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沼田真佑「影裏」(「文藝春秋」2017年09月号)沼田真佑「影裏」は第百五十七回芥川賞受賞作。書き出しは、最近の芥川賞の受賞作とは印象がまるっきり違う。文章が美しい。(引用ページは「文芸春秋」)勢いよく夏草の茂る川沿いの小道。一歩踏み出すごとに尖った葉先がはね返してくる。かなり離れたところからでも、はっきりそれとわかるくらいに太く、明快な円網をむすんだ蜘蛛の巣が丈高い草花のあいだに燦めいている。(398ページ)美しいを通り越して華麗。自然の描写なのだが、どこか人工的な感じがする。こ
沼田真佑「白き天使」(『文學界』2024年12月号所収)を読みました。この小説は、東京が嫌いな主人公が東京のある街で猫とともに暮らす姉の住まいを訪ね、思い出を振り返りつつ一晩経ってガラリと様子が変わった彼女の姿に戸惑う様子が主に書かれているのですが、読んでいて人に対して優しかったのがつっけんどんになると言う姉の態度の変貌ぶりに驚き、思わず叫びたくなってしまいました。もっとも、主人公が考えるように東京の街気まぐれな猫に感化されたのかなのか、本当の原因は本人にしか分からないのでしょうが…。
2017年、芥川賞。2020年、映画化。綾野剛、松田龍平。映画は観ていないが、文春文庫の表紙(添付引用)が川岸で綾野と松田が横に並んでうつむいている写真なので、一目で(主演)綾野剛、(助演)松田龍平とわかる。二人ともハマリ役。何考えているのか周囲にはわからない、失踪する男が松田。友達作るのが下手で、失踪した唯一の友(松田)を探す男が綾野。ここのところ大正~昭和前半の文豪の作品を貪り読んでいる私。『影裏』は大正・昭和の匂いがする。パソコン、デニッシュパンといった現代用語は別に
今日も、『文學界』2024年3月号に掲載されている短篇小説を読みました。①沼田真佑「三脚の椅子」久しぶりに沼田真佑の小説を読みましたが、読み終えて若干寂しい気持ちになりました。もっとも、中盤まで主人公を男性だと思いこんで読んでしまっていた精神状態も原因の一部なのかもしれません。ですが、身近にいた猫がいなくなったと同時に気になりだした(経営企画部長兼海外事業推進室室長と言う)会社の上司を「心底嫌っていた」(65頁)と気づいた後、自分が触りまくっていた猫があるきっかけで嫌いになるとは
大したことないんですよ、他地域にくらべたら。それでも、白くなってるってだけで、近所の子どもたちがはしゃいで登校していきました。路面にはほとんど雪はありません。それにしても一日中寒かったです。。2024年の4冊目パッキパキ北京綿矢りさ著集英社2023.12.10発行144ページ東京のタワマン暮らしだったけど、歳の離れた夫の海外赴任地北京に行くことになった女性。コロナ渦中で隔離期間を過ごすのもリゾートホテルを手配してもらうなど、
影裏(文春文庫)/沼田真佑医療関係の会社に勤める青年は、岩手県への出向を受け入れて日々の業務をこなしながら、空いてる時間には趣味の釣りに明け暮れていた。会社には唯一の友ともいえる男がいて一緒に釣りを楽しんでいたが、ある日突然その男が会社を辞めたことを知らされる。趣味の釣りにも気持ちが入らない中、男が再び目の前に現れて、互助会の勧誘を業務とする会社に再就職したことを教えられるが、ノルマ達成のために互助会への加入を勧められ、青年は断り切れずにそれを受け入れる。やがて男は、知人から
今日は、読み終えた本を返すためにブックオフ公立大学前店に行ってきました。気に入った本や好きな作家の作品は手元に置いておきますが、それ以外はある程度溜まったら処分していかないと置き場所がなくなっていくので、またブックオフに返してリサイクルしています。今日はそこで2冊、帰る途中で別の古本屋さんに立ち寄って1冊の、計3冊本を買いました。ブックオフで買った1冊目は、瀧羽麻子著「ハローサヨコ、きみの技術に敬服するよ」(集英社文庫)です。著者の作品は何冊か読んでいるので、買ってみました。(
