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勝手に論愚選【日経俳壇2025.12.13】[横澤放川選]国境を侵す習性ロシア熊(広島山根吉久)ひよいひよいと返す煎餅冬初め(横浜片瀬敬子)生かされし者よ見上げよ冬銀河(東京藤宮晏子)〔評)生かされし者とは誰のことだろう。生かされて生くは蓮如のことば。万人に照顧を促さんとか。玉山は富士より高し開戦日(東京岡田俊之)〔評〕玉山は日本人が新高山と呼んだ台湾の最高峰だ。富士は高きがゆえに尊きにあらず。不戦こそ。母の顔見たくて柿を捥(も)ぎにゆく(尾張旭
勝手に論愚選【日経俳壇2025.12.06】[横澤放川選]熊鈴とスプレー入れて神の旅(横浜河村芳郎)花柊教会暦の始まりぬ(東京山口照男)貧乏は私の文化小鳥来る(愛西小河弘)星月夜遠くどこかでジェノサイド(浜松宮田久常)日々老いる心細さよ花芒(稲沢上だ克彦)ざりがにの爪の転がる刈田かな(羽咋安藤栄治)伊勢かけて晴れたる海をヒタキ来る(愛知大成金吾)紫香楽(しがらき)の礎石ぬひゆく穴惑(尾張旭古賀勇里央)識閾を移ろひゆけり鉦叩
勝手に論愚選【日経俳壇2025.11.29】[横澤放川選]母の忌やゑのころ草の風の中(大垣誠一)(評)狗尾草(えのころぐさ)という他愛もない雑草がこんな風に哀憐の情を呼ぶ。尻尾を振るようなこの草の尾が低い処からいつまでも呼ぶような。謄本はふたりの母や吾亦紅(われもこう)(横浜田中清香)安積(あさか)の野案山子は敏行利通公(川崎根本格)(評)郡山名誉市民西田敏行。安積疎水構想者大久保利通なんだそう。面白い組み合わせの案山子(かかし)だこと。国連冷ゆ激しく痛む議場
勝手に論愚選【日経俳壇2025.11.22】[横澤放川選]安産の嫁大手柄望の湖(うみ)(広島山根吉久)繕ひの細むる目もと柿落ちぬ(東京佐藤美智子)南千住で見かけしジョーや秋の風(柏藤好写ぽ)赤城より利根割る如き芋嵐(前橋小口泰興)九人の暮らし秋茄子十八本(新潟るい)佯(いつわ)らず自然に詠う彼岸花(松阪船所信一)敗戦忌ばかり重ねて白寿来る(有田梅本哲夫)荊妻(けいさい)と偲ぶ七輪初秋刀魚(東京大津隆文)鍬(すき)洗ふ釣瓶落し
勝手に論愚選【日経俳壇2025.11.15】[横澤放川選]猟師らは鰤(ぶり)来る噂お取越(東京朝田黒冬)(評)旧暦十一月の御正忌(ごしょうき)、つまり親鸞忌に本山に参ずるために各地の末寺は先立って報恩講を行う。いかにも冬の鰤漁の始まらん頃だ。蔓(つる)茘枝(れいし)張り裂け島の鳥を呼ぶ(大府小河旬文)(評)沖縄でゴーヤーと呼ぶ苦瓜(にがうり)のこと。熟すと自然に割れ赤い種身を見せる。金子兜太がトラック島で近種の茘枝を食べていたという。秋の夜のゴールドベルク凜(さむ)
好天、日曜まで続くらしい。そのあと月曜から3日間ほどは雨で、時には雪となる寒い予報が出ている。金沢駅に行くと、鼓門前の雪吊りの切っ先に日が差していて、きれいだった。ブログを検索していると、たまたま11月8日の日経俳壇に私の名前を見つけた。偶然だった。あめつちのやさしき能登のをみなへし選者の神野紗季先生は尖った句をとる傾向があると思っていたが、こんなおとなしい句もとってもらえた。神野紗季選では2度目の入選である。全国紙はとっていないので、入選してもわからない
