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◎秘技「肩外し」『武術浅山一伝流』(小佐野淳著)では、仙台藩に伝わる浅山一伝流の技が連続写真で紹介されている。この中に、秘流「打込」(俗に「大回し」「肩外し」などと呼ばれているそう)と云う技が紹介されており、これは、投げながら敵の肩関節を外す技だそうだ。昔の護身術の本のいくつかにも、肩関節を外す技は紹介されている。例えば、『秘密の自己防衛術』(ビクトル古賀著)。40年前の刊行だが、もし、入手出来る機会があったら、迷わず購入すべき名著。護身術の本で紹介されている肩外しの方法と
◎整骨法●整法(骨折・脱臼等の処置)打ち身・捻挫・骨折・脱臼等、素人が負傷の状況を判別し、適切な治療を施す事は困難であり、又、危険ではあるが、おおよその知識があれば、専門の医師に診せる迄の処置を適切に施す事ができる。(1)脱臼◎識別法①顎骨脱臼関節は左右両方にあるが、だいたいどちらか片方が外れるので、下顎骨が前に出て歯が合わず、口が捻れた様になって喋れなくなる。②肩の脱臼腕の骨が肩から外れる。前に外れる時と後ろに外れる時とがある。上はく部がやや捻れて手を動かす事が出来な
◎止血法◎出血性ショック○体内の血液量の20%(体重60キロの成人だと約1リットル)を急速に失うと出血性ショックを起こす。○30%の血液を失うと生命の危険が大きくなる。○出血性ショックの症状・目がうつろとなり、顔の表情がなくなる・呼吸が不規則となり、浅く速くなる・脈拍が速くなり、弱くなる・動きが緩慢になる・口が渇く・顔面蒼白・吐き気・体温の低下◎出血の種類○動脈性出血・真っ赤な血が脈打つ様に吹き出す。・緊急に手当を要する。○静脈性出血赤黒い血が湧き出る様に持続
◎中華禽拿術李英昂著『七十二把禽拿原理』と云う本が面白い。中国語が読めないので詳細は解らないが、解読出来る範囲の文章と図解や写真を見ると、この本では、日本柔術が奥義として秘匿してきた技法がいくつか解説されている様だ。(1)関節を外す技十手関節外しの技を「錯法」として十種紹介している。下顎関節・肩関節・股関節については、大きな負荷を掛けなくても、上手に外す方法がある。(2)分筋・麻筋図解が無かったので詳細は不明だが、痛覚刺激により筋肉を麻痺させる技法の様だ。(3)点穴急
◎武術活法を補完する知識と技柔術活法は仮死者の意識を覚醒させる術技で、各流儀ごとに数種類の活法が伝承されている。武術家として蘇生術を究める為には、柔術活法の研究だけでは不十分であり、これを補完する知識と術技を必要とする。具体的には・・・①用手人工呼吸法個人的に調べただけでも20種近い術技が存在する。②止血法出血部位に対応した止血点を指などで圧迫する術技。血液の色から静脈出血か動脈出血かを判別したり、失血の度合いに応じた症状や危険性についての事前知識は必須。③脱臼と骨折の
◎ローカル・レスリング「柔術」には様々な流儀があり、それぞれ個性的な戦闘スタイルをもっている。又、「相撲」も、モンゴル相撲や中国相撲、沖縄相撲他、世界各地に様々なスタイルの相撲が存在する。同様に、レスリングにも世界各地に個性的な伝承がある。私たちがイメージする「レスリング」競技というと、真っ先にオリンピックの競技種目やプロレスなどを思い浮かべるが、レスリングのスタイルはもっと多彩である。中世のレスリングの絵伝書を見ると、立ち技が中心で、寝技の攻防は滅多にない。又、関節技も多く見られ、
◎活法でペットの命を護るペットが仮死状態に陥った際の蘇生法について。仮死状態とは、簡単に言うと、呼吸が停止してから心臓が停止する迄の状態。蘇生法で意識を回復させれば自発呼吸も戻り、逆に、自発呼吸の回復を助ければ意識も回復する。主として、柔術活法は前者、人工呼吸法は後者の手法をとる。柔術活法の解説書には動物に施す活法について言及しているものがあるので、以下、紹介する。①『柔術生理書』(昭和十四年刊)先ず、施術対象の動物を四つ這いの姿勢を取らせ、首のところへ手を当てがい、そこか
