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久しぶりに松岡圭祐先生の「écriture新人作家・杉浦李奈の推論Ⅺ誰が書いたかシャーロック」を読み始めました。このシリーズは主人公が「さざえさん」と違って、成長していきます。シリーズ開始の李奈は23歳の売れない作家でしたが、今は25歳のベストセラー作家となりました。さて、今回はベストセラー作家になった李奈か週一LAWSONのシフト明けにマンションに帰ると、エントランスに親友の作家・那覇優佳とKADOKAWAの担当編集者・菊池が騒いでいる。なんと李奈の本が直木賞候補に選ばれている、
『Ⅳ』におけるシンデレラの起源探求に近い印象があり、このリテラチュアな趣向がとても良かったです。今回の主役はコナン・ドイル著『バスカヴィル家の犬』。別人の手による原稿が発見され、どちらが先に書かれたものなのか、本当の『バスカヴィル家の犬』の作者は誰なのか、直木賞候補作家の杉浦李奈がその真偽を見定める。そしてその最中に小説さながら魔犬の襲撃に遭う、というストーリー。真贋鑑定、魔犬騒動、直木賞ノミネート、それぞれの事件が互いに縺れながら進んでいく展開は、先の予想が付かず始終面白く読んでいました。そ
新人作家・杉浦李奈のシリーズ。今回も期待を裏切らず面白かったー毎回、本当によくこんな興味深い文学ネタを仕込んでくるなぁと驚嘆しておりますが、こんなに続々と発刊されるのは秘密があるんだ・・・ってのが前作のラストで示唆されたこと。今回のネタはコナン・ドイルの『バスカヴィル家の犬』です。うっ読んだことないこんなに「名作だ」「最高傑作だ」と連呼されているというのに。それが、『バスカヴィル家の犬』は、実はコナン・ドイルが書いたのではないという疑惑があるんですって?
松岡圭祐氏と「怪談」はあまり結び付くイメージがないもので、いったいどういうストーリーなのかと思っていましたが、いざ読み始めてみればいつもの「ecriture」クオリティでした。宴の席から忽然と消えた二人の男女。そのシチュエーションが岡本綺堂『怪談一夜草紙』に酷似しているという。特に怖いとか不気味とか怪談然とした恐怖は感じませんでしたが、その事件の真相はこれまたいつもどおり狡猾で小胸の悪くなる話でした。[梗概]小説家を志す者を指導する「丹賀文学塾」。その塾が閉塾するにあたり
コツコツ出勤の行き帰りで読んでいました松岡圭祐の「ecriture新人作家・杉浦李奈の推論Ⅵ」もうすぐ謎が解ける良いところで電車を降りることに。。。我慢できずに、子どもたちが寝た後に読んでしまいましたー。三連休バンザイ🙌シリーズがでた頃ハマって読んでましたが、産休とともに落ち着いて読める時間(通勤の電車)がなくなり止まっていました。刊行ペースが2ヶ月っていうのがいいんですよね!!私の中では、松岡圭祐といえば「万能鑑定士Q」です。凜田莉子と小笠原さんの恋も気になって良かったんですよ。こ
角川文庫から出ている松岡圭祐の最新シリーズです。最近は、終わったと思った「高校事変」の新章が出ていて久しぶりの第9巻です。「高校事変」はテロリストの娘の女子高生が活躍するバイオレンスなお話しですが、そういえば「JK」シリーズという高校事変よりもバイオレンスな話しが2冊出ましたが、それきりになっています。1冊目で長く続く話しではないと思いましたが。この「杉浦李奈の推論」は新人のラノベ作家が事件を解決していくお話しです。人の死なないミステリと言われた「
商業主義に首までどっぷり浸かった出版社のオヤジに付きまとわれ、付きまとわれるのみならず、胡散臭いノンフィクション小説の執筆を依頼される。前回のように太宰治の遺書を扱ったり『Ⅳ』のようにシンデレラの起源を探ったりするなど特定の作家・作品にフォーカスした内容ではなく、どちらかというと『Ⅴ』に近く、出版界隈の裏事情に迫ったストーリー。いつもどおり先の予測が付かず、意表外の展開が楽しめました。そしてタイトルは言わずと知れた『万能鑑定士Q』のキャッチコピー。そのタイトルどおりミステリ、もといフィクション
このシリーズにしては珍しく、男女の愛憎悋気が業深い一篇だったと思います。特に解決編はちょっと生々しくもあり、それが妙に新鮮に感じられたものです。新人作家・杉浦李奈が、書籍・出版に関連するさまざまな事件に巻き込まれ、そのたび多岐にわたる文学知識を駆使しながら事件解決に貢献してゆく。そして李奈自身も、多くの事件を通して小説家として、さらには人間として成長を果たす。そんな『ecriture』シリーズ。Vol8となる今回は、太宰治『グッド・バイ』をフォーカス。新たに発見された太宰治の遺書。その真
