9.19Sat.«黒木»クラスの俊足ふたりが揃ってケガなんて。頭が真っ白になってしまった。「黒木さん!ニノ!ニノが3番手なんだ!さがして、オレらの代わりに総合リレーに出てもらってよ。頼むよ!」あぁ、そっか。頭が全然働かない。「わかった!入場ゲートに連れてけばいい?」「もう集合時間なんだ。急いでくれ!」体育委員の陸上部員に叫ばれ、とにかく正門へとダッシュした。二宮くん、最後の当番をやってるはず。ファンクラブ会長にちょっかい出されてなきゃ良いけど…。余計な考えが
2015.9.19Sat.«黒木»今日はR学園体育祭だ。2学期最初の大きなイベント、夏休みが終わってからずっと準備してきた。体育祭は主に高等部で実行委員会を組織して運営してくれるんだけど、中3の委員も中等部の代表として実行委員会に加わる。各クラス体育委員と学年代表・副代表も参画しないといけない。役割分担後は毎日のように召集がかかる。新学期の朝、電車で二宮くんを見て、ホッとした。去年の夏休みは大変だったから。それでも毎日放課後に委員会なんて、絶対ムリしているに決まっている。担任にア
2015.7.21Tues.«鈴木»中3の1学期が終わった。恒例の球技大会は我が3Bが中等部優勝を勝ち取った。成績も2位をキープ、中3の学校生活は順調だ。やっぱりニノがぶっちぎりの1位で、高等部のファンクラブがつけた“PerfectFairy”の名に相応しい。学業だけでなくスポーツも音楽もできるなんて本当に凄い。それなのに本人は部活免除や欠席がちなことを気にして、申し訳なさそうだ。オレや黒木さんに謝ってばかりいる。そんな控え目な態度がますます人気を高めている。4月のクラス替、黒木さ
2015.4.1«黒木»神様ありがとう。あれから2週間近くたった。コーラス部の練習も上の空、新学期みんな驚くだろうな。事前に打診があったことはずっと黙ってないといけないんだけど。早く発表になっておおっぴらに喜びたいな。きっと鈴木くんも喜んでくれるはず…。新学年、新学期をこれ程待ち望んだことはない。本当の理由を知らないまま、始業式の日を指折り数えている。部活帰り、ふと前を見ると鈴木くんが歩いている。珍しい、今日は野球部早く終わったの?「鈴木くん!」「あれ、部活?」「そ、コーラ
2015.3.20Fri.«黒木»3学期の期末テスト、真面目に頑張ったおかげでなかなかの成績をあげられた。女子3位、全体6位、去年から大幅にアップした。やっぱり最近二宮くんや鈴木くんと一緒に自習したり、共に過ごすことが多くて良い影響が出ているのかも。登校時の仲良し3人組、ふたりは学年の1位2位、ちょっと引け目をかんじていたし…。だけどね…。学年末テスト、つまり中3のクラス分けの基準となるテストだということ、ちょっと忘れていた。いや、わかっていたけど、そんな上手い具合に3年連続女子7位な
2015.4.1Weds.«鈴木»来週、新学年が始まる。オレは3Bのクラス委員長で学年副代表だ。男子2位Bクラス委員は定位置すぎて笑える。副代表は危なかった。女子1位のGクラス委員長と2点差だった。今どき男女別に順位を出して割り振るなんておかしい、総合順位でクラス分けすればいいのにと思うけど、各クラスの男女の割合を揃えるためというから仕方ない。交友関係や家庭事情なども配慮されたりするけど、基本的なクラス分けは前学年の最終成績でほぼ決まりだ。黒木さん、せっかく成績上がったのにひどく
2015.3.18Weds.«黒木»中2が終わった。明日から春休みだ。終業式のあと、鈴木くんがAクラスを訪ねてきた。「ニノ、黒木さん、お疲れさま。中3、またクラスは違うだろうけど引き続きヨロシクな。」「そうだ、鈴木くんが副代表なんだよね…。またいっぱい迷惑かけちゃうね。鈴木くんが代表するべきなのに…。」「いっそのことクラブみたいに免除してくれればいいのにね。」「いや、やっぱりニノじゃないと。雑用はオレらで出来る限りフォローするよ。」「クラス違っちゃうけどヨロシク…。」「
