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1月13日、14時から心斎橋パルコ10階で初のトークイベントをするんですが内容はこんな感じを考えてます。◯病理医って何者?→皆さんホクロありますか?それ、本当にホクロですか?◯乳癌検診受けてますか?→受けなきゃいけないの?痛いやつでしょ?◯色んな種類の癌発見方法→モグラ叩きの真相完璧な検査はない◯実際何歳から気をつける?→ほぼ毎日乳癌を診断している者から言わせてもらうと◯◯歳から要注意◯毎日セルフチェックのすすめ→『だっちゅーの』ポーズはD領域にナチュラルヒット
原発不明癌の続きです。前回までのまとめは↓こんな感じ。大腸に癌がありました。病理診断の結果、大腸癌ではなく、別の臓器からの転移を疑う状態でした。でも、内科や外科的には、原発性大腸癌しか考えられなかったようで手術が行われました。手術されてきたものは、大腸には3箇所以上に癌があって(多発)、それぞれが大腸癌にしては小さめ。さらに、大網というお腹の中を覆っているカーテン状の脂肪にも、バラバラと癌が飛んでいました(大腸癌で、この状態は考えにくい)この、どう考えても大腸癌とは言い
2025年1月13日祝日月曜日、14時から大阪、心斎橋PARCO10階トークイベントやらせていただきます。申し込みフォーム(作成中だそう)もあるそうですが、ふらっと立ち寄ってもらうのも全然オッケーらしいので、お近く通られたら立ち寄ってくださいませ!乳癌検診について、忖度なしで、濃くぶっちゃけて語る予定です今回は、乳がん検診を受けるか迷ってる方向け、かなーと思います。医療ウェルネスモール「Welpa(ウェルパ)」11月19日心斎橋PARCO10Fに開業|ニュースリリース|
生検でのグレード判定(浸潤癌の時)は、やる病理医とやらない病理医がいます。基本的にわたしはやらない病理医です。生検は、癌の一部を見ているに過ぎないので、全体像を見て判断したいのが本音です。最近の乳癌は、ERなどのホルモンレセプターや、HER2などの方が、重要視されているというのもありますが。でも、病院によっては、生検でもやって欲しいといわれるところがあるので、その場合は、PreliminaryGrading=【仮】判断として出しています。ちなみに、この時はわた
すこんばんはMERRYXmas🎅ある方のブログを読み私も感じる事があったのであげさせてもらいます。膀胱癌の診断は泌尿器科で超音波検査、尿細胞診断、膀胱鏡検査なとで腫瘍が確認したところでだいたい医師から膀胱癌の告知がされます次はCTや治療と検査を兼ねたTUR-BT(経尿道的腫瘍除去術)の手術を受け切除した腫瘍は臨床技師が病理標本(プレパラート)を作りそれを病理医が生検組織診断をして、膀胱癌の根の深さや異型の高さ(悪性度)を調べてその結果から担当医が治療方針を決めますがここで治療
数回に分けてお伝えしてきた乳管癌のグレード分類。結局このグレード分類で何がわかるのか。それは、『予後』です。◯浸潤部分の大きさ◯リンパ節転移の有無これらも予後を予測する大事な指標とされていますが、癌の顔つきである、『グレード分類』もそのひとつになっています。グレード1は予後良好グレード2は中間グレード3は予後不良基本的に上記のようになっていますがエストロゲンレセプターの有無HER2タイプかどうかなど、他にも、治療効果が変わってくる因子がたくさんあるのが乳癌で
赤穂民報2024年12月21日付け記事赤穂民報|《市民病院医療事故多発》「膿出し切る必要」現役医師が提言赤穂民報|「赤穂市民病院に関する記事を読むたび、心が痛い」と語るのは、2019年4月から2020年3月まで赤穂市民病院に病理医として勤務した榎木英介医師(53)だ。一般社団法人全国医師連盟代表で『医者ムラの真実』『フリーランス病理医はつらいよ』などの著書があり、現在も非常勤で週1回、赤穂市民病院で働く同氏が赤穂民報のインタビュー取材に応じた。www.ako-minpo.jp《一部抜
