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清水幾太郎の『日本よ国家たれ核の選択』は、出版された1980年当時は衝撃的であったが、今の東アジアの安全保障環境を考えれば、清水の主張は違和感を覚えないし、予言の書とよばれるにふさわしい。60年安保騒動で全学連主流派の良き理解者であった清水は、後に考え方を改めて保守派の論客となった。その代表作がこの本である。清水によれば、60年安保騒動で学生や労働者が立ちあがったのは、反米ナショナリズムの爆発があったからである。「アンポハンタイ」というスローガンが日本中に溢れたのは、日本の国家としての根
日本の安全保障上の危機を訴えると、決まってかつての過ちを繰り返すのか、という言葉が返ってくる。しかし、それは心情倫理を重んずる人たちの理屈であり、現状を直視しない平和ボケである。マックス・ヴェ―バーは『職業としての政治』(清水幾太郎訳の『政治の本質』に収録)において、責任倫理家と心情倫理家の違いを明確に述べている。前者は「人間の善良と完全無欠とを前提する権利を持たぬ。彼は、自己の行為の結果について見透しのつく限り、これを他人に転嫁出来るなどと感じてはいない」のに対して、後者は「純粋な心情の
12月23日土曜日〜その8(写真)「歴史のダイヤグラム清水幾太郎と関東大震災」原武史(R5年9月2日付朝日新聞)も読む。
カール・シュミットの『政治的なものの概念』の翻訳は、清水幾太郎訳、田中浩・原田武雄訳、権左武志訳の三種類が出回っているが、読みやすく理解しやすいのは清水幾太郎訳である。それが収録された『政治の本質』において清水は、あくまでも法政大学助手の市西秀平の手になる訳で、自分はほとんど関与していないかのように書いているが、かなり清水自身が手を入れているような気がしてならない。この3冊で理解に苦しむのは、昨年8月10日に岩波文庫から出た権左の訳である。最初に手にしたときに読む気になれなかった。原文に忠
砂川闘争など、戦後初期の反基地運動において、現地住民の主体的な闘いはもちろん、労働者・学生などによる支援の重要さについても、様々に論じられてきました。文化人・知識人が果たした役割も、50年代の運動に特徴的だったといえるでしょう。なかでも、戦後まもなく雑誌『世界』などを中心に精力的な執筆活動を始めた清水幾太郎が、何度も現地に足を運んだことは、よく知られています。1955年5月から町議会をあげて始まった砂川の基地拡張反対運動は、「条件派」が増えるにつれ「町ぐるみ」態勢が崩れ、外部支援者の数の
『ちくま文学全集中野重治』に収録されていた「評論家の文体」を読んでいて、さもありなんと思った。中野の思想的な主張など、僕にはピンこないし、共感する部分は少ない。しかし、日本の文学者としての矜持には、教えられるところがある。僕も愛読している清水幾太郎の『私の読書と人生』について、中野は苦言を呈したのである。多くの人が有難がっている清水の文章の特徴を、何と俎上に載せたのだ。中野は、清水が論理的な書き方をしていることは評価する。しかし、その反面、清水の文体の弱点についても、「愛と憎悪とにおけ
高原太一さんの『米軍立川基地拡張反対運動の再検討――「流血の砂川」から多面体の歴史像へ――』(2022年、東京外国語大学大学院博士論文)については、これまで二回、紹介してきました。高原太一『米軍立川基地拡張反対運動の再検討』|砂川平和ひろばSunagawaHeiwaHiroba(ameblo.jp)『米軍立川基地拡張反対運動の再検討』第一章|砂川平和ひろばSunagawaHeiwaHiroba(ameblo.jp)今回は、同論文の第二章の内容をまとめてみます
下記の商品は先週末から今日にかけて入荷したホンの一部です。『日本よ国家たれ-核の選択-』(清水幾太郎)昭和55年、文藝春秋刊売価5,800円『戦犯裁判の実相』(巣鴨法務委員会編)昭和61年、槇書房刊絶版(旧定価15,000円)売価4,500円+税『石切さん(神話編・現代編)』(木積一仁)昭和55年、平成12年、神道石切教本庁出版部刊売価4,400円『生長の家40年史』(生長の家本部編纂)昭和44年、日本教文社刊売
右も左もカール・シュミットを読む時代がきたのである。その意味では岩波文庫からシュミットの問題の書『政治的なものの概念』(権左武志訳)が去る8月10日に出版されたことは、画期的なことだと思う。しかし、手に取って読んでみてガッカリした。あまりにも直訳過ぎて、日本語としてこなれておらず、清水幾太郎訳の『政治的なものの概念』には遠く及ばないからだ。どうせ読むのならば、中公文庫のマックス・ヴェーバーカール・シュミットの『政治の本質』(清水幾太郎訳)に収録された『政治的なものの概念』をお勧めしたい。