今回の探書は『新約聖書(丸善版)』。前回は『桃太郎』から思いも寄らない方向に話が進みましたが、今回はそれ以上。特に中盤以降、およそ「聖書」という書名からは連想されないであろう方向にストーリーが展開していきます。ずいぶん荒唐無稽だなって思って読んでいましたが、暗号の指し示す御用金の真実はこれまた意想外でしたし、安定のストーリー展開とドライブ感でだいぶ読み耽っていました。そして事件の果てには、ひとりの小説家としてステップアップを果たし、悟りも啓いた主人公。巻末にコミカライズ記念オマケ漫画が載ってい
松岡圭祐先生の“杉浦李奈の推論”シリーズの第5弾、「écriture新人作家・杉浦李奈の推論Ⅴ信頼できない語り手」を読み始めました。今回は、日本小説家協会の懇親会、ホテルの宴会場が封鎖され、中で、多発的に火災が発生し、多くの作家、編集者が亡くなりました。生存者はわずか2名・・・往年の男性作家とホテルの若い女性スタッフのみ。この事件の原因は?杉浦李奈は新進気鋭の人気作家・櫻木沙友理から一緒に原因究明して欲しいと依頼され、渋々、捜査に乗り出すが・・・昨年2022年の読書は84冊で、これ
よもや「桃太郎」から毒親の話に展開しようとは、まったく思いも寄らず、かなり意表を衝かれた感があります。底辺ラノベ作家が文学知識を駆使して刑事事件を解決し、事件に関わったひとたちの胸に光明を与えていく。そして捜査と執筆をとおして自分自身も成長してく。そんな新人作家・杉浦李奈を主人公に据えた『ecriture』。シリーズ六作目となる今回の事件は、「桃太郎」見立て殺人。「見立て」の真意や胡散くさい宗教団体を探りながら話が進んでいくわけですが、読んでいる最中は、このストーリーがどんな風に落着するのか
松岡圭祐も溜め込みがちです。今は角川文庫から文庫書き下ろしでほぼ毎月、新作が出ているので「新人作家・杉浦李奈の推論」4〜6を読みました。若手ラノベ作家の杉浦李奈が事件の謎解きをする現在進行しているシリーズです。4作目は、盗作騒動とシンデレラの原典を巡るお話です。5作目は、これまでにない大事件日本小説家協会の集まりで、放火殺人事件が起こり有名作家の大半が死亡してしまうというものです。万能鑑定士Qの凜田莉子との夢の共演もあります。6作目は、
『Ⅰ』から半年強で早くも『Ⅴ』ですが、今回も安定の面白さでした。大物作家たちが一堂に会した懇親会で凄惨な大規模火災。その真相は、例によって邪知深くて小胸の悪くなる話。文芸色は前回ほど強くなく、文学ミステリーというより出版界隈そのものに視軸を合わせたミステリーという感じでした。そしてハイライトは前回の予告どおり、『万能鑑定士Q』とのクロスオーバーでしょうか。『万能鑑定士Q』シリーズをすべて追っていたわけではないのですが、いつの間にか妻となり母となっており、事件そのものよりそっちのほうが驚きでし
パクリ小説とシンデレラの起源。あまり並び立つ感じがしない二項目ですが、それらの謎を相和させながら展開していくストーリーがとても面白かったです。シンデレラの原典をリサーチしながら、脅迫者の正体とパクリ小説の真相にも迫っていく。下手人の正体とその意図については、大方想像どおりであり、ミステリー的な衝撃は『Ⅲ』のほうが鮮烈でした。もっとも、今回はミステリー的インパクトよりも「シンデレラの原典」のほうに視軸を合わせている印象であり、「文学ミステリー」という修辞に照らすなら今回のほうがそれっぽい気がしま
底辺ラノベ作家・杉浦李奈。本の出版にまつわる事件に巻き込まれ、あるいは首を突っ込み、その真相を見定め、読書と執筆を通して絶望に囚われた者たちの心に光明を示唆していく。そして李奈自身も、ひとりの人間として成長を重ねていく。この『ecriture』シリーズはそんな内容であり、『Ⅰ』では巷間を騒がした盗作小説に関するノンフィクションを上梓し、『Ⅱ』では轢き逃げ事件をモデルに据えた小説とその著者の自殺について取材を行っていました。そんな彼女が今回は「クローズド・サークル」の経験者に。スマホも電
盗作小説の次は、現実の事件がモデルの小説。展開やストーリーが一作目より好みでしたし、いくつもの謎が明かされる終盤はほぼ一気に読み進めました。流行作家が実際に起きた女児失踪事件を小説に仕立てたものの、それを書いた当の本人もまた失踪してしまった。そんな不可解な事件。名の高いベストセラー作家が、どうしてまたこんな縁起の悪い小説を書いたものか。そこには、かなり狡猾で小胸の悪くなる真相がありました。また、途中で出てくる横溝正史『悪霊島』の伏線がまた想像の斜め上であり、すべてが語られる謎解き場面では、な
ラノベ作家が盗作事件を取材。新シリーズの一作目ということですが、全体通して松岡圭祐さんの小説らしい展開や蘊蓄や仕掛けが味わえました。「文学ミステリ」と謳っており、どんなもんだろうかと思っていましたが、殺人事件や人質立てこもりなど思いのほか物騒な展開を見せていたのが意外と云えば意外。往年の文学作品に関する蘊蓄や考察を語るだけの小説ではなく、結構ドラスティックな動きと展開があります。そしてその盗作事件の真相は、かなり邪知深くて業の深い話だったと思います。社交性や行動力にあまり縁の無い主人公が、事