前回、日本の乳癌取り扱い規約にある、乳管癌のグレード分類について、途中まで、書きました。続きに行く前に、『グレード分類は、浸潤している部分で見ていきます』のところの説明を先にさせてください。コメントいただいて、こちらを先に説明した方が良いと思ったのです。非浸潤癌の場合は、グレード判定は、してもいいし、しなくてもいいことになっています。それぞれの病院によって、また診断する病理医によって、やる、やらないは変わってきます。私は、非浸潤癌の場合は、⭐︎核グレード⭐︎壊死の有
昨日からの続き専門医になりたてのわたしと、前の職場の元部長とで意見が食い違い、元部長のお知り合いの病理医にみてもらう〜となった、卵巣腫瘍。数日後、嬉々として部長が、『やっぱり◯◯先生も、癌じゃないって言ってたわぁー。書き替えていい?』と。いやいや、ちょっと待て!『癌じゃない理由を、◯◯先生から聞きたいんですが』と聞くと、『それは無理ね、お忙しいから』と。『じゃあ何か、書面で所見いただけますか?』と粘るわたし。『チラッとプレパラート見てもらっただけだから〜』と。は?!チ
昨日からの続き。卵巣の嚢胞(袋)で、中に類内膜性の癌ができていて、嚢胞の壁に浸潤しているけど、表面には出ていない状態。と、私が診断した症例を、確認のため部長にお回しした数日後。部長が『ねぇねぇ、これ、癌じゃないんじゃなーい?知り合いの先生に聞いてみてもいい?』と。『えっ?そうですか?構造異型ありますし、浸潤もしてますけど。。』と説明するわたし。ここで説明すると構造異型とは、癌が癌だと言い切れる証拠です。これがあれば、もしも浸潤がなくても、浸潤と同じ意味合いがあるとみな
卵巣腫瘍の話の最後です。私が大学病院を辞めるきっかけのひとつになった症例(事件)のお話。私が病理専門医をとって、少し経ってから専門医を取っちゃったので、基本的に診断は独り立ち。術中迅速診断も、指導医と一緒ではなく、困った時だけ呼ぶ方式。その日は術中迅速の当番日でした。(解剖当番とか、生検当番とか、切り出し当番とかがある)『迅速プレパラート出来たよー』の合図コールが診断室に鳴り、見に行くと、卵巣腫瘍の迅速診断。顕微鏡を覗くと、『あ、癌』と見てすぐわかるものでした。臨床
HER2乳癌と診断されているものがどのような検査でされているか、お話をしてきました。最後に、生検でも、手術検体でも、HER2検査をするのか、についてのお話です。実際、◯生検でやる◯手術した検体でやる◯術前に薬の治療をしていても手術検体で癌が残ってたらやるが、現場の状況です。薬がよく効いていて、5個くらいしか癌細胞かわ残ってませんが、どうされますか?と聞いても、やってください!と言われます。これは、臨床医のこだわりなのか何なのか、、病理医によっては、やっても意味
今日は有志医師の会のメルマガから抜粋してお届けします。病理医の宮沢先生の寄稿文です。ーーーーーーーーーーーーーーーーー全国有志医師の会メンバーによる寄稿〜「医療の光と影」コロナ禍における”負の本質”〜宮沢善夫医師前回は病理医という職業の説明も兼ねて、主に病理解剖についてお話ししました。コロナ社会に思うこと多々あり、思うがまま書き連ねていこうと思います。まとまりのない文章、なにとぞご容赦を。<全国有志医師の会ニュースレターバックナンバー>・Vol.27
治療の見通しはまたもや「結果次第で」になったわけですもうこのままふわっと終わりたい退院後診察、2週間後でと言われてずっと前にようやく取れたシミ取りの予約と被ったから←3週間後じゃだめですか?と聞いたらお水が溜まるから3週間じゃ遅いかなー!と言われて、そう言う理由なら致し方ないと、シミ取りを諦めて来たわけですが...案の定お水たぽんたぽん溜まってて抜いてもらいました3週間じゃ遅いかなと言われて、え、でもどうするの?!水抜くの?!注射するの?!って謎だったんだけど、
