「ナギが言葉を覚えられるようにと、王子様は絵本を渡しました。絵本が読めれば次は短編小説。その次は少し難しく長い小説。そして最後には論文のようなもの。きっかけなんて大層なものもないほどの、ただの気まぐれ。けれど最初に絵本を渡した数日後、柱の影からこっそりとこちらの様子を伺い、一人になった瞬間駆け寄ってきて、なのに目の前で立ち止まってはモジモジと言葉を探しながら辿々しく〝ありがとう、面白かった〟と言ってきた姿が忘れられず、新しい本を渡す度に拙くもディーディアの言葉で感想を言いにくる姿をいつしか待つよ