今日は受診を控える方が多かったと思われ、土曜日にも関わらず、外来も比較的早く終わりました。最近は問い合わせや、発熱患者さんとのやり取りで、電話を頻繁に使うため、ついに電話回線が足りなくなり、本日増設工事をしていただきました。工事が17時に終わり、院長も奥州市のコロナの会議に出席し、18時頃本日の業務が終了しました。今週も1週間が終わりました。今日は細切れにみていた映画を1本見終わりました。岩手が舞台の「影裏」という映画をご存じでしょうか。私は東京から岩手に6年前にきたのですが、岩手と
「今、この地球上に映画作品はいくつ存在するのだろうか。…それはさておいて、実際に観た映画をアーカイブしてみる。」~原作「影裏」沼田真佑~(2020年2月14日公開)●概要『日本で一番悪い奴ら』などの綾野剛と『舟を編む』などの松田龍平が共演した、沼田真佑の小説が原作の人間ドラマ。主人公が失踪した親友を捜すうちに、彼の闇の部分に踏み込んでいく。監督は『るろうに剣心』シリーズなどの大友啓史。『よこがお』などの筒井真理子をはじめ、中村倫也、平埜生成、國村隼、永島暎子、安田顕
『影裏』2020cast綾野剛松田龍平監督大友啓史原作沼田真佑影裏:作品情報-映画.com(eiga.com)12/26日曜の夜は普段の日よりも早めに寝ます。土曜夜は遅くまで起きて朝はゆっくりしているので生活リズムを戻すという事もあります。なので大河も録画して数日後に観ます。(今回の大河は観ないけど。)前夜は8時過ぎには布団に入ってました。スマホや雑誌を見たりしているうちに眠ってしまいましたが、12時前には目が覚めてしまいました。そこから全然眠くなりませんでし
沼田真佑『影裏』文春文庫『影裏』沼田真佑|文庫綾野剛・松田龍平主演で映画化、二〇二〇年公開予定ただ一人心を許した同僚の失踪、その後明かされたもう一つの顔……崩壊の予兆と人知れぬ思いを繊細に描く芥川賞受賞作、他二篇。books.bunshun.jp映画にもなった芥川賞受賞作を含む短編三本。「穏やかでいると、人って孤立しますよね」(『陶片』)釣り仲間だった元同僚が震災で消えたことから残滓を辿ると存外に関係性を紡ぐ糸は細く少ないのだと気づき、衝撃的な父親の言葉を経て彼のことが分からなくな
よく当たるという占い師が、2020・2021年は健康面に要注意と言っていた。確かに、思い当たるフシがありすぎる。去年は三叉神経痛で、消えてしまいたくなるような日々を経験した。今年も早々から、人生初の不正出血に見舞われている。コレが運勢と関係あるかは分からないけど、気を付けるに越したことはない。年末からどんより続いている頭痛・鼻づまり・喉の痛み等は、もはやホルモンなんだか風邪なんだか過敏症なんだか、さっぱり原因が分からない。安全な原材料、安心な無香料。刺激だって抑えるに越したことはな
久しぶりに純文学を読んだ、と思った情景描写が延々と続く書き出しに懐かしいものに出会ったようでドキドキした読み進めると「はて、鈍った頭で内容が理解できるだろうか」と違った意味でまたドキドキ読了して「ああ良かった、まだ日本にはこんな小説を書ける人がいた」と何故かホッとした映画は観ていないが今の若者には映画の方がとっつき易いのではないだろうか解説文で、芥川賞を取った著者沼田真佑が影響を受けた作家として梅崎春生があげられていた戦争体験や心理的葛藤を描いたその作品とはあまり馴染みがないが、な
