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以前に「Firenze2020」の中でもお話した、ローマのアンティーク額縁ギャラリーLaCorniceAnticadiFabrizioCantoカントさんのインスタグラムに先日載った1枚の写真。お許しを得てこちらでもご紹介させていただきます。昨年2020年2月にカントさんのギャラリーを訪ねた際に見せてくださった祭壇型額縁が、ようやくお披露目になったそうです。ギャラリー訪問のお話はこちらから。ロンドンのナショナルギャラリー所蔵のラファエッロの「聖カタリーナ」が額装され
今までに無く大きな祭壇型額縁制作中です。このサイズはわたしの小さな作業部屋に対してそしてわたしの体力に対しても最大と思われます。鼻息荒くわっせわっせと彫ったり削ったりしてはっと気づくとすでに夕方。床には今までに無く大きな削り屑が散らばっていて、掃除を始めるとおもむろに、ものすごく腕と肩が痛くなっていることに気づく!いやもう、作業中は楽しくて仕方がないのだけど夕飯時にはお箸を持つので精一杯というのが目下の悩みであります・・・。
何が苦手かとたずねられましたら数字と虫と即答できるわたしですが計算機を片手に寸法を出しております。▲この雑然とした机は混沌としたわたしの頭の中とおなじ新しいプロジェクトの準備です。いままでになく大きなわたしの身長より高くなるような祭壇型額縁制作のご依頼をいただきました。鼻息も荒くはりきっております!
純金箔の貼り直しをした祭壇型額縁がようやく完成いたしました。▲修復後。欠損を再成形して純金箔を貼りました。少しの磨り出しをして下地の赤を出し、茶色の古色仕上げ。▲修復前。金色の塗装と緑青色の古色で仕上げた額縁でした。上部の欠損部分には金色のペイント修理の跡も。今まで古い額縁の全面箔貼り直しには積極的ではなかったことまた、普段とはちがう方法での箔置きをしたことなどもあり(ミッショーネは部分的に装飾で使うことがメインでした)下地の整え方や接着剤、仕上げ方法の検討など
前回ミッチャクロンで下地を整えてアクリル絵の具の赤色ボーロ色(赤茶)を塗ったドイツの祭壇型額縁に純金箔を貼ります。▲赤茶を塗って乾いたところ。金箔作業の準備ができました。この額縁は、もともと金色ではありましたが洋箔(純金箔の代用品)が使われており、さらに部分的に塗装で金色に塗られ、緑青色の古色が付けられて、何度か修理された形跡もありました。今回は欠損部分を再成形して形の復元からはじまり、純金箔を全面に貼り直してから改めて古色を付けて完成。そんな計画です。今回
長らくご覧いただきました小さい祭壇型額縁がようやく完成を迎えました。なにせ小さいものが好きですのでいつもに増して楽しく作ることができました。▲台座の彫刻部分にも点刻印をいれました。以前にもお話しましたが、予定と装飾方法を変えたので模様が繊細な印象になりました。彫刻部分がちょっと重く感じられたのでバランスをとるために台座にも点刻印を入れました。すこし軽やかになったと思います。いつまでも「かわいこちゃん」などと親ばか名前で呼ぶわけにもいきませんので
夏に「型取り方法」でご覧いただいたドイツ製祭壇型額縁のコリント様式柱の土台。無事に取り付けまして、金箔の貼り直しをいたします。この額縁はそんなに古いものではありませんので木材と石膏のみではなく、部分的にプラスチックの装飾や金属製ライナーも取り付けられていて複雑です。ひたすら掃除をした後はアルコールで脱脂して「ミッチャクロン」(プライマー)を吹き付けました。▲庭の一角でスプレーします。部分的に色が違うのは欠損部分を再成形したところ。プライマーがあれば、複数の
久しぶりになりました「小さなかわいこちゃん」小さい祭壇型額縁であります。金を貼り磨き、いよいよ装飾をします。▲装飾模様の下描きを作りました。当初の予定では、金の上にテンペラ絵具を塗り絵具をかき落として金を出す「グラッフィート」でルネッサンス風模様を入れるのでしたが、、ご注文くださったお客様が「せっかく金だしやはり全面金で仕上げてほしい」とのお話。合点承知でございます!ということで細いメノウ棒で点を打って模様にします。カーボン紙で模様を転写して、点を打
