ブログ記事65件
==========================まだ十五年前には、次々と読むことができていたのだと、時間の流れに、不思議なものを感じてしまいます。権力に抵抗する作家の作品を、読みあさっていました。権力とは何かを、それぞれの作家の立ち位置から見つめて。桐山襲さん、井上光晴さん。その命を失う直前に書かれた作品が、手元にあったことに、驚いています。そして、中上健次さんの追悼特集掲載の雑誌。中上さんとは異なる立ち位置から、山谷闘争の人たちを心から支援し、記録映画を撮影してい
本の評価・特A(人にプレゼントしたいくらい面白い)・A(かなり面白い)・B(面白い)・C(普通)・D(暇潰し程度)・E(時間を返せ❗️)「B」2002年出版(単行本は1998年刊行)一九三〇年頃、大阪の蒲鉾工場で働く金俊平はその巨漢と凶暴さで極道からも恐れられていた。実在の父親をモデルにしたひとりの業深き男の激烈な死闘と数奇な運命を描いた山本周五郎賞受賞作!(データベース引用)とにかく酷い主人公である全て暴力で解決働かず嫁から金を巻き上げる事業を始めるのに嫁に金を工面させ
睡魔(幻冬舎文庫)Amazon(アマゾン)大学生のときに、いわゆるネズミ講に勧誘されたことがある。ネズミ講とは、実態不明な商品を売り付けるだけでなく、その商品を売る側に回ればお前も楽して稼げるとうまい具合に騙して、最終的には元締めだけが潤う搾取システムである。これは無限連鎖構防止法で禁止されている、違法な商売である。久しぶりの友人からの誘いに爽やかな気持ちでいた私は、会って早々、健康食品の売り込もうとする友人の姿に愕然とした。「そんなの興味ないよ」と言ってその場から立ち去った記
JamesSetouchi2025.2.27大阪関連の作家など井原西鶴:大坂生まれ。『好色一代男』『好色五人女』『武家義理物語』『世間胸算用』『日本永代蔵』松尾芭蕉:伊賀生まれ。江戸で暮らし、諸国を旅し、最後は大坂で死んだ。紀行文『奥の細道』ほか。上田秋成:大坂生まれ。『雨月物語』『春雨物語』(本居宣長と同時代)福沢諭吉:大坂生まれ。啓蒙家。『学問ノススメ』『福翁自伝』『西洋事情』など。九州の中津藩の大坂の邸に生まれたので大阪弁だ
JamesSetouchi2025.2.27井原西鶴読書案内読書会はR7年5月に考えている。テキスト未定。1井原西鶴(いはらさいかく)(最も簡単に)1642~1693。江戸時代、元禄頃、大坂の俳諧師(はいかいし)・小説家。まずは談林(だんりん)派の俳諧師として大成功を収めた。その後小説家に転身した。代表作は(ほかにもある。とにかく多作)(好色物)『好色一代男』『好色五人女』『好色一代女』(武家物)『男色大鑑』『武道伝来記』『武家義理物語』(町人物)『日
JamesSetouchi2025.1.11詩の創作について一部サブカルへの言及を含む『論語』に、孔子の言葉「詩に興り、礼に立ち、楽に成る」(8泰伯編8)(書き下しの仕方は他にもある)とある。どういう意味だろうか。その深い意味を探りたい。(「詩に興り」とは、仮に言えば、『詩経』はじめ古典の詩に触れて人間的・道徳的な感情を触発され、君子たらんとして発憤する、ということだろうか?「楽に成る」まで考えると、芸術は人間の道徳的な成長・完成に役立つべきものだ、という考えを述べたと
12/25に読み始めた、梁石日の「闇の子供たち」、読了しました。『「闇の子供たち」梁石日著、読み始めました。』梁石日の「闇の子供たち」を読み始めました。100冊読書を楽しく進めるため、いろいろ趣向をこらしてきました。そのひとつがシリーズ化。図書館シリーズ、ブックオ…ameblo.jp読み始めの記事にも書きましたが、読みやすかったので、スイスイ読み進めました。450ページくらいあるので、100冊読書が終わろうとしている時に読み始めて大丈夫だろうか?という不安はあったのですが、杞憂で