◎隠れた「急所」(R50117)人体の急所のほとんどは身体の中心線に分布している。これらに対し、神経が集中している①肛門②腋下③足裏は「隠れた急所」と呼ばれている。①肛門は攻撃ポイントと云うよりは、活法のツボとして用いられる。○柳生流肛門之伝仮死者を俯せに寝かせ尻を持ち上げる。左手で仮死者の体勢を保持し、伸ばした右手指で肛門に出し挿れを急速に繰り返す。(指には予め鶏卵の白身、椿油等を塗布する)指を入れた時に呼気を発し、抜く時に吸気を発する。この伝は柳生流活術の中でも効験顕著な
◎合気(220626)ある種の動物を捕らえて、その体を一定時間不自然な姿勢に固定すると、あたかも催眠術に掛かったかのように、しばらくの間動かなくなる。このような静止状態を便宜的に「催眠状態」と呼び、その誘導技法を便宜的に「動物催眠術」と呼んでいる。「便宜的に」という断りを入れているのは、この現象がヒトの催眠現象と類似してはいるものの、厳密な意味で区別されるべき現象だから。以前、映像で見た「合気に掛かった」状態は上記の状態と酷似している。動物催眠の実験では、ネズミなどの下等な哺
◎術理はひとつ(2200720)不遷流柔術には6種の活法が伝えられている。田辺虎次郎(不遷流三代)が、この6種の活法を弟子に伝授する際、又右エ門(不遷流四代)に「かたわらで見ているように」命じた。すると又右エ門は、「活のやり方は一つですから、習わなくても分かっています」と答え、虎次郎を激怒させたという。「馬鹿なことを言うな!活は6本だ」と言う虎次郎に対し又右エ門は、「型は6本でも真の活は一本だけです。相手がどんな状態でも見事に活を入れて見せましょう」と答えた。現在、柔術各流派
◎義経流柔術の急所伝(220717)「義経流柔術」の伝書には、柔術系の技、当身、活法等の記述がある。義経流の開祖は源義経ではなく、後世の武術家が義経の名を借りて創始した流儀だと思う。注目すべきは当身急所図。急所名には従来の柔術伝書とは異なる名称を冠している。図に示されている急所の数も多い。例えば、腕の急所は10か所以上、脚の急所も10か所近く示されている。一般的な柔術伝書の急所図では、腕や脚の急所はこれほど多くはない。普通、敵は腕や脚を使った攻撃をして来るので、腕や脚の急所を
◎一番難しいのは「やるか、やらないか」の判断(220710)安倍元総理が襲撃されて命を落とした。現場に居合わせた人たちが救命措置を施したのだが、損傷した胸部に心臓マッサージを施したり、体内に金属片が残っているかも知れない状況でAEDを使用した事には疑問が残る。仮に、心臓マッサージやAEDの使用が不適切な状況だったとしても、一刻を争う状況で冷静な判断を下すことは誰にも出来ない。安倍元総理が亡くなった責任はあくまでも犯人にあり、懸命な救命措置を施した人たちに責任はない。心臓マッサージ
◎医術系活法其の二(220517)江戸時代の医師華岡青洲の弟子が遺した『青洲先生口述筆記』の中には、「救縊死法」と「救溺死法」が複数の絵と共に詳細に解説されている。柔術活法の中にも同様の技法はあるが、『青洲先生口述筆記』の記述は丁寧である。当身や絞めによる気絶者を扱う機会は医師よりも柔術家の方が多い。一方、縊死者や溺死者を扱うのはほとんどが医師。以上のことから、柔術に伝わる「縊死活法」と「溺死活法」は医術に由来すると推測される。一つ気になる事がある。『柔術生理書』の中に
◎医術系活法(220511)柔術系活法と医術系活法各々の共通点と相違点について調べている。『青洲華岡先生整骨法図説』の中に「青洲先生活術図説」と云う一節がある。「活法」というのは、昔から「整骨法」の一分野として位置付けられていたのだろうか。柔術の稽古中に打ち身や脱臼・骨折になることも少なくない。当身や締め技によって仮死状態に陥る者も少なくなかったであろう。柔術家が整骨・活法を兼修するようになったのは当然の成り行きといえるかも知れない。ちなみに「青洲先生活術図説」では背活術と臍
◎木鍼と紐(220507)柔術活法に興味があって、今まで江戸・明治期の資料を蒐集してきた。そこで、武術家の用いた活法と医師が用いた活法には違いがあるのか気になって調べてみた。「橘氏腹診録」の中に「奥術活法」として12種の活法が図解で示されている。柔術活法と医術活法の原理や手順はほぼ同じと言って良いと思う。異なる点は、柔術活が素手で行われるのに対して医術活は道具を用いる点。医術系活では「木鍼」と云う指圧棒の様なもので穴所をついたり、「紐」を仮死者の胸に襷掛けにして引っ張ったり等
