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「終止符には早すぎる」著者:ジャドスン・フィリップス出版社新潮社(2025/11/28)新潮文庫の「海外名作発掘」シリーズの1冊です。参加した読書会の課題本でした。読書会のおかげで本邦初訳の名作に巡りあえました。先日紹介した『吸血鬼ハンターたちの読書会』を読んで、私も“読書会”というものに参加してみたくなり…人生初の体験をしてきた次第です。少人数でアットホームな雰囲気の中、自由に意見交換を楽しめました。ゲストの編集者さんから、普通は聞けない“本の発掘の経緯”という貴
野口実氏編著『図説鎌倉北条氏』(戎光祥出版)を買った書店で購入する。海外名作発掘シリーズ25冊目。ジャドスン・フィリップスの作品を読むのは初めてである。読後感は海外名作発掘シリーズの作品の中で一番良い。マシュー・ヒグビーの人物造形が良い。ジェイムズ・スチュアートを想起する。小山正氏の解説が良い。文学的な深みはあまりないかもしれないが、話の巧さと魅力あふれるキャラクターが欠点を補っていると私は思う。巻末の作品リストがものすごく充実している。未邦訳の作品の翻訳刊行と既訳作
小澤實氏選『近現代俳句』(河出文庫)を買った書店で購入する。新潮文庫海外名作発掘シリーズ24冊目。海外翻訳小説で1000円以内な事に驚く。レオ・マレの作品を読むのは初めてである。過去に長篇小説6作、短篇小説5作(単行本未収録)が翻訳刊行されている。(巻末のレオ・マレ主要著作リストを参照)時は第二次世界大戦、ナチス・ドイツに占領されたフランスを舞台に真実を追い求めるタフガイ、ネストール・ビュルマの活躍を描くシリーズ第一作目。以前読んだリチャード・デミング著田口俊樹翻訳『私
・アガサ・クリスティーの『アクロイド殺し』(羽田詩津子翻訳クリスティー文庫)を買った書店で購入する。・海外名作発掘22、23冊目。下巻裏に海外名作発掘の一覧表記載。・マリアーナ・エンリケスの作品を読むのは初めてである。・上下巻合わせてもエンリケスの翻訳刊行された本3冊の中で一番安い。大部な翻訳小説で3000円以内に値段が抑えられている事に驚く。・本書はホラーの要素をふんだんに取り入れた家族小説だと思う。以下印象に残った場面と事柄を記す。・フアンの詩への愛好が息子ガ
・カール・ゲオルク・ビューヒナーの『ヴォイツェクダントンの死レンツ』(岩淵達治訳岩波文庫)を買った書店で購入する。・海外名作発掘シリーズ21冊目。・エルモア・レナードの作品を読むのは初めてである。・カラッとしたノワールである。湿っぽさが欠片もない。・会話が粋である。ユーモアが巧みに、それとなく混ぜられている。・ナンシーの悪女っぷりは今まで刊行された海外名作発掘シリーズの中で一番だと思う。・ミスター・マジェスティックが見ていた映画(ラン
・小野不由美氏の『残穢』(新潮文庫)を買った書店で購入する。・海外名作発掘シリーズ20冊目。・ジェイムズ・リー・バークの作品を読むのは初めてである。・自然描写の美しさと主人公デイヴ・ロビショーの人物造型が良い。近所の図書館にロビショーシリーズ1作目の『ネオン・レイン』があるので借りてこよう。・古瀬稔氏のカバー装画も良い。デイヴが経営するボート乗り場兼釣り餌屋を照らす夕日が美しい。・霜月蒼氏の解説で「文芸ミステリー」というジャンルを知る。先日読んだク
・フィリップ・マーゴリンの『銃を持つ花嫁』(加賀山卓朗訳新潮社新潮文庫海外名作発掘)を買った書店で購入する。・海外名作発掘シリーズ19冊目。・リチャード・デミングの作品を読むのは初めてである。・マニー(マンヴィル)・ムーンの活躍が書かれた中篇7篇を収録している。ハードボイルドと推理両方楽しめる。・ミスター・ムーン、ピンチになり過ぎである。腕っぷしと機転で切り抜ける展開が楽しい。・ミスター・ムーンはフィリップ・マーロウより近接戦闘と射撃が上手いと思う。・川
・フィリップ・マーゴリンの『銃を持つ花嫁』(加賀山卓朗訳新潮社新潮文庫海外名作発掘)を買った書店で購入する。・海外名作発掘シリーズ18冊目。・ドロシイ・B・ヒューズの作品を読むのは初めてである。・主人公の焦燥や絶望、希望などの心理描写が見事だ。エレンとスカイは素晴らしい人だと思う。・吉野仁氏は解説で、ヒューズの略歴と長編小説8作について書いている。・ドロシイ・B・ヒューズの全長編、全短篇、全書評集の刊行を望む。・ドロシイ・B・ヒューズはチェスター・ハイムズの