梁石日の「闇の子供たち」を読み始めました。100冊読書を楽しく進めるため、いろいろ趣向をこらしてきました。そのひとつがシリーズ化。図書館シリーズ、ブックオフシリーズなどをやりました。Xで見つけた「#あなたが一番怖ろしかった本」というハッシュタグで紹介されていた本を読む#あなたが一番怖ろしかった本シリーズもそのひとつです。『新シリーズの予感X#あなたが一番怖ろしかった本』Xをながめていたら、#あなたが一番怖ろしかった本というハッシュタグがトレンドに上がってました。のぞいてみ
JamesSetouchi2024.12.14梁石日(ヤン・ソギル)『血と骨』幻冬舎文庫で上下2巻(2024)(単行本は1998年)1梁石日(ヤン・ソギル)1936年大阪府生まれ。2024年6月に没。著書『血と骨』『闇の子供たち』『夜を賭けて』『族譜の果て』『夏の炎』『裏と表』など。2『血と骨』幻冬舎文庫で上下2巻(2024)(単行本は1998年)(ネタバレします)(映画は見ていない)梁石日の代表作と評判が高い。
JamesSetouchi2024.12.8梁石日(ヤン・ソギル)『大いなる時を求めて』幻冬舎(2012)1梁石日(ヤン・ソギル)1936年大阪府生まれ。2024年6月に没。著書『血と骨』『闇の子供たち』『夜を賭けて』『族譜の果て』『夏の炎』『裏と表』など。2『大いなる時を求めて』2012年梁石日が2010年から2011年にかけて連載したものに加筆訂正して、2012年に出版したもの。中編。すでに70代になった梁石日が書
JamesSetouchi2024.12.7梁石日(ヤン・ソギル)『海に沈む太陽』筑摩書房(2005)1梁石日(ヤン・ソギル)1936年大阪府生まれ。2024年6月に没。著書『血と骨』『闇の子供たち』『夜を賭けて』『族譜の果て』『夏の炎』『裏と表』など。2『海に沈む太陽』2005年エンタメ(に分類すべきだろう)か?「イラストレーターであり画家でもある黒田征太郎(注1)の青春時代を下敷きにした物語だが、必ずしも事実
JamesSetouchi2024.12.4梁石日(ヤン・ソギル)『ニューヨーク地下共和国』講談社(2006.9.11)1梁石日(ヤン・ソギル)1936年大阪府生まれ。2024年6月に没。著書『血と骨』『闇の子供たち』『夜を賭けて』『族譜の果て』『夏の炎』『裏と表』など。2『ニューヨーク地下共和国』2006年エンタメ(に分類すべきだろう)。但しニューヨークにおける同時多発テロなどを扱っており、社会派エンタメと言うべき
JamesSetouchi2024.11.28梁石日(ヤン・ソギル)『カオス』幻冬舎(2005年)1梁石日(ヤン・ソギル)1936年大阪府生まれ。2024年6月に没。著書『血と骨』『闇の子供たち』『夜を賭けて』『族譜の果て』『夏の炎』『裏と表』など。2『カオス』2005年エンタメ。大衆小説。ゆえに読まなくてよい。一部性的描写もある。健全な青少年にはどうかな。それらの平気なシニアのためのエンタメ。面白くはある。
JamesSetouchi2024.11.27梁石日(ヤン・ソギル)『死は炎のごとく』毎日新聞社(2000年)1梁石日(ヤン・ソギル)1936年大阪府生まれ。2024年6月に没。著書『血と骨』『闇の子供たち』『夜を賭けて』『族譜の果て』『夏の炎』『裏と表』など。2『死は炎のごとく』(幻冬舎文庫に『夏の炎』という題で入っている。)巻末に「本書はフィクションです」とある。1974年に韓国であった文世光事件(注1)を題材にしている
JamesSetouchi2024.11.26梁石日(ヤン・ソギル)『冬の陽炎』幻冬舎(2008年)1梁石日(ヤン・ソギル)1936年大阪府生まれ。2024年6月に没。著書『血と骨』『闇の子供たち』『夜を賭けて』『族譜の果て』『夏の炎』『裏と表』など。2『冬の陽炎』エンタメ。娯楽小説。娯楽なので、読まなくてよい。性描写・暴力シーンがあるので、健全な青少年にはお勧めできない。時間のある大人のためのエンタメ。でも、『裏と表』と