◎明治の女性柔術家兼整骨医(211124)明治二十二年刊行『救溺活法』という書籍を見付けた。著者は整骨専門女医箕田愛。本書では溺者に施す水活法について解説している。箕田は柔術の学び師(=まなびおや)より五活を授かったと述べている。(柔術流儀については明記されていない)この時代に柔術の奥義を究め、整骨医として開業していた女性は、多分、珍しかったことだろう。活法の研究をしている過程で、今まで二十種以上の「死相鑑識法(=仮死者と本死者を判別する方法)」を蒐集したが、この本に記されてい
◎当身の「急所」(210908)柔術の伝書には、人体の「急所」の図解解説を掲載したものが多い。「急所」の位置や名称は東洋医学に基づいているのだが、私はこの「急所」を無条件に信用してはいない。理由はいくつかある。①かつて、ツボの名称や位置は中国・韓国・日本で共通しているものも多かったが、異なるものもあって、統一されていなかった。②軽く「急所」を打ってもダメージを受けないだろうし、逆に、剛力で打てば、急所に当たらなくても致命傷になる。③そもそも、服の上から小さい点である急所を正確に突く
◎柔術と催眠術の共通項(210820)格闘家や武術家以外で「絞技」を使う人たちがいるのですが、どんな人たちでしょう?・・・答えは「催眠術師」催眠術師が使う頸動脈圧迫法=脳に直接血液を送っている咽喉仏直下の二本の頸動脈を、二本の指先で軽く抑えると、相手は直ぐに意識朦朧となり、最後は失神してしまう。<武術と催眠術の共通点>①催眠術の頸動脈圧迫法も武術の絞技も、共に、脳への酸素供給をコントロールして意識を低下させることが目的。②催眠術師の呼吸による催眠誘導も、武術家の精神統一の為の呼吸法
◎想像以上に危険な行為(210807)敵に襲われて絶体絶命となった時、止むを得ない場合に「最後の最後」で使われる技の一つ・・・それは「咬み付き」。この「咬み付き」には、二つの大きな危険が伴う。その事を十分知っておく事は大切。○危険その1=相手を死亡させてしまう危険性人間の歯は雑菌の巣なので、咬まれた相手にしてみれば狂犬病の犬に噛まれた時と同じ位危険。(「ヒト咬症」で検索してみるとその危険性がよく分かる)相手が死亡してしまったら、結果的には「過剰防衛」となってしまう。○危険その2=相
◎心と体(210708)第二次世界大戦中、敵の爆撃で重傷を負ったイタリア人19歳の兵士が野戦病院に運ばれて来た。激痛の為に暴れる彼を押さえ付けるのに3人の男が必要だったが、暴れている当の本人は8本の肋骨が折れ、腎臓と肺が破裂している状態だった。傷の程度は同じでも一般人に比べて兵士の生存率は高いそうだ。一般人にとって、負傷は悲しむべき出来事だが、兵士にとっての負傷は「家族の元へ帰れる」と云う喜ばしい側面がある為、生命力が増幅されるのではないかとされている。心が肯定的な方向へ向い
・ヒトがインフルエンザに感染するとを社交的になる。・HIV感染者が末期になると性欲が異常に亢進することがある。・ヒトがトキソプラズマ原虫に寄生されると脳内でドーパミンが増え、交通事故を起こす確率が3倍になったり、自殺する確率が上がり、女性は性的に開放的になる。ウィルスに感染したり寄生虫に寄生されたりする事で人の行動パターンは変化する。ウィルスや寄生虫が自身の生存や拡散を目的として宿主の人間の脳を操って目的を達成している様に見えるのだが、更に巧妙に宿主を操り生存・繁栄しているウィルスや
◎「武」と「医」の達人其の二(200722)『アリエナイ医学事典』と云う本に、三井厚生病院の医師、三井二郎左衛門についての記述が有り、とにかくカッコ良いキャラなので紹介する。(詳しい事は『アリエナイ医学事典』参照)三井厚生病院の医師、三井二郎左衛門は東大医学部を首席で卒業、20代で博士号を授与された上に柔術の達人。当時、日本最大の財閥である三井財閥の御曹司。貧しい者からは一銭も受け取らず最高の医療を施した。莫大な個人資産を注ぎ込んでインスリンを購入し、貧しい糖尿病患者に無料で投与し