LawrenceAlma-Tademaローレンス・アルマ=タデマイギリス・ヴィクトリア朝時代の画家で古代ギリシャ・ローマや古代エジプト等歴史をテーマにした写実の作品を残しています。(wikipediaより)特に古代ローマの神殿や美しい女性の髪、服などの描写は引き込まれるような魅力にあふれています。“TheRosesofHeliogabalus”SirLawrenceAlma-Tadema1888見よ、このバラの花びらの描写を・・・!そのアルマ=タ
もうひとつ、祭壇型額縁が完成しました。このちいさな祭壇型額縁も3つ目のご紹介です。サイズは外側最大部分で290×175mmなかに額装できるのは写真L判より小さい。ミニチュア祭壇型額縁といったサイズです。1500年代イタリア・トスカーナ州で造られた額縁を参考に、オリジナルサイズで再現しています。今回はご家族4人のイニシャルTMKHを装飾に、という御依頼です。この楯状部分は15mm四方で小さいけれど上の帆立貝の装飾とあわせて重要な部分です。オリジナ
長々と古色についてのひとりごとをお聞かせつづけてまいりましたが、この祭壇型額縁で「今のところの結論」として決着を付けようと考えております。この額縁には、19世紀イギリスの新古典主義時代の作品を模写した油彩画が納められる予定です。200年弱前の作品(模写とはいえとても精巧)が納まるべき額縁、どのような古色が相応しいだろう。イタリア、メディチ家の額縁との違いはなんだろう。資料を参考にし、記憶をたどりました。200年は長い時間だけれど、額縁にとってはそれほど長くはない
さぁ、祭壇型額縁の金箔作業もようやく大詰め、終わりに来ました。金箔を置き、繕いもして磨きました。全面をくまなく見て、ううむ。ここ、どうだろう。箔の仕上がりが釈然としない部分があります。なんだか薄い、というか軽すぎる感じ。重厚なデザインで平らな面と凹凸のある面が並んでいるような額縁では平らな面の箔の仕上がりがより目立ちます。ですのでもう一度、箔を置きます。今回は下の棚部分、上部の平面部分、そして柱の土台部分、いずれも平らな面に金箔を2枚かさねに置きまし
2016年に作った帆立貝のタベルナーコロはAtelierLAPISの筒井先生と生徒さんがキットで販売して下さったものを制作しました。その後、お客様からのご注文も頂いて先日またひとつ完成しました。古色考察のさいにもご覧に入れた額縁、左が新しいもの、右が2016年のものです。ふたご。最近の熱中案件「古色付け」は以前のものより磨り出しや打ち傷作りは控えめにして、汚しも減らしました。メディチ家はまだまだ遠いけれど・・・グレーのベールがかかったような金箔すこし近づ
イタリア留学から帰国してすぐ、日本の額縁制作に携わる方々をお話をしたとき金箔を貼ることを「箔を置く」と仰っていたのに驚いたことを思い出します。ほかの業界でなんと言うか不勉強ですが絵画の世界では、箔は貼ると言うような。とにもかくにも、祭壇型額縁に「箔置き」です。不規則な形の額縁ですが、作業開始はいつもの通りに一番高い場所からです。というわけで、屋根部分から置き始め。egg&dartの彫刻部分や柱のみぞそして四角の連なり模様(tooth)には箔を入れるの
ようやく磨き終えた石膏地にボーロ(箔下とのこ)を塗ります。ボーロはとても大切な下地剤です。これが塗ってあるからこそ箔を水で置ける(貼れる)そしてメノウで磨けるのですから古典技法では欠かせません。魚ニカワ1枚を前日の夜に250㏄の水に入れておきふやかしたものを翌朝に湯煎でとかします。この魚ニカワでボーロを溶きます。さて、まず彫刻、つまり凹凸のある部分に黄色ボーロを塗りましょう。そして彫刻の凸部分とその他の平らな部分にのみ赤ボーロを塗ります。ボーロ層
ボローニャ石膏を塗り終えしっかり乾燥させたら、次の作業石膏を紙やすりで磨きます。これはもう、ひたすらがんばるしかありません。コツと言えるほどではありませんけれど、あらゆる方向から確認して磨き残しを作らないこと、そのためにランプで斜めの光を当ててみること、紙やすりは使いやすい物を準備してケチらず使うこと。スクレーパーや金ヤスリ、当て木など臨機応変に使い分けること。マスクと髪をおおう物、場合によってはゴム手袋なども使って身体を守ること。石膏磨きは古典技