勝手に論愚選【日経俳壇2025.11.08】[横澤放川選]かまどむし日本全国鬼退治(新潟るい)(評)例にもれず我家も席巻したアニメの劇場版である。主人公の名が竈門炭治郎(かまどたんじろう)。昔語りがものの見事に現代エンタメになった。それを俳句にもじって屈託のない狂歌に。フレイルの母墓洗ふたびに泣く(名古屋山内三雑)秋光や老いて我待つ君がいる(東京駒形光子)八十年属国暮し虫の秋(広島山本一穂)二つ目の橋まで汽水(きすい)秋燕(倉敷山本一穂)神々の高
勝手に論愚選【日経俳壇2025.11.01】[横澤放川選]盛り上がる蓋をなだめて芋煮会(大垣大西誠一)桃売りの見つめてゐたり終電車(はやし央)婿の来て葡萄園主のよく笑ふ(宇都宮五十嵐藤重)生駒山下る夜風や夏深し(生駒和久利俊次)かたくなに一汁一菜生身魂(いきみたま)(福岡白井道義)うなぎの字のび放題の暑さかな(那須塩原谷口弘)吾亦紅(われもこう)生涯知らぬ産みの母(横浜田中清春)それまでは真青なる原爆忌(東京火埜鬼王)たれかれも
勝手に論愚選【日経俳壇2025.10.25】[横澤放川選]コリオリの力に沿うて鳥渡る(東京火埜鬼王)(評)椋鳥の群などが旋回するとき外側へと引っ張られるように膨らむことがある。それをこんな物理用語で想像させてくれる妙味。順番と思ふこの頃秋彼岸(東京藤ヶ谷国柱)稚のくち象(かたど)る乳首棉(わた)の桃(新潟るい)(評)新生児の口の吸引力を賛嘆(さんたん)しているのだ。棉の実が割れて白い綿が吹き出るのを桃吹くという。ネクタイのトランプレッド秋暑し(清瀬福島妙子
勝手に論愚選【日経俳壇2025.10.11】[横澤放川選]八月大名年金受くる十五日(名古屋山内三雑)どの墓もみな知る島の盆用意(東京曽根新五郎)銭湯を出れば長島星月夜(愛西小川弘)(評)信長に抵抗した一向一揆の輪中長嶋である。ニューハートピア長嶋とや。歴史とそして現代と。土間いつぱいの西瓜の海に立つ農夫(石巻石の森市朗)対馬丸御霊へオオゴマダラ放つ(埼玉酒井忠正)糸とんぼ水の文目(あやめ)を飛び交す(加賀福田啓一)枝掴み振り向く雀鷂(つ
勝手に論愚選【日経俳壇2025.10.04】[横澤放川選]孫生まれてくるりくるうるひからかさ(新潟るい)(評)手放しの嬉しさ。そんあことが人生には折に訪れるものだ。このことばのリズムの軽快なこと。認識は常に遅れててんと虫(東京野上卓)(評)個人の場合でも社会現象でも。この虫のさびしさは、〈てんと虫一兵われの死なざりし安住敦〉母の日や少し遠くへ行つた母(郡山寺田秀雄)字余りかより詩かを見よ炎熱忌(大船渡桃心地)戦に彈鱓(うつぼ)も嫌ひ蝉時雨(東京金
勝手に論愚選【日経俳壇2025.09.27】[横澤放川選]生身魂(いきみたま)生家に着くや東浄(とうちん)へ(里村直選)(評)中村草田男に〈母が家ちかく便意もうれし花茶垣〉という句がある。東浄は本来禅寺の東司(とうす)のこと。広い屋内が思われる。いくつになっても生家はうれしやの生家だ。輪中今満々と半夏生(大垣大西誠一)夕ぐれの妣(はは)に水乞ふ花南京(宇都宮五十嵐藤重)そしてまた二人になりて冷奴(町田枝澤聖文)返納を前に遠出の夜釣かな(神戸末永拓
