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「これ以上、まだ何か」「オコーナーのねぐらに踏み込んだそうだが、もぬけの殻だったそうだ。奴は、既に逃げている」「それは、予期していたことでは」言いかけるスコットを手で遮って、ヒューストンが続ける。「最悪なのはそのことじゃない。ターニャも日本へ来ているそうだ」「ターニャですって!」スコットの声が、驚きのあまり裏返っている。「そうだ。オコーナーの失踪、劉の潜入、そしてターニャ。どう考えても、偶然でないのは明らかだ」「でも、ロシアがどうやって、この情報を掴んだんでしょう」「お前も
私は、道に迷っていた。昆虫学者の私は、いつも貴重な昆虫が見つかる森へと、今日も貴種を求めて入っていた。その森は、山間部にある里山から少し行った、山と山に挟まれた狭隘な地にひっそりとある。都会からあまり離れてはいないのだが、見るべき景色もなく、名物といえる料理もない。それが幸いしてか、誰もこの辺には訪れないので、それほど人に荒らされてはいない。昔、町の中でもよく見かけ、今ではとんと見かけなくなった昆虫も、ここにはいっぱいいる。私が、ここへ足を踏み入れるのは、もう何度目か。この森を
今日は、よく訊かれることではなく、よく言われる言葉。「ホテル行こうや」「やらせろ」まあ、ネチネチとこられるよりは、よほど潔くて、清々しくさえ思えるんだけどね笑でも、真剣な眼差しで見つめられ、固い口調で言われると、ちょっと怖い。「今日、XXホテル(高級ホテルです)に部屋取ってんねん。店が終わったら、二人で楽しい夜を過ごそうやないか」いやいや、勝手に人の予定決めないでくれます。で、丁重にお断りすると、「なんでや、せっかく、おまえのために部屋を取ったんやぞ。俺一