・チェスター・ハイムズの『逃げろ逃げろ逃げろ!』(田村義進翻訳新潮社新潮文庫海外名作発掘)を買った書店で購入する。・海外名作発掘シリーズ17冊目。・フィリップ・マーゴリンの作品を読むのは初めてである。・面白い。著者の他の作品と小説の主な舞台であるオレゴン州に興味を持つ。・数日前に悪徳警官が登場する小説を読んでいたので、善良な警官がきちんと仕事をしているくだりを読むとほっとする。・ジャックはこの後どう生きるのだろうか。・ステイシーとグレンには幸せになってほし
・ドナルド・E・ウェストレイクの『うしろにご用心!』(木村二郎訳新潮社新潮文庫海外名作発掘)を買った書店で購入する。・海外名作発掘シリーズ16冊目。・チェスター・ハイムズの作品を読むのは初めてである。・上手い。がむしゃらに全力疾走しているような文章が良い。・誰も自分の言葉を信じてくれない恐怖と孤絶感を徹底的に描写している。・犯罪小説であり恐怖小説でもある。・本書の主役の一人であるマット・ウォーカーの悪徳警官っぷりはドナルド・レイ・ポロックの『悪魔はいつもそこに』
・ポール・ベンジャミンの『スクイズ・プレー』(田口俊樹訳新潮社新潮文庫海外名作発掘)を買った書店で購入する。・新潮社新潮文庫海外名作発掘シリーズ15冊目。・ウェストレイクの作品を読むのは2冊目。・ジョン・ドートマンダーシリーズを読むのは初めてである。・会話が良い。噴き出してしまうくだりがたくさんあった。・ドートマンダー一味に取り囲まれても動じないレイフィエルが可笑しい。肝っ玉がでかすぎるのか、それとも鈍すぎるのか。・ブーブークッションを使って美女に悪戯をしようと
・ワジディ・ムアワッドの『灼熱の魂』(大林薫訳新潮社新潮文庫海外名作発掘)を買った書店で購入する。・新潮社新潮文庫海外名作発掘14冊目。・ポール・ベンジャミン=ポール・オースターの著作を久しぶりに読む。確か高校生の頃『幽霊たち』を読んだはず。・ポール・オースターの愛読者でなく熱心なハードボイルドの読者でもないが、本書のワイズクラックを味わうように楽しむ。・主人公の私立探偵マックス・クラインは実年齢より老成・(成熟ではない)していると思った。・野球ファンだったら1
・小野泰博の『谷口雅春とその時代』(島薗進編法藏館法蔵館文庫)を買った書店で購入する。・ロス・トーマスの作品は先月『狂った宴』(松本剛史訳新潮社新潮文庫海外名作発掘)を読んでいる。・海外名作発掘シリーズ12、13冊目。・悪人達が織りなす頭脳活劇であり、虚無と隣り合わせに生きてきた男の魂の遍歴を記した成長小説である。・主人公ルシファーの年上の悪友である、タンテ・カテリンとゴーマン・スモールデインの人物造形が良い。・引地渉氏のカバー装画が素晴らしい。小説の舞台で
・小林清治の『南奥州の戦国時代』(戎光祥出版)を買った書店で購入する。・新潮社新潮文庫海外名作発掘シリーズ11冊目。・マット・ラフの作品を読むのは初めてである。・傑作である。久しぶりに大部の翻訳小説を読む。・ハンディキャップを抱えた青年2人がたどり着く結末を見守るように読んだ。・読了後爽やかな気持ちになる。・霜月蒼氏の解説で本書を人間讃歌だと書いている。同意する。・ヴァーナが幼いペニーを虐待するくだりは読んでいてきつかった。『少年の君』や『悪魔はいつもそこに』、
・ドロレス・ヒッチェンズの『はなればなれに』(矢口誠訳新潮社新潮文庫海外名作発掘)を買った書店で購入する。・海外名作発掘シリーズ10冊目。・ドナルド・E・ウェストレイクの作品を読むのは初めてである。・ウェストレイクの名前を知ったのは確か中学生の頃ホームルームで配布された角川文庫の小冊子だった。あれから20年以上経ってしまった。・ギャンブル好きの主人公が知り合いのノミ屋殺しの下手人に間違われて、2つの組織に命を狙われる。ノミ屋の妹とともに無実を証明し、真犯人を捕まえ
先日、新潮社文庫の海外名作発掘作品として刊行された、チェスター・ハイムズ『逃げろ逃げろ逃げろ!』(1966)を読みました。若い頃、強盗の罪で捕まったけど、服役中に小説を書くようになり、その後アメリカで作家デビュー。しかしあまり人気が出ないまま、フランスに渡り、そこで人気が出た、アメリカ出身の黒人ノワール作家による、ブラック・パルプ・サスペンスノワールです。まぁジム・トンプスンも、あんな凄い作家なのに、昔のアメリカではあまり芳しい評価を得られなかったのに、作家としてはフランスで評価された