2014.12.24Weds.«鈴木»去年の学園クリスマス会、ニノは聖歌隊で参加した。その頃は彼の家庭事情もよく解らず、みんなが推薦したんだった。中2の今年はクラス委員だけが受付の担当になっている。冬休み中で任意参加の行事だから一般の生徒は半分も出てきてない。だからニノもでなくてもよかったのに、委員の役割だからと律儀に出てきた。「事前の打ち合わせ、休んでごめんね。何をしたらいいか解ってないから、何でも具体的に指示してね。」「ニノは、そこで名簿の前に座っててくれたらいいよ。」「了
2014.8.2Sat.«黒木»サマーキャンプ2日目の朝。「おはようございます。」「おはよう二宮くん、よく眠れた?」「うん、ぐっすり。黒木さんは?」二宮くん、きっとキャンプに参加できないと思っていた。一緒に朝ご飯を食べられるなんて夢みたい。朝食はバイキングだ。二宮くんのプレートはスマートに盛り付けてある。バターロールと紅茶、ソーセージとスクランブルエッグ、グレープフルーツ、ヨーグルト。鈴木くんはご飯に味噌汁、塩鮭、卵焼き、焼き海苔にお漬物。私はシリアルとミルク、ゆで
2014.8.1Fri.«鈴木»中2のメインイベント、サマーキャンプだ。「みなさん!長時間のバス移動、お疲れさまでした。自覚を持って行動しましょう。これから3日間、お互い成長できるように全力で楽しみましょう。」参加自体を危ぶまれた二宮クンが、学年代表として皆の前で挨拶している。その優等生スマイルに先生方までヤラレている。4月に聞いた二宮クンのお祖母様の話…。「あの子はね、自分の為に何かしたことがないんですよ。」「和也は産まれ
2014.6.17Tues.«黒木»今日は二宮クンの誕生日だ。「和也は産まれてくるはずじゃなかった。」「主人は跡取りが生まれたと大喜びで…。」「すべてを母親の為に、笑顔の為に暮らしているの。お母さんの夢を叶えるんだって。」「和也には申し訳ないと思ってる。だけど、私は娘の命が一番で…。ひどいおばあちゃんでしょ?」聞いてしまった二宮クンの秘密。涙がこぼれた。実は幼稚園の時から彼のことは知っていた。十文式学習教室で時々見かけてた。年長サンのとき、初めて隣に座った。私は九九をや
2014.4.25Fri.病院からの帰り車の中で…。«鈴木»二宮くんのお祖母様が重い口調で話し出す。「あの子はね、自分の為に何かしたことがないんですよ。全て母親の為に生きているの。」え?どういうこと?思わず黒木さんと顔を見合わせる。「翠…和也の母親は…生まれつき身体が弱くてね。長い間、保育器からも出られなかった。お誕生日は迎えられない、幼稚園には行けません、ランドセルは背負えません。中学は、高校は、成人式なんて無理で
2014.4.25Fri.校外学習日、病院で…。ひとつ前のお話⇨GUTS!⑨4.25«黒木»«鈴木»唐突に誘われて、二宮くんのお母さんをお見舞いすることになった。急な展開に黒木さんも驚いている。彼が誰かに頼み事をするなんて、なにか事情があるに違いない。これは断れない。立派な個室に、上品なお祖母様が待ってらした。全然、お祖母様には見えない。若々しくてなんか格好良い。家がA駅だと告げたら、なんと小学校の大先輩だと判った。二宮くんにそっくりな
2014.4.25Fri.«黒木»中2になった。また二宮くんと同じクラスで副委員になれた。学年末試験が女子の7位、奇跡が起きた。だって6位ならBクラス、8位なら副委員にはなれない。神様ありがとう。今日は校外学習、班分けのくじ引きで二宮くんを引き当てた。やっぱり神様はいらっしゃる。楽しい時間はあっという間に過ぎて、学校で解散になった。「今日はいろいろありがとう。」「こちらこそありがとうよね?」「レポート、ひとりで書かせてごめんね。」「いっぱい話せて楽しかったわ。」なぜかお礼を言
2014.4.14Mon.中2になった。こんな僕にも大勢の後輩が出来た。1年生に所属クラブを尋ねられるが、僕はどこにも入っていないと告げるとあからさまにガッカリされる。やはり申し訳なさでいっぱいだ。できれば免除の理由は秘密にしたい。保健室の先生の指摘通り、ボクは廻りに随分心配をかけていたようで、生徒会の皆さんがいろいろと面倒を見て下さる。どこのクラブにも所属していないボクは縦の繋がりは委員会だけで、行事の様々な情報や実力テストの過去問、参考書や留学の案内、とにかく親切に気にかけてもらえ