2010年に日本テレビ系列で放送されたテレビドラマ「Mother」は、日本のドラマ史において「母性」という聖域化された概念を解体し、血縁を超えた魂の結びつきとして再定義した記念碑的な作品である。本作の完成度は、単なる社会派サスペンスやヒューマンドラマの枠組みを遥かに凌駕しており、その芸術的な達成点は2010年代のドラマ表現における一つの頂点として位置づけられる。特筆すべきは、児童虐待という極めて重い社会的課題を扱いながらも、それを安易な告発やセンセーショナリズムに終わらせず、加害者側の抱える孤独