・ホレス・マッコイの『屍衣にポケットはない』(田口俊樹訳新潮社新潮文庫海外名作発掘)を買った書店で購入する。・海外名作発掘シリーズ9冊目。このシリーズは廉価で入手できるのが良い。早川書房や東京創元社から刊行していたら倍以上の値段になっていたと思う。・エドワード・アンダースンという作家を本書で知る。・映画版2作は未鑑賞。時間を作って見てみたい。・思った以上に純愛小説だった。・諏訪部浩一氏の解説は力作である。諏訪部氏の業績に関心を持つ。エドワード・アンダースン
・ドナルド・レイ・ポロックの『悪魔はいつもそこに』(熊谷千寿訳新潮社新潮文庫海外名作発掘)を買った書店で購入する。・新潮社新潮文庫海外名作発掘シリーズ8冊目。・ホレス・マッコイの作品は、2016年に『彼らは廃馬を撃つ』(常盤新平訳白水社白水uブックス)を読んでいる。・私はジャーナリストに幻滅しているが、この小説は面白かった。・田口俊樹氏の訳文はとても読みやすい。・社会への怒りに満ち溢れている作品である。・疾走感というより生き急いでいる文体という
・ウィンストン・グレアムの『罪の壁』(三角和代訳新潮社新潮文庫海外名作発掘)を買った書店で購入する。・新潮社新潮文庫海外名作発掘シリーズ7冊目。・2021年5月20日から5月21日まで、ワジディ・ムアワッドの長編小説『アニマ』(大島ゆい訳河出書房新社木原未沙紀装画緑川晶装幀木村由美子編集414ページ3900円)を読んでいる。2021年に読んだ外国小説で一番印象に残った作品である。・映画版は未鑑賞。演劇も未鑑賞。・昨日読み終えたポロックの『
・ドロレス・ヒッチェンズの『はなればなれに』(矢口誠訳新潮文庫海外名作発掘)を買った書店で購入する。・新潮文庫海外名作発掘シリーズ6冊目。・ドナルド・レイ・ポロックの作品を読むのは初めてである(本邦初訳)・映画は残念ながら未鑑賞である。Netflixに加入していない。できる事なら劇場公開してほしいのだが。・心にガツンときた。やられた。海外名作発掘シリーズの中で一番衝撃の大きな作品である。・アメリカのオハイオ州南部の小さな町で暮らす青年の受難の記録
玖月晞の『少年の君』を買った書店で購入する。海外名作発掘シリーズ5冊目。ウィンストン・グレアムの作品を読むのは初めてである。端正な作品である。恋愛と冒険とミステリーの要素が調和している。人はグレヴィル・ターナーのように妥協の無い人生が出来るだろうか?小説終盤、チャールズ・サンベルグの振る舞いに心が暖かくなる。本書350ページ1行から9行目のグレヴィルの言葉を何度も思い返すだろう。ウィンストン・グレアム著三角和代翻訳三橋曉解説荻原美里カバー装画竹内祐一
ロス・トーマスの『狂った宴』(松本剛史訳新潮社新潮文庫海外名作発掘)を買った書店で購入する。海外名作発掘シリーズ4冊目。大陸に玖月晞という作家がいる事を知る。映画版は未鑑賞。一気に読む。鄭易のような人が現実にいれば冤罪が少なくなると思う。玖月晞(ジウユエシー)著泉京鹿翻訳阿井幸作解説kanakoカバー写真新潮社装幀室『少年の君』515ページ新潮社新潮文庫海外名作発掘令和6年(2024年)12月1日発行1150円(貨幣廃棄料金抜)小冊子
小栗虫太郎の『女人果』(春陽堂書店春陽文庫探偵小説篇)を買った書店で購入する。海外名作発掘シリーズ3冊目。ロス・トーマスの作品を読むのは初めてである。邦題が良い。狂った宴即ち選挙だと認識している。人物造形が良い。特にクリントン・シャルテルが良い。会話が粋である。秩序回復は出来るだけ不殺の方が成功率は高くなると思った。ロス・トーマスの既訳の作品の復刊と未訳の作品の刊行を望む。ロス・トーマス著松本剛史翻訳関口苑生解説竹内祐一編集新潮社装幀室『狂っ
有福孝岳氏と天野文雄氏の著書(2冊とも法蔵館文庫)を買った書店で購入する。久々に外国の翻訳小説を読む。ドロレス・ヒッチェンズの作品を読むのは初めてである。海外名作発掘シリーズ2冊目。このブログを始める前にライオネル・ホワイトの『気狂いピエロ』(矢口誠訳)を読んでいる。映画版は未鑑賞。人物を同時並行的に描くのが上手い。『愚か者の黄金』という原題が本作の全てを表現している。エディとカレンのその後を想う。山田宏一氏の解説は絶品である。『黒猫は殺人を見ていた』『泣
ホレス・マッコイ『屍衣にポケットはない』、これもお盆に読もうと思ってずっと読んでて読了しました。ホレス・マッコイはデビュー作『彼らは廃馬を撃つ』が好きな作家ですけど、あちらは青春ノワール小説、またはプロレタリアノワール小説といった感じでしたが、こちらはジャーナリズム・ハードボイルド小説と言われてますが、まぁ確かにそんな感じですかね。人口40万人の街コルトンの地方紙のスポーツ担当記者ドーランは、真実の報道より広告収入重視の新聞社に嫌気がさし退社。自ら新雑誌『コスモポライト』を創刊し、中絶手