3日前のブログから引きずってしまった外科医との喧嘩の真相です。良性の唾液腺腫瘍と10年以上前に、診断されていたものが、肺に転移した症例。珍しいので、外科のドクターが研究会に出すとの事だったので、わたしの指導医と一緒に聞きに行きました。看護師さんも来られる内輪の会なので、病理の写真も出さないし、事前に発表内容の確認もなかったので、行かなくても良いかなーと思ったんですが、外科ドクターの同期が、別の症例で発表予定だったので行くことに。ホテルの会場の後ろの方で座って、外科のド
病理診断に欠かせないもの、それは、ホルマリンです。人間の身体には、血液がくまなく行き届いていて、そのおかげで細胞はその構造を保っています。手術をして、人間の身体から離れると、血流が途絶えるので、その瞬間から、細胞は、だんだんと、変化していきます。そのまま放置すると、細胞は死んでしまって、顕微鏡で見ても、『これ、なんの細胞?』と、わからなくなってしまいます。そうならないために、細胞をそのままの状態で保存すること、それが【固定】です。【固定】の方法は、色々ありますが、
昨日のブログに頂いてるコメントにはまた個別でお返事するんですが、ひとつだけ補足。プロゲステロンレセプターについては、多分、臨床医は、『気にしてない』と思います。全く気にしてないわけではないと思いますし、エストロゲンレセプター陰性の時は気にするだろうけど、エストロゲンレセプターが陽性なら、『よしっ!』って感じで、プロゲステロンレセプターは気にしてないと思う。エストロゲンレセプター陽性なら、プロゲステロンレセプターが【陽性】でも【陰性】でも、ホルモン療法による予後改善効
乳房パジェット病の話をする前にまず、パジェット病とつくものには、①乳房パジェット病②乳房外パジェット病③骨パジェット病この3つがあります。①と②は、どちらも【癌】③は、【骨の病気】です。全て、ジェームス・パジェット先生という昔のドクターが発見されたので、ご自分の名前を、病名に用いられています。こういうの、わたしの感覚やと、『ないわ〜』っていつも思っちゃう。中野病とかヨリカ病ってことやんね、、、最近はないから、昔の先生の流行りかな。さて、『乳房』パジェット病は、
乳頭部(ニップル)ですが、顕微鏡でみると、角質層が厚いです。◯なぜ、角質層が厚いから、お手入れすべし、なのか?→ここに、細菌の塊がいることがあるからです。◯なぜ、細菌の塊がいたらあかんのか?→皮膚の炎症になる可能性もあるし、乳頭皮膚には、乳管の出入口(授乳期には、開口して母乳が出てくる)があるから、乳管を伝って乳房内に炎症が広がる可能性も、ゼロじゃないから。普通に洗っていれば、ゴリゴリに角質層がたまることはないので、『ふき取り化粧水でふきとりましょう』とかは【不要】です。皮膚
ヨリカ先生本当にありがとうございましたGISTシリーズはプリントアウトして私の資料として保管します。
以前お話しした、Ki-67。癌細胞が、増えるスピードを表すものです。ある一定の条件では、予後を予測する因子されています。もちろん高ければ、癌細胞の活動が活発です。このKi-67は、細胞の成長段階で、染まり具合が異なるとされています。薄く染まる細胞であっても、濃く染まる細胞であっても、陽性細胞と認識されます。ただ、わたしが診断している印象として、100%に近い数であればあるほど、ほとんどの細胞が、濃く染まっている印象があります。つまり、増えようとしている癌細胞の成長段階
ほぼ毎日、乳腺の生検か手術材料をみているわたし。そんなわたしより、ボスは、もっとみてる。年もふたまわり違いますし、経験値が違う。そんなボスは、アッサリ、『これ、薬効くで。』と言ってのける人。それはどんなやつかというと①癌細胞が、みんな、似たような大きさ、似たような形、似たような色味をしてる②周りにリンパ球がわさわさときてるこういうやつは、免疫染色するとHER2がバシー!っと、癌細胞の周りに出ます。さらに、抗HER2療法の後、手術すると元々どこに癌がいましたか?ってなる