2020年の日本映画です🇯🇵原作は沼田真佑先生の同名小説です。監督は大友啓史。会社員の今野(綾野剛)は岩手に転勤し、そこで同僚の日浅(松田龍平)と知り合う。一緒に飲みに行ったり釣りに行ったりするなど、まるで遅い青春時代のような日々を過ごすうちに今野は日浅に心を開いていく。だがある日、日浅は今野に何も告げずに突然退職し、その後しばらくしてまたフラリと姿を現す……。原作は第157回芥川賞受賞作で数年前に読みました。え?こんなお話だったっけ?という感じで原作では後半に日浅の影の顔
『影裏えいり』(2020年・日本・135分・ミステリー)監督:大友啓史脚本:澤井香織原作:沼田真佑出演:綾野剛、松田龍平、筒井真理子出演:中村倫也、國村隼、安田顕【RakutenTVより】日本中を感動に包んだ、心震わすヒューマンミステリーの傑作!今野(綾野剛)は、転勤で移り住んだ盛岡で日浅(松田龍平)に出会う。慣れない地でただ一人心を許せる存在。成熟した青春の日々に、今野は言いようのない心地よさを感じていた。しかしある日、日浅は突然姿を消してしまう。
雲が多い一日で、雨も降りそうです。いつも画像の管理は「picasa3」を使ってますが、なんと!必要な画像を削除してしまった!ゴミ箱にもなく?何処へ行ったのやら・・・捜索願中。読書は沼田真佑のデビュー作で、芥川賞受賞の短編小説の「影裏」です。文庫には他に2作品が収められてます。複雑な心理・・・理解というより「多分こうであろう・・・」と思うのに時間がかかった作品でした。タイトル「影裏」は電光影裏に春風を斬るから。「人生は束の間であるが、人生を悟った者は永久に滅びることなく存在する」
お天気に恵まれた三連休。中日はライブの予定だったけど、中止になっちゃったし、外出は自粛ムード。図書館で予約待ちだった本が、「用意できました」と続けてメールが届いた。次の予約が入っているから、どれも延長不可。3冊・・・どれかキャンセルしようかなと思いつつ、図書館へ。窓口でパラパラめくらせて頂き、サクッと読めそうなので借りてきた。「架空OL日記1」「架空OL日記2」うーんとね。〝わかるわかる〟って部分と、読んでいて、ついニヤニ
自然、孤独、優しさ、死「人を見る時は裏っかわ見んだよ。影の一番こいとこ」いろいろ考えた。3.11またこの本を読み返した。映画化されてたんだね。https://youtu.be/UI33nsXgKiM
【影裏】芥川賞受賞作美しく繊細な文章で、70数頁のこのお話を映画に?と驚いた。文の組立が独特で最初戸惑い、慣れると言葉の選び方や文章に感嘆する。普段、ふと思っては通り過ぎる漠然とした感情の一つ一つを観察するとこう表現できるのか、と。かつ無理に作られた感を思わせない、自然に淡々と語られる、日常。心情。風景。「廃屋の眺め」の終わり方に鳥肌し、「陶片」に人の弱さと強さをみる。先日読了した「i」に続き、LGBTや震災にも係
テレビ岩手開局50周年記念映画【影裏】観てきました盛岡を舞台にした沼田真佑さん原作の芥川賞受賞作品を映画化したものです。北海道生まれ、盛岡市在住の沼田さん盛岡市出身の大友啓史監督全編、岩手ロケの作品です大友監督は原作を読んでいて綾野剛さんと松田龍平さんをイメージしていたと言います。予告にもありますが『人を見るときは、影の一番濃いところを見るんだ』と言う台詞。私には、どうやったら影の一番濃いところを見ることが出来るのか分かりませんが人間関係を考えさせられました。原作は
『影裏』(上映中~:TOHOシネマズファボーレ富山)公式サイト/https://eiri-movie.com/芥川賞を受賞した沼田真佑さんの小説「影裏(えいり)」を、物語の舞台となる岩手県盛岡市出身の大友啓史監督が、綾野剛さん松田龍平さんの共演で映画化しました。例によって、私は原作未読です。まず、テレビ岩手開局50周年記念映画であるということに驚きました。その手の映画は、たいてい陽気な作品をイメージするものですが、本作はこれでもか!っていうぐらいに辛気臭いです。た