勝手に論愚選【日経俳壇2025.09.20】[横澤放川選]ピカはいけんよピカはと母よ広島忌(東京藤宮晏子)夏草や陶片追放してみたし(羽咋安藤栄治)(評)古代のアテーナイにあった制度。僭主(せんしゅ)になりかねない人物名を市民が陶片に書いて国外追放に。八重葎(やえむぐら)に覆(おお)われきったか政治情勢。転生やこ奴(やつ)心平青蛙(浜松宮田久常)(評)蛙の歌の詩人草野心平。莫迦(ばか)ばかしい世に呆れ返って、またアナーキズムを鳴いてみるかと。ひいばあの椀に蝤蛑(
勝手に論愚選【日経俳壇2025.09.13】[横澤放川選]浪曲の真昼のラジオ冷素麺(柏小畑昌司)母とかな夕さり墓の草むしり(寝屋川川上純一)(評)美しい句だ。夕さりという時刻の草むしりとはやはり盆用意だろう。そして母とかなとの詠嘆はやはり追憶裡の思慕の思いだろう。時計草妣(はは)の施設に今も咲き(東京佐藤冨幸)大西日唐桟(とうざん)縞の藪の径(豊橋滝川節子)梅実干す碁盤に置くがごとくなり(奈良河上恵子)黒点のドローン大軍大夕焼(広島山根吉
勝手に論愚選【日経俳壇2025.08.16】凌(しの)がむと八尾おわらの絵の団扇(魚津坪川正)足鍬(えんぐわ)踏む褌(ふんどし)一丁畑返す(久喜眞田忠雄)ウインブルドン線審の無き風新た(町田吉野和子)法華経はいつも難解雲の峰(石巻石の森市朗)浮彫は信徒発見花むばら(東京山口照男)[神野紗希選]茸の菌糸白く伸びたり夜の森(東京嶋田恵一)大夏野どこかに悲しみの元栓(さいたま武智しのぶ)名だけ知る句友涼しき掲載句(大垣大井公夫)
勝手に論愚選【日経俳壇2025.09.06】[横澤放川選]早苗田や父母兄に逢ひにゆく(下妻神郡貢)重藤の弓がひと張り夏座敷(富士宮高村富士郞)(評)弓の強度のために籐を等間隔に巻いた弓。将軍所用とも。国つ神を祀る社格神社を思わせる。万緑の郷を動かじ母白寿(名古屋平田秀)火襷の伸び上がるごと火蛾舞へり(東京火埜鬼王)柞(ははそ)葉の母よこはるな夏帽子(尾張旭古賀勇里央)教会へ急ぐ侍者の子麦の秋(東京山口照男)母帰るまでの友達かたつむり(神
勝手に論愚選【日経俳壇2025,08.30】[横澤放川選]梅を干す日本の色となれるまで(東海斎藤浩美)トランプの遊ぶ線香花火かな(神奈川原新平)峰雲をいくつ掠めてエノラ・ゲイ(東京山口照男)日の盛物音のなき2人居て(神戸井上徳一郞){登山小屋にて待つ}お元気さうである(鹿児島齊藤建夫)疣(いぼ)毟(むし)りキリストさえも磔(はりつけ)にトランプの幇間者(ほうかんしゃ)たち土用波(枚方衛藤總一)[神野紗希選]柚子坊の葉を食ひ尽す速さ
勝手に論愚選【日経俳壇2025.07.19】[横澤放川選]夫何処花の下とて花の散る(横浜畑中和子)(評)このとてという助詞はとてもという逆説なのか、それとも天寿を肯(うべな)いがてにも受容する順接の意味か。後者の慕情の吐息としたい。この残雪見ずして伊吹語るなかれ(稲沢中山精三)(評)芭蕉十哲のひとり内藤丈草の句〈木枕のあかや伊吹にのこる雪〉を踏まえている。俗間を離れ隠棲したひとの寂しさをまず知れと。半世紀兜太杏子やほととぎす(松阪奥俊)(評)両者協働での永き
