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琉球新報の「落ち穂」に寄稿したエッセイを、筆者のご厚意により、紹介させていただきます。「落ち穂」掲載日:調べがつかず人間社会は価値観で形成されているといっても過言じゃないだろう。半年間『落ち穂』を寄稿させていただき、いつも以上に価値観というものについて考えることが増えた。書いていることが私の偏見ではないか?誰かの考えを否定していないか?毎回パソコンと向かい合い、自分と向き合う良い機会になっていた。価値観は生まれ育った環
琉球新報の「落ち穂」に寄稿したエッセイを、筆者のご厚意により、紹介させていただきます。「落ち穂」掲載日:2017年6月6日「あんたはじいちゃんっ子だったから」そう言われ祖父の頭とノドボトケを渡されて持った手の感触、温度は今でも鮮明に私の中に残っている。与論の葬送儀礼は、明治初期まで風葬が一般的で、風雨のなるべく当たらない崖のくぼみなどに遺体をそのまま安置していたそうだ。その後衛生上の理由により、明治35年に県警指導のもと埋葬が徹底さ
琉球新報の「落ち穂」に寄稿したエッセイを、筆者のご厚意により、紹介させていただきます。「落ち穂」掲載日:2017年5月23日最近私の父の趣味は、個人の参拝者に神社の案内をすることだ。デカい体で強面な風貌なので、お客さんも最初は少し萎縮しているが、オヤジギャグのお陰かすぐ打ち解けていくようで、案内が終わると参拝者も父も満足そうな顔をして帰ってくる。お互いにとって良い時間になっているのだろう。神社には、個人の観光客の他に、バスツアー
琉球新報の「落ち穂」に寄稿したエッセイを、筆者のご厚意により、紹介させていただきます。「落ち穂」掲載日:2017年5月11日5月2日に今期の与論島の製糖が終了した。搬入量は昨年比21・9%増、8期ぶり三万㌧台。今期は大きな台風が直撃しなかったことも影響し、量・糖度もそろった豊作になったそうだ。毎年3月末~4月中頃までで終わる製糖も、今年は5月まで製糖工場が稼働していて、私が記憶している中でもGW直前までキビを積んだ車が走って
琉球新報の「落ち穂」に寄稿したエッセイを、筆者のご厚意により、紹介させていただきます。「落ち穂」掲載日:2017年4月13日「国指定重要無形民俗文化財」。普段の生活の中からは縁遠い響きだが、私が勤める地主神社では年3回、「国指定重要無形民俗文化財」である「与論十五夜踊り」が奉納される。450年余りの歴史があり旧暦の3・8・10月の15日、満月の日に執り行われる。この日は島の人たちにとって豊年祭であり、島の安泰・五穀豊穣を祈る
琉球新報の「落ち穂」に寄稿したエッセイを、筆者のご厚意により、紹介させていただきます。「落ち穂」掲載日:2017年3月29日先日参加した会合でオーガニック生活を与論で推進するグループの話を聞いた。オーガニックという言葉自体に珍しさは感じなかったのだが、改めていろいろと考える機会になった。『私たちの食卓の上にはいくつもの化学調味料が並び、1回の食事においても多くの化学物質を摂取している。大量生産大量消費を可能にするため、様々なものに化
琉球新報の「落ち穂」に寄稿したエッセイを、筆者のご厚意により、紹介させていただきます。「落ち穂」掲載日:2017年3月17日3月5日、ヨロンマラソンが開催された。今年で26回目の本大会は、島外からも多くのランナーが参加し、いつも以上に島が活気づく。大会当日、スタッフパーカーに身を包んだ私は立哨として沿道に立っていた。万が一のことが起こらないように目を光らせる役割だが、トップ集団が目に入ると応援のスイッチが入る。軽やかに足を運ぶ
琉球新報の「落ち穂」に寄稿したエッセイを、筆者のご厚意により、紹介させていただきます。「落ち穂」掲載日:調べがつかなかった。与論島の方言もユネスコの消滅危機言語に指定された為、島内での方言継承の意識が高くなってきている。学校の授業にユンヌフトゥバ(与論の方言)を組み込んだり、カルタ大会などの地域のイベントも行われている。そんな中、私も昨年から母校である小学校の五・六年生の方言学習に参加する機会を頂き、先日授業に参加してきた。授業では
琉球新報の「落ち穂」に寄稿したエッセイを、筆者のご厚意により、紹介させていただきます。「落ち穂」掲載日2017年2月17日引っ越しや大掃除の時に見つけたアルバムをついつい見てしまい何も進まなかった…。誰もが経験したことがあるだろう。急いでいるはずなのに懐かしさに耽ってしまう。現代は時の流れが速いと言われるが、30代の私でもついていけないスピードで世の中が変化しているように感じられる。古いものは捨てられ忘れ去られ、振り返る機会
琉球新報の「落ち穂」に寄稿したエッセイを、筆者のご厚意により、紹介させていただきます。「落ち穂」掲載日2017年2月4日沖縄・奄美以南地方に桜咲く季節がやってきた。内地では『桜』というとソメイヨシノに代表される淡いピンク色の花を咲かす春先の植物のイメージだが、この辺りでは桜=『寒緋桜』が主流であることは周知の通りである。寒緋桜は暦では大寒を迎える寒さ厳しい季節にちらほらと咲き始め、咲き終わるとぽてんっと花が落ちる。内地の桜のよう
琉球新報の「落ち穂」に寄稿したエッセイを、筆者のご厚意により、紹介させていただきます。「落ち穂」掲載日2017年1月26日みなさんは、どんなタイミングで神社にご祈願に行かれるだろうか?与論島の神社では新年の家内安全や厄払いのご祈願に、ご家族の他にも地域の人たち同士、また同級生で集まって神社にお越しになる方が多いように感じられる。小さな島だからか、地域や同級生のコミュニティはとても強い絆で結ばれている。私も同級生の親や兄弟の顔や名前をほ
琉球新報の「落ち穂」に寄稿したエッセイを、筆者のご厚意により、紹介させていただきます。「落ち穂」掲載日2017年1月9日与論島は周囲約二十三キロの非常に小さい島だが、エメラルドブルーの海が島を囲み、天気が良い日には心が洗われるような素晴らしい景色をみせてくれる。しかし台風との縁が切れることなく台風の時には美しい海は荒れ、突風が吹き厳しい自然を目の当たりにすることもある。数年前の台風では、与論島の家の半分以上が全壊半壊の被害を受