最近乳癌の話を良くしていたんですが、その前にしようと思っていたのが、腎癌でした。腎癌とは、『腎臓』に出来る癌です。腎臓は尿を作る工場です。この腎癌は、血管がたくさん含まれるので、腫瘍の見た目は、赤黒っぽいものが混ざった、黄褐色を示します。病理医をやってての教訓は腎癌は『どんなに小さくても飛ぶことがある』ことです。少し前にみた乳房の生検。ぱっと見た瞬間、嫌な予感。なぜなら、3本取られてきてるけど、ほとんど壊死。細胞が見えない。細胞が残ってなかったら、Tumornec
乳癌の早期発見。セルフチェックを習慣にすると、《1センチ》のしこりが分かるようになるそうです。習慣にしてなかったら、《2.5センチ》くらいまで、育たないと無理だそう。乳癌の大きさ、2センチは、T分類がちょうど変わる、要の数字。パチンコ玉が1.1センチらしい。わたし、パチンコしないので、ちょっとオシャレなもので表すとマイクロトマトの一番大きい粒が1センチだそうです。もちろん非浸潤(DCIS)を含めて、もっと小さな状態で見つけられたら、よりいいけれど、そのためには
乳癌の話。非浸潤癌(DCIS)と微小浸潤癌の話の続きです。例えば、患者さんの乳房に、非浸潤癌(DCIS)がめっちゃ広がってて、一部に浸潤があったとしたら、生検で取られてくる可能性が高いのは、非浸潤癌(DCIS)の部分です。割合的に。たまに、非浸潤癌(DCIS)に混ざって、浸潤してる部分が、生検に含まれてることがあります。臨床医が狙って取ってきたか、たまたま当たったかは、分からないけど。↑めっちゃザックリした絵ですみません。非浸潤(DCIS)を大きくかきすぎてしまったけど
浸潤していることを見極めるポイントを書いていたら、浸潤癌と良性病変のことに移ってしまって、非浸潤癌いわゆるDCISと呼ばれるものについてのお話を書けてなかったので、非浸潤癌(DCIS)と微小浸潤について、お話しします。悪い顔つき細胞が、乳管の中で増えてるけど、乳管の周りに存在する筋上皮細胞が、破壊されていない状態が、非浸潤癌(DCIS)です。これと、普通の浸潤癌を見間違えることは、ほぼないです。詳しく言うと、invasivecribriformcarcinomaと
昨日お話しした、乳癌の、浸潤癌を見極めるポイント。それは、もともと正常ならあるはずの、筋上皮細胞があるかないか。この筋上皮細胞の有無を『免疫染色』で確認せずに、HE染色で、癌だとキメ打ちしてしまって、手術をしたら、癌じゃなかったという場合も、実はあります。この手の思い込みによる診断のミスリードは、そんなに珍しいことでもないです。患者さんにとってみたら、珍しいことであってほしいとは思うのですが。特に線維性瘢痕のような、線維化を伴っていると、さらに分かりにくい。意外にあ
どの臓器でも、癌は、早期癌と進行癌にわけられます。その早期癌の中でも、非浸潤癌もしくは、上皮内癌と言われる癌は、海外では、癌とは呼ばれない場合もあります。つまり、浸潤して初めて『癌』と言える、という考え方です。日本はまだそこまでいっていません。非浸潤癌、もしくは上皮内癌であれば、癌の一番厄介な点である、『転移』を、しない状態となります。さて、病理医が実際にどうやって浸潤のあるなしを判断しているか、というと、もともとあるはずの構造を、癌細胞が破壊しているかどうか、もし
『わたしが早期でも全摘を選ぶ理由』をたくさんの方に読んでいただいているようで、ありがとうございます。この中には、部分切除選んだよ、という方や、これから手術なんだよ、って方も、いらっしゃるかもしれない。どの治療方法を選ぶかは本人が決めること、とはいえ、我々医療従事者と、一般の患者さんの間には大きな壁があると感じていて。なかなか、主治医の先生とコミュニケーションが取れないと感じる方も多いと思います。もちろんわたしのような病理医と、乳腺外科などの臨床医の間など、同じ医師で