(2020/02/16制作)久々に映画ゆびにん、ショウジですというわけで本日はこちらの作品の感想です。『影裏』◎原作◎既読(沼田真佑の同名小説)◎あらすじ◎転勤で知り合いが一人もいない岩手に移り住んだ今野(綾野剛)は職場内で同い年の日浅(松田龍平)と出会う。酒を飲んだり、釣りに出かけたり、祭りに行ったりと親しくする二人だったがある日の夜釣りを境に日浅は今野の前に現れなくなる。震災後、同僚から日浅が行方不明になっていることを聞かされた今野は日浅の消息を辿り始め…◎レンタル
2011年2月15日からはじめたこのブログ、今日で9周年目を迎えました…ゆかりの「あきた十文字映画祭」にも、無事に参加でき、忙しい2月も中盤を迎えましたが、なんとか元気にやっております…日頃から、つたないブログに訪問していただいている方や、コメント・いいねをいただいている方、本当にありがたく思っております…(こちらからは、ほとんどご挨拶をさせていただいてないのに、ホントすみません)10周年くらいまでは、なんとか元気に続けたいと思ってますので、今後もよろしくお願いいたします!そして、そ
【第157回芥川賞受賞作】影裏1,100円Amazonこの小説映画化されたそうですね。小説にこんな方言が出てきました。(主人公が住むマンションの近隣の老婆)「こっただにごっちゃりしもってらない、わが駄目だえんな!」↑これを標準語に直せる人は岩手ケンミンさて、著者の沼田真佑さんこのデビュー作でいきなり芥川賞受賞されたそうです。Youtubeで会見を見たのですが、「ジーンズ1本しか持ってないのに、ベストジーニスト賞みたいな、、、」上手いこと言うと、いたく感心
日本マナーOJTインストラクター協会(JAMOI)認定講師の衣理(えり)ですご来訪ありがとうございます。先日、友達から「よかったら一緒に聞きに行かない?」とお誘いを受けて今週1/21(火)に、「西南学院講座inTokyo」に参加してきました「西南学院講座inTokyo」とは、西南学院大学と読売新聞社が主催の読書教養講座。今回の講座は、作家/沼田真佑さんの芥川賞受賞作品「影裏(えいり)」の映画化を記念して、沼田さんと大友啓史監督の公開対談というものでした。
読書会の課題本であり、2月に映画にもなるだろうと聞いたので手に取ってみた。LGBTや東日本大震災など現代に影響を与えている鏡のような話があった。日記文学的に淡々と文字が綴られてく。風景描写や釣り場の情景などは絵画のような美しい筆致で描かれていた。今野が語り手であり、日浅典博がその友人。副嶋和哉は今野の昔の彼女。西山さんは、今野の会社のパート職員だった。「影裏」という題名が気になった。理解するために大事な要素だと思った。今野は連絡を取りたくて、行方不明の日浅の実家を訪問す
大きな崩壊を前に目に映るものは何か北緯39度会社の出向で移り住んだ岩手の地で、ただひとり心を許したのが同僚の日浅だったともに釣りをした日々に募る追憶と寂しさいつしか疎遠になった男のもう一つの顔に「あの日」以後触れることになるのだが……『影裏』他『廃屋の眺め』『陶片』収録おいおい全編に漂う異様なまでの倦怠感は何だ!?およそ覇気のない人物が淡々と語るエピソードで!?なのですだから何!?おいおい丸投げ!?とさえ言えないおわりじゃなくて「り」がない感じ?
2017年157回芥川賞受賞作。不思議な読書感が残る短編。落ち着いて抑制された文体。馥郁たる文芸の香りがする。巧みな描写が光る。作者の沼田真佑は1978年生まれ。主人公の今野は都市部から岩手へ出向してきた30代前半の薬品関連会社に勤める会社員。目立たない性格で落ち着いた印象を受ける。年齢の割には思慮深い印象だ。同じ会社に勤める同じ年代の日浅という男と仲良くなる。日浅は地元の人間だが、学生時代は都会の学校に行っていたようだ。それが、日浅が地元になじみ切れていない印象となって今野の