今週読了した書籍のひとつ、1949年が初版で昨年に4回目くらいの復刊が実現した名著。1949年とは、第二次世界大戦が終わってまだ4年後です。よって「ジャーナリズム」はまだ敵性語扱いなのに岩波書店が出版したのは、それほど当時の日本のジャーナリズムが「アレ」だったのだと推測されます。その「アレ」は、コロナ禍やロシアで繰り広げられる今の日本でも全く同じだ!それに憂いて岩波書店は、昨年に復刻したのだと思います。私は中学生のときから、マスコミのエンジニアになりたいと考えて
物を書くのが好きかどうかではなく、それしか生業にできなかったので、それで僕は文章を書くようになったのです。そんないい加減な人間にとっては、清水幾太郎の『私の文章作法』を読むと、剣道で一本取られたような思いがします。「文章というものに縁のある人と、縁のない人に分かれている」といわれると、その通りだと思えてならないからです。僕は後者ではないかと、頭を抱えてしまいます。救いがあるとすれば、僕にも好きな文章や嫌いな文章があることです。その点では、清水が指摘するような「立派な文章を書ける素質」だけは
中盤戦の世論調査の結果が明らかになってきた。今回の参議院選挙は日本の安全保障とめぐる問題と改憲が一大争点であるにもかかわらず、マスコミが物価対策に矮小化してきている。まるで中ロの代弁者であるかのようだ。中国は着々と台湾侵攻の準備を進め、ロシアは中国と歩調を合わせて、軍事的に日本を挑発してきている。いくら日本とアメリカは同盟国であっても、中ロによる核攻撃の脅しに対して、どこまでアメリカの核の傘が通用するかとなると、はなはだ疑問である。ウクライナが必死にロシアの侵略に抵抗しても、時間が経つ
下記の商品は今週入荷したホンの一部です。『ベリヤ-革命の粛清者-』(タデシュ・ウィトリン)昭和53年、早川書房刊売価2,750円『オレンジ計画-アメリカの対日侵攻50年戦略-』エドワード・ミラー著沢田博訳1994年、新潮社刊売価1,650円『日本よ国家たれ-核の戦略-』(清水幾太郎)1980年、文藝春秋刊売価1,650円店頭販売もしておりますが、インターネット「日本の古本屋」で御注文いただけます。http://www.kosho
清水幾太郎の著書、「論文の書き方」。私のバイブルと言っても良い。その中の話。頭の中で「空間的併存状態」にある経験や知見を紐づけることの重要性が書かれていた。経験や知見は単独で存在していても価値が生まれない。しかし頭の中のそれらを関連づける、すなわち「紐づける」ことによってそれが思想となり、概念となっていく。個人的には、頭の中の「引出し」は少ない方が良いということだと感じている。仕事の支援所ホーム|プロジェクトマネジメント品質保証商品開発サプライチェーン変革|
戦後民主主義に関する論及の中で、清水幾太郎に触れたものはあまり見当たらないのではないでしょうか。「転向」した思想家には関心がないということですかね。清水の「転向」の時期と、世間の「空気」の不調和ということもあったのかもしれません。元「左翼」の論客の「転向」は、実は「右翼」からもあまり歓迎されなかったのではないでしょうか。あんなに広く読まれた人なのに……。以上、ただの思いつき、傍証も何もありません。「清水幾太郎は何故論じられないのか」、誰か論じてください。そもそも何故突然清水幾太郎なのかといえ
タイトル本はどう読むか著者名清水幾太郎出版社講談社現代新書本書の概要タイトル通り、本読み方について解説した本です。本の選び方、どういう方法で読むか、読んだ内容を忘れないためにどうすべきか、著者の経験から編み出した読書法が紹介されています。情報が氾濫する現代において、主体的に本を選び抜く習慣が身につきます。おススメ対象者本を読み慣れていない、どういう本を読めばいいのか分からない、という方にはおすすめです。初心者向けですが、
編集手帳…緊急事態宣言…飲食店の時短要請…永六輔さんの歌の詞〈生きているということは/誰かに借りをつくること〉…天声……世界の感染対策を挙げつつ…“だが飲食店の早じまいにいかほどの効果があるのか。この補償で十分なのか。要請に従わない店名をさらす必要があるとも思えない。”…余録…「兵力の逐次投入」題材に、旧日本軍なぞらえ政府のコロナ対策批判…産経抄…連邦議会議事堂を江戸幕府の使節「魚河岸のようだ」…“160年たって、連邦議会のありさまに日本人はもう一度驚き、いやむしろあきれることにな
本日の図書はこちら☆本はどう読むか_清水幾太郎☆手に取った背景「読書」をやっていきたいなって思ってから、「読書」の行為自体が奥深いと実感しています。これまでにも読書に関する本を速読なども含めて読んできました。まだまだ何て言うんでしょうか、型が決まらないのでそのたぐいを探していて本書に出会いました。本周りから選んだキーワード教養、読書の方法、本との付き合い方問いを立ててみた著者は読書をどのように楽しんでいるのか?問いに関わる発見①本の種類は三種類に分けることができ