JamesSetouchi2024.11.15梁石日(ヤン・ソギル)『裏と表』幻冬舎(2002年)1梁石日(ヤン・ソギル)1936年大阪府生まれ。2024年6月に没。著書『血と骨』『闇の子供たち』『夜を賭けて』『族譜の果て』『夏の炎』『裏と表』など。2『裏と表』エンタメ。娯楽小説。人間存在のあり方を深く追究した小説、ではない。社会のあるべき姿を追究した小説、でもない。娯楽なので、読まなくてよい。かつ、性描写・暴力シーンがあるの
終りなき始まり下Amazon(アマゾン)梁石日の小説『終わりなき始まり』は、在日コリアンの人間劇である。上巻が、光州事件、反権力としての詩、言論の自由と党のイデオロギーという大きな主題を内包しているのに対して、後半はそうした在日コリアンにとって重大なテーマが後景に退いた感がある。詩人・文忠明は、タクシー運転手として仕事しているが、あいからず仕事はさぼりがちで、一日中布団にくるまっているか、飲みに出かけている。若い頃によく読んでいた本も今ではめっきり読まなくなった。文忠明のこの体
終りなき始まり上Amazon(アマゾン)主人公の在日コリアン・文忠明は、おそらく著者の梁石日をモデルにしたものだろう。職業はタクシー運転手で、仕事をさぼりながら詩や小説を書く主人公の姿は、まさに梁石日の人生そのものである。おもえば、小説『Z』(893冊目)でも、梁石日は自分自身をモデルにしたような小説を書いている。在日文学の巨人的な存在である梁石日は、『血と骨』(908冊目)を始めとする多くの在日小説を書いてきた。戦前、日本に渡ってきた在日朝鮮人が差別や貧困などの途端の苦しみを
JamesSetouchi2024.10.4梁石日(ヤン・ソギル)『闇の子供たち』幻冬舎文庫(平成16年)もとは2002(平成14)年解放出版社から刊行1梁石日(ヤン・ソギル)1936年大阪府生まれ。2024年6月没。著書『血と骨』『闇の子供たち』『夜を賭けて』『族譜の果て』『夏の炎』『裏と表』など。2『闇の子供たち』小説。虚構であるが、ある程度以上事実の調査に基づいて書いていると思われる。どこまでが事実でどこからが虚構
大いなる時を求めて(幻冬舎文庫)Amazon(アマゾン)詩人・金時鐘をモデルとした小説である。金時鐘は、激動の朝鮮半島の現代史をそのまま体現したような人物である。皇国少年として育った金時鐘は、軍人として世に出る前に済州島で敗戦を迎えてしまう。そこで朝鮮人としての民族意識に目覚めるが、韓国現代史の最大の悲劇と言ってもいい四・三事件に巻き込まれる(727冊目『済州島四・三事件』)。西北青年会の右翼勢力が島民を手当たり次第殺戮する惨劇のなか、金時鐘は密航して日本へ向かった。日本に生
闇の子供たち(幻冬舎文庫)Amazon(アマゾン)梁石日『闇の子供たち』は、タイを舞台とした児童売春を扱った小説である。この作品は、二〇〇八年に江口洋介、宮崎あおい主演で映画化されているが、この作品は当初、バンコク国際映画祭で上映予定だったが、タイの暗部を描いた作品だという理由から上映中止になった経緯がある(1)。この作品が実際の東南アジアの児童売春の実態にどれだけ肉薄しているのかは分からないとしか言いようがないが、我々としては、実態が完全に解明されていないにせよ、そういう事実
===================2009/08/13(前回ネット書き込み日)自身の思いをブログに書いていましたが、俳句を作り、新しく契約したネットに書き込みたいと思い、2009年から2014年まで写真俳句ブログを書いていました。事情がありすべて削除しましたが、上記日付はその当時ネットにアップした日付です。右腕を入院、手術のため、以前、書いたものだけとさせてください。===================夏は好きだ。暑さが、全ての想い出を消し去ってくれる。なに
明日の風Amazon(アマゾン)梁石日のベストセラー『血と骨』は、豪傑な男・金俊平の一代記を扱った小説である。また、金俊平を通して、戦前と戦後を跨ぐ在日朝鮮人の時代史を扱った小説とも言える。小説『明日の風』は、金俊平の息子・成漢の視点から書かれている。『血と骨』の金俊平は、この小説では柳俊平と名前が少し変わっているが、この小説で起こる顛末は『血と骨』とそのまま重なるところが多い。そういう意味で、この小説は、少年の視点から見た『血と骨』の物語である。小説『明日の風』においても、金俊