勝手に論愚選【日経俳壇2025.07.12】三分割されさうな星しやぼん玉(山口吉次薫)(評)もちろん我等の星のことだ。イデオロギーが崩壊して、あれやあれ独裁と弾圧の時代に、人物は進歩どころかパッチン破壊へとか。下は大水上は山火事どーこだ(東京火埜鬼王)鬚面逝けり森をば愛し牡蠣愛せし(船橋白石勉)(評)氏は気仙沼をふるさととするようだ。牡蠣養殖漁師畠山重篤氏へのそして山海への哀悼である。青蛙ニイチェサルトルガブリエル(高岡伊藤恭章)円位忌の若き僧守る花の寺(
勝手に論愚選【日経俳壇2025.07.05】[横澤放川選]懲りもせずキミは躓く聖五月(横浜柴土一廣)山背聞く巨大防潮堤越しに(大船渡桃心地)(評)視野から海を閉ざしてまでの致し方ない防潮堤。氏はその巨大さを山背の墓標とも詠むのだ。ああ妻よ蚕豆ご飯ありがとう(三豊小野明則)田植機の観音通に泥落とし(寝屋川川上純一)田圃(たんぼ)こそ日本の宝早苗束(小平七木田清助)風入れの被爆者名簿百二十八冊(広島村越緑)「飛燕」とは戦闘機の名つばめ来る(
【勝手に論愚選日経俳壇2025.06.28】[横澤放川選]早苗田や這へば立ててふ心あり(魚津坪川正)津波碑訪(と)ふ雀ら運ぶ黄雀風(こうじゃくふう)(大船渡桃心地)(評)陰暦五月のころの湿気を含んだ南東風。中国の俗伝ではそれが海魚を雀に変化させるのだと。その雀が運ぶとは深悼(しんとう)なおの思い。プリオッシュ八つ買い占め春ショール(新潟るい)燕来る天道様(てんとうさま)の言うとおり(郡山寺田秀雄)麦踏みの爺に恋人見せに来る(島根重親峡人)山茱萸(さ
勝手に論愚選【日経俳壇2025.06.21】[横澤放川選]母の日や母おはす日々尊さに(東京多久島靖子)(評)末っ子の可愛さは母と過ごす歳月が一番短いからだという。人は母と日々を過ごしやがては母ましましきと想う日々をもつ。なによりもありがたくて尊い母よ。口遊(ずさ)む母の句母の日なりけり(奈良上田秋霜)パパビリのうはさ飛び交ふ街薄暑(東京金子文衛)(評)新教皇選挙にあたる枢機卿団のうちでも有力な候補と思しき人たちをいう。日本も薄暑だが選出を待つバチカンもあつさの
やれ打つな蠅が手をすり足をすり一茶この句を友人が取り上げて、きのう紹介した我が句の前につけて読むとわとわかると言ってきた。きのうの句とはー私は消毒済みの蠅なので作者である私自身、これがどうしてできたのかよくわからない。ただ「消毒済みの蠅」というフレーズがちょっと面白いと思い一句としたので、深い意味はない。選者は「汚いと厭われる蠅が「わたくし」と畏まりつつ「消毒済み」と名乗り来る諧謔」と評してくれた。「消毒済みの蠅」というフレーズを評価してくれたのだろう。
金沢、昨日の34℃ほどではなかったが30℃越えで暑かった。甲府で38.2℃をはじめ猛暑日を記録した地点が65もあったという。多くのところで今週は雨マークなし、梅雨はどこに。蛍光を発しているような不思議な花。紫陽花の仲間だろうか。俳句というのは観察して作るのもあり、想像でつくったりする。創作なのでつくり方や内容は自由である。先月末にこんな句が浮かんだ。私は消毒済みの蠅なのでどこかの句会で蠅という兼題があったので作った。兼題にでもなければ、夏