すこし間があきましたが、祭壇型額縁です。下ニカワを塗り麻布を貼り込んだ木地に今日は石膏を塗ります。まずは石膏液つくりから開始しましょう。前日の夜にふやかしておいた兎ニカワ(ニカワ1:水10、いつも通り)を湯煎で温めたらボローニャ石膏を入れます。今回は300mLのニカワ液ですので完成する石膏液は500mLほどでしょうか。あともう少し、水面ギリギリまでいれます。石膏がニカワ液に沈んだら、しずかに漉して石膏液は完成です。麻布部分の石膏を塗るとき、布目に
彫刻作業を終え、完成したegg&dartも本体に取り付けました。今日はボローニャ石膏を塗る準備をいたします。木地に「下ニカワ」といって目止めの兎ニカワを塗りますが今回は並行して亀裂防止の麻布も貼ります。この祭壇型額縁の木地は、横から見ると何層も木材を重ねて土台、柱、装飾を作ってあります。このまま石膏を塗るとおそらく木材の境目に亀裂が入ることでしょう。それを少しでも少なくするために石膏の前に粗い麻布を兎ニカワで貼ります。木材が湿度で動いても、石膏に出る影
今日からいよいよ本体を手がけます。イオニア風の柱、上部の渦巻きを彫りましょう。トレーシングペーパーで作った下描きをカーボン紙で写します。いつも通りです。彫り彫り。となりにモデルの写真を置いて確認します。もう少し垂直方向に深いですね。さらに彫りすすめます。さてと。左右がおおよそ彫れてきたところで同じ深さ、バランスになっているか確認します。egg&dartも仮留めして見てみます。ふむ。もう少し細かい調整が必要ですが、ひとまず木地はかたちに
下描きをした半カマボコ形の竿をegg&dartのデザインで彫りましょう。私が使っている彫刻刀はスイスのpfeil社のものです。ステンレスの長い刃に木製の柄で、鑿(のみ)のように木槌で打つことができます。デザインのカーブに合った刀で溝を打ち、そして彫り進めていきます。頭の中に、正面や斜め、真横など様々な角度の3Dで完成したイメージをインプットしておき、それに近づけて削ぎ取っていく、という感じです。上下と両脇、あわせて6面分のegg&dart彫り終えてペーパ
今回の祭壇型額縁は、上部と下部の2か所に帯状に彫刻装飾が入ります。まずはこの彫刻から作業開始です。デザインはegg&dartという古典的なもの。まるい卵と尖った矢が交互に並ぶデザインです。「CARVINGARCHITECTURALDETAILINWOOD」よりいにしえのギリシャ神殿にも使われているようないわばオーソドックスなデザインですがそれだけにバリエーションも沢山あります。今回のegg&dartは、2cm幅の半カマボコ形の竿に入れますの
額縁のながい歴史の中で、祭壇型の額縁は比較的はじめの頃に登場した形ですが、その特徴的なスタイルと雰囲気から現在でも欲しいと思われる方がいらっしゃいます。でも、日本で制作する工房はあまりないようです。その理由はさまざま推測しますが、ひとつに木地作りのむずかしさがあるように思っています。そんな祭壇型額縁をKANESEIで制作しています。電卓片手に四苦八苦、ようやく設計図をおこし、そして注文して作って頂いた木地がいよいよ届きました。木地は茨城にある千洲額縁さんにお願いしまし
ニューヨークのメトロポリタン美術館にはLehmanCollectionという額縁のコレクションがあようでそれらをまとめた額縁の写真と資料集です。この本もまたatelierLAPISの本棚にあって以前から欲しいな欲しいなと思い続けていたもので遠くはるばるオーストリアの古書店から取り寄せました。おかげで思ったよりお手頃価格で入手でき一安心。シエナの国際ゴシック時代、まだ板絵と額縁が合体していた頃の作品からはじまりイタリア全土の各地、18世紀半ばまでの額縁、
昨年12月に完成したOさんの祭壇型額縁です。2016年11月に作業開始の記録があります。11月7日、組み立てを始めました。12月12日、糸ノコで切りだしたパーツの形を整えています。2017年に入り3月6日、彫刻をこつこつ進めてまだまだつづきます。秋になって、ボローニャ石膏塗りと磨き、そして純金箔の水押しを終えました。12月に入ってからグラッフィートで装飾を入れて。12月25日クリスマスの日に吊金具を取り付けて、裏の処理も終わり