[新装版]血と骨(下)(幻冬舎文庫)Amazon(アマゾン)${EVENT_LABEL_01_TEXT}梁石日の『血と骨』は、朝鮮人社会の戦前と戦後を扱った超大作である。上巻では、金俊平の息子・成漢が疎開先で帝国日本の敗戦の知らせを聞いたところで終わっている。日本が戦争に敗北したことで、植民地は解放された。悄然とする日本人たちとは対照的に、朝鮮人たちは喜びに酔いしれた。しかし、植民地の解放は、すぐさま在日の朝鮮人の環境を好転させたわけではない。『在日朝鮮人』(岩波新書、201
[新装版]血と骨(上)(幻冬舎文庫)Amazon(アマゾン)${EVENT_LABEL_01_TEXT}梁石日の父親をモデルとした小説である。この小説は、在日朝鮮人金俊平の自伝小説でもあり、在日社会の人間劇小説でもあり、戦前と戦後に跨がる在日の時代史小説でもある。どのような読み方をしても許されるだろうが、やはり、主人公の金俊平の存在感は圧倒的である。金俊平は豪快で巨漢な男である。金俊平は他の在日朝鮮人と同じく、大阪府内の蒲鉾工場に勤めている。しかし、どんなに働き詰めでも、朝鮮
タクシードライバー最後の叛逆(幻冬舎アウトロー文庫)Amazon(アマゾン)${EVENT_LABEL_01_TEXT}車は「走る凶器」でもあるから、車を運転する者は安全運転に努めなければならない。そのためにも、道交法をしっかり守ることが大切である。小説家の梁石日は、作家として生計を立てる前は都内でタクシードライバーをしていた。そして、タクシードライバーとして働ているうち、道交法について違和感を持つようになったという。本書『タクシードライバー最後の叛逆』は、タクシードライ
カオス(幻冬舎文庫)Amazon(アマゾン)${EVENT_LABEL_01_TEXT}新宿駅東口を出るときの気分が好きである。アルタ前を突っ切れば、すぐに糜爛な街・歌舞伎町が現れる。そこから少し歩けば、新大久保だ。東横キッズやパパ活の待ち人が集中するエリアであり、間違っても、子供たちが遊ぶような街ではない。自分の生存すら宙ぶらりんになるような感覚は、新宿の西口、南口、北口エリアにはない、東口エリア独特の風土である。考えてみると、新宿で撮られる映画は、舞台が歌舞伎であることが
体調は相変わらず。というか悪化してます。常に頭痛がする。常に左手がしびれてる。常に左腕が痛い。常に左耳の違和感。胃痛、吐き気もあるので数少ない知人との食事会もできず。何もやる気がおきない。生きてる限りこのままかと思うと泣けてきます。・雨男最近、といっても4月に入ったあたりから、たまにしかない出掛ける時に限って雨が降ります。いや、「降ります」なんてもんじゃない。僕が出掛ける時間だけピンポイントでザーザー降り。今まで人生、どちらかというと自分を雨男と思うことはな
裏と表(幻冬舎文庫や3-10)Amazon(アマゾン)${EVENT_LABEL_01_TEXT}新宿駅の西口を出て、歌舞伎町方面に向けて歩き出したところに金券ショップが並んでいる。新幹線のチケットや、プロ野球の入場券、図書券といったものが、定価よりも安く手に入る。以前、180円の電車切符が150円くらいで売られているのを見て、こんなのまで売っているのかと驚いた。たしかに日々の生活に精一杯の庶民にしてみれば、たかが数十円でも節約になればありがたい話ではある。ところで、金券
おとといやったか、梁石日の訃報があった。ずっと見てる映画は、いつダウンロードできたかにもよるけど、できるだけ古いもんをまず見るということにしてるんやけど、訃報があったから「血と骨」を見ることにしたんや。梁石日の小説をなんで読み始めたんかはよう覚えてへん。最初に読んだんは日本のバーで働き始めて売春を強要されるフィリピーナの小説。上下巻があって、同様に上下巻がる続編もあった。ヤクザから逃げ、整形して別人となり、最後は母国へ戻るフィリピーナの話。のような気もするけど、「血と骨」と「夜を賭ける」が最