勝手に論愚選【日経俳壇2025.06.14】[横澤放川選]たんぽぽの咲く自転車屋さんの跡(海津伊藤郁子)(評)この句は昭和という時代が主題だといってもいいような面影を帯びている。こどもらが大人自転車の三角乗りをしていたあの昔。たんぽぽが、さんという呼称がいい。母と防空壕を掘つた誰も知らない(駒ヶ根服部信彦)(評)韻文のリズムという点ではこの句は破格の句形だ。しかしその断片的な呟きがかえって、時の忘れ形見のような記憶を蘇らすのだ。城落つる如く牡丹崩れけり(三豊小野
勝手に論愚選【日経俳壇2025.06.07】[横澤放川選]桜蕊(しべ)降る定年の鹿島立ち(大府小河旬文)(評)天孫降臨以前の鹿島香取の二神の説話や防人の旅立ちの祈願をいう古語がここでは確(しか)と生きている。定年はまさに桜蕊降るの静かな受容のこころ、むしろ新生とこそ。花見酒君のしっぽに目が三つつ(塩尻神戸千寛)うとうとと古き受験に悩まさる(東京今津真作)牡丹の落つるその日を幻視せる(小平中澤清)竹植ゑて継ぐ大好きな大船戸(大船渡桃心地)母の日の母
勝手に論愚選【日経俳壇2025.05.31】母さんや物置裏の蕗(ふき)の薹(とう)(北広島軽部進)(評)なんとも屈託のない句だこと。物置裏にではなく物置裏のという。そこから捥(も)いできて勝手口あたりで声をかける。日常こそ重き。土筆(つくし)摘むバベルの塔の倒れし野(町田吉野和子)(評)神を侮る奢(おご)りも神に乗じる民族エゴも根は同じだ。終末思想は世界にとって戯言(ざれごと)ではない。一度亡び果てた後の大地を思わす句だ。田鼠(でんそ)駕に為り生き延びよ火の津波(大船渡
勝手に論愚選【日経俳壇2025.05.25】[横澤放川選]夫(つま)居ずて巡りて来たる麦の秋(伊万里田中秋子)(評)高齢の作者の坦々とした淡々とした相夫恋だ。桜花などの可憐な嘱目ならぬ麦秋という広漠たる空間が同時に時の流れを思わせて。若き詩は若きが選べよ百千鳥(山口吉次薫)(評)俳句甲子園県予選選考委員を辞すの弁だ。優れた鑑識眼をもつ方にしての判断。後事を委ねるに百千鳥の世代祝福のこころがいい。若草の如結ばれてより二人(岡山平田百合子)名にし負ふ美国と華国砂
勝手に論愚選【日経俳壇2025.05.17】[横澤放川選]ずんずんと今切口(いまぎれぐち)へ春の湖(浜松宮田久常)(評)戦国時代の地震で浜名湖の砂州が決壊し、遠州灘の海水の流入口となったのが今切口。春潮の大どかさを力動的に表現してくれた。種袋軽く乾きし音を買う(大垣大井公夫)ふつと息かけて花種袋開く(神戸市小柴智子)老いてゆく途中ゴールデンウィーク(名取里村直)あたたかに砂の静けさ大杉菜(小平中澤清)友垣に先生多し葱の擬宝(ぎぼ)(船橋白石
勝手に論愚選【日経俳壇2025.05.10】お七夜の祖父は横座に濁り酒(富士宮高村富士郞)(評)横座というのはいわば一家の亭主座。この祖父は自身の子のお七夜をかつては祝い、いまは孫の祝いの奥の座に。濁り酒の開豁(かいかつ)さよ。花吹雪引揚船のどよめきし(稲沢中山精三)(評)敗戦後は軍属などは早くに期間を果たすも翌年、翌々年と引揚げの遷延した多くの人々がいる。翌春の景か哀歓ひとつの花吹雪だ。小綬鶏(こじゅけい)や修道院は朝課(ちょうか)どき廃刊の「藍生」のサイト花見衆臥