ブログ記事2件
「先生ちょっと良いですか?」「駄目だ、帰れ」平手がそう言いながら保健室に入ると、神堂は2人の方を見ずに返事すると、一緒に入ってきた志田は思わず苦笑する。「この人って本当に保健の先生?どう見ても修道女じゃん」「人を見た目で判断するのは良くないぞ、志田愛佳」「え?何で私の名前……」「ここにいると色々な情報が入ってくる。志田愛佳。ラッパッパの副部長。そしてーー」そこで初めて神堂は顔を上げ、2人を見る。正確には志田が首から下げている“髑髏と薔薇”のペンダントをだ。「……夏と、島崎の“後継
第3章プロローグです。ーー5月8日PM13:35この日神堂狂海は保健室でいつものように業務に取り組んでいた。愛飲している煙草を口端に挟み、紙にペンを走らせる。服装はいつもと同じ修道服。首からはロザリオが下げられていた。ぱっと見は不良修道女だが、彼女はここ馬路須加女学園高等学校の保険教諭であり、歴とした社会人であるものの、その素行にはやや問題があった。まず彼女は生徒を診ない。マジ女はヤンキー高校であり、四六時中喧嘩が行われている。突然傷ついた生徒達は保健室を利用しようとする。けれど神
「ねる」家庭科室の扉が開き、理佐と菅井が中に入ってくる。2人も中に入るなり、飛鳥と梨加が倒れている状況に目を丸くする。「ねる、これはどういう事だ?」「……私にも、分かんないの」菅井が尋ねると、ねるが首を横に振ってそう答えると、菅井は飛鳥を見る。彼女は四天王最強と言われている。今回の戦い、彼女がいる以上激しい戦いになると菅井は考えていた。梨加が彼女の相手をするならなおの事だ。しかし、現実では2人共倒れている。この余りに不可解な出来事に、菅井は眉間に皺を寄せ、険しい表情になる。「考える
「ぺーちゃん?」「……うん、そう呼ばれてたから」「分かった。これからはぺーちゃんって呼ぶね。私の事はねるで良いよ」ねるがそう言うと、梨加がコクンと頷く。体育館倉庫を出た2人がそんな事を話しながら平手の前を歩いていた。平手は仲睦まじく話している2人を見て、口元に微笑を浮かべる。梨加から漂っていた暗い影が完全ではないが、殆ど消えている。良かったと思っていると、ねるが頭を押さえ、その場にしゃがみ込んでしまう。「ねる?」「……ねる、大丈夫?」平手が駆け寄り、梨加が心配そうにねるを見ている
1人の少女がそのマンションに入っていく。駅から歩いて15分以上と立地としては中々悪いが、学校からは徒歩10分圏内なので然程問題はない。高級マンションではないが、それなりの高さがあり、オートロックとセキュリティーは万全を期している。風に揺れ、靡く黒髪は艶めいており、その横顔は背筋が震える程整っており、誰もが思わず息を呑む美貌を持っており、濡れた烏のような綺麗な瞳は憂いを帯びていた。首からはジンベエザメのぬいぐるみを下げ、制服の上から赤色のスカジャンを羽織っている。少女、渡辺梨加は慣れた手つ
一夜が明けた翌日、平手は1人、ラッパッパの部室に居た。金色の布がかけられた部長専用椅子に浅く座り、暗い目で床を見詰めていた。今朝早く葵から理佐の入院期間が伸び、後1週間は入院が必要になり、菅井も約2週間程入院することになったと連絡があった。平手は己の不甲斐なさを憎む。自分がラッパッパの部長として、しっかりしていれば理佐の入院期間が伸びる事も、菅井が入院する事もなかった。だが、もしもやあの時など考えても不毛なだけであり、今は前を向く事しか出来ない。けど、平手は自分がどうすれば良いのか分からな
⚠︎後半に過激な場面があるので、注意してください。目を覚ますと、黄ばんだ天井が目に入り、鼻孔を刺激する薬品の香りが漂っている。ここが保健室だと理解した菅井友香は上体を起こそうとしたが、脳天から爪先まで走る激痛に顔を歪め、起こすのをやめる。「まだ、寝ていた方がいい」その時、1人の少女が入ってくる。平手だ。彼女は顔に絆創膏などを貼り付けており、怪我の度合いから見れば自分より酷いかもしれない。けれど、それは表面だけで、菅井は体の内部を損傷しており、危うく肉体が崩壊しかけた。平手の一撃で意識が