◎「武」と「医」の達人(190621)『完本妻は、くノ一』五巻を読了。とても面白かった。(NHKがドラマ化しているので、近いうちにそれも視聴してみたい)この小説には実在の人物も多数登場する。元平戸藩主で『甲子夜話』の著者として有名な松浦静山。作中では心形刀流の達人として描かれているが、これは本当の事で、『常静子剣談』という剣術についての著作も残している。物語の最後の方に出てくるシーボルト。シーボルトには当初興味が無かったのだが、『アリエナイ理科の大辞典2』に孫娘の楠本高子さん
◎身体と進化(190413)書店の科学コーナーで新刊書・話題書の立ち読みをする。それらの本によると・・・人体には20余りの不要な骨・筋肉・器官等が有る、と云う。進化の過程で要らなくなったモノが「名残り」として体内に存在するのだろうか?本では、それら不要な器官や筋肉・骨について、各々詳細な解説が為されている。(足の小指の骨が2本の人と3本の人がいるそうだが、3本の人は「一本余計」なのだろうか?)仮に、体内から不要な器官を摘出したら、身体のどこかに影響が出るのだろうか?おそらく影響は
◎身体の不思議(090222)先日NHKの番組で鍼治療の光景を放映していた。妊婦の脚に鍼を打った途端に逆児の胎児が半回転して正常な向きに戻ったり、腰痛が瞬時に消えたりと、その即効性には驚いた。番組の中では経絡の正体は「筋膜」なのでは?という仮説を立てていたが、説得力のある説明だった。武道などで特定のツボを攻撃して敵を倒す「点穴法」というのがあるが、これは筋膜の張りや緩みのバランスを崩す意味が有るのかも知れない。「点穴法」の効果を解消するのは「解穴法」。Aのツボを点穴で攻撃され
◎人体の急所と冬の寒さ対策(111209)止血法について調べていて思い出した。血管や神経は、伸筋側(体の外側)よりも屈筋側(体の内側)に多く集まっており、その事で外部からの衝撃から守られている。手首の甲側・太股の外側を刃物で切られても致命傷になりにくいのに対して、手首の内側・太股の内側は太い血管が通っているから、刃物で切られた時には致命傷になる。寒い時に使い捨てカイロを貼る場合、お腹に貼るのと背中に貼るのとどちらが良いか?おそらく背中に貼った方がより暖かい感触を実感出来る筈。
◎退化する武術(100115)『秘伝』特集を読んで、大東流の体系にも方術の類が組み込まれているのだなぁ、と知った。竹内流の歴代の宗家などは修行で獲得した法力を以って病気平癒の加持祈祷をした様だし、明治時代に刊行された武術書籍にも、「足止めの呪文」や「必勝の呪文」「九字護身法」などが掲載されてたりする。武術が武道へと近代化して行く過程の中で、先ず、これら方術系の伝承が捨て去られ、続いて医術・活法技法が忘れ去られた。中には「型」すらも捨て去り、試合のみを行う競技武道もある。これは、ハッキ
◎東洋医学の原典(090403)『黄帝内経』の分かり易い解説本を書店で見付け、早速購入した。『黄帝内経』。本場、中国では可成り昔に一度消失した、いわば「幻の聖典」。「幻の聖典」は、はるか昔に日の本の国に渡り、その後1000年を越える時を経て現代に甦った。「中国4000年」というけれど、日本の方が大きな戦乱が無かった分、古い文化を沢山残している。今日伝えられている中国拳法もそれほど古いものではないと聞く。日本の剣術流儀の方が昔のかたちを現代まで忠実に伝承していると思う。
◎武術と医術(060916)明治・大正期や戦前の武道関係の技術書を読むと、技の解説と同時に、必ずと言って良い程、ケガの時の応急手当や活法の解説が補足的に記載されている。現在、武道関係の書籍の発刊は膨大な数にのぼっているが応急手当てや活法に言及した書籍は殆ど無い。整骨法の知識が有れば関節の仕組みを理解して技が掛けられるので、技の極め方もより上手くなる。又、指圧や止血法の知識があれば、急所を狙った有効な反撃が出来る。「武医同術」というが、現代武道はその事を忘れている。「安全な稽古」「
明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。皆様にとりまして素晴らしい一年になることを祈念して年始最初のブログとさせていただきます。お知らせですが、中山先生の新刊が好評発売中です。アマゾン・楽天・紀伊国屋書店でも販売しておりますので、ご興味ある方はご購入いただけましたら幸いです。電子書籍でも購入可能になりました。北斗神拳の謎に迫る秘孔の真実:「空手」と「経絡理論」で考