安岡正篤氏が三上と言うものがあります。枕上、馬馬、厠上。知恵を閃かすのに適したシチュエーションと言うか。枕上。寝床。寝しなの読書、思索。馬上。移動中と言う事ですね。厠上。トイレで読書。朝ならば、かつてならば新聞を読むが定番でした。効率的な時間の使い方。ルーティンと言うか、良き習慣と言うか。似ている概念に、Ifthenplanningと言うものがあります。これをする時にこれをする。良い習慣作りと言う事。神田昌典さんはアメリカ人は移動中、講演会のテープを聞く、を紹介しています。
YouTubeの「天使のモーニングコール」チャンネルより心の指針「なぜ笑う」天使のモーニングコール1445回(2019/6/8・9)仏から私たちへの、厳粛な問いかけ==目次==0:00本編11:35御法話(書籍『忍耐の法』より)【今回のポイント】◇ある「事件」に対する軽薄な世の中の風潮に一喝した、清水幾太郎の言葉◇何もしないことをもって、知恵ある者のごとく装っていないか◇世を救わんとする人々を「なぜ笑う」◇この世的には敗れたように見えたとしても…201
E.H.カー、清水幾太郎訳『歴史とは何か』1962年、2018年第88刷最初に読んだのは、大学の時だと思う。まだ、まだ、マルクス主義歴史学の影響が強かった時代に、『歴史とは何か』はイデオロギーではない歴史の見方を教えてくれた。ケンブリッジ大学の講演を書物にしたものだと翻訳した清水幾太郎がはしがきに書いていた。中身についてはあまり触れていない。覚えていたことと書いてあることが異なるのは、当時の自分では理解できないことが多かったからだろう。歴史哲学から見た歴史家等への辛辣な批判
ブログのご訪問、誠にありがとうございます。今日も暖かい日ですが、皆様お元気にお過ごしでしょうか?私はいよいよ花粉症悪化の季節…マスクが手放せません。少しでも油断すると、目と鼻が酷いことになっていまいます。花粉症の方は、お気を付けください。さて、今日は先日からの続きで、また清水幾太郎の名作を紹介します。テーマは「論文の書き方」です。(岩波新書で1959年の発行、2018年現在、いまだに新品が発行されています!来年で発刊60年ですね。驚きです。)テーマからする
ブログのご訪問、誠にありがとうございます。明日からいよいよ3月ですね。今年も4分の1の終わりに近づいていきます。1月は「いく(行く)」、2月は「にげる(逃げる)」、3月は「さる(去る)」、と言うらしいですが、まさにそんな感じです。さて、そんな慌ただしい日本の年始且つ年度末の日々にこそ、ゆったりとしたスロー読書が必要だと思います。今日は今は忘れられてしまった、知の巨人についての評伝風の作りの本を紹介します。主人公は、清水幾太郎(1907-1988)という、明治終盤
あの世の世界は100%あるし、この世で亡くなった人は霊存在となり生きているのです。これを日本人がわからなければ今の北朝鮮や中国と同じ価値観にあるとも言えます。さすれば日本を守り、北朝鮮や中国を罰する、といった理論が立たなくなります。戦後保守言論界のリーダー清水幾太郎の新霊言(ORbooks)Amazonだから、日本っていうところは、つくづく反省しないところなんだなあと思う。政党も反省しないし、マスコミも、間違ったことを言っても、結局、反省しないんだろ?失敗しても。民主党政
《本記事のポイント》北朝鮮は、アメリカ本土を攻撃できる能力を高めている。中国は、アメリカに代わって「世界支配」を固めている。アメリカは北朝鮮に「短期で大規模な攻撃」、日本は「核装備」が必要。7月に入り、北朝鮮の脅威がアメリカ本土に迫っていることが明らかになっている。アメリカの独立記念日の4日、北朝鮮は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射に成功したことを発表した。今回、「ロフテッド軌道」と呼ばれる高い軌道で打ち上げられたが、通常の角度で打ち上げれば6000キ
『沖縄初の外交官田場盛義の生涯とその時代」』琉球新報又吉氏はこれまでに台湾・中国を踏査することで、台湾植民地・日露戦争時代に沖縄の人々がどう関わっていたのかを明らかにした。その視点の奥には沖縄が...歴史は継続。長い眼でみることで新しい発見がある。国士舘大学【日本の生活文化史】は、一般的な日本人、いわゆる庶民の生活を、歴史を通じ紐解く授業です。「日本とは何か」「生活とは何か」「文化とは何か」という点に重点を...清水幾太郎が1980年に発表の「核武装論」を今、改めて読む